ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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UA1,000突破記念回です!
本当にありがとうございました!
出来るだけ今後の展開をネタバレしないようにはしていますが、若干そういった部分もありますので、これより先はご注意ください。


特別編 映画とダイヤ監督とライダー魂

『映画ぁ?』

 ダイヤさんと鞠莉ちゃんを除く全員の声が見事に揃った。

 夏休みに入って学校も、そして今日は部活も休みのこの日、部室に呼び出した俺たちにダイヤさんはそう告げたのだった。

「どうして急に?」

 今全員が思っているであろう疑問を曜ちゃんが代表してダイヤにぶつけた。

「実は今度行われる地域交流会でわたしたちAqoursにも参加してほしいとRequest(リクエスト)が来たの」

「なるほど!だから俺たちで映画を作ってそれを交流会で放映しようってことですね!」

「慎司さんの言う通りですわ」

 そういうことだったのか。理由が分かった途端、みんなやる気が出てきたようで、ライブをする時のあの表情が現れ始める。

「それでどんな映画を作るの!?」

 という千歌ちゃんにダイヤさんは、

『仮面ライダー』ですわっ!!」

 と告げた。は?

「ちょっちょっちょっ!?」

「なんですか、耀太さん?何かご不満でも?」

「いや、不満って程の事じゃないけど、仮面ライダーって……」

「ああ、『仮面ライダー』というのはわたくしが考えたヒーローです。バイクに乗って仮面を被り、正体を隠しながら怪人の魔の手から人々を守る戦士。仮面のライダー、仮面ライダーですわ」

 いや、知ってる!それは知ってるし!てか俺の世界ではみんな知ってるぅぅぅ!

「正体を隠して人々を守るかぁ……。耀太くんと慎司くんみたいだね」

 と曜ちゃん。

 え、いや、あの、俺たち仮面ライダーなんですけど……。

「その通りですわ、曜さん!そしてこの映画の主役はあなたです、島村耀太さん!」

 えぇぇぇ…………。

「どんなストーリーなの?」

 千歌ちゃんの質問にダイヤさんは得意げな笑みを浮かべて答えた。

「主人公、『島村耀太』はその頭脳と身体能力がとても秀でた青年でした。しかし、そのことが原因で悪の秘密結社、『ショッカー』に攫われてしまうのです──」

 

 はい。ダイヤさんの説明が、凄く熱が入った上に長くなってしまったので、ざっくり言うと、主人公がショッカーに捕まり、肉体と脳改造の手術を施されたけど主人公の想い人によってその洗脳が解かれ、ショッカーを倒すという話だった。

 いや、聞いたことあるとかそういうレベルじゃねぇ……。

「それって耀太以外の役も決まってるの?」

「その点は問題ありませんわ。登場人物に見合った方を選んでいますから」

「わたしとダイヤの独断と偏見で決定したキャストは……これよーーっ!」

 ホワイトボードに配役とキャラクターの名前(っていってもそのまんまだけど)の載せられた企画書の一部らしきコピーが貼られた。

 主人公が俺・島村耀太。

 その恋人役が果南ちゃん。

 主人公たちのバックアップを担う組織の会長が鞠莉ちゃんとその秘書がルビィちゃん。

 敵役はショッカーの首領が善子ちゃんとその部下が千歌ちゃんと花丸ちゃんとアンク。

 曜ちゃんは悪の科学者で、梨子ちゃんは正義の心を持ったショッカーの科学者。

 というものだった。

「何この配役……っていうか恋人役わたしなの……?」

「はい。女性としての魅力もあり、さらに男性に勝るとも劣らない力持ちな果南さんが一番適役です」

「ダイヤ!?わたしも女の子だよ!?」

「果南さんの役を決めたのは鞠莉さんですわよ」

「まぁぁぁりぃぃぃ!?」

 顔を真っ赤にしながら果南ちゃんは鞠莉ちゃんに迫る。

「落ち着いて果南。これはあなたのことを想ってのことなのよ」

「わたしを?」

「そう!こうすれば合法的に耀太と二人に……」

「ちょっと待って!なんであたかも俺が違法みたいになってるの!?」

 とばっちりがきた。

 果南ちゃんと一緒になって鞠莉ちゃんを追いかけていると、

「ダイヤの役は?まさか一人だけサボろうだなんて……」

「ぶっぶーですわっ!!わたくしは……」

 善子ちゃんの発言を否定すると、ダイヤさんはどこから取り出したのか、帽子とサングラスを身につけ、拡声器で、

『監督ですわっ!!』

 かなりの音量で叫び、俺たちの鼓膜に音撃を仕掛け、また、自らもその反動を受けたのだった。

 

 ***

 

 翌日から映画の撮影はスタートした。

 学校を通してきた依頼ということで、機材などは学校の物を使い、素人だけでは心配ということで、演劇部にも助っ人を要請した。

『何やら面白そうなことをしておるのー』

「(他人事みたいに言いやがって……)」

『他人事じゃからの』

 休憩中に入ってきたロリ神からのテレパシー。

 くっそ!殴りてぇ!!

「(まあまあ、楽しいからいいじゃないですか)」

 慎司もそこに入ってくる。いやまあ楽しいの本当だけどさ……。

「(でもさ、正直女神さま的にどうなのさ。オーズ(この力)をこういうことに使われるのって)」

 危険な力であるが故につい最近までこの存在(ちから)のことは、なるべく話さないでいた。

 そんなものを映画作成の小道具にしてもいいのだろうか。

『わらわは別に気にせぬぞ。どんな目的を持ってどう使うのか、その結果どうなるか、それはぬし次第じゃ。ただの兵器なのか、それとも……おっと、そろそろ戻らねば。完成したらわらわにも見せてくれ』

「(……分かったよ。精々楽しみにしててくれ)」

『期待しておるぞ』

 そうして女神さまとの通信は切れた。

 オーズの力をどう使うか……か。

「耀太さんー、そろそろ再開しますわよ」

 ダイヤさんの呼ぶ声に「今行く」と答えて、俺はまた映画の登場人物へと意識をシフトしていくのだった。

 

「それではもう一度いきますわ」

 ダイヤさんの指示で撮影が再開する。

 

『島村耀太の改造手術が完了と洗脳のリプログラミング』。

 曜ちゃんと梨子ちゃん演じる科学者が変身した俺ののったベッドを運ぶシーンから始まった。

「『島村耀太の改造手術及び脳改造が完了いたしました』」

「『ワォウッ!ウゥゥゥ……』」

「『ご苦労。フッフッフッ……島村耀太、お前に与えられたその力をもって、世界を我がショッカーの手中に収めるのだ!はーっはっはっは!!』」

 このシーンで俺は変身して手枷と足枷のついた手術台のセットの上で寝ころびながら叫んでいただけだが、曜ちゃんも善子ちゃんのキャラになりきっている。善子ちゃんは伊達に動画配信していないってことか。

 現役の厨二病は格が違うな。曜ちゃんの演技力もかなりのものだった。

 続いて梨子ちゃんのシーンだ。

 善子ちゃんたちがいなくなった後(という設定の)部屋に梨子ちゃんが一人戻ってくる。

「『あなたのその力は、人々を守る為に使うべき力。完全に洗脳を解くことは出来ないけれど……せめてあなたの大切な人の記憶だけは……』」

「『ウオォォォッ!』」

 コンピュータにディスクをセットして……というシーンだが、梨子ちゃんもそれらしい感じだ。

 

「オッケーですわ!流石です、曜さん、善子さん、梨子さんも。素晴らしいですわ!わたくしの見込み通りですわ!」」

「ふふふ……わたしは堕天使、悪に身を堕とした者を演じることなど容易いわ」

「ちょっと緊張したけど、やってみると結構面白いね!」

「あはは……ありがとうございます……はぁ

 ダイヤさんに褒められて善子ちゃんはご満悦、曜ちゃんも楽しそうだ。

 梨子ちゃんは……。

「お疲れ、梨子ちゃん」

「耀太くん、わたしの演技どうだった?変なところとか……」

「ダイヤさんも言ってたでしょ?近くで見てても全然問題なかったよ」

「良かったぁ……」

 そっと胸を撫で下ろした。相当緊張していたらしい。

「今日の撮影はこれにて終了とします。みなさん、お疲れ様でした」

 この日はこれにて解散となった。

 

 そして翌々日。

 この日はアクション多めのシーンの撮影になった。

「た、助けてくれーーっ!!」

 逃げ惑うエキストラに当たらないよう注意してメダジャリバーを振る。ちなみにエキストラは慎司の男友達や俺の知り合いが出たいと言ってくれたので、その人たちにお願いした。

「『ウォォォォッ!!』」

 まるで本当に怖がっているみたいだなぁと思っていたのだが、マジで恐怖を感じたらしい。

「次はいよいよ、恋人との再会シーンですわね。この作品の中でも重要な場面になるのでお二人とも気合を入れて臨んでください!」

 降り続ける雨の中「耀太」と「果南」の再会の場面。この雨は鞠莉ちゃんが用意してくれた。どうやってるのか聞いてみたところ「ヒ・ミ・ツ♡」とだけ返って来た……。

 傘もささず、公園で一人たたずむ「耀太」。そこに恋人「果南」が現れる。

「『よう……た?』」

「『………ッ!?』」

「果南」の姿を見て過去の記憶の一部がフラッシュバックし、頭を抱えながら苦しむ演技。

「『耀太!?大丈夫!?しっかりして!!』」

 傘を投げ捨てて「耀太」に近づこうとする「果南」。しかし、

「『きゃっ!?』」

「耀太」は彼女を拒絶する。

 ふらふらとした足取りでそのまま立ち去っていき、「果南」は拒絶された哀しみを胸にその背中を見えなくなるまで見つめ続ける。

「カット。良い感じですわ、果南さん。耀太さんのシーンですが、もう少しアングルを変えてみましょう」

 このあと滅茶苦茶撮り直した。

 

 ***

 

 自室でこれまでに撮影、編集した箇所のチェック。

 映画の作成が始まってから家にいる時はほとんどこの為に時間を割くようになりました。

 もちろんAqoursのみなさんともこの作業は行いますが、家族にもチェックしてもらったり、時には一人でも。

 今日もその作業に入るのですが……。

「みなさん一人一人に問題はありませんわね……。やはりエキストラで参加してくれる方を募集した方がよろしいでしょうか……」

 イマイチ迫力に欠けるというか……やはり怪人側の人数的な問題が……。

「へぇ、なかなか面白そうなことをしてるね」

「完成にはまだまだ程遠いですわ」

「アンクも出てるんだ。ははは!アンクのこの格好、面白い!」

「それはわたくしが一生懸命考えて……!?」

 突然現れたその人はわたくしが振り向いた刹那、人間から怪人へと変わりました。

「カザリさん……でしたわね……」

「覚えててくれたんだ」

「当たり前ですわ!」

「まあいいや。今日は面白いものを見れたからね。オーズとアンクによろしくね」

「お待ちなさい!」

 しかし彼は風のように去っていってしまいました。

 最悪の置き土産を置いて。

 

 ***

 

「アクション!」

「『変身!』」

「タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!!」

 ドクロの模様のタイツに身を包んだ人たちと、怪人衣装を着た千歌ちゃんとの対峙する。

 千歌ちゃんたちの向こうには縛られている果南ちゃん。

 簡単に説明すると敵に捕まったヒロインを助けるシーンだな。

「『ハ!ハ!セイヤー!!』」

 エキストラの戦闘員をなぎ倒す。もちろん思いっきり手加減して。

「『やるね、仮面ライダー!だけどわたしたちには……!』ってあれ?」

 セリフを言い間違えたのか、途中で切れてしまう。

「カット!カーット!カットですわ!千歌さん、そのセリフはまだ……あれ?」

 千歌ちゃんを注意したダイヤさんだったが、そのダイヤさんも俺の方を見直して首を傾げる。

 ちなみに俺はというとまだ戦闘員と戦っている。しかも戦闘員の攻撃が強くなってるんだけど。

「一、二、三、四……おかしいですわ。最初に点呼を取った時より人数が増えています……」

『え』

 動きを止めてよく見てみると、確かに数が増えてる……っていうかなんか違うのも混ざってる!?

 ショッカー以外にデストロン戦闘員、ワームやドーパントなどその他もろもろ……。

「あれは続編に登場予定だった戦闘員!?どうして……!?」

「ダイヤさん!?この映画単発だよね!?」

 戦闘員を倒しながらダイヤさんにツッコミをいれる。

 続編て……。

「てかコイツらヤミーだ!しかも流れからして親はダイヤさんじゃないかー!」

 倒した敵がセルメダルへとなっていく。

「この数はメズール?いや……」

「ちょっと!離しなさいよ!」

 善子ちゃんの叫び声。彼女が登場するはずだった位置に善子ちゃんを掴んだイカジャガーヤミーがいた。

「カザリの仕業かぁ」

「テメェ!俺の善子に何しやがる!」

「誰があなたのよ!それに善子じゃなくてヨハネ!」

 バースに変身した慎司がイカジャガーに突撃していく。

「うおおおお!」

「ふん!」

「「え?」」

 イカジャガーヤミーは善子ちゃんをバースに投げつける。すかさずキャッチすると、

「ハァッ!」

「は!?くそ!」

 善子ちゃんとバース目掛けて攻撃を放ってきた。身を呈して彼女を庇い、バースはダメージを受けてしまった。

「くぅ……イッテェ……!」

「だ、大丈夫……?」

「あ、ああ……。これくらい大したことない」

 立ち上がろうとするバースと寄り添う善子ちゃんにイカジャガーヤミーはジリジリと近づいていく。

「アンク!クジャクちょうだい!」

「ちっ……絶対無くすなよ!!」

 舌打ちをしながらも出してくれたクジャクメダルをスキャンし亜種形態に変身、火炎弾をイカジャガーヤミーに撃ち込む。

「仮面ライダーは……倒すっ!」

「上等!やれるもんならやってみな!」

 上手く注意を逸らしてヤミーを引き付けた。

「ふんっ!」

「いっつ〜〜……!なんて重い一撃だ……。グリードほどじゃないにしてもこのままじゃダメだ!」

 アンクに三枚目のメダルを要求しようとする直前、

「困っているようじゃのう」

「え!?果南ちゃん!?その口調はまさか……」

「気づいたようじゃの。それよりこれを使え。一度限りの限定品じゃ」

「なるほどね、おっと」

 メダルを受け取ると果南ちゃんは崩れるように倒れ込み、俺はそれを受け止める。体を一時的に乗っ取られたせいか気を失ったみたいだ。

 果南ちゃんを守るように前に立って再びメダルを入れ替えてスキャン。

 

「タカ!イマジン!ショッカー!
ターマーシー!タマシー!ターマーシー!
ライダー……魂ッ!!」

 おなじみのタカヘッドに、両肩にオレノツノを装備したイマジンアーム、ショッカーレッグからなる形態、オーズタマシーコンボ。

 

「うおらぁっ!」

 イカジャガーヤミーを思い切りぶん殴って戦闘員たちのところに吹き飛ばす。

「見ろ!これが俺のライダー魂!」

「スキャニングチャージ!!」

 ショッカーとイマジンの力を融合させて放つ一撃、魂ボンバーで戦闘員ヤミーともどもイカジャガーヤミーを吹き飛ばした。

 ヤミーたちは爆散し、アンクは大量のセルメダルを回収、変身を解いたあとイマジンとショッカーのコアメダルは消滅した。

 

 ***

 

 全ての撮影を終えて試写会が開かれた。

 参加者はAqoursをはじめとし、撮影に協力してくれた人たち。

 今しがたスタッフロールが流れ終わりこれでジ・エンドかと思った刹那、俺を含む約二名が凍りついた。

 エンディングが流れるバックで、本編では出なかったキスシーンがここで出てしまった……。

 その後二人はバイクに乗って行ってしまい、フェードアウトしていき、〜THE END〜……。

 拍手喝采。もとより映画に興味のなかったアンクととてつもない羞恥を受けた二名を除いて。

「ダイヤさん?」

「マジでこれ流すの?」

「当たり前ですわ!とても素晴らしい作品になったじゃないですか」

 にこっと笑うダイヤさん。

「いや、あの……地域交流会って年配の方や子供たちも来るんだよね?それにしてはその……か、過激なシーン多くなかった?」

 詰め寄る俺と果南ちゃんにダイヤさんは、

「……は!」

「「は!じゃなーーい!!」」

「それではこれは文化祭用ということでまた編集し直して……」

「「ダァァァイィィィヤァァァ!!」」

 とても軽い身のこなしで逃げていくダイヤさんを追いかける二人。

 結局この後ダイヤさんを捕まえて、目の前で編集と元データの削除をさせた……はずだったが、実はバックアップが残っていて、ディレクターズカット版としてマジで文化祭で放映、逃げたダイヤさんを追いかけて捕まえ、キツいお説教を食らわせたのはまた別のお話。




作者)UA1,000突破記念なのにこれが投稿される頃には2,000を超えてるなんて……
耀太)ここまで見てくれた皆様、本当にありがとうございます。
作者)そしてこれからもどうぞよろしくお願いします!
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