ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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今回は二本立て!……といっても完全にこちらは本編の補足ですが…。
それではどうぞ!


女神と偽りと真実

 千歌ちゃんたちを送り出し、ポセイドンたちを退け、ひとまず危機は去った。

 だけどそれでも、戦いの時からのピリピリとした空気が抜けずにいた。

 理由は先の戦いの終わりに発覚した真実(こと)を、女神さまが話そうとしているからだ。

「ぬしらにはまず謝らなければならぬ。本当に済まなかった」

 女神さまは深々と頭を下げる。そこにはいつものように、おちゃらけた雰囲気のロリ神はいなかった。

「なあ、女神さま。あなたはポセイドン──あの男と兄妹っ言ってたけど、本当なの?」

「ああ、紛れもない事実だ」

 今度は慎司が尋ねた。

「じゃあ何が嘘なんです?」

「ぬしらをこの世界に連れてきた時、わらわはメダルを集めて欲しいと頼んだな?」

「はい。邪神(転売ヤー)からメダルを守る為に、グリードの力を与えて、この世界にバラまいたって言ってましたよね」

「それが嘘じゃ。邪神(転売ヤー)はわらわがでっち上げた。メダルに細工をしたというのもな」

 邪神(転売ヤー)が嘘、メダルに細工をしたのも嘘。ってことは俺やアンクが持っているメダルは……。

「既に察しているやもしれぬが、それらは全て本物じゃ。わらわの愚弟が造り上げてしまったな」

「造り上げたって……何の為にオーメダル(こんなもの)を?」

「人間を滅ぼす為じゃ」

「人間を……滅ぼす…?」

「そうじゃ」

 どうしてそんなことをしようとするのか、分からなくはない。

 人間は争いを、同じ過ちを繰り返してきた。

 それを見るのがもう嫌になった。そんなことだろうとは思ったが、やはり俺の予想は正しかった。

「そしてそれを実行する為に“欲望”という力を選んだ」

「なるほど……。自らの“欲望”によって人間は滅ぶ。この上なく相応しい末路ってことか……」

 神を狂気の道に走らせてしまうほどに、人間は愚かである。その事実は嫌でも業の深さというものを分からせてくる。

「奴の計画は完璧じゃった。ただ一つ、わらわに明かしたことを除いてな。その計画を知ったわらわはすぐに対抗策を用意した。一部のメダルを奪い、さらにその中から一部を下界に落とし、一部をわらわが持つことにした。下界に直接触れることは禁忌。腐っても奴は神。それを破ることは無かろうと思っていた。……じゃが、その考えは甘かった……」

 現に女神さまの弟は、こうして下界に降りてきて、何度も戦っている。

 が、女神さまのように神々しさが感じられなかった。今の彼女は人の姿をとっているが、やはり神。彼女から感じる気配は只者ではない。じゃあ何故奴は……。

「奴は神の力を捨て、転生した。己が最も憎んでいた人間にな」

「「………」」

 言葉を失った。人間を滅ぼす為に、自分が人間になるなんて……。

「あれ?でも女神さまって何回かこっちの世界に干渉しまくってるよね?それはダメなんじゃないの?」

「今回の件は既に最高神殿に報告済みじゃ。これを解決する任に付けられ、ある程度のことなら許容される権限を持っている」

「最高神って……」

 スケールがデカイ……。

 俺たちがグリードやポセイドンと戦っている裏で凄い(ひと)たちが動いてたんだな。

「他に何か聞きたいことはないか?答えられる質問なら、何でも答えるぞ」

 聞きたいことといえば……アイツのことしかないよな。

「女神さま、アンクのこと聞いていいか?」

「ああ」

「この世界に来た日、俺は梨子ちゃんとアンクと出会った。それでアンクのヤツ、梨子ちゃんに憑依して…まあ、すぐ剥がしたけど。アイツの今憑いてる身体って何なんだ?それに何でアイツは右腕以外が復活しないの?」

「アンクに与えた身体は、わらわが造り出したホムンクルスじゃ。本当ならホムンクルスにメダルの回収を命じる予定だったのじゃが……やはり人間であるぬしらに託したのじゃ」

「どうして?」

 女神さまは「そうじゃのう」と一息おいてから、

「わらわは人間を信じている。ぬしらや、Aqoursの者たちのように、友を信じ、敬い、支えあっていける。時に道を(たが)えても、再び歩み寄ることが出来る、と。それを愚弟に教えてやりたかったんじゃ──」

 そう答えた女神さまの顔は、神ではなく、一人の姉としてのものだった。ルビィちゃんを想うダイヤさんととても似ていて、そしてとても悲しげだった。

「アンクが右腕のみの復活については、奴が本体を持ち去って行ったからじゃ」

 ってことは、もう一人のアンクとも戦うことになるのかもな。

「女神さま」

「何じゃ?」

「女神さまはとんでもねぇもんを押し付けて、その上嘘まで吐いて、謝ってくれた。けど俺たちは、少なくとも俺は感謝こそすれど、恨んでなんてない」

「ちょ!先輩なんで一人だけそんなこと言うんですか!?俺だって女神さまのこと恨んでません!」

「ぬしたち……」

「確かに最初は「は?」って思ったけど、みんなと出会えて、みんなを守ることが出来る。そんな力をあたえてくれたんだから」

「そうですよ。俺なんて死にかけてたのを助けてもらったんですから、恩返しの意も込めて戦いますよ!」

 ……なんか自分で言っててすげぇ恥ずかしい。

 とは言え、これは紛れもない本心。

 なんなら俺だって、何度も死にかけているところを助けてもらった。

 女神さまには感謝してもしきれない。

「たっだいまー!」

 聞こえてきたのは、いつものような元気な声。

「千歌ちゃんたち帰ってきたみたい」

「よし、三人でで迎えに行きましょう!」

「え?ちょ、何故わらわまで!?」

「いいから早く!」

 女神さまも引っ張って、俺たちはみんなを迎えた。

 色々あったけど、これからも今日みたいな戦いは続く。

 けれど、それでもみんなが笑ってくれるなら。

 俺たちはその為に戦い続ける。

 この世界に平和が訪れるその時まで。

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