ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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前回のラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~
とある日、メズールが「友達と遊んでみたい」と耀太に相談し、耀太は千歌と梨子と三人で、メンバーを集めた。
人生ゲームが終わったところで、自身の恋愛事情に触れられた耀太は、逃げるように買い出しに出かけた。そこで耀太は、買い出しについて来た花丸に告白されるも、それを断る。
その後、花丸に勇気づけられた耀太は果南に告白し、すべてが終わった後、結婚を前提に交際することを約束したのだった。

カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×2
クジャク×1
コンドル×0
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2


……最近文章が拙くなってきてる気がする(´・ω・`)


記憶とメダルの秘密とWアンク

 時を遡り数週間前、耀太たちが再び函館に訪れていた頃、沼津の空に謎の飛行物体が現れた。

 鳥のような翼に、赤い羽根。

「僕はどこ……」

 彼の記憶にあるのは、別れてしまったもう一人の自分と思しき姿。

 彼は記憶に残るその姿と本能だけを頼りに探し続けた。

 自身の片割れ、赤い右腕を。

 

 ***

 

「ふぅ……」

 既に平らげた後のお昼ご飯を前にして一息。

 久しぶりにこんなにゆっくり出来たな。

 と言っても今はバイトのお昼休みで、時間が来ればまた仕事が始まるのだが。

 まあ、激動の日常や年末年始のラッシュに比べればどうってことはないな。

 ……日常に激動とかおかしいな。でも間違ってはないんだよな、俺の場合。

「随分疲れてるみたいだな。午後からまた団体のお客様の予約が入ってるが、大丈夫か?」

 俺の考えていることが分かっているかのように、的確に尋ねてくるウヴァ。

「問題ないよ。それにしても珍しいな、お前が休憩時間を合わせてくるなんて」

「それは……その、なんだ。お前に相談したいことがあってな……」

「相談?」

 いや本当に珍しいな、ウヴァが俺に相談なんて。

 仕事のこと……ではないだろう。

 そのことに関しては、ウヴァは俺よりしっかりしてる節がある。

 むしろ俺が相談に乗ってほしいくらいに。

 では一体何なのだろうか。

「実は少し前から、志満さんを見ていると妙な感覚に襲われるんだ」

 ……ん?

「こう、胸が締め付けられるような感じがしてな。志満さんが笑った時は特に」

 んんんんんんんん!?

 まさかの恋愛相談だった……。

 いや、うん。全然良いんだよ?

 段々と人間らしくなっていって、最終的には人間とほとんど変わりない存在になって欲しいと思ってる。

 ……でもね?これは俺の守備範囲外というか、俺が何とか出来る話ではないというか……。

「これが一体何なのか、どうすれば治るのか……頼む!教えてくれ、耀太!」

 深く頭を下げているウヴァ。

 これは本気だ。

 だが、恋愛どころか、つい最近までうだうだと告白するのを躊躇していた俺にどうこうできる問題ではない。

 ……よし、こうなったら……。

「そうだな、以前俺も丁度同じような悩みを抱えてたんだ。だからその手のプロに相談して、まあ……解決にはかなり近づいたかな?そう言うわけだから、ソイツに聞いてみよう」

「おお!そんな奴がいるのか!頼もしいな!」

 恋愛相談のプロ……プロというか、一途な奴というか……。

 けど、その手のことに関しては俺より詳しいはずだし、大丈夫だろう。

 俺はおもむろにスマホを操作し、電話帳を開く。

 そして『宮沢 慎司』の名前をタップする直前、画面が切り替わり、着信音が鳴る。

 相手は千歌ちゃん。

 ……なんだろう、嫌な予感しかしないんだが。

「どうした、出ないのか?」

「あ、ああ……」

 大きく息を吸って吐く。

 腹を括って、彼女の呼び出しに応えることにした。

「もしもし、千歌ちゃん?どうしたの?」

『もしもし!?大変なの、耀太くん!』

 大変という単語が聞こえ、彼女の─Aqoursのみんなに何か良くないことが起こったのでは?と一瞬焦る。

 そしてその焦りは、次に千歌ちゃんがもたらした情報により、困惑へと変わり果てた。

『アンクさんが子供になっちゃったの!』

「……ちょっと待って。なあウヴァ、アンクってさっきいたよな……?」

「ああ……そこでアイスを食ってたと思うが……」

 ……ああ、やっぱり嫌な予感しかしない。

「ウヴァ悪い。今の話はまた今度ってことで」

「それは構わないが……」

「本当にすまん!」

 俺は志満さんに事情を話し、アンクとともに学院までバイクを走らせた。

 

 ***

 

 学院に到着し、みんなと合流出来た俺たち。

 結果から言うと、俺が感じていた嫌な予感は半分正解といったところだった。

 まあひとまずは、俺たちが着いたシーンから始めよう。

 俺たちが着た時、目に映ったのは昇降口の前で休憩をとるAqoursと慎司たち。そして、小学生ほどの背丈の少年だった。

「何でお前がここにいる……!」

 怒号とともにアンクはそこにいた少年を睨んだ。

 その声には、困惑や怒りといった感情が込められているようだった。

「分からない……君は……君はもしかして僕?」

「ふざけるな!お前なんかと一緒にするんじゃない!早く俺のコアを返せ!!」

 少年──アンク(ロスト)(以降ロスト)に迫るアンク。

 だがそれを千歌ちゃんは許さなかった。

「ダメだよ、アンクさん!こんな小さな子を……え?今なんて……?」

 が、アンクとロストとの間に立つ千歌ちゃんが疑問符を浮かべる……というかアンクとロストを何度も見直す。

 千歌ちゃんだけじゃない。他のみんなも、慎司と晴也、カザリ以外は「一体何なの?」と言いたげな表情(カオ)をしている。

「アンク、ここは一度落ち着いてくれ。じゃなきゃみんなにおちおち説明も出来ない」

「ちっ……」

 苛立ち方がいつもより激しいアンクに、みんな動揺あるいは若干の恐怖を覚えてしまっているだろう。

 慎司は垂れた頭を右手で支え、晴也もバツの悪そうな表情をする。

 俺は一旦落ち着くようアンクに言い聞かせ、みんなの方へ向きを変える。

「それじゃあ説明するよ。アンクとその男の子の関係を」

 俺は二人の奇妙な関係について、みんなに話した。

 アンクというグリードと初代オーズ。

 封印と逃れた右腕。

 そして新たな意思が芽生えた体の話を。

 もちろんこれは、女神さまたちの相反する意図のもと起きてしまったこと。それだけは伏せて彼女たちに伝えた。

「それでは“彼”とアンクさんは元々一人のグリードだったというわけですね」

「そういうこと。みんなには教えてなかったけど、もう何度か会ってはいたんだ」

「え?そうなの?」

「アンクがただでさえ強力なグリードなのに、それがもう一人いてこの町を闊歩してる。ここ最近は色々あったばかりなのに、それをみんなが知ったら、ラブライブへの練習に支障が出るかもと思ったんだ……。今にしてみれば、伝えてた方が良かったと思うよ。本当にごめんね」

「俺からも謝ります。本当にすいません……」

 慎司、そして晴也も俺に続いて頭を下げた。

「三人ともちゃんと謝ってるんだし、今回は咎めないでおいてあげようよ。それより……」

「カザリさん?」

「今は“あのアンク”のことが少し気になるかな」

 カザリはロストに目を向けながら、そう話す。

「どういうこと、カザリくん?」

 その言葉に疑問符を浮かべたみんなの代表のような形で、花丸ちゃんはカザリに尋ねた。

ボクたち(グリード)は人間のような器官を持ってない。人間で言う心臓、脳の役割を意思を宿したコアが担ってるから。だからね、有り得ないんだ。()()()()()()()()()になるのは」

「……つまりどういうこと?」

「オーズたちなら分かるよね?彼に起きている“異変”が何なのか」

 それは人間になら、誰しもに起こり得る減少。

 だけど、グリード(かれら)にとっては本当にイレギュラーな出来事らしい。

「「記憶喪失……か(ですか)?」」

 晴也と慎司が同時に答える。

 そしてその答えは……。

「正解。人間たちは何かショックを受けたりすると、それを起こすって言うのはボクも知ってる。けどグリードはそうじゃない。もっとも今のボクたちはその限りじゃないと思うけど……。それでも彼は違うと思うんだ。まだ“例外”にはなってないはず……」

 例外……それは恐らく、グリードたち(かれら)の中で何かが変わりつつあるということ。

 そしてそのきっかけを与えたのは、Aqours(かのじょたち)であることに間違いない。

 Aqoursと関わりを一切持っていないロスト。

 何一つ変わらない(グリードの)ままの彼に何があったというのか。

 その答えもまた、すぐに見つかった。

「つまり、あのアンクが持つコアメダルに何かあった……って考えるのが妥当ってとこか」

「うん。例えば……ボクたちも知らない力が作用してる……とかかな」

 カザリたちですら知り得ない力……その言葉を聞き、俺はふと思い出した。

 アンクが奪われたメダルは、コンドルのメダル。そしてそのメダルは、かつてポセイドンと戦った時に女神さまがクジャクくんとともに送ってきたものだ。

 もしかしたらと思い、俺は女神さまへと念話を試みる。

『全く……なんじゃ、このクソ忙しい時に』

 応答してくれた声はいつにも増して言葉使いが荒い。そんなに仕事が大変なんだろうか。

『大変じゃよ。なんせ時空に変な歪みを見つけたんでな。それの調査に追われてるんじゃよ』

 そんな仕事まであるのか……神さまも大変なんだな……。

『そう思うなら、さっさと用件を言ってくれ!さもなくば着信拒否するぞ!?』

「(いや念話って携帯でしてたのかよ!?って今はどうでも良くて!)」

 意外な事実に驚きの声をあげてしまうが、本題を忘れてはいけない。

「(今、アンク(ロスト)がそこにいてな、どうも記憶を失ってるみたいなんだ。カザリが言うには、コアメダルに何か異常があったんじゃないかって話なんだけど……)」

『ほう……なるほど。どうやらわらわの仕掛けたトラップに引っかかってくれたようじゃの』

「(トラップ……もしかしてあの時のコンドルメダルに何かしたのか?)」

『もしかしなくてもその通りじゃ。あれには、アンク以外のグリードが取り込んだ時、そやつの記憶をほぼ消去する効力を持たせてある』

 ……想像以上にえげつないものだった。

 アンク以外が取り込んだら記憶が無くなるって……それ俺も該当するんじゃ……。

『心配ない。ぬしは一度ドライバーを介して変身に使っておる。その時に効力に対する抗体が注入されるようにしたんじゃ。あれを使うぬしが影響を受けては元も子もないからのぉ』

「(良かったぁ……。あ、じゃあ今までアイツがアンクを直接狙って来なかったのは……)」

『本能的に恐れを感じていたんじゃろうな』

「(なるほどな……でもこれからアイツはどうすればいいんだ?何だか倒せる雰囲気じゃないんだよなぁ……)」

 ロストと千歌ちゃんたちがワイワイと会話している。

『ふむ。ならカザリたちの時と同様に和解してみたらどうじゃ?』

「(それはそれでこっちのアンクが面倒くさいんだよな……)」

『ま、それはぬしらで決めることじゃな。そろそろ切るぞ。どうやら新しいものが見つかったようなんでな』

「(お、おう……お仕事頑張ってください)」

 といったところで念話は終了。

 ……さて、どうするか……。

 アンク的には倒してコアを手に入れたいんだろうけど、千歌ちゃんたちの前でそんな酷いこと出来る訳ない。

 はあ……仕方ない。

「その子は倒さない。メダルは……後で考えよう」

「え、本当!?」

 ぱあっと表情が明るくなる千歌ちゃんと。

「あ?お前何言ってんだ」

 苛立ちがさらに濃くなるアンク。

「やったー!」と喜ぶ千歌ちゃんを微笑ましく思いながら、鬼のような形相をしたアンクに睨まれる。

 胃が痛い……。

「ヨータ、お前正気か?コイツはポセイドン(あのふざけた野郎)側のグリードだ!こうして記憶を失ったふりをして、メダルを狙ってるかもしれないんだぞ!」

「それにはボクも同意するよ。さっきはああ言ったけど、アンクの言う通り演技してるだけの可能性も捨てきれない」

 激昴するアンクと静かにだがそれを肯定するカザリ。

 女神さまのことを教えてもいいが、せめて本人に許可をもらってからにした方が良いだろう。

 けど、あの様子だと今日はもう繋がらない。

「分かった……それじゃあ今日はこうしよう……」

「「?」」

 俺は苦し紛れにある提案を出したのだった。

 

 ***

 

 耀太さんの提案。それはアンクさんとロストを遠ざけることと、ロストに見張りをつけることだった。

 俺と宮沢さんはその案に同意し、俺たちは十千万に。そして耀太さんたちは淡島ホテルに泊まることになった……のだが……。

「ねえ見て、アンクくん!これがスクールアイドルって言うんだよ!」

 千歌さん、ルビィさん、花丸さん、善子さんがロストを囲い、DVDを見ながら彼にスクールアイドルについて熱弁していた。どうしてこうなった……。

「あははー……これじゃあお泊まり会だね……」

「ですね……」

 そう苦笑する曜さんと、これまた眉をハの字にして笑う宮沢さん。

 本当は俺と宮沢さんだけが十千万に泊めてもらう予定だったのだが、耀太さんが淡島ホテルに泊まると決めるや否や、果南さんが「わたしも泊めてもらおうかな……」と始まり、珍しく梨子さんまでもがそれに続いた結果、見事に二グループに分かれたのである。

「でもこうやってみんなで過ごすのもいいかもしれませんね。もうそう長くはないんですから……」

「晴也くん、それは言わない約束だよ?」

「そうでした。すいません」

 ラブライブが終われば、後は先輩達が卒業し、浦の星も終わってしまう。

 今は考えてはいけない。

 そう千歌さんたちと約束したんだ。

「はい、アンクくん、みかんだよー」

「みかん?」

「そう、みかん!美味しいよー」

 ロストにみかんを手渡す千歌さん。

 彼は皮が剥かれたみかんを一つ、口に放り込むが……。

「……分かんない」

「あ……」

 ロストはグリード。味わうということが出来ないのだ。

「それじゃあこれならどう?」

 メズールさんが、自身がしていたメガネをロストにかけてやる。すると。

「っ!美味しい……!」

 味というものを知り、笑顔になったロスト。

 物凄い勢いでみかんを食べていく。

「前々から思ってたんだけど、メズールちゃんやカザリくんが着けてたそれってなんなの?」

「そうね……グリード(わたしたち)専用の秘密道具かしら」

「秘密道具?」

「わたしもカザリから貰ったものだから、詳しいことはわからないけどね」

「そうなんだ」

 初めは不思議そうな表情をしていたが、やがて(ロスト)の方に興味が移り、深く追求することは無かった。

「よっぽどみかんを気に入ったみたいだな」

「そのようですね」

「気に入る?」

「みかんが好きってことだよ」

「みかんが好き……うん!僕、みかん好き!チカも!」

「なっ!アンクそれは……!」

「ほう……佐藤ちゃんや、『それは』何だって?」

「しまった……」

 ロストの発言に過敏に反応してしまい、ボロを出してしまった俺。

 そして宮沢さんがニヤニヤと笑みを浮かべ、耀太さんや果南さんをいじっていた時のような顔になる。

 ああ……耀太さんは、一瞬で殴りたくなる衝動に駆られる仕打ちに耐えていたのか……。

「ま、まあまあ慎司くん、からかうのは程々に。晴也くんも。それに、あの子の“好き”はLikeの方だと思うし、ね?

「それは……え?」

「ごめんね」と小さく謝る曜さん。曰く、「果南ちゃんと千歌ちゃん以外は、みんな知ってると思うよ」だそうだ。

 ……嘘だと信じたかった。

 けど彼女は嘘を言うような人ではない。

「曜さん……俺失踪してもいいですかね?」

「だ、大丈夫だよ、わたしたちからは何も言わないから」

「ありがとうございます……」

 俺は曜さんにお礼を言い、その後も宮沢さんを殴りそうになるも、なんとか耐えるのだった。

 

 ***

 

 ホテルのベランダから夜の海と空を眺める。

 つい最近も見た景色だが、やはりとても綺麗だ。

 あの後、何度か女神さまとの交信を試したが、一度も繋がらなかった。

「やっぱ忙しいんだなぁ……」

 アンクとロスト。

 昼間のアンクのあの態度を見る限り、相容れることはないだろう。それにロストも今は何とかなっているが、いつまた奴が現れて、何かしら介入してくるかも分からない。

 二人のことを考えているだけなのに、頭がこんがらがってくる。

「ああ、もうどうすりゃいいんだ……」

「耀太くん、ちょっと良い?」

 ノックとともに入室の許しを求めてきたのは梨子ちゃん。「どうぞ」と声をかけると、彼女はドアを開けて俺の隣まで歩いて来た。

「どうしたの、梨子ちゃん?」

「アンクさんのことが気になっちゃって……」

「あー……今は散歩でもしてるんじゃないかな、アイス食べながら」

「そうなんだ……」

 さっきまでの俺と同じく、梨子ちゃんは海を眺める。そして海を眺めたまま、話を始めた。

「昼間見たアンクさんの顔、今まで見たことないくらい怖かった。けど、それ以上に何かを恐れているようにも見えたの」

「そうだね……。あの時、アンクとロスト……小さい方のアンクの関係の話をしたでしょ?あれに実は続きがあるんだ」

「続き?」

「うん。二人に分かれてしまったアンクなんだけど、もう一度一人に戻ることが出来るんだ。ただし、その時にある問題が起こる。力の弱い方が消えるんだ」

「消える……!?」

「だから梨子ちゃんが言った『恐れてる』って言うのは、その事だと思う。アンクは右腕だけでの復活で、コアメダルも三枚。対してロストは記憶が無いとはいえ、六枚のコアを持っていて、かつほぼ全身が復活出来てる。つまり消えるのは……」

「アンクさんの方……。二人とも消えずに一人に戻ることは……」

「多分出来ない」

 梨子ちゃんは絶句する。

 消える……つまり死ぬことのない彼らにとって、唯一の“死”を意味する。ロストの存在そのものが、アンクの“死”の象徴と言っても過言ではないことに、彼女も気付いてしまったのだ。

「ロストは敵であるうちに倒してしまった方が良かったんじゃないかと思う。こんなこと言うのは良くないし、千歌ちゃんの前じゃ絶対に言えないけど、こればかりは……」

 打つ手無しのお手上げ状態。下がりに下がった声のトーンは、梨子ちゃんの表情をもより暗くしてしまう。

「そんなこと言うなんて、らしくないよ」

 突然、背後からそう言われた。

 二人揃って振り返ると、さっきまで誰もいなかったこの部屋に、果南ちゃん、ダイヤちゃん、鞠莉ちゃんの三人が入って来ていた。

「三人とも……いつから聞いてたの?」

「そうですわね、梨子さんが『アンクさんのことが気になっちゃって』と言っていたところからでしょうか?」

「それって全部ってことじゃないですか……」

 これには流石に梨子ちゃんも苦笑する。

 何しろあの辛気臭い話をすべて聞かれていたのだから。

「やっぱりわたくしたちに隠してることがあったんですね」

「“やっぱり”?」

「『耀太のことだから、わたしたちに心配をかけないようにまだ隠してることがあるかも』って果南が。ホント、よく見てただけあるわね~」

「ちょ、鞠莉!?」

 しかしそんな雰囲気もほとんど霧散していった。

「ありがとう、三人とも」

「「え?」」

「もう少し考えてみるよ。あの二人が和解出来るように」

 俺の決意表明を聞くと、梨子ちゃん、ダイヤちゃん、取っ組み合っている果南ちゃんと鞠莉ちゃんもやがて笑顔になる。

 そうだ……あの世界とは何もかも違う。ロストとも分かり合えるはずだ。

 

「だってよ、アンク」

「は、出来るもんならやってみろ」

 

 信じてくれているみんなの為にも、俺はやり遂げてみせる。

 俺は心にそう誓うのだった。

 

 

 

 

「くっくっく……目を覚ましてみればこの様ですか。ですがこれは好都合。あなたのその知恵も利用させてもらいましょう、愚姉(ねえ)さま」

 

 そう……奴がすぐそこまで迫っていたことに気付かないまま──。

 




作者)……あー、疲れた。
耀太)お、おい、大丈夫かよ……。
作者)仕事つらたん。
ダイヤ)文句は言うものではありませんわ。それに、自分で決めた進路なのでしょう?
作者)う……本当のことだから何も言えない……。
耀太)ま、まああんまり頑張り過ぎないようにな。
作者)ありがとう……それじゃあ次回予告お願いしますね……。
ダイヤ)分かりましたわ。あとはゆっくり休むんですのよ?
作者)そうさせてもらいます……。
ダイヤ)二人のアンクさんを何とかして和解させようと決意した耀太さん。しかし、再びあの人が彼らの元に迫っていたのでした。
神オーズ)ふふふ……これでようやくメダルが揃う……!私の悲願を叶えることが出来る!!
千歌)アンクくん!アンクくん!しっかりして!
ロスト)チカ……これを持って逃げて……。
千歌)これ、あなたの……。
耀太)次回「アンクとみかんと託されたメダル」
耀太)許さないぞ、ポセイドンッ!!

カウント・ザ・メダルズ
タカ×2
クジャク×1
コンドル×0
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2
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