ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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前回のラブライブ!サンシャイン!!〜Step! ZERO to OOO〜
雨が降った日の練習の帰りに善子と慎司は迷子になった犬を見つけ、二人の家では預かれないことから、梨子に預けることに。
犬が苦手な梨子だったが、迷い犬を「ノクターン」と名付け、次第に離れ難い存在になっていく。
本当の飼い主が見つかり、迷い犬「あんこ」を元の家に帰すが、善子と梨子は喪失感に襲われる。
善子はあんことの出会いを運命と称し、梨子もそれを肯定。今までの、そしてこれからの出会いを運命なのだと受け止めた梨子は、また一歩、前に進むのだった。

カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×2
クジャク×1
コンドル×1
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×1
チーター×1
サイ×1
ゴリラ×2
ゾウ×1
シャチ×1
ウナギ×1
タコ×1
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2


地区予選と挑戦と起こす奇跡

「ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー、フォー。うん、オッケー!じゃあ一旦休憩して、その後で各個人での練習だね」

 「休憩」という言葉が出ると、全員が「ふう……」と息をつく。

 今日もいつもと変わりなく、Aqoursは練習に励んでいる。来るべき地区大会にむけて。

 前回の大会では、残念ながら突破することは叶わなかった。今回はそのリベンジなのだ。

 それに必要なのは、千歌ちゃんたちの技術、それから情報も重要になってくる。

 もちろんそれは俺たちマネージャーの役目だ。

 こうした練習の休憩の合間にも、スマホを使って調べる。

「何見てるのー?」

「今度の地区大会について何か情報がないか探してるんだ。うん?『全国大会進出 有力グループ』……」

 気になったので記事の見出しをタップし、ページを開く。

「凄い!たくさん名前が載ってるね!」

「うん、解説の方も結構細かく書いてあるみたいだしね」

 指でスクロールしていくと、数多のグループ名の中にはあの“Saint Snow”の名前も。

「『前回の大会では地区大会をトップで通過し、決勝大会においても八位入賞を果たした。姉の鹿角聖良は三年生、今大会が最後のラブライブで、その活躍を期待されている。』……か。やっぱり凄いな……」

 Saint Snow(彼女たち)のライブは、以前Aqoursが参加したライブイベント、「スクールアイドルワールド」で一度見ている。

 二人のパフォーマンスは、俺や慎司(しろうと)ですらその“世界”に惹き込んでしまう程のものだった。

 もちろん今のAqoursは、あの時よりずっとレベルアップしている。無論、それは他のグループも同じだろうけれど、それでも乗り越えていけると信じている。

「あ、ねえ耀太くん!Aqoursの名前もあるよ!」

「えっと、『前回は地区大会で涙を飲んだ彼女たちだが、今回の予備予選では、全国大会出場グループにも引けを取らない見事なパフォーマンスを見せた。今後の成長にも期待したい 。』だって」

「期待か……」

 千歌ちゃんは何か思いつめたようにその言葉を呟く。

 同時に表情も険しくなる。

「ふふふ……この堕天使ヨハネの力があれば、地区大会を突破するなど造作もないことなのです!」

 そんな千歌ちゃんとは真逆で、厨二ぶったセリフとポーズをキメる善子ちゃん。何故か梨子ちゃんまでも善子ちゃんと同じことを繰り返す。

「……梨子ちゃん?」

「……は!?こ、これはその……違うの!」

「流石はこのヨハネと契約を結んだリトルデーモン、リリーね!」

「ぶ、無礼な!わたしはそのような契約を結んでなど……」

 反論の仕方も、既に善子ちゃん風(つまり厨二チック)になってしまっている。

 花丸ちゃん曰く、「これが堕天ずら」らしい。

「……でも本当にそんなに簡単なんでしょうか?以前は地区予選で……その、敗退してしまったんですよね?」

 晴也の指摘で空気が少し重くなる。

 失敗した、負けたという事実が少なからずみんなの心に引っかかっているからだ。

「晴也さんの言う通り、簡単な話ではありませんわ」

「ええ。会場には出場グループの学校の生徒も応援に来ているわ」

「ネット投票もあるとは言え、生徒数が多い方が有利……」

「そして生徒数で言えば浦の星が一番不利ですわ」

 鞠莉ちゃん、ルビィちゃん、そしてダイヤちゃんが晴也の発言に肯定と補足を加える。

 人数というどうにもならない壁がAqoursの前に立ち塞がるのだった。

 

 ***

 

 翌日の練習中のこと。

「「Aqoursらしさ?」」

「うん、わたしたちだけの道を歩くってどういうことだろう、わたしたちだけの輝きって何だろうって」

 昨晩、聖良さんに言われたのだ。

 ラブライブの人気を形作った先駆者たち(μ’sやA‐RISE) は決して手の届かない光だと。

 だから“AqoursはAqoursで在り続ける”という答えを出した。

 けれど、それはどうすればいいのか。

 どう形にすればいいのか、千歌ちゃんは勿論、答えられなかったように、みんな分からないのだ。

 そんな現状を打開する策を持ちかけたのはダイヤちゃんだった。

「このタイミングで千歌さんがこんな話をするなんて、運命ですわ!あれ、話しますわね」

「でもあれは……」

「それ何の話!?」

「二年前、わたくしたち三人がラブライブ決勝に進む為に作ったフォーメーションがありますの」

 千歌ちゃんは目を輝かせる。

 が、ダイヤちゃんがその話を始めた途端に果南ちゃんの表情が暗くなるのを見逃さない。

「でもそれをやろうとして鞠莉は足を痛めた。それにみんなへの負担も大きいの」

 つまり諸刃の剣である、ということか……。

 それに果南ちゃんの話からすると、三年生(彼女たち)を隔てる原因の一つでもある。

「そこまでしてやる意味が……」

「あるよ?!ラブライブはすぐそこなんだよ?!その為にやれることは全部やりたいんだよ!」

 千歌ちゃんはそう訴える。

 リスクを冒してでもやり遂げたいと。

 なら俺がやることは一つだけだ。

「千歌ちゃんがやりたいなら、やってみてもいいと思う。少なくとも俺は」

「……本気?」

 問いかける果南ちゃんの目もまた、真剣な人のそれだ。

「“本気”だし正気だよ」

 それから果南ちゃんは嘆息して、

「……分かった。だけど千歌、出来ないと思ったらすぐにやめさせるからね」

「うん!」

 そして千歌ちゃんの厳しい特訓が始まった。

 

 ***

 

 今も千歌ちゃんたちは「アレ」の完成の為に頑張っている。

 出来れば俺は側で見ていてあげたかったけど、奴らはそうはさせてくれないようだった。

「今千歌ちゃんたちは大事な時期なんでね。出来ればお引き取り願いたいな」

「久しぶりなのにつれないわね、オーズの坊や」

 メズールとガメル。現在ポセイドンと行動を共にしているグリードだ。

 メズールは「そうね……」と間を置いて答える。

「コアメダルを返してくれたら考えてもいいわ」

「お前達味方になってくれるって言うならくれてやってもいいんだけど?」

「わたしたちが?あなたの?本当におかしなことを言うのね」

 メズールは甲高い笑い声をあげる。

「交渉決裂ですかね」

「みたいだな」

 俺と晴也は同時にドライバーを取り出して腰に装着する。

「アイツら相手ならこれを使え」すす

「オーケー」

 アンクから一枚受け取り、残り二箇所のメダルを手持ちから取り出す。

「変…「変身!」…身!」

「ライオン!トラ!バッタ!」

 亜種形態ラトラバとアクアにそれぞれ変身し、ガメルとメズールもグリードの姿に。

 俺はガメルに、晴也はメズールに先制攻撃を仕掛けた。

 拳での攻撃を腕をクロスして防ぎ、開いて弾き飛ばす。

「はあぁぁぁぁっ!!」

「う!?眩しい……」

 ライオネルフラッシャーを放射、ガメルの視力を奪い、よろめくガメルの腹部に徒手で連打を叩き込む。

 アクアもまたメズールの蹴撃に蹴撃で受け止め、続く一撃をしゃがんで回避し、ワンツーパンチ。

「へぇ、あなたもなかなか強いのね」

「それは……!どうも……!」

 メズールはアクア(はるや)を称賛しながらその攻撃を受け止める。

 ガメルを怯ませた俺は向きを変え、バッタレッグの力で跳び、メズールにパンチヒットさせる。

「すいません、耀太さん……!」

「気にすんな。それより今度はガメルを頼む!」

「了解です!」

 アクアと背中を合わせ、相手をチェンジ。メズールと対峙する。

「あら、今度はオーズの坊やが相手なのね。いいわ、まずはあなたのメダルから!」

「やれるもんならやってみろ!」

 再びライオネルフラッシャーを発動。ラトラーター程ではないが、発生した熱はメズールに確実にダメージを与える……はずだった。

「……ふふふ」

 ノーダメージ。それどころか。

「はっ!」

「っ!?」

 一瞬何が起こったのか分からなかったが、全身を襲った熱が全てを理解させた。

「まさかメズールのヤツ……カザリのメダルを取り込んだのか!?」

 アンクが苦虫を噛み潰したような顔をして言う。

「そうよ。最初は変な感じがしたけれど、慣れるといいものね」

 自慢げに笑みを浮かべるメズールを見て、背筋に悪寒が走る。それとほぼ同じタイミングで晴也の悲鳴が響いた。

「晴也!?」

 アクアのボディから煙が上がり、倒れる。

「ビリビリ、おもしろいー!」

 そのセリフから察するに晴也に浴びせた攻撃は電撃。つまり……。

「ちっ……ガメルもか!」

 舌打ちに貧乏ゆすり。アンクの苛立ちも目に見え、いよいよもって状況がヤバい。

 グリードたちが姿を現さなかったのは、他属性のメダルを慣れさせる為と考えると、奴らは既にその力を我が物にしていると思っていい。

 サゴーゾ、タジャドル、シャウタ。いずれかのコンボでこの戦況を打破するのは難しい……。

「……これしか無いよな」

 体が言うことをきいてくれるうちに立ち上がる。

「まだ諦めないのね。でも無理よ。そっちの坊やはボロボロ。対してこちらはわたしとガメルで二人。あなたたちが勝てる可能性はゼロよ」

 変身は解けていないものの、地面に這いつくばる晴也。力が完全でない為に戦うことが出来ないアンク。そしてすぐそこには必死に頑張っている千歌ちゃんたち。

 眼前にはメズールが、後方にはガメルが迫っている。

 やるしかない……!

 強く念じると、胸からメダルが三枚飛び出したのでそれを左手でキャッチする。

「っ!よせ、ヨータ!また暴走するぞ!」

「でも今はこれしかない!じゃなきゃ、ここで三人仲良くお陀仏だ!」

 ライオン、トラ、バッタのコアが弾き出され、同時にバックルに収まる。

 身体の中で今にも暴れ出しそうになるナニカを抑えてスキャナーに手を伸ばす。

「プテラ!トリケラ!ティラノ!プットッティラーノザウルース!!」

 緑の複眼にプテラノドンのような翼竜の翼を持つプテラヘッド。

 トリケラトプスを彷彿とさせる、伸縮自在の角が方に装備されたトリケラアーム。

 ヤミーをも粉砕する強靭な尾が特徴的なティラノレッグ。

 タトバコンボやタジャドルコンボ同様に縁取られたオーラングサークル。

 絶滅した三種の生物で構成される「プトティラコンボ」に変身した。

「うっ……ウオオオオオッ!!」

 変身の完了と同時に意識がナニカに覆い尽くされる感覚に襲われる。

 やがて俺の意識は闇に飲まれていった……。

 

 ***

 

「ちっ……」

 戦いが始まって二度目の舌打ち。

 どうしようもない苛立ちを覚えるアンクの目に映るのは、二体のグリードとオーズ(耀太)

 二対一という一見すれば不利と思える状況で、優位に立っているのはオーズだ。

 得物である斧──メダガブリューを力任せに振り回す。

 その一撃は、刃を向けられているメズールとガメルは勿論、見ているだけのアンクや晴也にまで恐怖に近い感情を与えている。

 食らえば一撃で屠られる、そう感じているのだ。

「メズール、あのオーズ、怖い……」

「ええ、ここは一旦退いてポセイドンの坊やに事情を聞いた方が良さそうね……」

「分かった〜」

 紫のメダル、そして紫のオーズのことを自分たちに黙っていたことを問い詰める。メズールはそうすることを決め、ガメルとともにこの場から消え失せた。

「ウゥゥゥ……」

 オーズは唸りながら体を翻す。

 その目が捉えたのは満身創痍の晴也だ。

「くっ……」

 晴也は全身の痛みに耐えながら立ち上がり構える。

 今の暴走したオーズの攻撃を受ければタダでは済まない。けれど、ここで引くわけにはいかないのだ。

 助走付きの振り下ろし攻撃を、右斜めへの前転で避けてストレートを食らわせる。

 反撃を受けたオーズは怯み、メダガブリューは地面に突き刺さったまま手放される。

「今出せるだけの力に全てを賭ける!」

 水をベルトに吸収し、さらに変換されたエネルギーを右拳に集中させる。

「マリンブレイザーッ!!!」

 オーズのボディに拳での一撃を叩き込む。さらに拳が撃ち込まれた箇所の逆側から、まるで貫いたかのように高水圧の水が噴き出た。

 晴也はその場で膝をついて、崩れるように倒れ、オーズも後方へ吹き飛んで倒れる。

「っ!」

 アンクは咄嗟に右腕を身体から切り離し、オーズの腰に装着されているドライバーのバックルを元に戻す。

「はあ…!はあはあ……!アンク……俺また暴走したのか……」

「バカが!佐藤がいなかったら今頃チカたち(アイツら)を襲ってたかもしれないんだぞ!?」

「そうか……二人ともごめん」

 耀太はゆっくりと立ち上がって、アンクと満身創痍の晴也に謝罪と、

「……それからありがとうな」

 心の底からの礼を述べた。

 

 ***

 

 千歌ちゃんたちが例の特訓を始めてから二週間。遂にこの時がやって来た。

「緊張するなぁ……」

「はっ、踊るのはお前じゃないだろ」

「うるさいよ!俺はマネージャーとしてみんなが心配なの!」

「それならお前のバカでかい声でアイツらのリズムが崩れないかのが心配だなぁ?」

「あん?!」

 相変わらずのアンクと慎司のこのやり取り。

 火花を散らす二人だが、おかげでみんなはほとんど緊張していないようだ。

「ライブの前とは思えないくらい鞠莉たちリラックスしてるね」

「そうですね。でも今のみなさんなら大丈夫のような気がします」

 初めてサポート役として参加したカザリも晴也も不安の一欠片も見せない。

 きっと信じているんだ。千歌ちゃんたち、みんなを。

「それじゃあ耀太くん、いってくるね!」

「うん、頑張れ、みんな!」

「うん!!」

 

 Aqoursは新曲「MIRACLE WAVE」で、ドルフィンでのウェーブ、千歌ちゃんのロンダート・バク転のパフォーマンスを成功させた。

 会場すべてを味方にした、そう言っても過言でない程のこと──奇跡を起こしたのだった──。

 

 




ロリ神)まさかガメルとメズールまで進化してるとはな……。
耀太)予想してなかったわけじゃないけど、実際戦ってみるとヤバかったな。
晴也)だけど俺たちは負けるわけにはいかないですからね。
耀太)ああ!必ずメダルを全部集めて、浦の星も守る!
ロリ神)次回ラブライブ!サンシャイン!!〜Step! ZERO to OOO〜「希望と廃校と守るべきもの」
千歌)そんな……わたしたちは守れなかったの……?
晴也)やらせない!千歌さんたちの夢は絶対に壊させやしない!

カウント・ザ・メダルズ
タカ×2
クジャク×1
コンドル×1
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×1
チーター×1
サイ×1
ゴリラ×2
ゾウ×1
シャチ×1
ウナギ×1
タコ×1
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2
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