ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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こちらは改訂版になります。

前回までのラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO〜
ラブライブ!の北海道地区予選に招待されたAqours。
Saint Snowの聖良とAqoursの千歌は、お互いをライバルとして認め合い、決勝出会うことを約束した。
しかし、Saint Snowはまさかの予選敗退。
これを受け、理亞はスクールアイドルを辞めると言い出したが、ルビィと共に姉たちにクリスマスプレゼントとしてライブをすることを決意。
ライブは大成功を収めるのだった。

カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×2
クジャク×1
コンドル×0
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2


入れ替わりと果南のココロと耀太の秘密

 とある休日。いつも通りに一日が始まり、終わっていくのだと俺は思っていた。

 が、その日常はたった一つの事件により、現実離れした非日常となってしまったのだった。

 

 ……仮面ライダーとして怪人と戦ったり、体の中にメダルが入っていることが既に非現実的だろ、なんてツッコミ話の方向でお願いします。

 

 

 アンク用のアイスがまたも無くなり、補充の為に向かったスーパーの帰り道。

「ふう……なあ、アンク、とりあえず今日はこんなもんで良いだろ?」

 両手をふさぐビニール袋には、アイス、アイス、アイス。詰め込まれたアイスの箱に、保冷用のドライアイスとアイスづくめだ。

 肝心のアンクは、買ったばかりのアイスキャンディーをもう食べ始めていて聞く耳を持たない。

 俺の財布は轟沈寸前、そのうえ俺は荷物持ちときた。この境遇に深い溜息を吐いていると、見覚えのある人影が目に入った。

「あ、耀太にアンクさん、おはよう」

「おはよう、果南ちゃん。もしかしておつかい?」

「うん。そう言う二人は……聞くまでも無かったね」

 俺の持ったビニール袋を見て、果南ちゃんは苦笑する。これだけ大量のアイスを見れば、当然の反応だろう。

「耀太も大変だね」

「本当だよ……。どれだけ買ってもすぐ食っちゃうし、買う量が量だからお金も無くなってく……」

「本当、大変だね……」

 彼女から感じられる同情の念。恥ずかしさやら悲しさやら、府の感情が俺の中で大渋滞を起こしていた。

「おい、ヨータ!早くしないとアイスが溶ける!」

「分かってるよ!ったく……そんなに早く帰りたいなら自分で持てばいいのに……。会ったばかりなのにごめん、果南ちゃん」

「大丈夫だよ。じゃあ、また明日学校で」

「うん、それじゃあ」

 果南ちゃんと別れを告げ、「早く帰るぞ」と急かすアンクのもとへ走ろうとしたその時だった。

「……ヤミーだ!」

「しかもかなり近い!」

 俺たちはヤミーの気配を察知。正確な位置は分からないが、間違いなく近くにいる……!

「ヨータ、カナン!後ろだ!」

 振り向くと、青い影が猛スピードでこちらに向かって来ていた。

「果南ちゃん、ごめん!」

「え?えええ!?」

 俺は咄嗟に果南ちゃんを引き寄せ、ヤミーの攻撃から彼女を守る。

 間一髪で回避するも、ヤミーは空中で旋回して再びこちらに突撃しようとしていた。

「ヨータ!コイツでいけ!」

 バックルを腰に当ててベルトを装着、次いでアンクから渡されたメダル三枚を装填、スキャンして変身した。

「変身!」

「サイ!ウナギ!バッタ!」

 こちらに突貫してくるヤミーに対し、サイヘッドを突き出す構えをとる。更にバッタレッグに力を込め、ヤミーにずつきを喰らわせた。

 失速したヤミーをウナギウィップで拘束し、地上に叩きつける。

 そして明らかになったヤミーの正体、それはアンクの属性のヤミー、オウムヤミーだった。

「あれ……もしかしてアンクさんの……?」

「アレは俺のヤミーだが……俺のじゃない」

「アンクさんだけど、アンクさんじゃない……?」

 今のアンクにヤミーを作る力は無い。このヤミーを作ったグリードは、以前俺たちの前に姿を現したアンク(ロスト)だろう。

 

 また飛び立とうとするオウムヤミーだったが、ウナギウィップで打って阻止する。

「ヨータ!コアをコイツに変えろ!」

 アンクから再びメダルを受け取り、サイメダルと入れ替える。

「シャチ!ウナギ!バッタ」

 サイヘッドはシャチヘッドに変化し、サウバからシャウバへと亜種チェンジした。

 シャチヘッドから放水し、オウムヤミーに浴びせる。そして、水で濡れたヤミーをウナギウィップで再び捕え、電撃を浴びせた。

「はあああ……セイヤーッ!!……っ!?」

 トドメを刺す為にキックを繰り出すが、どこからか飛ばされてきた氷柱に阻まれてしまった。

 キックが不発に終わり、着地した直後にまた氷柱が飛んできた。

 避けられないと読んだ俺は、腕をクロスさせて防御の構えをとる。

「また見たこと無いヤミーか……」

 出現したのは、プテラヤミーと同じ紫色のヤミー、アンキロサウスヤミーだった。

 冷気と氷の粉塵で曇っていた視界が晴れると、アンキロサウルスヤミーは眼前まで迫ってきていた。右腕のハンマーで殴られた俺は、後ろに吹き飛ばされる。

 

 不味い……。鳥系に加えて恐竜のヤミーが出てくるなんて……。

 果南ちゃんには見せたくないけど……ここはやるしかない!

 

 俺は、力を出来るだけ抑えて紫のメダルを出現させる。

「よせ、ヨータ!コンボならこっちにしとけ!」

 それを使って、プトティラコンボに変身しようとすると、アンクが投げたメダルによって紫のメダルが弾かれた。紫のメダルは体の中に戻ったが、代わりにアンクに投げ渡されたメダルを使ったサゴーゾコンボに変身することにした。

「サイ!ゴリラ!ゾウ!サゴーゾ!サゴーゾ!!」

 ハンマーを振り回しながら迫って来たアンキロサウルスヤミーにゴリバゴーンで反撃し、突撃してきたオウムヤミーをドラミングによる重力操作で地面に叩きつけた。

「ヨータ。、あまり長引かせるな。何か妙な感じがする」

「了解……って言いたいけど、二対一はちときつい……」

 不意打ちのダメージとコンボを使った反動で、思ったよりも体力が限界に近づいていた。

 必殺技も撃ててあと一発。強力な敵を二体も相手にして、一撃で決めるのは流石に無理だ。

「吹き飛べ……」

 アンキロサウルスヤミーとオウムヤミーは氷と炎による合体攻撃を繰り出す。

 アレをまともに受ければ、一撃で倒されてしまうだろう。だが、避ければ甚大な被害が出るのは安易に予想がつく。俺は受けざるを得なかった。

 ドラミングで再び重力を操作し、攻撃の威力を減少させる為に抵抗した。

「ぐ……うわあああッ!!」

 威力を落とすことには成功したものの、やはり変身を保つことは出来なかった。

「チッ……」

 二体のヤミーは、変身が解けた俺に次の攻撃を仕掛ける為に近寄ってきたが、アンクの火炎弾によって阻まれる。

 だが、危機的状況なのに変わりはない。

「ずっと、一緒に、いたい……」

 不可解な言葉を呟きながら、オウムヤミーは二枚の蒼い羽根を飛ばしてきた。羽根は俺と果南ちゃんの腕に張り付き、その瞬間、妙な感覚に襲われる。

 それとほぼ同時に、ヤミーたちの歩みは銃撃によって止められた。

「すいません、先輩方!ちょいと用事があって遅れました!

 バースバスターを構えながら走って来たバースとアクア。二人はヤミーと戦いを始めようとしたが、ヤミーたちは俺たちの目をくらまし、逃げ去ってしまった。

 

 ひとまずは窮地を脱した。慎司と晴也は変身を解除し、こちらに歩み寄って来た。

「大丈夫ですか?耀太さん、果南さん」

「ああ、助かったよ。ありがとな、慎司、晴也」

「「え?」」

 二人に礼をすると、おかしな顔をする。

 いや、二人だけじゃない。俺も目を点にして固まっていた。

 ……え。

「な、なんで俺が俺の前に!?」

「また面倒臭いことになったな……」

 先程まで苛立っていたアンクが、呆れて溜め息を吐く。

 

 恐る恐る体を見てみる。

 いつもより細くなった腕。身に着けている服は果南ちゃんが着ていたもので、おまけに胸部は盛り上がっていて、いつもより重みを感じる。

「「俺(わたし)たち……体が入れ替わってるぅぅぅ!!?」

 一難去ってまた一難。

 俺たちの声は、沼津の青空に響き渡ったのだった。

 

 

 

「「体が入れ替わったぁぁぁぁ!?」」

 あの戦いの場にいたわたしたち以外の全員が驚愕の声をあげる。

「それじゃあ、今は果南のボディの中には耀太が、耀太のボディの中には果南がインしちゃってるってこと?」

「うん、実はヤミーと戦っている時に付けられた羽根が原因みたい……」

 わたしたちが置かれている状態を説明すると、耀太は肩をすくめて溜め息を吐いた。

「どうにかして元に戻れないの?」

「ヨータとカナンに付けられた羽根が剥がれない限り、元には戻らない」

「原因であるヤミーを倒さないといけないわけですね……」

「そのヤミーも今は行方をくらましてる。カンドロイドたちが探してるけど、まだ見つかってないな」

 つまりあの鳥のヤミーを倒さない限りはずっとこのまま……。

 スクールアイドル活動だけでなく、日常生活にも支障をきたしてしまうのは、火を見るより明らかだ。

「これからどうしようか……」

「そんなの一つしかありませんわ」

 打つ手無し……そんな言葉が頭に浮かんだ直後、ダイヤは腕を組んで立ち上がった。

「手分けして原因たるヤミーを探す。それ以外考えられません」

「ダイヤ……」

「善子さんと慎司さんは、ネット上に書き込みがないかを。わたくしたちは手分けして聞き込みですわ」

「任せなさい。わたしとリトルデーモンたちの力があれば、その程度造作もないわ!」

「先輩方の為ならたとえ火の中水の中!カンドロイドたちとも連携して、必ずヤミーを見つけてやりますよ!」

 ダイヤの折れない心と熱は、善子ちゃんと慎司くんをはじめとして、みんなにも伝わっていった。

 

 かくして、ヤミー捜索隊が結成され、わたしたちを元に戻す為の活動が始まった。

 

 ***

 

 流石に一日ではヤミーは見つからず、後はカンドロイドたちに任せて、解散した。

 今日はこのまま帰るのはあまり良くないと言うことなので、わたしは十千万に泊まることになった。

 夕食の時は。

 

「「頂きまーす!」」

「それにしても久しぶりね。果南ちゃんがうちに泊まるなんて」

「た、たまには小さかった頃みたいに千歌ち……千歌と一緒に寝るのもいいかなぁって」

 わたし耀太が質問やら何やらを、上手いこと交わし続けていた。

 もちろん身体が入れ替わっていることは言っていない。

「あれ?少し味が薄いような……」

「そう?いつもと同じくらいにしたつもりなんだけど……」

「あ、いえ!やっぱり気のせいかも!」

「そう?」

 うーん……どうしちゃったんだろう。

 体が違うと、感じ方も違うのかな……?

 

 ということがあったり。

 お風呂の時は。

 

「……どうすればいいの?」

「……目隠しして千歌にやってもらうとか」

「……まじか」

「わたしはどうすればいいの……?」

「……タオルを腰に巻いて見えないように……」

 

 なんてことがあって、お風呂に入る前から出るまでは、今日一日の中でも、かなり大変な時間だった。

 そして……。

「じゃ、じゃあ俺は千歌ちゃんの部屋に行くから……あ、変なことはしないから!絶対!絶対にね!」

「ふふ、分かってるよ。耀太がそんなことする人じゃないことくらい」

「そ、そうなんだ……」

 事情が事情とはいえ、耀太を千歌の部屋まで見送るのは、少し胸が痛む。

 体は──見かけは確かにわたしだけれど、そこにいるのは確かに耀太。

 非常事態とはいえ、他の子(千歌)と耀太が二人きりなのは少し……ううん、かなり羨ましいし、妬ましく思えてしまう。

 そんな自分の頬を強く叩く。

「ダメダメ!こんなこと考えちゃ!」

 そう、考えちゃいけない。

 今はラブライブが──Aqoursが最優先。

 それまでこの気持ちは……。

 わたしは、自分にそう言い聞かせて耀太の部屋へ。

「よう」

 わたしを迎え入れたのは、赤い布団の上に寝転びながら、アイスを食べながらタブレット端末を操作するアンクさんだった。

「そう言えば、アンクさんも耀太と同じ部屋だったんだね」

「ああ。おかげで朝はうるさいがな」

 うるさいというのは、きっと目覚ましのアラームや彼を起こす耀太自身のことだろう。

 わたしは、耀太が使っている布団の上に座り込む。

「おい」

 タブレットの画面をスクロールさせながら、アンクさんが、突然わたしに話しかけてきた。

「何?」

「お前、ヨータのこと好きなんだろ?」

 ……え?

 唐突過ぎる質問に脳の処理が追いつかない。

「え、えっと、それは………」

 やっと出た言葉もどこかたどたどしくなる。

「それはそう……だけど……どうして……」

「見てれば分かる。他のやつも気付いてるだろうしな」

「うぅ……」

 顔が熱さを帯びる。

 何これ?からかわれてるの!?

「今日一日、ヨータの体でいる時に何か違和感を感じたな?」

「え?えっと……これと言って変なことは……ご飯の味が少し薄かった気がしたくらいだけど……っ!?」

 そう言い切ったところで、二度目の異変が訪れた。

 一瞬、ほんの一瞬だけ、目に映った世界から色が消えた。

「……これなに……どういうこと?」

「ハナマルとデートに行ったとかいうあの日、その体にコアメダルが入り込んだ」

「あの紫色の……?」

「ああ。しかもそれはかなり危険な物でな、初めてそのコアで変身した時、あの氷のヤミーが出た時に暴走した」

 暴走した……。

 耀太が晴也くんや慎司くんを攻撃してしていたあの戦いは、まだ記憶に新しい。

「暴走を引き起こすだけじゃない。そのコアはヨータの体を少しずつ変えていっている。俺たちと同じ、グリードの体にな」

「そんな……」

 初めて知らされた、突きつけられた現実はわたしに大きな衝撃を与えた。

 耀太がグリードに……?

 そんな危険な力を使って戦っていたの?

「本当は誰にも話すなと止められていたんだがな」

「どうしてわたしに教えてくれたの……?」

 おおよそ一息分の間まを開けて、アンクさんは再び口を開く。

「アイツは今も……体を蝕むコアメダルと戦っている。それは自分自身との戦いでもある。体力と精神力、その両方をアイツは多く削ってしまっている。アイツには支えが必要だ、お前みたいな奴のな」

「わたしみたいな……?」

 アンクさんが言った言葉の意味。

 きっとそれは……。

 

 ***

 

 真夜中。

 どうしても寝付けなかったわたしは、外で風に当たることにした。

「さむ……」

 上に一枚羽織っているとはいえ、冬の夜はやっぱり寒い。

「ん?」

 暗くてここからで良く見えないが、確かに誰かがいた。

「誰だろう……」

 気になったわたしは、その人に少しずつ近づいていった。

 そして残り五、六、という所で。

「誰?」

 その人は振り向いた。

 聞こえてきたのはわたしの声。

 つまりそこにいるのは。

「その声……耀太」

「果南ちゃんか。果南ちゃんも眠れなかったの?」

「うん。ちょっとね……」

 アンクさんから聞いたあのこと。

 この体にあるコアメダルのことが気になって……そう言いたかったけど、本当は言ってはいけなかったこと。

 だからそれは言わなかった。

「ねぇ、耀太」

「何?」

「前にスクールアイドルをやるのにした『約束』、覚えてる?」

「ああ、覚えてるよ。あの時は本当に大変だったな、本当に──」

 ポセイドンというライダーに騙されて利用され、耀太を傷付けた。

 後もう少しで命すらも奪ってしまうところだった。

 なのに……。

 

『自分もいなくなる、なんてバカなこと言ってるヤツはぶっ飛ばしてでも止めるんだよ!誰も……!誰も望んでなんかない!何より俺が望まない!』

 

 そう言って、闇の中からわたしを救い出してくれた。

 みんなのことを繋ぐんだって。

 その時からわたしはこの人のことを……。

 

 わたしは耀太の手を握った。

「か、果南ちゃん!?」

「し。静かに。もう遅いんだから」

「ど、どうしたの、いきなり……」

「耀太の手はわたしが握る。わたしが耀太と繋がる。耀太が苦しい時、辛い時でもずっと側にいるよ──」

「──ありがとう」

 一方的に握っていた手が、握り返された。

 耀太がわたしのことを受け入れてくれたんだと思うと、嬉しさが静かに、けれど確かにこみ上げてきた。

 

 ***

 

 翌朝、ヤミーが見つかったと慎司と晴也が十千万に駆け込んできた。

 現場には慎司と晴也、アンクと俺と果南ちゃんの五人で赴いた。

 本当は四人だけで来るはずだったのだが、アンクと果南ちゃんにどうしてもと頼まれ、危なくなる前に逃げることを条件に同行を許すことにした。

 二体のヤミーが現れたのは沼津の町中。オウムヤミーは羽根をばらまき、アンキロサウルスヤミーは建造物を破壊するなど、暴虐の限りを尽くしていた。

 更には無数の屑ヤミーまでもが出現していて、町は恐怖と混乱に陥っていた。

「これ以上、好き勝手暴れさせるか!」

 慎司、晴也とともに変身しようとしたが、ベルトが出現しなかった。

「やっぱこうなったか……」

「やっぱって……」

「今のお前の体はカナンのものだ。ドライバー(ソイツ)がその体をお前自身だと認識出来ていないから変身出来ないんだ」

「そんな……」

「ヤミーは俺たちが倒します。耀太さんは果南さんを守ってあげて下さい」

 俺はアクアの言葉に頷き、彼女を守る為に群がる屑ヤミーを蹴散らした。

 だが、一体一体倒しているだけではキリがない。

 どうにかして一気に倒さなければ……けど、どうすれば良い?

「こうなったら賭けだ!カナン、オーズに変身しろ!」

「え、ええ!?わたしが!?」

「おい、アンク!一体何を考えて……いや、そうか!」

「ちょ、耀太までどうしちゃったの!?」

「オーズならヤミーの力を無効に出来るかもしれないんだ!」

 あまりにも突然過ぎるアンクの提案に、果南ちゃんは慌ててしまう。

 しかし、何とか彼女を落ち着かせて変身させることに成功した。

「えっと……こ、こうすれば良いの?」

「タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!!」

 エフェクトとともに姿を変えていく果南ちゃん。

 そして、体が入れ替わった時と同様の感覚が、再び俺を襲った。

 妙な気配を感じた直後、閉じてしまった目をそっと開けると、俺の体はオーズへと変身していた──つまり元に戻ったのだ。

「作戦は成功だな。さてと、今度こそヤミーを倒す!」

「その前に屑を掃除しとけ」

「クワガタ!トラ!バッタ!」

 アンクから受け取ったメダルで、タトバからガタトラバにフォームチェンジ。クワガタヘッドの電撃で屑ヤミーを掃討した。

 それから再度タトバコンボに戻り、メダジャリバーを構えてアクアとバースに加勢した。

「セイ!ハアアア!!」

「耀太先輩!元に戻れたんですね!」

「なんとかな。果南ちゃんに変身してもらって、ヤミーの力を解いてもらったんだ」

「……その理屈が通るのであれば、初めから変身してもらえば良かったんじゃ……」

「……あ」

 オーズの力を完全に失念していたが故に起きた悲劇である。

 ……いや、俺が忘れてたとしても、アンクは何となく気付いてたんじゃないか!?実際、提案してきたのはアンクだし。

「っと……細かいことは後でだな」

「そうした方が良さそうですね」

 炎と氷柱を飛びしてくるヤミーたち。俺たちはそれを躱しながら、距離を詰める。

 俺たちはそれぞれの間合いから反撃を開始する。

 俺はオウムヤミー、アクアはアンキロサウルスヤミーと戦うことで二体のヤミーを分断し、バースはバースバスターでの援護射撃にまわる。

 いつもなら相性の問題で不利に立たされてしまう。けど、今は仲間たちが隣にいる。

 

 そして何より──後ろには果南ちゃんがいるんだ!

 負けられるわけがない!

 

「クレーンアーム」

 バースは、追い詰めた二体のヤミーをクレーンアームで拘束する。

「今だ、二人とも!」

「はい!いきますよ、耀太さん!」

「ああ!これで決める!」

 アクアとともに跳び上がり、ヤミー目掛けてダブルライダーキックを放った。

 ヤミーは爆発し、セルメダルに還元された。

 こうして事件は幕を閉じたのだった。

 

 ***

 

 果南先輩と耀太先輩の入れ替わり事件が収まり、いつもの平穏が戻って来た……かのように思えたが、世間は年末年始だと大忙しだ。

 そんな中、本来は忙しいはずが、一日だけ休みをとることが出来た耀太先輩から、俺と佐藤ちゃんの二人が呼び出された。

『二人に相談したいことがある。もし暇なら来てくださいお願いします_|\○_』というメッセージが来たのだ。

「どうしたんでしょうね、耀太さん……」

「ポセイドン関連なら、女神さまも来るだろうしなぁ。まあ、そこまでシリアスな話にはならないだろう」

 と、タカをくくっていた俺とガチで先輩を心配する佐藤ちゃん。

 ただ待つのも暇なので、俺たちはそれぞれお菓子と飲み物を買い、それを食べていると、耀太先輩がやって来た。

「二人とも来てくれてありがとな」

「いえいえ!先輩の頼みとあらば、たとえ火の中海の中!地獄にだって行きますよ!」

 いつものように大袈裟なリアクションを取り、呆れる佐藤ちゃんを横目に、これまたいつものようにツッコまれ……

「本当にありがとうな……」

 ない!?

 どういうことだ……。

 いつもなら「いや、それは流石にキモいわ」とか「マジかお前……それは引くわ」ぐらいの言われようなのに!

「耀太さん……?何かあったんですか?」

 佐藤ちゃんも驚きを隠せてはいなかったが、すぐにそれを引っ込め、先輩に尋ねた。

「ああ……実は──」

 神妙な表情で始まった話は……まあ、俗に言う『恋愛相談』というやつだった。

 話を整理するとこうだ。

 先輩はとある人──まあ果南先輩だろう──が好きらしい。が、それとは異なる人──話を聞く限り恐らく花丸──からの告白が未遂で終わっているらしい。

「なるほど……で、先輩はどうしたいんですか?」

「俺は……その……」

「言っておきますけど、『選べない』とか『振るのは可哀想だから』とかは無しですよ。それを言い出すくらいなら恋愛なんてしない方がいいです」

「ちょ、宮沢さん?!」

 俺のキツい言い方に佐藤ちゃんが止めようとするが、先輩は。

「いいんだ、晴也。慎司の言う通りだからな」

 先輩は反論せずに、俺の言葉を肯定してきた。

 ということは、ハーレムラノベ主人公のような甘ったれたことを言われる心配はないだろう。

「で、いつ告白するんですか?」

「相手側の事情のことも考えると、もうちょっと後の方が良いのかなって思ったんだけど……」

「そうやっているうちに別の人とくっついちゃったら……って思ってるんですね?」

「なるほど、普通なら十分ありえる展開ですね」

 その相手が、片想いもしていない完全フリーな女の子なら。

「それなんだよなぁ……。どのタイミングでするべきか……。下手に今告白すると、死亡フラグになりかねないからな……」

「先輩、どんな心配してるんですか。まあ、戦いに身を置く立場としては間違ってはいないような……いや、気にしてる時点で既に立ちまくりなのでは……?」

「宮沢さん、善子さんが感染うつってますよ」

 とはいえ、先輩はオーズ。欲望の王にしてこの世界では女神さま公認の主人公と言っても過言ではない。

 フラグの十本や二十本は簡単に折ってくれるだろう(フラグ)。

「んーでもよくよく考えたら、先輩が危惧してるような展開は無いんじゃないでしょうか?」

「どうしてそう言えるんだ?」

「いやぁ……だって、ねぇ?」

 俺は佐藤ちゃんにも同意を求める。

 流石に佐藤ちゃんでもこれは分かって……

「そうですよ、宮沢さん!」

 なかったぁぁぁぁ!!!

 マジか二人とも……あんなに分かりやすいアプローチに気付かないなんて……。

「はぁ……恋愛関係で一番頭を悩ませるのって俺で決定なんですね……」

「何を言ってるんだ?」

 俺は鈍感系主人公たちを尻目に、深く、深くため息をついたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




ゴブラ!ライダーシステム!エボリューション!
作者)ハイストップ。あのさ、耀太さん?
耀太)なんだい?作者?
作者)さらっとエボルに変身するのやめて。
耀太)大丈夫だよ。二パーセントしか力は使わないし、どこかの阿呆を破壊するだけだから。
作者)ヤベーイ!目が完全に本気だ!
理亞)この二人っていつもこうなの……?
ルビィ)そ、そうだねぇ……。
晴也)お二人共次回予告お願いします。
ルビィ&理亞)はい!次回、「年明けと流れ星と告白」
理亞)物語もいよいよ佳境……のはずなんだけど……。
作者)もちろん俺は抵抗するで!破壊者でな!カメンライド!ディケイド!!
耀太)面白い!どっちが先に破壊されるか、勝負だ!ラビット!ラビット!エボルラビット!!
ルビィ)ははは…まあ、いつも通りということで……

カウント・ザ・メダルズ
タカ×2
クジャク×1
コンドル×0
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2
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