ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~
前回の三つの出来事
一つ、ピアノコンクールに出る為、梨子は東京に。
二つ、梨子のポジションでうまく踊ることが出来ず、悩んでいた曜にウヴァが迫る。
そして三つ、耀太はウヴァを撃破、曜も迷いを捨て、予備予選を迎えたのだった。

カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×2
クジャク×1
コンドル×1
クワガタ×2
カマキリ×1
バッタ×3
トラ×1
サイ×1
ゴリラ×2
ゾウ×1
シャチ×1
ウナギ×1
タコ×1


μ’sとAqoursと進む道

 松月にて、俺たちはラブライブの予備予選突破グループの発表を待っていた。

 なんとなく分かってはいたけど、みんなソワソワして落ち着きが無い。

「あーもう落ち着かない!わたしちょっと走ってくる!」

「果南ちゃん、結果分からなくていいの?」

「うう……」

 結果を知りたい欲求と落ち着きたい欲求が天秤にかけられているようだ。

「なんで耀太はそんなに落ち着いてるの!?」

「おわっ!?どうどう果南ちゃん……落ち着いて。あと顔が近い……」

「ご、ごめん……」

 少し顔を赤らめて遠ざかる果南ちゃん。周りで何人かがニヤニヤしている。あとちょっと今にも刺してきそうな視線も一つあるんだけど……。

「俺が落ち着いてるのは、普段から緊張感のある戦いばかりしてるからだと思うよ」

 もうこの世界に来てから何度死にかけたことか。

 死線すら超えればこのくらいでは、なかなか動じなくなってくる。

 まあ、それ以外にも理由はあるんだけど。

「来た!」

 とはいえ万が一はあり得るため、その結果が気にならない訳では無い。

 俺や慎司も含めたアイドル部全員が、たった一つのスマートフォンの画面を、その目力で穴が開くんじゃないかと思えてしまうくらい凝視する。

「ラブライブ予備予選突破……」

「Aqoursの“あ”ですわよ!あーあー!」

 ダイヤさんが壊れた。てかAqoursなら“あ”じゃなくて“A”じゃね?

 なんてどうでもいいことを考えていると……。

「イーズエクスプレス……」

「落ちた……!?」

「そんなぁ……」

 自分たちの名前を確認出来ず、お通夜ムードに突入しかけたが、

「あ、エントリー番号順だった」

 というボケをかました曜ちゃんだった。

 気を入れ直してもう一度。

 画面を下にスクロールしていく。

 

 イーズエクスプレス

 グリーンティーズ

 Aqours

 海音おとめ

 …………

 

 さっきとは一転、全員の表情が明るくなる。

 憧れのステージにまた一歩近づいた。その喜びはとても大きいだろう。

 舞い上がっていると、千歌ちゃんのスマホの着信音が鳴る。相手は……まあ、分かりきっていることだな。

『予選突破おめでとう』

 電話越しに聞こえてくる梨子ちゃんの声は、とても優しく、そして自分もやりきったと感じられる。

 きっと梨子ちゃんもピアノを弾くことが出来たのだ。

「これなら学校説明会も上手く行きそうだね」

「学校説明会?」

「Yes。Septemberに開く予定なの」

 これならば説明会に参加したいと思う人も増えるだろう。

 しかし胸に膨らむ期待は、そうそうに破られることになる。

 鞠莉ちゃんが自分のスマホを操作し、浦の星のホームページを確認すると。

「……0」

「「え」」

「0だね……」

「「えぇぇぇぇ!?」」

 夏空の下、俺たちの声が木霊した。

 

 ***

 

 やっぱり0。

 Aqoursがこの数字を叩きつけられるのは、これで二度目だ。

 分かっていたとはいえ、やりきれないのは確かだ。

「何がいけないんだろうな……なんて、考えるのも無駄だよな」

 音乃木坂を救ったμ’sと浦の星を救いたいAqours。

 アニメとして見てた頃は、この二つのグループは何が違って何が同じなのか、どんなところが似ているのか、友だちと議論することが何度かあった。

 その時はいろいろ似ていると思うところがあったけれど、今はどうなんだろう。

 彼女たちと友だちになって、同じ時間を過ごして。

 μ’sのことは、今も客観的にしか捉えられてない。だけどAqoursは……。

「耀太、準備が出来たぞ」

 そこまで思考したところで女神さま(大人モード)に呼ばれる。

 μ’sとAqoursの相違は一旦保留。

 女神さまと彼女の泊まっている部屋にむかう。

「ヨータ、この女は何者なんだ?」

 部屋では既にアンクが待機していた。

「そうだな、端的に言えば神」

「は?」

 そんな反応をされるのは薄々というか、普通に分かってた。

 意味が分からないという顔をするアンクは置いといて、女神さまは一枚の封印されたコアメダルと、二百枚程度のセルメダルを用意した。

「……まさかウヴァを復活させるとかいう気じゃないだろうな」

「そのまさかだよ」

「前々から思っていたが、やっぱお前バカか?」

「バカで結構。まあ見てろって」

 合図を送ると、女神さまはウヴァの意識を内包したコアの封印を解き、セルメダルの中へ放り投げる。

 すると、セルメダルはコアメダルへと集まって行き、あの日倒したウヴァへとたちまち姿を変えた。

「……!?どういうことだ……」

 復活したウヴァは状況が飲み込めていないようだ。

 倒されたかと思えば、すぐに復活し、しかも目の前には敵対しているはずのオーズ()とアンクがいる。そんな事態を理解出来るわけない。

「オーズ……お前たちが俺を復活させたのか」

「それ以外考えられないだろ、この状況で」

「アンク、どういうつもりだ」

「俺が知るか。このバカ二人に聞け」

 ウヴァは俺と女神さまを睨みつける。

 攻撃しようもんなら女神パワーで再封印されるから問題ない。

「お前に協力してもらおうと思ったんだ」

「協力だと?笑わせるな、本来グリードとオーズ(お前)は天敵同士だ。アンクがそちら側についてること事態異常なことだというのに、何故俺まで──」

「俺たち以外でお前のメダルを掌握していたとしても、か?」

「何?」

 ウヴァは首を傾げ、俺は話を続ける。

「お前は今、カザリがどこで何をしているか知ってるか?」

「知らんな。それがどうした?……まさか」

 今日このセリフを聞くのと、言うのは二回目だ。

「そのまさかだよ。あいつはお前のコアを持ってる。もしかしたら取り込んでるかもな」

「……ふふふ。そんなハッタリ通用するとでも……」

「ハッタリじゃない。俺はこの目で見たし、この身体で受けた。カザリはメズールの力を使った。これは紛れもない事実だ」

 念を押して強く言う。ウヴァは何も言わない。間違いなく混乱はしているだろう。今まで他のグリードのメダルを取り込もうなど、考えなかったはずだ。

「それが本当だとして、俺はどうすればいい?お前たちと手を組んで、大人しくメダルを渡していろとでも言うのか?」

「メダルをくれとは言わない。貸してくれるだけでいい」

「俺にはなんのメリットがある。それが無い限り、俺は手を組むことは考えない」

「カザリは俺やグリードとは違う、誰かと手を結んでる。そいつの強さや性格、頭のデキは半端じゃない。そんなヤツら二人とやりあう気になるか?」

「…………」

「お前はメダルを手に入れて完全復活がしたい。俺はアイツらにメダルを渡したくない。そうだろ?」

「……いいだろう。カザリと良くわからない奴が手を組んでいる間は、俺もお前たちに協力してやる」

「ありがとうウヴァ。恩に着る」

「勘違いはするな。俺は俺の為にそうするだけだ」

 俺たちはカザリとポセイドンの本体(仮)に対抗する一手を手に入れることに成功した。

 そしてこの時、別の場所ではAqoursが次のステップに進む為の準備がされていた。

 

 ***

 

 Aqours in TOKYO again。

 昨日一段落終えた後、千歌ちゃんから東京に行こうと告げられた。

 μ’sとAqoursの何が違うのか、見つけに行きたいらしい。

 ウヴァのことは女神さまに任せ、俺とアンクもそちらに参加するのだった。

「みなさん気を付けるのですよ?東京に飲まれないように!!」

 ダイヤさんが鬼気迫る表情で注意を促す。

「大丈夫だよ。わたしたちももう子供じゃないんだかr」

「甘いですわ!」

 物凄い剣幕で千歌ちゃんに迫る。久しぶりに見たな、あんなダイヤさん。

「お姉ちゃん、小さい頃に東京で迷子になったことがあるみたいで……」

 ルビィちゃんが苦笑しながら、ダイヤさんのちょっとしたトラウマを語ってくれた。

「ま、まあはぐれないようにするのは悪いことじゃないしね」

 アメリカで迷子になったどっかの誰かのように。

「そう言えば梨子ちゃんは?」

「ここで待ち合わせのはずなんだけど……」

「あれじゃないんです?」

 慎司が見つけた梨子ちゃん。なんかロッカーに押し込んでる。

「梨子ちゃーん!」

「ち、千歌ちゃん!?」

「何しまってるの?」

 千歌ちゃんが興味を示したソレ。なんとか誤魔化そうとするが。

「えーっと、お土産とかお土産とかお土産とか?」

「わー!お土産!」

 “お土産”という比喩は千歌ちゃんを余計焚き付けてしまったようだ。

 入り切らなかった袋が、勢い余って落ち、中身が露見する。

 この時点でもはや察してしまった。

「これ何?」

 落ちたお土産(薄い本)を、千歌ちゃんは拾おうとするが、目を塞いでそれを阻止する。

 他のメンバー(俺と慎司を除く)+アンクは、何故梨子ちゃんがこんな行動に出たのか、理解出来てないみたいだ。

「梨子ちゃんは何をしてるの?あれ本?みたいだけど……」

 と果南ちゃん。多分みんなそう思ってるよね。

 とりあえず梨子ちゃんへの被害を最小限に抑えることにしよう。

「何だろうねー……でもあのままだと話が進まないから、ちょっと手伝ってくる」

 千歌ちゃんを取り押さえて両手が塞がれている梨子ちゃんに代わり、なるべく本が見えないように袋に戻し、ロッカーに押し込んだ。

「東京に来たわけだけど、どこに行くか決まってるの?」

 ようやく開放された千歌ちゃん。目の周りにパンダみたいな痕が残ってる。

「うん!まずは神社に行こうと思う」

「また?」

「実はある人に話を聞こうと思って。色々調べたんだ。そしたら本当に会ってくれるって」

「いったい誰ずら?」

「それは会ってのお楽しみ。だけど話を聞くにはうってつけの凄い人だよ!」

「東京……神社……」

「凄い人……」

 ラブライブ、そしてμ’sが好きな人ならば、その単語を聞けば、間違いなく“あの人”を連想させるはずだ、今の黒澤姉妹のように。

 まさかまさかと引っ張って、待っていたのは……。

 ……まあ、結果からすると全然違う人たちだったんだね。

「お久しぶりです、Aqoursのみなさん」

 期待を裏切られて崩れるダイヤさんとルビィちゃん。

 いやそんな露骨に残念がらないであげようよ。

「お久しぶりー」

 と神田明神で再会したAqoursとSaint Snowは場所を変えて話し合うことになった。

 

「予選突破おめでとうございます」

「Very coolだったね」

「まあ悪くはなかったよ、うん。べ、別に魅入ってなんか無いからな」

 Saint Snowの二人に賛辞を送る梨子ちゃんと鞠莉ちゃん。そしてなんかツンデレコメントを残した慎司。

「褒めてもらわなくて良いですよ。動画の再生回数はあなた達の方が上なんですから」

 嫌味……という訳ではなさげだ。むしろ、

「でも大会ではわたしたちが勝ちます」

 Aqoursを同じステージに立つライバルグループの一つとして見ている、ともとれる。

「わたしと理亞は、A-RISEを見てスクールアイドルをはじめようとおもいました。だからわたしたちもかんがえたことがあります。A-RISEやμ’sの何が凄いのか。何が違うのか」

 聖良さんは語り始めた。

 この話は、何もAqoursに限った話ではなかった。Saint Snowも、そして多分、全国にいるスクールアイドル全員も。

「答えはでましたか……?」

「いいえ。ただ、勝つしかない。勝って、彼女たちと同じ景色を見るしかないのかなって」

「……勝ちたいですか?ラブライブ決勝、勝ちたいですか?」

 ゆっくりと千歌ちゃんは聖良さんに問う。

 “勝つしかない”。そこに妙な引っかかりを覚えたのか、それとももっと別な何かか、定かではない。

「勝ちたくなければ何故ラブライブに出るのです?A-RISEやμ’sは、何故ラブライブに出場したのです?」

 質問に次ぐ質問。

 その答えを返すことは出来なかった。

 

 ***

 

 梨子ちゃんの申し出によって、音ノ木坂学院を訪れることになった。

「これが音ノ木坂学院……」

 μ’sが守った学校。普通の学校のはずなのに、感動が込み上げてくる。

「なんかさ、敷地を踏むのも憚られる気がするんだけど……」

「奇遇ですね、先輩。俺もですよ」

 まさにμ’sの、スクールアイドルの聖地と言っても過言ではない。サンクチュアリ・オブ・サンクチュアリだ。うん、何言ってんのか良く分かんねぇ。

「あれ?アンクは?」

「ああ、アイツならまたアイス買いに行ってると思う。お金は渡したけど、そんなにたくさんは食べれないだろう」

 この発言が後のフラグとなったのは言うまでもない。

「もしかしてスクールアイドルの方ですか?」

 不意に後ろから話しかけられた。

 制服からして音ノ木坂学院の生徒。リボンは緑だから三年生か。

「すいません、迷惑でしたか?」

「いいえ、スクールアイドルの方はよくここにいらっしゃるんです。でもここにはもう何も無くて」

「何も無い?」

「はい。自分たちの物も、優勝記念品も、記録も。物なんか無くても、心は繋がっているから、それでいいんだよって」

“心で繋がる”
何ともまあ、彼女たちらしい、μ’sらしい言葉な気がした。

 だけどそれは、μ’sが伝説と謳われている所以の一つだろう。

「気を付けるのよー」

「大丈夫!」

 小さな女の子が向こうから駆けてきて、手すりを滑っていく。

 瞬間、脳に響き渡る。

 それは伝説となったμ’s(かのじょたち)の始まり。

 女の子の姿に、俺はその幻のようなものを重ねた。

 滑り終わった女の子は笑顔でピースサイン。

 そして音乃木生の方へ振り返ると、そこには誰もいなかった。いつの間に去ってしまったのだろうか。

 しかし、そこにはもういない彼女は大切なことを教えてくれた。とても大切なことを。

 

 ***

 

 この世界の東京の海は、とても澄んでいて綺麗だ。

 穂乃果ちゃんたちが、絵里ちゃんたち三年生に、μ’sをおしまいにすることを話したあの海。

 そのことを思い返すと、少し涙が出てくる。バレないように隠すけど。

 そんなふうに思っていると。

「ねえ、耀太くん」

「何、千歌ちゃん?」

「わたし分かった気がする。μ'sの何が凄かったのか」

 みんな千歌ちゃんの方を向く。

「多分追いかけちゃダメなんだよ。μ'sも、ラブライブも、輝きも」

「どういうこと?」

「意味が分かりませんわ」

「わたしは何となく分かる気がする」

 善子ちゃんとダイヤさんが疑問符を浮かべるが、果南ちゃんが同意を示した。

「μ'sの凄いところって、何もないところを走り続けたことだと思う。みんなの夢を叶える為に」

 遠くを見据えたまま、千歌ちゃんは続ける。

「μ'sみたいに輝くってことは、μ'sの背中を追いかけることじゃない。自由に走ることなんだよ」

 かつてμ's(彼女たち)がそうであったように。

 きっといろんな壁にぶち当たる。

 でもそれを乗り越えて、時にはぶっ壊して。

 0から1へ。

 

 1からOOO(その先)へ。

 

 




おはようございます、こんにちは、こんばんは。
作者の白銀るるです。
今回はアニメ時点における11話のお話、そしてわたしがラブライブという作品を見るにあたって、μ’s、そしてAqoursの関係を改めて考えることになった、感慨深いお話でした。
一期のお話もいよいよ次回でラスト、一区切りです……多分。
それでは次回ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~「Aqoursと輝きと海のコンボ」

カウント・ザ・メダルズ
タカ×2
クジャク×1
コンドル×1
クワガタ×2
カマキリ×1
バッタ×3
トラ×1
サイ×1
ゴリラ×2
ゾウ×1
シャチ×1
ウナギ×1
タコ×1
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