ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~ 作:白銀るる
年を明けて早々、千歌たちは聖良と理亞を招き、ラブライブに向けて練習を開始する。
その最中に鞠莉は、自分のもとに、統廃合先の学校の理事にならないかという誘いが来ていたこと、その誘いを断ったこと、そしてイタリアに留学することを千歌たちに打ち明けた。
しかし、鞠莉たちの為、今はラブライブのことだけを考えることを胸に決めた千歌たち。
そんな彼女たちは三年生の提案により、全員である場所へ向かう。
向かった先で「星にお祈りする」という鞠莉の願いを叶える為、力を解放し、雲を消し飛ばした耀太。
その反動で、耀太は腕がグリード化してしまうのだった。
カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×2
クジャク×1
コンドル×0
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2
とある日のこと。
「ねえ、ちょっといいかしら?」
バイトも休み、部活もない。
部屋でゲームをして暇をつぶしていた俺をメズールが尋ねてきた。
「うん?どうしたの?」
「あのね、『友達と一緒に遊ぶ』ってことをしてみたいの」
彼女が言ったことにかなりの違和感と驚きを覚え、一瞬だけフリーズする。
だがよくよく考えてみると、メズールがそう言うのも不思議ではないのかもしれない。
俺たち人間は、それを日常的な行為の一つとして認識しているが、グリードの彼女からしたら、未知のことなのだろう。
「そうか……友達と一緒にか……」
「出来ないかしら?」
「よし、千歌ちゃんに相談してみるから、ちょっと待ってて」
「ありがとう、助かるわ」
千歌ちゃんのそのことを話すと、彼女は快く了承してくれて、さらに集まれる人がいないか、連絡をすることに。
そして数十分後……。
「「お邪魔しまーす!」」
来てくれたみんなの声が聞こえてきた。
「お、来た来た」
「千歌ちゃーん、みんなが来たわよー」
「はーい!」
志満さんもそれを知らせてくれて、千歌ちゃんがみんなを迎え行った。
千歌ちゃんに連れられてやって来たのは、曜ちゃん、ルビィちゃん、花丸ちゃん、果南ちゃん、晴也、カザリの五人。
加えて、先に来ていた梨子ちゃんがいるので、集まってくれたのは六人だ。
「珍しいな、カザリが一人で来るなんて」
「丁度暇だったしね。何か面白そうだったから来たんだよ」
ダイヤちゃんと鞠莉ちゃんは、溜まってしまった仕事に追われたらしく、善子ちゃんと慎司に関しては何も情報が無い。
……あの二人のことだ。二人で出掛けてるんだろうな、多分。
「ま、今日はみんなで楽しく遊ぼうか!」
「うーん、でも何して遊ぶの?」
「そうだなぁ……」
呼んだは良いが、それは考えてなかったな……。
「メズールちゃんは何かやりたいこととかある?」
「そうね……『人生ゲーム』をやってみたいわ」
「人生ゲームか、人数は少し多いけどちょっとルールに手を加えてやってみようか」
こうしてスタートして人生ゲーム。
みんなが着々と就職し、お金を稼ぐようになる社会人パートから一気に盛り上がりを見せた。
「『考案した新商品が大ヒット!臨時収入五万円!』」
「晴也くんすごーい!さっきからずっとお金貰い続けて、二位との差がかなり広がってるよ!」
一位は晴也。大きな差をつけられているが、二位に梨子ちゃん、次いで曜ちゃん。四位が俺で、同列六位のカザリとメズール。僅差で千歌ちゃんを上回るルビィちゃんと、残念ながら最下位にいる花丸ちゃんと果南ちゃんだ。
「いいなぁ……貧乏ってわけじゃないけど、わたしたちは最下位だから、羨ましいよ」
「マルたちに少し分けて欲しいずら……」
がっくりと肩を落とす二人。
うーん……ゲームでそこまで落ち込むなんて予想外だな。
「ま、まあこの人生ゲームはプレイヤー同士で結婚出来て、その財産も共有になるし……」
「「よし!頑張ろう!!」」
「お、おう……頑張れ……」
俺がそう言うと、二人の瞳に炎が宿る……。
いやそこまで本気になるの!?
「人間って不思議よね」
「メズールちゃん?いきなりどうしたの?」
「結婚って、愛し合う二人が結ばれることを言うのでしょう?そんなに特別なことをこんなゲームにまで取り入れるのは不思議だなと思って」
彼女の欲望は「愛情」。
それ故にメズールは人一倍そう思うのだろうか。
「確かに俺もそう思う。人間って妙なところに現実味を求めて……」
彼女の疑問に共感の意を示しつつ、ルーレットを回す。
「ただのゲームだけど、やっぱり人間だからそういうのに憧れちゃうんだよ。作ってる人にそういう意図があるかは分からないけどね」
「「あ……」」
コマを進めて止まったマスは……丁度話題に上がった結婚マス。
結婚の相手はルーレットで決める為、俺はもう一度回す。
1が出れば千歌ちゃん、2なら梨子ちゃん、3は曜ちゃん、4でルビィちゃん、5で花丸ちゃん、6で果南ちゃん、7になればメズールだ。
順位が大きく変わるのでみんなルーレットに注目する。
……若干二名、他のみんなより食い気味になっているが、ここは気にしないでおこう。
回転力が弱まっていくルーレット。
それが指し示すのは……3だった。
「やった!よーっし!二人で追い上げよう、耀太くん!」
「よろしく。超キョウリョクプレーで一位になろう!」
四位の俺と三位の曜ちゃんの財産が合わさり、一気に晴也に肉薄。
が……。
その後、晴也も結婚マスに止まり、結果は梨子ちゃんとの結婚。
再び一位との差が広がり、最終結果は梨子ちゃん晴也ペアが一位で終わった。
「あ~……惜しかったね~」
「まさか晴也まで結婚マスに止まるとは……しかも相手が梨子ちゃんって……」
「勝たせる気ないよね……」
これにはカザリもお手上げのようだ。
「ははは……なんかごめんね」
「こういうゲームは運要素も強いしね。仕方ないよ」
最後まで何が起こるか分からない……。
うーむ……ボードゲームも侮れませんなぁ。
「ねえ耀太」
ボードゲームの感動の余韻に浸っていると、メズールが俺を呼んだ。
「何?」
「さっき人間だから憧れるって言ったけど、耀太もそうなの?」
「はい?」
「耀太も結婚に憧れてたり、結婚したいと思う人がいるの?」
そう来ますか……。
「ボクもそれは気になったね。まあそういう人がいる人じゃないと、ああいうことは言えない気はするしね」
カザリまで乗ってきやがったよ、こん畜生が……。
しかも丁寧に理由まで添えつけて……。
「「それわたし(マル)も気になる(ずら)!!」」
果南ちゃんと花丸ちゃんまで……。
「い、いないことはないけど……」
「「やっぱりいるんだ!?」」
「ちょ!二人とも近い!近いから!!」
二人の顔が超至近距離まで近づいて来る。
美少女二人から迫られている……というより、もっと別な意味で心臓への負荷が凄い……。
「落ち着いて二人とも!耀太くんがオーバーヒートしちゃってるよ!」
「「ご、ごめん……」」
千歌ちゃんの一喝で二人とも俺から離れる。
彼女の顔を間近で見てしまい、まだ動悸が収まらない……。
「ちょ、ちょっと飲み物買ってくるよ……みんなは何か欲しい物無い?」
ひとまず自分を落ち着かせる為にこの場から離れようと、買い出しを志願する。
みんなの注文を一通り聞き、部屋を出ようとすると、
「ま、待って!マルも一緒に行くずら!」
「花丸ちゃん?」
「えっと、その……一人だと荷物を持つのは大変だと思うから……」
「ありがとう、花丸ちゃん」
「じゃ、じゃあわたしも……」
「果南ちゃんもありがとう。でもバイクは二人までだし、俺たちだけで大丈夫だよ」
彼女の申し出も本当に嬉しい。
……けど一旦心を落ち着かせなければ、きっと変なことを口走ってしまうだろう。
残念そうにする果南ちゃんに見送られながら、俺たちは十千万を後にした。
***
「うっし、これで全部かな」
みんなに袋の中に入っているものを見て、頼まれたものを全て買えているか確かめる。
買い物をしている間に大分気持ちが落ち着いた。
バイクに荷物を積み込み、あとは十千万に戻るだけ。
「あ、あの……耀太くん……」
そう考えていると、花丸ちゃんが何か言いたそうに俺を止めた。
「どうかしたの?もしかしてまだ買いたい物があったとか……」
「ううん。ちょっと寄りたいところがあるんだ」
「いいよ。じゃあ後ろに乗って……」
「大丈夫。すぐ近くだから……」
「花丸ちゃん?」
無言で彼女は歩いていく。
俺はバイクを押しながら、その後に続いた。
ほんの五分ほど歩くと、目的の場所に着いたようで、花丸ちゃんは歩みを止めた。
そこで彼女が何をしようとしているのか、全て悟った。
ここは、俺の中に紫のコアメダルが飛び込んできたあの場所。
すなわち、花丸ちゃんが何か“大切なこと”を俺に伝えようとしたあの場所だ。
「あの日……耀太くんに言えなかったこと、今言うね」
何も言わず、小さく首を縦に振る。
花丸ちゃんは、一度目を閉じて深く息を吸い、言葉を紡ぎ始めた。
「本屋で会った時のこと、覚えてる?」
「うん、覚えてるよ。あの時は怒鳴っちゃったから、嫌われたかと思ったよ」
「マルたちを逃がしてくれたのに、嫌うはずないよ。あの時からね、耀太くんを見ると凄くドキドキするようになって、顔が凄く熱くなって……。慎司くんたちに言われて分かったんだ。これは“恋”なんだって──」
そう語る彼女は頬を赤く染める。
「マルは……オラは耀太くんのことが好きです……!」
そして俺にその想いを打ち明けた。
……覚悟を決めなければ。
少し前に慎司に言われたことを思い出す。
『遅かれ早かれ、先輩は決めなくちゃいけません。先輩は二人の
俺が今しようとしてることが、どんなに残酷なことなのかは分かってる。
けどそれを言わないのは、彼女の為にはならない。
だから俺は……。
「ごめんなさい。俺は花丸ちゃんの気持ちに応えてあげることは出来ません」
頭を下げ、それ以上言葉にはしない。
……少しの間、周りの人たちの声や車の音のみが耳に届く。
「知ってたずら」
「え……」
「知ってた」。その言葉に俺は驚きの声を漏らす。
「オラはずっと耀太くんを見てたから……。耀太くんはいつもたった一人を──果南ちゃんを目で追ってた。だからこの気持ちが届くことは無いんだって」
そう話す花丸ちゃん。
微笑んではいるものの、その瞳からは雫が零れようとしている。
「でもやっぱり……分かっていても胸はとても痛くて……」
その笑みはやはり崩れ、花丸ちゃんは俺の方に寄って来た。
胸に倒れこんできた花丸ちゃんを抱き締めることは出来ない。
それをしてしまえば、彼女の心の傷をより深いものにしてしまう。
ただ花丸ちゃんが泣き止むまで、俺は立ち尽くすだけだった。
***
花丸ちゃんが落ち着いてから、俺たちは十千万に帰って来た。
「大丈夫、花丸ちゃん?」
流石にさっきまでの態度をとり続けるわけにはいかない……というか、あれ以上は俺の方も耐えられなくなる。
……慎司に聞かれたら、「まだまだ甘い」と言われそうだな。
「マルは大丈夫。……今度は耀太くんの番だよ。耀太くんの気持ち、果南ちゃんに伝えてあげて」
「……分かった」
答えを返すと、花丸ちゃんは笑顔で頷き、玄関から入って行った。
俺もその後ろから扉をくぐる。
「ただいまー」
「お帰りなさい」
迎えてくれたのは、志満さん。
「今日はお泊り会をするみたいだから、カザリくんと晴也くんのことよろしくね」
「あ、はい、分かりました。……え?」
一瞬だけ反応に遅れた。
今志満さんは何て言った!?お泊り会!?
俺は走って部屋に向かう。
ドアの前に立ち、それを開けると……いつの間にか、俺の知らない荷物が部屋に置かれていた。
「あ、耀太くんお帰りー」
「お帰りじゃないよ!?お泊り会ってどういうこと、千歌ちゃん!?」
俺と花丸ちゃん抜きで話が進んでいたことに対し、千歌ちゃんにコメントを求めた。
「えっとぉ……メズールちゃんがお泊り会もしてみたいって言ったから……」
オー……マジですかメズールさん……。
「ダメだったかしら……?」
高海家の意向があるなら、俺は逆らうことは出来ない……。
「ダメではないんだけど……」
俺はメズールではなく、男二人に目を向ける。
「晴也はともかく、お前も泊まるのか」
「ボクが泊まると何か困ることでも?」
「いや無いけど……ますます珍しいなと思ってさ」
「それ、前にバースにも言われたよ。ボクってそんなに鞠莉と一緒にいるイメージある?」
「ある」
「即答だね……」
寧ろ即答できない人はここにはいないのでは?
ともあれ、みんな参加する気満々だったので、花丸ちゃんも一度家に戻り着替えを持ってきてから
「今日は随分と客が多いんだな」
アイスの食べ歩きをしていたアンクが帰ってきて、俺に尋ねてきた。
多分みんなの靴を見たのだろう。
「お泊り会だってさ。晴也とカザリもいるから」
「は?カザリもいんのか」
「今は別の空き部屋に荷物を置いて来てるけどな。ま、喧嘩だけはしないでくれよ?」
「どうだかなぁ?」
「おいおい……」
曖昧な返事しかしないアンクに、俺は頭を垂れ、右手で支える。
その後、千歌ちゃんたちに誘われ、今度はアンクにも(強制的に)参加してもらい、王様ゲームが始まった。
……そして今現在、俺は箱アイスの入った袋を手に持ち、果南ちゃんとドラッグストアを出たところだ。
何故こうなったかは……説明しなくても分かると思う。
が、一応説明しておくと、アンクの命令「アイス十日分買ってこい」が果南ちゃんに当たってしまい、女の子一人で夜道を歩かせるわけにはいかないので俺も同伴した、という感じだ。
「はあ……アンクの奴、最近アイス食い過ぎなんだよなぁ……」
「あははは……ごめんね、本当はわたしへの命令だったのに……」
「気にしないで。いつものことだから」
夜だからか、出歩いている人はほとんどおらず、車の通りも少ない。
けれど、これはある意味チャンスでもある。
今日花丸ちゃんに言われたこと。
果南ちゃんに俺の気持ちを伝える──。
尻込みしてしまいそうな弱い俺と勇気を振り絞ろうとする俺。
勝ったのは……。
「ちょっと寄り道するね」
バイクのエンジンを掛けながら、俺はそう告げる。
「え?でもアイスが……」
後部座席にまたがりながら、アイスの心配をする果南ちゃん。
「ドライアイスもあるし、しばらくは大丈夫だよ」
「なら良いけど……どこに行くの?」
「すぐそこの浜辺まで、ね」
バイクを発進させてから五分程経った。
道路の脇にライドベンダーを停車させ、砂浜に降りる。
「……やっぱり綺麗だな」
「そうだね……」
昼間は透き通る青い海は、夜空の闇と星々と月の光たちを映し出す。
聞こえてくるのは波の音だけ。
そんな中、俺はちょっとした昔話を始めた。
「ねえ」
「何?」
「俺たちが出会ってから、もうすぐ一年だよね」
「あ~、言われてみればそうだね。あの時はびっくりしたよ。千歌が知らない男の子を、しかも二人も連れて来たんだもん」
「ははは……そうだよね……」
苦笑いでそれに同意する。
あの時の果南ちゃんの驚いた表情は、今でもよく覚えている。
「けど、事情を話したらすぐ分かってくれて。この町でまた一人友達が増えて本当に嬉しかったし、何より心強かった。学校が始まってからも、右も左も分からない俺に色々教えてくれたり、みんなに紹介してくれたり……思い返したらお礼なんて一生かけても出来ないくらいじゃないかな?」
「大袈裟だなぁ。内浦の仲間になったんだもん。この町を、この町の人たちを好きになって欲しかっただけ」
「それからもたくさんあったよね。千歌ちゃんたちがAqoursを立ち上げてからさ」
「うん……」
たくさんの苦難があった。
けど、その度に俺たちは……みんなはそれを乗り越えて、打ち砕いて……前に進んで来た。
「わたし……ううん、わたしたちは耀太たちに凄く感謝してる。耀太たちがいなかったら、どうにもならないこともたくさんあった。わたしが騙されて、利用されちゃった時なんてそう……耀太とアンクさんがいたから、今のわたしがいる。本当にありがとう──」
感謝が込められた満面の笑み。
その笑顔を見るだけで、俺は想ってしまう。
ああ……やっぱり俺は、この子のことが好きなんだと。
俺は一度果南ちゃんから視線を外し、空を見上げる。
深く息を吸って吐き、覚悟を決めた。
「さてと……みんな待ってるだろうし、帰ろうか」
果南ちゃんがバイクの方へ体の向きを変え、歩き出そうとする。
「待って!」
「?どうしたの?」
歩みを止め、振り向いた果南ちゃん。
「ここに来たのは、他に話したいことが……伝えたいことがあったからなんだ。ごめんね、俺がヘタレたばかりに時間を無駄にしちゃって……」
「全然気にしてないよ。それより伝えたいことって?」
疑問符を浮かべ、尋ねてくる果南ちゃん。
“それ”を伝えれば、きっと俺たちの関係はどこか変化してしまう。良い結果になるのか、それとも悪い方に転がってしまうのか。ただ伝えずに後悔するよりは……!
俺は至高をそこで放棄し、ただ彼女の顔を、瞳を見つめる。
「松浦果南さん。俺は───」
***
「松浦果南さん。俺は君のことが好きです」
向かい合った耀太に表情は真剣そのもの。
そしてその瞳も嘘をついている人のそれではない。
「え……」
突然過ぎて情報の伝達速度、脳の処理が遅れる。
耀太は言った、「わたしのことが好きだ」と。
ただそれだけなのに、その言葉を耳にした瞬間、鼓動が高鳴る。
二人きりという状況下で、近づけば音が聞こえてしまう程打っていた脈が跳ね上がる。
「嘘じゃ……ないよね?」
「本当だよ。本当に君のことが……果南ちゃんのことが好きだ。もう自分じゃどうしようもないくらいに」
静かな……けど熱の籠った声で耀太はそう答え、「だから……」と続けた。
「ラブライブと俺たちの戦い、その両方が終わったら……結婚を前提に、俺とお付き合いしてください」
思わず両手で顔の下半分を覆ってしまう。
そして嬉しさがこみ上げてきて、涙になって溢れてくる。
「か、果南ちゃん!?」
「大丈夫……嬉しくて涙が出ただけだから……」
耀太は「え?」と声を漏らす。わたしが何を言っているのか、理解が追い付いてないのかも。
「わたしも──」
「果南ちゃ……おう!?」
少しだけ助走をつけて耀太にハグする。
勢いを付けすぎたのか、それとも不意のことだったからか、体を支えきれずに耀太は倒れた。
「耀太のこと、大好きだよ!」
「もう……危ないよ果南ちゃん。でも……ありがとう」
そう言って耀太は、わたしの頭を優しく撫でてくれた。
さらに彼の告白は続く。
「あと、俺も海外に行こうと思ってるんだ」
「!?それホント!?」
「ホント。まあ、戦いが終わってからだから、いつになるかは分からないけどね」
「大丈夫、わたし待ってるから」
「遅くなり過ぎて、帰ってくる間際になっちゃうっていうのはないよう善処します」
「うむ、良きに計らえ」
数秒の間は波の音のみが聞こえ、すぐに二人揃って「ぷっ」と吹き出す音が響いた。
「あ、そう言えば告白の返事ちゃんとしてなかった」
「なんかほぼしてくれたようなものだったけどね」
「ちゃんと答えたいから、もう一回だけお願いして良い?」
「果南ちゃんがそう言うなら……」
耀太は一呼吸分間を空けて、
「果南ちゃん。全部が終わったら、俺と付き合ってください」
さっきのように、嬉しさが心の奥底からこみ上げてくる。
溢れてしまうのを懸命に抑えつつ、わたしは答えを彼に返した。
「はい。ふつつか者ですが、よろしくお願いします──」
そして……。
***
そして……。
「耀太先輩も果南先輩も大胆ですね~」
「ホント、見てるこっちが恥ずかしくなってくるわね~」
PCのモニタを見ながらにやけている慎司くんと鞠莉。憐れみを含んだように笑みを浮かべている梨子ちゃんたち。隣にはわたしと同じく顔を真っ赤にする耀太。
慎司くんたちが見ているモニタに映っているのは、一昨日の夜の出来事。わたしが耀太に告白された時の
『本当だよ。本当に君のことが……果南ちゃんのことが好きだ。もう自分じゃどうしようもないくらいに。だから……ラブライブと俺たちの戦い、その両方が終わったら……結婚を前提に、俺とお付き合いしてください』
湯気が出てきそうなくらい顔が熱い……。
ルビィちゃんたちも頬を赤くする。
「おいコラ止めろ!でなきゃコレを……」
「ちょちょちょ!分かりましたから止めてください!」
耀太がスマホに表示されている音声データを再生しようとすると、慎司くんは慌てて画面を閉じた。
「それにしてもびっくりしましたよ。まさか誰もいないところでこんなことを……」
「し、仕方ないだろ……ていうか、何でお前はこんなところで見てるんだよ……。自分の部屋でも見れるだろ……」
「いやあ、昨日チェックしてたら見つけましてね。これはみなさんにも見てもらうしかない(使命感)と思いまして……」
「よし決めた。今からお前を冷凍するから、何万年か後に化石として発見されろ」
「え?またまたぁ、先輩にそんなこと出来るはずないじゃないですかぁ……あれ?ちょ!待ってください!目がマジです!やめてください!やめて!さ、佐藤ちゃん助けてぇぇぇぇぇ!!」
慎司くんはやがて、迫り来る異形に恐れるような表情になって逃げだし、耀太はそれを追って行った。
「はあ……自業自得ね」
その背中を見て、善子ちゃんが嘆息する。
その後、まつげと髪の毛の先が凍り付いた慎司くんが目撃されたという。
千歌)良かったね果南ちゃん!
果南)うぅぅぅ……あまり大声では言わないで……。
曜)こんなに恥ずかしがってる果南ちゃん、今まで見たことない……。可愛い……。
果南)曜ちゃんまで何言ってるの!?
耀太)それには同意だけどね。
果南)よ、耀太まで……。
曜)そう言えば、「結婚を前提に…」って言ってたけど、ご両親には言ったの?
耀太)……まだ何も……。
女神)それじゃあ耀太の言った通り、すべてが終わったら挨拶に行きましょうか。
耀太)……そうだな。でなきゃ何も始まらないしね。
果南)耀太……。
作者)おーい。次回の話なんだけど……って、何だこの甘々な空間は……。
千歌)あ、作者くん。今二人はそっとしておいてあげて。
作者)お、おう……それじゃあ今日は千歌ちゃんと曜ちゃん、それからめが…神子さん、お願いしますね。
千歌)はーい。ラブライブに向けて、一層練習に精を出していたわたしたち。
曜)そんなわたしたちの前に、アンクと名乗る男の子が現れた。
千歌)え!?もしかしてアンクさん、小さくなっちゃったの!?
曜)でも何か違和感が……。
千歌)次回「記憶とメダルの秘密とWアンク」
作者)……あの二人、まだ甘い雰囲気に包まれてる……。
女神)青春っていいわね。
カウント・ザ・メダルズ
タカ×2
クジャク×1
コンドル×0
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2