ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~ 作:白銀るる
ルビィちゃん理亜ちゃんのクリスマス回が終わり、無事予定通り登校することが出来ました!
まず今回のお話について注意点がございます。
一.今回は同じくラブライブと仮面ライダーのクロスオーバー作品を手掛けているヨータさんとのコラボになります。それに関係して、ヨータさんのオリジナルキャラが登場しますが、キャラ崩壊してる可能性が高いと思われます。
二.長いです。とにかく長いです。約45000字になっております。
耀太)何で分けなかったんだよ。
……この小説の平均文字数は約5000字……(分けたとしても7~9、少なくても6話以上)
耀太)あ……
三.これは毎度のことですが、確認はしていますが、それでも誤字脱字がある場合があります。というかその方が多いです。もしよろしければ、ご指摘の方、よろしくお願いします。
四.ドラゴン〇ール並みのパワーインフレが起きています。原作設定?何ですかそれ?
耀太)……。
ごめんなさい!そんな鬼のような顔して剣構えないでください!
そして最後に、今回のお話はコラボと銘打っていますが、わたしの方ではがっつり本編とリンクしています。そのため、大なり小なりネタバレがございます。
これらのことをご理解の上で進んでいただけると幸いです。
それでは……
本日は日曜日、天気は雲一つ無い快晴。
まさにお出かけ日和だ。
「ねえねえ
名前を呼びながら、腕を引く果南ちゃん。
その笑顔は今日の空に負けないほど澄んでいる。
……惚気じゃないぞ?
「そんなに急がなくてもお店は逃げないよ」
「でも時間は待ってくれないんだよ?」
「いやだって、そんなに時間無いわけじゃないし」
「むぅ……でも耀太と二人だけの時間は滅多にないし……」
……可愛すぎか。
いや、うん、これ完全に惚気になってるな……。
「分かったよ。でも今日は……」
「大丈夫。閉校祭で使うものの買い出し、でしょ?」
「そうそう。今日のメインはそれだからね」
さて、俺たちが来ているのは沼津のとあるお店。
今話していた通り、閉校祭の準備に必要なものを買出しに来ているのだ。
ラブライブの決勝を除けば、浦の星学院最後の重大イベント、閉校祭。
みんなで最後まで楽しめるよう、絶対に成功させたい。
「耀太ー!はやくはやくー!」
……その前に今日はこれだな。
楽しそうな声でおれを呼ぶ果南ちゃん。
デートのように……というかデートと化してしまっているのは、慎司たちの所為というかおかげというか……。
まあ、あの笑顔が見れるなら、慎司たちのおかげということにしておこう。
「ほら、これなんか部室に飾ってみるのはどうかな?」
「そうだね。色の種類も結構あるみたいだし、一色ずつ買って飾るのもいいかも」
「あ、これも可愛い!」
「こっちもいいんじゃない?」
あっち、こっち、そっちと品物を手に取っては、ひょいひょいと新しいものに目を付けていく俺たち。
こんな時間がいつまでも続けばいいのに……。
だがそれを願っても、叶うことはなく、むしろフラグとなってしまうのが世の常というもので……。
「「きゃああああああ!!」」
「「うわああああああ!!」」
爆発音とともに悲鳴が響いたのだった。
「果南ちゃんはここにいて!」
「あ、耀太!」
彼女を店に残し、音がした場所に走る。
店から出て数百メートル程、赤い炎と黒い煙が車と店から噴き出している。
「酷い……」
救急車、消防車が呼ばれたらしく、サイレンと放送が鳴り始める。
燃え盛る店から、一人、ゆったりとした歩みで出てきた。
「あん?なんだお前」
この事件の犯人、それは見たことの無い仮面ライダーだった。
「何故こんなことをするんだ!?」
謎のライダーに問いかける。
奴は、俺になど興味すら持たず立ち去ろうとする。
「待て!どんな目的であれ、こんな酷いことする奴を放っておけるか!」
「だったらどうする?」
「ここでお前を倒す!」
オーカテドラルを腰に当てると、ベルトとオースキャナー、オーメダルネストが出現。
タカ、バッタのメダルをバックルにはめ、トラのメダルをその間にはめる。
カテドラルを斜めに倒し、スキャナーを走らせる。
「変身!!」
タ・ト・バ!!」
タカの意匠が刻まれたタカヘッド。
展開することで武器になるトラクローを装備したトラアーム。
驚異的な跳躍力を持つバッタレッグ。
オーズの基本形態、タトバコンボに変身した。
「ほう、仮面ライダーか」
変身したことで、俺に興味を持ち始めた青いライダー。
俺はメダジャリバーとメダガブリューを構える。
「丁度いい。さっき目覚めたばかりなんでな。準備運動に付き合ってもらう」
その口ぶりから、奴はまだ暴れるつもりらしい。
「ソードベント」
「はあああ!」
青いライダーは剣を召喚し、それを持って向かってきた。
奴の剣をメダジャリバーで受け止め、鍔迫り合いに持ち込む。
こいつ……なんて力だ!
抑えるのが精一杯で、押し返すことが出来ない。
「どうした、この程度か?」
「へへへ……まだまだあ!!」
メダジャリバーに加えて、メダガブリューをでも抑える。
「うおおおお!!」
両手でやっと押し返せる程の強さなんて……。
「ふ……」
不意に奴が笑う。
両手で、かつ踏ん張っている俺に対して、目の前のライダーはまだまだ余裕を持っている。
それに気付くのが遅れた俺は、
「うらあっ!」
「うがっ……」
腹部に蹴りをもらい、体勢が崩れたところをさらにもう一撃。
蹴り転がされ、武器を手放してしまう。
「他愛もないな」
期待外れだと、奴は俺に目掛けて剣が振り下ろす。
奴にとってはこれがトドメになるはずだったのだろう。
「何!?」
俺の体から出現した三枚のメダルに攻撃を阻まれ、さらに反撃されたことで怯んだ。
腹部を押さえながら立ち上がり、メダル三枚を入れ替えてスキャン。
プットッティラーノザウルース!!」
先程と同じように、今度は紫色のエフェクトに包まれる俺の体。
さらに白い冷気が放たれる。
恐竜の雄叫びとともに完了した変身、オーズプトティラコンボ。
「うおおおおおお!!!」
俺自身も咆哮し、再び奴と対峙する。
「フォームチェンジか、良いだろう!」
二度目の突撃。
だが今度は、左腕で斬撃を受け止める。
「ぐ……パワーも硬さもさっきとは段違いか」
「出来れば使いたくなかったんだがな……」
解放したのは、禁忌とも呼べる力。
みんなからも使って欲しくないと言われた力だ。
「だけど今はそんなこと言ってる場合じゃないみたいだからな!」
右の拳で奴の腹部に強烈な一撃を叩き込む。
「がは……」
一発、二発、三発。
「だあああああ!!」
最後に全力で力を込めて四発目。
「がああああ!!」
青いライダーは吹き飛び、建物の壁にめり込む。
「ははは……やり過ぎちまったな」
ボロボロになってしまった店。
……後で女神さまに直してもらおうか。
「やってくれるじゃねえか……」
「やっぱこれくらいじゃ倒れてくれないよな……」
瓦礫をどかしながら、立ち上がってくるライダー。
しかしその装甲は傷だらけで、肌や服が見えるほどの破損も見られる。
これ以上戦えば、命に関わるだろう。
「もう戦えないはずだ。変身を解いて降参しろ」
俺は諦めるよう、奴に促す。
「くくくく……」
だが奴は、「分かってないな」と言わんばかりに笑い始めた。
「降参だと?少し優勢になったからって勝った気でいるとはな」
「何?」
するとどうだろうか。
奴の傷が、そして装甲がみるみるうちに修復されていく。
「なっ……」
「残念だったな。お前に俺は倒せない」
強いうえに不死身なんて話にならないぞ!?
何処ぞの王子のようなことを思い、どうすればいいか考える。
「耀太!」
不意に背後から名前を呼ばれる。
もちろん声の主は……。
「果南ちゃん!?ここに来ちゃダメだ!」
果南ちゃんだった。
やはりさっきの叫んだのが聞こえてしまったか……。
だがそれより……。
「ほう……」
奴が邪悪な笑みを浮かべたのが、仮面越しでもわかる。
それは面白いものを見つけたと言うような笑い方。
「どうやらお前は、俺が相手をするまでもないようだ。じゃあな」
「あ、待て!!」
捨て台詞を吐いて逃げていく青いライダー。
とんでない跳躍と速度で逃げていく。
奴を野放しにしたらこの町が……!
エクスターナルフィンを展開して追いかけようとするが、突如“この世界に起きた異変”により、それは阻まれた。
「な、何!?」
「果南ちゃん、掴まって!」
突然地面が大きく揺れる。
彼女の手を引き、抱き締めた。
所謂お姫様抱っこの状態で、空へ飛翔。
「耀太……これ、何が起こってるの……?」
「分からない……。なんだよ……これ……」
建物が、人が、光になって消え、何も無くなった場所に、新たな建物と人が現れる。
そして……。
「あれ見て!」
果南ちゃんが指差したのは浦の星学院。
浦の星の校舎も光に包まれ消えていく。
「あそこにはまだみんなが!」
果南ちゃんに負担が掛からないよう、しかしなるべくスピードを上げて学校に向かう。
しかし……到着と同時に、
「そんな……」
「千歌も鞠莉も……みんな消えちゃったの……?」
浦の星学院は、校門を残して完全に消失してしまったのだった。
***
「今の凄い地震だったね……」
「ああ……震度五、六はあったんじゃないか?」
生徒会室で書類の整理をしていた時に起きた大きな揺れ。
突然のことだったが、みんな机の下に隠れたようだ。
「三人とも大丈夫でしたか?」
「わたしは大丈夫だよ。ヨウタくんと穂乃果ちゃんは?」
「穂乃果も平気だよ。ヨウタくんは?」
「ああ。俺も何ともない。けど……」
俺が書類に目をやると、三人も視線をそっちを見た。
「もう一度まとめ直しですね……」
「マジか……」
「ええ……」
俺と穂乃果が露骨に嫌な顔をする。
「そんな顔をしてもダメですよ。早く片付けてしまわないと」
「だってなあ……二時間近くかけてやったのを、またやり直しとか……」
正直、やりたくないです。
「せめて一回休憩しようよ~。ダメ~……?」
穂乃果が上目遣いで海未に迫る。
穂乃果たちレベルの美少女になれば性別など意味をなさない。
女子だろうと男子だろうと、潤んだ瞳で迫られれば、否と言うことはほぼ出来ない。
「う……分かりました……。少しだけですよ?休憩したらまた作業に戻りますからね」
「海未ちゃんありがと──!大好き!!」
海未に抱き着いて頬擦りする穂乃果。
うーむ、眼福である。
「わたしお菓子作って来たんだ~。みんなで食べよう」
「わーい!ことりちゃんも大好き~!」
「ありがと、穂乃果ちゃん」
穂乃果はことりにも抱き着く。
何だこの空間は!?
見ているだけでもうお腹いっぱいです。
目から栄養分を摂取していると、携帯の着信音が鳴り響いた。
「ハイサイ?」
『ヨ…タ……へんだ!』
聞こえてきたのはシオンの声。
だがノイズ混じりで何を言っているのか分からない。
「シオン?何言ってるのか分からないんだけど?」
『た……のが……えて!』
ツーツーツー、という通話の終了を知らせる音が鳴る。
「……何だったんだ?」
「なにかあったんですか?」
「分からん。シオンからだったけど、ノイズの所為で何て言ってるのか分かんなかった」
世界に起きていた“異変”に、この時の俺は気付くことは無く、ことりのお手製お菓子を腹に収めていたのだった。
それに気付いたのは、本当に事態が手遅れになる一歩手前だった。
「よぉーし!腹も膨れたし、次は昼n…」
「作業を再開しますよ」
昼寝の単語を出そうとすると、冷たい笑顔を向けられた。
こ、怖ぇ!
無言で放たれる威圧感よりヤバいな……。
ふざけて長い時間怒られるのは、真っ平御免だ。
俺は腹を括り、山積みになっている書類に手を伸ばす。
……伸ばそうとした時だった。
「た、大変です!」
生徒の一人が生徒会室に乗り込んできた。
「どうかしましたか?」
息を切らしながらやって来たその子。
その表情には、疲れ以外の感情──困惑の色が見られた。
「た、建物が消えて!う、海がすぐそこに!ふ、船が!」
海?船?
音ノ木坂の近辺では、まず聞かない言葉が出てきた。
けれど、戸惑う余り言葉が上手くまとめられておらず、こちらとしては疑問符しか出てこない。
「これ飲んで、一旦落ち着こう?」
ことりはお茶をコップに注ぎ、生徒に渡す。
「あ、ありがとうございます……」
彼女は、渡されたお茶を喉を鳴らして飲み干す。
「どう?落ち着いた?」
「は、はい……」
「良かった」
本当に落ち着いた様子の生徒を見て、ことりは安堵した。
「それで何があったの?ゆっくりでいいから教えて」
あくまで優しく、急かさないように穂乃果が尋ねる。
「はい……。わたしは今日図書室に来ていたんですけど、用が済んだので帰ろうとしたら、突然地震が来て……」
「ああ、さっきのか。デカかったよなぁ」
「でもそれだけでしたよね?」
「その後なんです。窓から外を見たら、建物や人が消えていって、その跡に新しい建物が出てきて……。急いで外に出ようとしたら、いつの間にか潮の香り?みたいなのがしてきて……」
そう言われてみると、確かに……少しだけ空いた窓から海近辺の潮の香りがするな。
だけど、音ノ木坂の近くに海なんて無かったはず……。
「また窓から覗いたら、海と船が見えて……それで……」
「生徒会室まで駆け込んだってことね」
「はい……ごめんなさい。お仕事で忙しくしているとは思ったんですけど……」
落ち込んだ声、表情で、彼女は
「大丈夫だよ!ありがとう、大事なことを教えてくれて!」
「生徒会長……!」
「何が起きてるのか気になるし、一度外に出てみるか」
「ヨウタ!?書類はどうするのですか!?」
海未がそれを指差して言うが、
「この子の様子から察するに、多分ヤバいことが起きてるんだろ?ならそっちを優先すべきじゃないかね?」
「ですが……」
「何も無かったらまた戻ってきて再開すればいいだけじゃん。それに生徒の為に活動するのが生徒会だろ?」
俺の言葉を聞き、海未は嘆息する。
「……分かりました。終わり次第すぐ書類まとめに戻りますからね」
「了解!」
海未の同意も貰い、書類を一旦片付けて外にでた。
そして俺たちは衝撃的な光景ととある二人を目の当たりにしたのだった。
***
浦の星学院が消え、現れた音ノ木坂学院。
これは何か大きな野望が動いている。
いつもの耀太ならそう考えられるはず。
けど今は……。
「どうして……どうしてなんだ!」
唯一残った浦の星の校門の前で膝をつき、拳を地面に叩きつけていた。
「やめて耀太!自分を傷付けても何も始まらないよ!」
耀太の手を掴み、彼を叱咤する。
「でも……でも……!」
耀太は酷く顔を歪ませていた。
「誰も守れなかった……誰も……」
“誰も守れなかった”。
仮面ライダーとして戦う耀太にとって、その結果は彼を後悔の念に苛ませているのかもしれない。
「諦めないで。あなたはいつもそうだった。どんなに状況が悪くなっても、どんなに強い敵が現れても、その度に乗り越えてきた。わたしが好きになったのは、“諦めることを知らない”耀太なんだから」
わたしは嗚咽を漏らす耀太を抱き締める。
強く逞しい体が、今だけは弱々しく感じる。
けど、そう感じたのもほんのわずかだった。
「ありがとう、果南ちゃん──」
涙を拭い、わたしにお礼を言う耀太。
……冷静に考えたら、今凄い恥ずかしいこと言っちゃったな~~~……。
顔が熱を帯びて熱い。
鏡を見たら、茹蛸みたいな色をしているわたしが映るだろう。
そしてわたしは、もう少し言葉を選べばよかったと後悔することになった。
「えーっと……そこのお二人さん?大丈夫ですか?」
大変なものを見てしまったという
「え、あ、これは…その……!」
弁解しようにも、羞恥心が抑え切れずに上手く喋れない。
「あ、いえ、その……」
相手の男の子も、間が悪かったと思ってしまったようで、はっきりと言葉を発せていない。
ど、どうすれば……。
「ありがとう、果南ちゃん。ここは俺に任せて」
不意に耳打ちされ、ドキッとしてしまう。
その声は既にいつもの耀太に戻っていた。
「すいません、お恥ずかしいところを見せてしまって……」
「あ、いえ……俺の方もずっと見ちゃっててすいません……。えっと何かあったんですか?」
「実は、ここにあった学校ごと、友達がみんな消えてしまったんです」
言っていることは非常識であるけれど、
「つまり、わたしたちの学校とあなたたちの学校が入れ替わってしまったということですか?」
黒髪の女の子が耀太の言ったことに付け加える。
「はい、その認識で合ってると思いま……」
耀太はそれを肯定した……したはずなんだけど……。
その耀太が、硬直した。
「入れ替わった?今入れ替わったって言った!?」
「は、はい!」
「耀太、落ち着いて。ごめんね、びっくりさせちゃったみたいで」
「い、いえ、大丈夫です。それより──」
「「?」」
「あなたも“ヨウタ”くんって言うんですね」
おっとりとした雰囲気の女の子が、黒髪の子に続くようにそう言った。
「あなた“も”?」
そんな彼女の言ったことに疑問符を浮かべて首を傾げる耀太。
すると男の子が、
「ああ。俺の名前が小野寺ヨウタって言うんです。名前言ってませんでしたね」
「なるほど、そう言うことですか。俺は島村耀太って言います」
「わたしは松浦果南です」
耀太に続いてわたしも自己紹介をする。
それに続いて向こうの女の子たちも名乗った。
「園田海未と言います」
「南ことりです」
「高坂穂乃果です」
自己紹介も終了。
それから再び本題に……
「「え?」」
「「え?」」
「「えええええええ!?」」
すぐには戻らず、わたしと耀太の叫びが木霊するのだった。
***
俺たちの目の前に現れた四人。
小野寺ヨウタと三人の女の子。
ヨウタくんのことはまあいいとしよう。
問題は後の三人だ。
「ねえ、あの三人って……」
「う、うん……μ'sの三人だと思うけど……」
状況が状況な為、気が付かなかったが、名前を聞いて顔をよく見てみると、確かにμ'sの三人だった。
「「ちょっと若すぎない?」」
二人揃って出た意見は、表現方法はともあれ、的を射てはいた。
μ'sの名前は目にしたことはあるが、どれも過去のことを綴った記事や特集だ。
それにμ'sのライバル、A-RISEはプロのアイドルとして活動しているし、梨子ちゃんも音ノ木坂にいた頃、メンバーの名前も一度も聞いたことはないと言っていた。
けど、今目の前にいる彼女たちは音ノ木の制服を着ていて、見た目も果南ちゃんとほとんど変わらないように見える。
「どうかしましたか?」
「「い、いや!何でもないよ!?何でも!?」」
「何かこの前のことりちゃんみたいだね」
「ははは……」
苦笑することりちゃん。
そして穂乃果ちゃんが「この前」と言ったことを聞き逃さなかった。
「さっき海未ちゃ……海未さんが入れ替わったって言ってたけど、もしかして時代を超えちゃったとか……」
「わたしも同じこと考えたよ……」
もしそうだとしたら……。
「「千歌(ちゃん)たちが今の時代のことを喋っちゃったらどうしよう……」」
タイムスリップ物のド定番、タイムパラドックスが起こってしまうかもしれない……。
梨子ちゃんやダイヤちゃん、曜ちゃんもいるから大丈夫か……?
「さっきから二人で何話してるのー?」
「「本当に何でもないから、気にしないで!」」
「う、うん……」
二人揃って叫んだことで、穂乃果ちゃんが後ろに下がってしまう。
「そ、それよりさっきの話の続きだけど……」
「は、はあ……」
四人とも間の抜けた
「ま、まあ、俺たちもその話を聞こうと思ってたんだ。立ち話もなんだし、一度生徒会室に戻ろう」
「待ってくださいヨウタ。この二人の入校許可証が……」
「いいじゃないの。緊急事態なんだし」
「ですが……」
「ほら二人ともついてきて」
海未ちゃんの言うことを聞かず、ヨウタくんは歩いて行ってしまう。
「はあ……仕方ありません。二人ともついて来てください」
彼女も遂に諦め、俺たちは彼女たちついていくことにした。
やって来た音ノ木の生徒会室。
まだ仕事の途中だったのか、書類が横にどかされている。
「二人ともお茶をどうぞ」
「ありがとうございます」
席に着くと、ことりちゃんがお茶を淹れてくれた。
うーん、流石ミナリンスキー。
「美味しい……!」
果南ちゃんも絶賛のようだ。
「ありがとう、果南ちゃん♪」
「早速話に入りたいんだけど、ここはどこなんだ?海があるってことは太平洋か、日本海沿いなのは分かるけど……」
「ここは内浦だよ」
「内浦!?」
海未ちゃん、ことりちゃんがその地名に驚き、海未ちゃんは声も上げた。
そして穂乃果ちゃんは……、
「内浦って?」
ピンと来ていないようだ。
「静岡県だよ、穂乃果ちゃん」
「なぁんだ、静岡県かー……ってええええ!?静岡県!?」
Oh……まるでギャグマンガのような時間差に、某小学生探偵のような笑い声が出てしまう。
「ここ以外にも消えたり、いきなり現れたりしたものってあるのか?」
「うん。色んな店や民家が消えて、そこに別なものが現れたよ」
「そうか……」
頭を抱え、唸る俺たち。
そこに……、
「失礼します。ヨウタさんにお客さんです」
ノック音と一人の生徒の声。
「どうぞー」
ヨウタくんがそう言うと、生徒と一緒に女性と男性が入って来た。
しかも見覚えのあるどころではない二人が。
「案内してくれてありがとう」
「いいえ。わたしは部活があるのでこれで」
「頑張ってね」
「「神子さんにアンク(さん)!?」」
「……誰?」
女神さま(大人モード)に、アイスとコンビニの袋を持ったアンク。
ヨウタくんたち四人は完全にあれ誰状態。
俺たち二人に関しても「どうして?」の一言しか出てこない。
「二人ともみんなと一緒に準備してたんじゃ……」
「アンクくんがアイスが食べたいって言ったから、一緒に行ったのよ」
「そしたら建物が変わってたもんでな。さっきの奴に案内してもらったんだ」
なるほどな……。
とか何とか言って、本当はこうなることを察知してたりして……。
『ほう、よく分かったな。その通りじゃよ』
「(本当なのかよ!?)」
『ま、アンクも付いて来たのはのは不幸中の幸いじゃな』
「(あ、アンクは偶然なのね)」
ともあれ戦いで困ることは無くなったわけか。
「耀太くん、果南ちゃん、この人たちは?」
念話をしていると、穂乃果ちゃんが俺たちに二人のことを聞いてきた。
「えっとね、そっちの女の人は俺の叔母で島村神子さん。そっちが俺の……相棒って言ったらいいのかな?まあそんな感じのアンクだよ」
「四人ともよろしくね」
女神さまは四人に会釈し、四人もまた会釈する。
「それにしても驚いたわ。いきなり学校が変わってるんですもの」
「耀太くんは泣いてたもんねー」
穂乃果ちゃんがからかい気味にさっきのことを話し始める。
「ちょ、それは言わないでよ!」
「くっくっく……はははは!」
「おいアンク!」
それを聞いたアンクが大笑いしやがった。
「そう言えば、その時果南ちゃんが耀太くんを抱き締めてたけど、二人ってもしかして……」
「へえ、果南さんなかなかやるわね」
「そそそ、それはあの、そのぉ……」
ことりちゃんによる追撃。
果南ちゃんは顔を真っ赤に染め上げ、今度は女神さまが微笑ましげにこちらを見てくる。
耀太と果南は9999のダメージを受けた。
「「って!話を脱線させるな────!!!!」」
そして俺と果南ちゃん、二人の怒号が学校中に響き渡ったという一連の流れは、後にメンバーに伝えられたと言う。
「申し訳ありませんお二人とも……二人には後で言っておきますので……」
「ははは……大丈夫ですよ。人目につく場所であんなことをしてた方も悪かったんですし……」
「そうそう、だからあんまり厳しく言うのは……」
果南ちゃんからご容赦の声。
やっぱ優しいな。
「何があったのかは二人に聞くとして、異変の話をしましょうか」
「うん、前半凄い気になること言ったけど、後半のそれには賛成かな」
この状況をどうにかする為にも、それが良いだろうとみんなが賛成だった。
「建物や人が消えたり、現れたりしているのはみんな知っているわね?」
「俺たちは目の前で見たし……」
「わたしたちも突然内浦に来てしまいましたからね。しかも学校ごと……」
俺や果南ちゃんの考察としては時代を超えてしまったのではないか、というものだったが、それを凌駕する恐ろしい事態が起きていた。
「あなたたち、空は見た?」
「「空?」」
六人全員が揃って疑問符を浮かべる。
どうしていきなり空の話なんだ……?
「その顔だと見てないのね」
「ああ……?」
女神さまはノートPCを取り出し、画面をつけた。
「なあ、アンク。お前は空見たのか?」
「ああ。今度の相手はかなり厄介だぞ」
「今度の相手?」
ヨウタくんが俺とアンクの会話、特にアンクが言った「相手」という言葉に反応を示した。
「これを見て」
モニターに映し出されたのは、空を飛んでいるものから撮っている映像。
多分、タカちゃんとバッタくんだろう。
建物の入れ替わりはまだ続いているようだ。
だが問題はそこではなかった。
映像が町から空に移り変わる。
雲一つない青空。
そして浮かぶ青い星。
「え……」
誰かが声を漏らす。
映し出された青い星は、見間違うはずもない。
「神子さん……これどういうこと……?」
誰もが思っているであろうことを、果南ちゃんは尋ねた。
「これは地球よ。平行世界のね」
「平行、世界……?」
つい一年程前までは架空のものだと思っていた。
だがそれも、転移させられたことで本当に存在するということを思い知らされた。
しかし、また何で平行世界の地球が……。
「ええ。地球にそっくりな星……というのも考えたけれど、太陽系にはそんな星ないし、その線が妥当ね」
「でも……そんなことあり得るの?平行世界なんて、お話の中だけなんじゃ……」
「いえ、平行世界というのは存在してるようなんです」
「「え?」」
平行世界なんて言葉とは程遠いと思っていた海未ちゃんからのその言葉。
俺も果南ちゃんも思わず声を漏らす。
「俺ちゃんは一度死んで、転生した人間だからな。しかも穂乃果たちとは別の世界からの」
「「え?え?ええええ!?」」
俺たちは今日一日で、何度驚けばいいんだ?
同じ異世界から来た人間としては、包み隠さず話しているのは正直驚き以外の何でもない。
「そうなんだ……」
開いた口が塞がらないとは、今の果南ちゃんのようなことを言うのだろう。
「まあそれは良いとしても、二つの地球を繋げる目的は──」
刹那、PCの画面が砂嵐のようになり……。
「ん?おい、何だこれ?」
謎の空間──どちらかというと部屋か──が映し出された。
さらに謎の人物一人と、今日戦った仮面ライダーが一人。
そして……。
「「!?」」
俺が戦ったライダーとはもう一人。
仮面ライダーポセイドンが立っていた。
「「なんでアイツがあそこに!?」」
ヨウタくんと声もセリフもかぶる。
「「え?」」
「ど、どいうこと?なんであの人があそこに……」
「何故ユウヤがあそこに……」
果南ちゃん、海未ちゃんがそう声に出す。
だが画面の向こうの二人がそれに答えてくれるはずもなく、その真ん中に座る、ローブの人物が口を開いた。
『地球人のみなさん、初めまして。わたしの名前は“次元王”。全ての次元、全ての世界を管理するものです』
次元王と名乗った人物は、ボイスチェンジャーを使っているようで、性別の判別すらつかない。
『突然ですが、あなたがたの住むこの地球は──滅亡します』
「「!?」」
滅亡、その言葉が本当か否か、俺は直感的に悟った。
これはマジだと。
『もうご覧になった方もいるでしょう。空に浮かぶ“もう一つの地球”を。あの地球はこちらとほとんど同じ進化を遂げた地球。ですが、決定的に違うのがあります。それは科学力です』
俺と果南ちゃん、女神さまとアンクが四人を見ると、四人は思い切り顔を横に振る。
『あちらの地球は科学が大幅な進歩を遂げ、いずれの国もある兵器を持つようになりました。あなたがたの言葉を借りるならば怪人……とも呼べる生物兵器。それらの力は絶大で、ありとあらゆる兵器を凌駕する存在。そして彼らはその兵器を使って、恐ろしい計画を企てたのです』
「ふざけんな!よくもまあ、あんな口からでまかせを……!」
『その計画は“全地球統合化計画”』
「全地球……統合化計画……」
『全ての次元の世界の地球を、自らの世界と融合させ支配下に置こうという恐ろしい計画をわたしたちは知り、それを止めるために二人の戦士を送り込みました。しかし、圧倒的な数の差に成す術もなく、このままでは奴らの計画を止めることが出来ないのです。そこで地球人のみなさんに有志としての戦士……義勇軍を募ろうと考えました。怪人に対抗する仮面ライダーの』
「「!?」」
次元王はクロニクルガシャット、そしてライオトルーパーのベルトを見せてきた。
仮面ライダーの……義勇軍?
一体こいつは何を言ってるんだ……!
『みなさん、わたしたちとともに戦い、故郷の平和を守るのです!……現在わたしたちは次元母艦よりこれをお伝えしています。間もなく、ポイント301“内浦”に停泊します。我こそはと思うそこのあなた、是非わたしたちとともに戦いましょう!!』
その言葉を最後に映像は途絶え、もとのカンドロイドの映像に戻った。
「……アイツらなのか。この世界を……二つの地球をおかしくした黒幕は……」
「恐らく。全地球統合化計画というのも奴らがでっち上げたもの。向こうの地球でも同じものが流れたはずよ」
「じゃあ生物兵器の怪人って!」
「……同じく募られた義勇軍ね」
人間同士で同士討ちさせるつもりなのか!?
なんて卑怯なやり方なんだ!
「ちょっとヨウタくん、どこに行くの!?」
穂乃果ちゃんが彼の名を呼ぶと、ヨウタくんは扉の前に立っていた、左手に何かを持って。
「決まってる、アイツをぶっ飛ばしに行くんだよ。次元王だかなんだか知らないが、そんなふざけたことさせるか!」
「待ちなさい」
出ていこうとするヨウタくんを女神さまが止める。
「何でだよ!早くしないとアンタらだって……!」
「何の考えもなしに動けば、それこそ奴らの思うつぼよ。ただえさえ分断されてしまっているのに、あなたと耀太、アンクくんを頭数に数えてもこちらは三人。対するあちらの戦力は未知数。無謀にも程があるわ」
「三人……もしかしてお二人も仮面ライダーなんですか?」
「あ、うん。アンクはライダーじゃなくてグリードって言う怪人で……あ、悪い奴じゃないから大丈夫だよ。……まあ、アイスばっかり食べて財布の敵かもしれないけど……」
「ふん、知るか。だが確かにミコの言う通りだ。俺たちを
「なら一体どうすれば……」
打つ手はないのか……そんな雰囲気の中、一人女神さまは不敵な笑みを浮かべた。
「ふふふ……わたしにいい考えがあるわ。どうせならその罠を有効活用させてもらいましょう」
「「え?」」
こうして俺たちは、別れてしまった仲間たちと合流する為、それぞれの戦いを始めるのだった。
***
「はあ……アンタの叔母さんってあんなヤベー人なのな…」
「……否定はしないよ」
「つべこべ言うな。とっとと行くぞ」
コイツ……高級アイス一ヶ月分に釣られやがって……。
ヨウタくんが「ヤベー人」と称する、自称俺の叔母の女神さまが考えた作戦。
それは、俺とヨウタくん、そしてアンクの三人で内浦に停泊している次元母艦を爆破することだった。
こちらとあちら、二つの地球を繋ぐ母艦を爆破してパニックを起こしている間に、女神さまがシステムをハッキング。
自称義勇軍を送り込む為のゲートを開いて、向こうにいるみんなと合流するというものだ。
「「変身!」」
「タカ!クジャク!バッタ!」
俺はオーズ タジャバ亜種に変身、ヨウタくんはなんと王蛇に変身し、アンクはグリードへ姿を変える。
変身が完了した三人が並び……
「タカ!クジャク!バッタ!ギン!ギン!ギン!ギガスキャン!!」
「ファイナルベント」
「「はあああ!!」」
「セイヤ──!!」
それぞれが船に向けて大技を放った。
アンクと俺の火炎弾、ベノクラッシュが船に直撃し、大穴を開け、爆炎が上がる。
そしてアラートが鳴り響き、あっという間に戦闘員に囲まれてしまった。
「そうなるよなぁ」
「丁度良いや。手始めにこいつらを血祭りにあげてから、ボスに殴り込むに行く」
物騒なこと言うな……。
「っていうかこの戦闘員たち、Xガーディアンじゃねーか!」
頭部と胸部にXの文字が刻まれたロボットたち。
ビルドに登場する戦闘員、ガーディアンの財団X製のものだ。
今回の事件に財団Xが関わっているっていうのか?
「ソードベント」
「おらおらおらおら!!!!」
ベノサーベルを召喚したヨウタくんがガーディアンを斬りつけていく。
砕け散った残骸が周りに散らばった。
「わお……」
「アイツ、バカだろ」
「おいアンク、失礼だろ」
アンクも俺もガーディアンを壊しながら言葉を交わす。
メダジャリバーで斬り、タジャスピナーで火炎弾を撃つ。
一斉に掛かって来る奴らを、一体一体確実に減らしていく。
「行くぞみんな──!!」
いつの間にかアドベントでエビルダイバーとメタルゲラスも召喚し、モンスター三体とともに奴らを蹴散らしていた。
「コンボ使うか?」
「やめとくわ。てかガーディアンなら使わなくても……」
その発言がフラグであったことに気付いたのは“それ”が現れた後だった。
俺たちを覆う影。
「なんじゃこりゃああああ!?」
合体したガーディアンを見たヨウタくんが絶叫する。
周りをよく見ると、さっきまでうじゃうじゃといたガーディアンたちが一体も残っていない。
「全部アレに合体したのか」
「アンク!クワガタとウナギとゾウでお願い!」
「ほらよ」
アンクから渡されたメダルを三枚受け取り、ドライバーに装填。
「クワガタ!ウナギ!ゾウ!」
亜種形態、ガタウゾにチェンジした。
「耀太もムチか。んじゃ俺も」
「スイングベント」
ベノサーベルからエビルウィップに持ち替え、俺とヨウタくんはガーディアンに攻撃を開始する。
「とお!せい!!」
ヨウタくんがムチを脚にかけるが、引っ張られるばかりで止めることが出来ない。
「うおおおお!ちょ、耀太そっちもお願い!」
「了解!」
俺もウィップをもう片方の脚にかけ、ゾウレッグの力で踏ん張る。
「ふん!」
二人がかりでも、ガーディアンに引っ張られる。
「コイツ、パワーが尋常じゃねえぞ……」
「ならこれでどうだ!」
クワガタヘッドとウナギウィップに電気を流し、カーディアンを感電させる。
合体しても所詮は機械。
許容範囲以上の電流を流され、ショートしたようだ。
ガーディアンは煙を上げながら機能停止し、崩れた。
「ふう……」
出てきた敵は全て片付いた。
後は女神さまがゲートを開いてくれるのを待つだけだけど……。
「お、神子さんから連絡だ」
丁度いいタイミングで、タカちゃんとバッタくんがやって来た。
タカちゃんがバッタくんを離したので、自由落下を始めたバッタくんを掌でキャッチする。
「神子さん、敵は全部片付けたけど……」
『ごめんね、耀太』
「え?果南ちゃん?」
唐突に謝罪してきたのは果南ちゃん。
……何だろう、胸騒ぎがする。
『ハッキングは出来たみたいなんだけど、敵に見つかっちゃって……』
「……分かった。すぐ行く」
……まさか裏の裏をかいた罠だったのか?
今となってはどうでもいいか……。
兎にも角にも、窮地に立たされているであろう女神さまたちを救う為、俺たちはタカちゃんの案内のもと、船の中を走ったのだった。
……そして到着すると、ガーディアンや人、ブレイクされたガイアメモリの残骸が転がる中、ポッピーに変身した女神さまがコンソールで何かを操作していた。
「ホントにごめんね、耀太!」
「申し訳ありません……」
「え?これどういうこと?」
敵に会った……というより、管理室に乗り込んで大暴れしたようにしか見えないこの状況。
話が全く見えてこない……。
「えっと……この部屋に入ったら、いきなりこの人たちに襲われちゃって……」
ことりちゃんが分かりやすく説明してくれた。
つまり、部屋に入った瞬間、ガーディアンたちに襲われ、俺たちを呼ぶも、何故かゲーマドライバーを持ってた女神さまが蹴散らしたってことか……。
「「良かった〜〜〜……」」
俺たちは二人揃って安堵の息を漏らす。
果南ちゃんたちに何かあったらみんなに顔向けできない。ヨウタくんも俺と同じようだった。
「みんなこれを見て」
女神さまが操作したものを見るのは、今日はこれで二度目になる。
モニターが映していたのは、恐らく艦内のカメラの映像。
そのうちの一つに、次元王がゲートと呼んだものと思われるものがあった。
「あれが“ゲート”か」
「それで間違いなさそうね」
「開いてるのは分かったけど、ここまでどうやっていくんだ?さっきので警戒はだいぶされてると思うんだが……」
「大丈夫よ。セキュリティーも大体潰したし、わたしの端末に地図のデータをインストールしておいたから」
「アンタマジで何者だよ!?」
女神さまです……。
ヨウタくんが叫んだ疑問に、心の中で答える。
「
年甲斐もなく?ウィンクして答える女神さま。
『誰が年甲斐もなくじゃ!まだ千年しか生きとらんわ!!』
俺らからしたら十分生きてるよ!!
「それより問題はこの二人よ」
ゲートのある場所にいる二人のライダー。
ポセイドンとともにいる青いライダー──アビスは、元々は敵だったが、今はヨウタくんたちの仲間だと言う。
そんな彼が何故この世界にいるのか、そしてたくさんの人の命を奪ったのか……。
「あ!アビスがゲートを通って行った!」
「これであそこを守ってるのはアイツ一人か」
「よし!四人でいけば一人くらい楽勝だろ」
ヨウタくんがそう言うが、俺は首を横に振り、それを否定する。
「奴は強い。俺は一度、奴に負けてるんだ」
「え……そうなの……?」
俺は果南ちゃんに確認を取り、その時の出来事を四人に話した。
そしてその時に敗北したことを。
「そうか……そんなことがあったんだな……」
四人は暗い顔になる。
こんな話を聞かされたら当然か。
だがそんな雰囲気も彼女によってぶち壊された。
「そして試練を乗り越えた二人はとうとう結ばれ……」
「「まだ結ばれてません!!」」
「“まだ”か、ってことはそのうちそうなるってことか」
「「あ、いや、それは……」」
アンクによる追撃。
もう止めて!俺たちのライフはゼロよ!!
「まあでも、確かに四人でなら、油断さえしなければ勝てない相手ではないわね」
「そうですね……今みたいな連携プレーを是非戦闘で発揮していただければ幸いです」
念には念を入れて、停止はしているはずだが、最後にこの部屋のカメラを潰し、ゲートに向かった。
***
セキュリティー管理室のカメラが壊され、映像が途絶える。
「警戒心の強い人たちですね。もっともこちらには筒抜けですが」
ローブを纏った人物、次元王は“彼女”に通信を入れる。
「彼らがそちらに向かっています。あなたがやるべきことは……分かってますね?」
『………』
彼女は何も喋らない。
覚悟はとうに出来ているから?
違う。まだ迷いがあるから。
けれどやらなければいけない。
大切なものを取り戻すために、もう一度──。
次元王は通信を切り、もう一つのモニターを覗く。
「彼も果たせると良いですねぇ。復讐とやらを」
モニターの向こうのアビスを見てほくそ笑む次元王。
そしてその手には、石化したドライバーが収まっていた。
***
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!
今日は閉校祭の準備を学校全体で行っていた!
と思っていたら、いつの間にか学校ごと東京に飛ばされていた。
それも音ノ木坂学院があるべき場所に。
何を言っているか分からねぇと思うが、俺も何を言っているか分からねぇ……。
転生とか転移とか、そんなちゃっちいもんじゃ断じてねぇ。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。
「えっと……これはどういうことなの?」
「分かりません……ただ……」
梨子先輩、佐藤ちゃんとともに見つめた先にいるのはAqoursのメンバーと、浦の星の生徒たち。
そして音ノ木坂のスクールアイドル、μ'sのメンバー+俺も見たことの無い男たちだ。
μ'sのメンバーに関してはついさっきまで練習をしていたであろうことが伺える。
「もしかしたら俺たちのいた世界じゃないかもしれないですね……」
遥か上空に浮かぶ青い星。
誰が見ても間違うことは無いだろう。
「あれって地球よね?」
「地球ですね。誰がどう見ても地球ですね」
何の情報も無い以上、今しなければいけないことは一つ。
千歌先輩たちに、俺たちの世界のこと、特にラブライブに関してのことを喋らせてはいけないということ……
「本当にエリーチカですわ!あ、あああ握手!握手をお願いします!」
「え、ええ……わたしで良ければ……」
あの絵里ちゃんが引いちゃってる……。
μ'sの背中を追うことは止めた……が、やはり憧れの存在に変わりはないみたいだ。
まあ当たり前か。
今やμ’sは伝説の……
「今や伝説となっt!?むぐぐぐぐぐ!?」
「お姉ちゃん!?」
「ちょ、シン!?何してるの!?」
「みんなも一度こっちに来ようか」
あっぶね──!!
タイムスリップにしろ、平行世界にしろ、時代が違うのに変わりはない為、余計なことを口走ろうとしたダイヤ先輩の口を塞ぐ。
それと同時に梨子先輩と佐藤ちゃんが残りのメンバーを俺たちの方に連れてきた。
「何をしますの!?折角人が感動に浸ってるときに!!」
「ちょっとボリュームを下げてください!今から大事なことを話すんですから!」
「「大事なこと?」」
これがアニメや漫画なら、頭の上に大きな疑問符が浮かんでいることだろう。
ああ……やっぱりこれ目の前しか見えてないな……。
「みんな、上を見てくれる?」
「上?上って言われても空が見える以外何も……え?」
千歌先輩が空を見上げたまま固まる。
「何ですの?梨子さんまで一緒になって一体……へ?」
「お姉ちゃん?」
ダイヤ先輩、ルビィと続き、次々と空を見上げては硬直する。
俺たちの異変に気付いたのか、μ'sの面々も空を見上げて動かなくなった。
「「えええええええ!?!?」」
そして数秒後、Aqours七人、μ's六人+男三人の計十六人の叫び声が響いた。
それから少しして……ここは生徒会室。
「つまり、お前たちはあの地球からここに飛ばされたってことで良いんだな?」
「この状況を考える限りそうとしか……」
自己紹介、そして状況整理を済ませると、μ'sのマネージャーの一人、シオンさんが梨子先輩に尋ねた。
信じられない……という
寧ろ平行世界というものが存在することを知っているようにも見える。
「そんなこともあるのか……」
「そんなこと
今度はシオンさんが気になることを口にし、それに対して鞠莉先輩が反応を示した。
「ああ、俺たちは元々この世界の人間じゃないんだ」
「「はい?」」
そう言ったのはシュウジさん。
さらっととんでもないことを言った為、梨子先輩たちはもちろん、俺や佐藤ちゃんも脳の処理が追い付いていない。
「この三人とあともう一人、穂乃果たちと一緒にいるはずのヨウタって男の子もそうらしいの」
「そ、それは所謂転生者というものずら!?」
「そ、そうだけど……」
花丸が、これまたマネージャーであるフミさんに迫る。
「は!?背筋に悪寒が……」
その反応…どうやら恋愛が関わってきそうだな……。
「と、とりあえず、話を一旦整理しましょう。本来なら音ノ木坂学院がある場所に浦の星学院が建っていること。そして上空に地球が浮かんでいることを踏まえると、俺たちの世界は交わってしまっている……そう捉えても問題は無いでしょうか?」
「それで間違いないと思うにこー。穂乃果たちの様子を見に来たら、学校が変わっちゃってるんだもの。もうにこ、何が何だかわからないっ!?……いきなり何すんのよ!痛いじゃない!」
「おい、アイツらドン引きしてるぞ」
「そんなわけ無いでしょう。あ~もしかしてにこに嫉妬してる?自分は顔を見ただけで泣かれたからっ!?何で二回も叩くのよ!」
「すまん、手が滑った」
グーでいってる辺り絶対そうじゃないだろ……。
「すいません……そろそろ話進めても……」
「ごめんなさい、梨子さん。二人とも、ふざけるのもいい加減にして真面目に聞くわよ?」
「分かったわよ……」
「悪かったな、話の腰を折っちまって」
「い、いえ……」
流石絵里ちゃん……μ'sの中で一位二位を争う真面目枠(俺的に)なだけある。
こほんと咳払いし、梨子先輩が本題に戻した。
「これはわたしの想像なんですけど……今回の事件、何だか良くないことが起きようとしている……!?」
梨子先輩がそう話そうとすると、突然、この場にいる全員の携帯に謎の通知が送られ、操作することなく動き出した。
「な、何!?」
「何だこれ……」
動画……どこか気味の悪い場所が映し出され、画面の中央にローブを着た人物。
そして両サイドに青いアーマーのライダーが二人佇んでいた。
「「ユウヤ/ポセイドン!?」」
片方はシオンさんたちの知り合いだったようで、俺たちはもちろん、彼らも驚いていた。
『地球人のみなさん、初めまして。わたしの名前は“次元王”。全ての次元、全ての世界を管理するものです』
「次元王……?」
それから次元王と名乗る人物からとてつもなく壮大な話を聞かされた。
全地球統合化計画、宇宙の上に浮かぶ地球と戦うなど、俺からしたら胡散臭すぎる話を。
それは向こうも同じようで、
「バカバカしい。ていうか、黒幕コイツで決まりだろ」
「それには同意ですね。こちらとあちらの世界の一部を入れ替えたのは、恐らく出現した人たちを尖兵だと思わせる為。そこからさらに混乱を起こして……」
シュウジさんと佐藤ちゃんが自分たちの見解を出していると、近くで爆発音が聞こえた。
「今度は何なの!?」
「いよいよ奴らが本格的に動いてきたってことだろ」
「このタイミングではそうとしか言えないしな」
「お前らはここにいろ。奴らは俺たちがぶっ飛ばす」
そう言って三人は、俺たちにもとても馴染みのあるものを取り出し、出ていった。
「カザリ、ここは任せた。俺たちも行くぞ、佐藤ちゃん!」
「ええ、行きましょう!」
「変身!」
「変……身!」
俺たちも姿を変え、三人のあとを追った。
外に出ると、ガーディアン、マスカレイド・ドーパント、屑ヤミーなどなどの戦闘員たちが街の人々を襲い、建物を破壊していた。
「これ多すぎじゃねーか?」
「だが、このままにしておく訳にはいかない。やるしかないだろう」
「そういうことだな」
先に来ていた三人が合わせて二十体ほど片付けていた。
「ドリルアーム ショベルアーム クレーンアーム キャタピラレッグ」
「オラオラオラオラオラァ!!!」
CLAWsを四つ装着し、俺もガーディアンたちを粉砕する。
「アクアウェーブ!!」
「アイツらもライダーなのか。俺たちも負けてられないな」
「テンガン!サンゾウ!メガウルオウド!サイユウロード」
ネクロム──声から判断してフミさん──は、眼魂を変えてサンゾウ魂にフォームチェンジ。
孫悟空、猪八戒、沙悟浄をモデルとした三人を召喚し、四人で連携し、敵を倒していく。
「ダイテンガン!サンゾウ!オメガウルオウド!!」
ガンガンキャッチャーを出現させ、四人で連続攻撃で十体以上の屑ヤミーを葬った。
「雑魚ばかりだとどうも手応えがないな」
戦闘狂のようなセリフを吐いたギルス──シュウジさんはギルスクロウでガーディアンを引き裂いていく。
近接で戦っていたガーディアンをほとんど倒すと、距離を置いてのライフルでの一撃がギルスを屠ろうとしていた。
が、
「ふん!」
弾丸をクロウで真っ二つにし、今度はギルスフィーラーを展開。
ギルスフィーラーに捕えられたガーディアンを、他のガーディアンと接触させ、破壊する。
そしてギャレン──シオンさんも負けていない。
「ファイアバレット」
ラウズカードを駆使し、屑ヤミーの数を確実に減らしていく。
「いくら倒してもキリがないな。近づいてんじゃねー!おら!離れろ!」
ギャレンラウザーを逆手に持ち、トンファーのように使ってヤミーの顔を砕く。
「ドロップ ファイア ジェミニ バーニングディバイド」
ラウズカードの効果で二人に分身、脚に炎を纏って、ヤミーの大群にキックをぶち込んだ。
戦い続けること約十分弱、戦闘員たちの数は大体半分程度まで減ってきた。
「ブレストバスター」
「ディバィィィン……バスタ───ッ!!」
「慎司さん、それ絶対違います」
ディバインバスターもとい、ブレストバスターをキャタピラレッグを使って回転しながら撃ち、佐藤ちゃんにツッコまれながら周りの敵を掃討した。
「全部倒したぁ……」
「こんなに多い数を相手したのは初めてだったな」
「俺たちもですよ。でもこれでひとまずは安心ですね」
変身を解き、学校に戻ろうとしたその時だった。
「ストライクベント」
俺は何者かに攻撃されて吹き飛ばされ、壁に激突し、瓦礫の下敷きに。
「「宮沢(さん)!?」」
「今の攻撃……まさか!」
瓦礫をかき分けながら見たのは、あの映像で見た青い仮面ライダーだった。
***
オペレーター室を出た俺たちは、もう一つの地球と繋がっているはずのゲートを目指していた。
「この角を曲がって真っ直ぐ行った所にゲートがあるわね」
「そこにアイツが……」
フラッシュバックする敗北の記憶。
けど恐れている時間なんて無い。
一刻も早くみんなと合流しなければいけないんだ。
二つの地球を救う為に。
遂に目的地の直前まで迫った。
「良い?さっきカメラで見ることが出来たのはゲートをくぐったあのライダー──アビスとポセイドンの二人だけ。映らなかった死角に敵がいる可能性もあるわ」
「要するに敵を一人だと決めるのは早計だってことだろ」
「そうだね。それからこっちには果南ちゃんたちがいる。四人に危険が及びそうになったらすぐに撤退する」
「了解。んじゃ、行きます……か!!」
「ちょ!ヨウタ!?」
ドアを蹴り破ろうとしたヨウタくんだったが……。
「
相当痛かったのか、うずくまって足を押さえている。
「生身の人間の力じゃ壊れないわよ」
「は、やっぱりバカだったな」
アンクが再びヨウタくんをバカ呼ばわり。
……ごめん、フォロー出来ないわ。
心の中でヨウタくんに謝罪していると、まるでスーパーの出入り口のようにドアが開く。
ヨウタくんは足を押さえながら、俺を含めたそれ以外の六人も扉の向こうに目を向ける。
アビスが通って行ったゲート、そしてゲートの前には、一人ポセイドンが佇んでいた。
「さあて、大人しくそこを通してもらおうか。抵抗するっていうなら……分かってるよな?」
バックルを構えながら、半ば脅し染みたセルフを吐くヨウタくん。
しかしポセイドンは何も言わず、そのディーペストハープーンの穂を俺に向けた。
「指名ってことか」
「おい!俺たちのことは無視ってことか!?」
ポセイドンは俺以外眼中にないらしい。
けど、今はその方が都合が良い。
「神子さん、ヨウタくん」
「っ!?耀太、やめて!二人も何か言ってよ!」
流石果南ちゃんだ。
俺が何をしようとしてるのか分かったらしい。
「分かった。絶対死ぬなよ」
ヨウタくんも察してくれたようだ。
「ダメだよ耀太!!一人でなんて……!」
「安心しろ。俺は残る。コイツを死なせるわけにはいかないからな」
「アンクさん……でも……」
それでも俺一人で戦うことを許したくない果南ちゃん。
「無理よ、果南さん。こうなった耀太を止めることが出来ないのは、あなたが一番分かっているはずよ」
「………」
無理だとしても、死ぬかもしれない戦いに行こうとする仲間を止めない人はいないだろう。
それが好きな人ならば、尚更だ。
もし俺が果南ちゃんと立場が逆だったとしても、そうするだろう。
「ごめんね、果南ちゃ……!?」
果南ちゃんに謝ろうとすると、不意に彼女の唇が俺の頬に触れた。
「んな!?」
「「わあ!」」
「あらあら」
海未ちゃん、穂乃果ちゃんとことりちゃん、そして女神さまがそれぞれ違った反応をする。
え?ちょ、今何が起きたの!?
て、敵が目の前にいるのに……ていうか全く攻撃してこないって……。
頬を少しだけ赤く染めた果南ちゃんは、
「絶対追いついて来てね」
「──約束する」
小指を差し出し、俺も自分の小指を絡めた。
ポセイドンは彼女たちをあっさりと通し、俺とアンク、ポセイドンの三人だけがこの場に残った。
「随分と待ってくれるんだな」
「………」
「何も言わないのは『早く変身しろ』ってとこか」
アンクが訳してくれるが、大体それで合っているだろう。
俺はオーカテドラルを腰に当て、ベルトとスキャナーを装備。
タカ、トラ、バッタの三色のメダルを装填。
バックルを傾け、スキャナーで読み込む。
「タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!!」
オーズ タトバコンボへの変身が完了し、俺はメダジャリバーを構える。
ポセイドンも無言でディーペストハープーンを構え、お互いに臨戦態勢に入る。
先に動いたのはポセイドン。
奴は突きを繰り返し、俺はそれを避け、避けきれない攻撃をメダジャリバーでいなす。
次いで左から大振りの一撃。
トラクローを展開して攻撃を受けきる。
槍とクローが擦れ合い、金属音が鳴る。
「ぐ…… 以前よりパワーが上がってる……」
けどそれは俺も同じ。
ディーペストハープーンを弾き、体勢を崩したポセイドンの懐に素早く入る。
「は!は!はあ!」
腹部にパンチを打ち込み、ポセイドンを壁まで吹き飛ばす。
だがポセイドンは立ち上がり、槍を構えて迫って来る。
右に左に攻撃を避け、槍を掴んでポセイドンと肉薄する。
おかしい。相手の攻撃が単調……というより、戦い慣れていないような気がする。
姿形はポセイドンだが、変身者が違うのか……?
「おい、ヨータ何してる!さっさと決めろ!!」
「あ、ああ……」
槍を離して後にジャンプ。
スキャナーでもう一度メダルを読み込む。
「スキャニングチャージ!!」
バッタレッグの能力を解放して、技の体勢に入る。
脚にエネルギーを溜め、跳躍。
両足を揃え、タトバキックを放った。
しかし──。
「っ!?」
その姿を、かつての彼女と重ねる。
油断させる為の作戦かもしれない、そう考えることも出来ただろう。
けど俺は……。
「くそっ!」
体を大きく横に逸らしてポセイドンを避け、技は壁を破壊するに留まった。
「お前……マジで何してんだ」
「あんな姿見たら攻撃なんて出来る訳ないだろ。ねえ、君は果南ちゃんなんでしょ!?」
「っ!?」
正体を見破られたことに動揺し、一歩退いた。
「その反応、やっぱりそうなんでしょ?」
また一歩。
そして彼女はゲートに飛び込んで消えてしまった。
「待って果南ちゃん!アンク、追うぞ!」
「どっちにしろ行かなきゃいけないからな」
俺とアンクは彼女の後を追うべく、ゲートをくぐったのだった。
***
「くくくく……全て計画通りです。フェーズ1は終了。フェーズ2に移行しましょう」
次元王は、アンク、耀太、そして
複雑怪奇な数列が画面に並んではスクロールしていき、やがて画面中央に「ENTER」の文字が現れ、点滅する。
「フェーズ2、開始」
次元王はその文字に手を当て、操作を全て終えた。
それと同時に、二つの地球の大地が大きく揺れ始める。
謎の地震に戸惑う人々。
次元王に欺かれた人々は、それが頭上の上の地球に住む者たちによって行われたのだと誤認する。
そして戦士たちは気付く。
大地から出現しようとしている謎の物体に。
果南を追う耀太とアンク。
「ヨータ、あれを見ろ!」
「何だよあれ……」
仲間の元へ向かうヨウタたち。
「嘘だろ……」
「これは……」
交戦しているアビスと五人のライダーたち。
「くくくく……とうとう始めやがったな」
「お前たち……一体何を企んでやがる!?」
「佐藤!避けろ!」
二つの地球に現れた巨大な
その美しさに人々は絶句する。
だがその像は、世界を破滅へと導く災厄そのものであることを、まだ誰も知らない。
***
突如として現れた巨大な女人像。
上半身は人形なのだが、下半身がどう見ても魚類の類いのものだ。
きっと奴の仕業に違いないだろう。
けど今は果南ちゃんとのチェイスの真っ最中。
いつの間にかアンクが消え、俺一人で奮闘していた。
「流石果南ちゃんだ……足は速いし、スタミナも全然切れてないみたい……」
それに引き換え、俺は息が上がり始め、足も限界が近い。
アンクの野郎マジでどこ行きやがったんだよ!?
そう思った矢先、果南ちゃんの目の前にアンクは降りてきた。
「……っ!」
「はあはあ……やっと追いついた……」
「ったく、このくらいでへばってどうする」
「悪かったな……こちとら体力は普通の人間並みなんだよ……」
二人で挟みうち──と言っても俺はもう追いかけることも出来ないが──にし、逃げ場を失わせる。
「……どうして追いかけてくるの」
「どうしてって……そりゃあいきなり逃げたから……」
思っていたのと違う答えを返されたからか、「じゃあ…」と、質問を変えてきた。
「どうしてあの時技を当てなかったの……」
「言ったでしょ。あんな怯えた姿見ちゃったら攻撃なんて出来ないって」
「わたしはあなたを攻撃したんだよ!?それなのにどうして!?」
どうして、という悲痛な怒号。
まるで、あの時倒して欲しかったと言っているかのように聞こえる。
俺は一息吐いて、その問いかけに答えた。
「だって果南ちゃん、怖かったんでしょ?」
「え──?」
「まあ、誰だってあんなの食らうのは痛いだろうし怖いと思うよ。俺たちはそれを覚悟で戦ってるけど、果南ちゃんからはこう……半ばヤケクソみたいな感じがしたんだよ。逆らえない誰かにやらされてるみたいな」
果南ちゃんは黙って俯いてしまう。
聞いているかどうか分からないが、俺は続ける。
「もし何か嫌なことや辛いことがあるなら俺に言って。俺は君の力になるから。……って言っても俺なんかが出来ることなんて限られてるし、本当に力になれるかは分からないけど……」
「……して」
「え?」
「どうして……そんなに優しくするの?」
俺の胸に泣き崩れた彼女の体はとても冷たく、それだけで俺は何もかもを悟ったのだった。
泣き止んだ果南ちゃんから、大体の事情は聞くことが出来た。
まず一つ、この果南ちゃんばパラレルワールド、それも俺が倒れた最悪の世界から来たらしい。
続いて二つ、俺が倒れた際、果南ちゃんも一度息絶えたはずだったが、あの次元母艦の中で目覚めた。
そして三つ、彼女ともう一人、アビスはネクロオーバー──通称NEVERの進化系、
通常NEVERは特殊な酵素を注入することで体を保つが、彼女たちはそれを必要としないらしい。
またNEVER同様、不死身らしいがマキシマムドライブやそれに相当する技を受ければ死んでしまうと言う。
だからさっきはあんなに怯えてたんだな……。
「ごめんね、そんなこと知らずにあんな攻撃を……」
「ううん、耀太は何も悪くないよ。むしろ当然のことだと思う」
知らなかった……とは言え果南ちゃんに剣を向けてしまったことに罪悪感を感じざるを得ない。
二人とも黙ってしまい、気まずい空気になるが、それも一瞬だった。
「何揃って辛気臭い顔してんだ」
「アンク……しょうがないだろ、実際そんな話してたんだから」
「ほら、お前らも食っとけ」
アンクから渡されたのはアイス。
「お、おお……てかお前これ買いに行ってたのか」
さっきから見ないなと思ったら……。
「ありがとう、アンクさん……」
「気にするな。お前ら二人に倒れられるとチカたちがうるさいからな」
そう言いながらアンクはアイスを頬張る。
果南ちゃんが話してくれたんだ。
今度は俺の番だな。
「それじゃあ今度は俺の秘密を教えるよ。みんなも、こっちの果南ちゃんも知らない秘密」
「耀太の秘密?」
この時は知らなかったのだが、アンクの奴は俺の体のことを果南ちゃんに喋っていたらしい。
まあ、その話はまた後でということで……。
俺は左腕に力を込める。
「!?その腕……」
「俺もね、もう人間じゃないんだ。体の中にメダルが入り込んで、それからどんどんグリード化が進んで、今じゃ味も景色もハッキリしない。みんなの歌も……」
「そんな……」
「でも、体が怪人になってしまっても、人間じゃなくなっても、心は……心だけは人間でいるつもりだから……」
「心……」
アンクが買ってきたアイスを平らげ、立ち上がる。
「さて、そろそろ行こうか」
「え、行くってどこに……」
「学校だよ。ヨウタくんたちが音ノ木と入れ替わったって言ってたから、多分音ノ木があったところに浦の星があるんじゃないかな」
「わ、わたしは……」
「果南ちゃんも行くよ」
俺は果南ちゃんの手を握り、引いていく。
「あ……」
冷たいはずの彼女の手。
それが少しだけ、温もりを持った気がした。
そして彼らの言った通り、浦の星学院の校舎は音ノ木坂学院があった土地に建っていた。
「千歌ちゃん!」
「耀太くんにアンクさん!それから……え?果南ちゃん!?」
最初に
良かった……無事だったのか。
果南ちゃんを見て驚いている反応を見るに、ヨウタくんたちはもう着いているのだろう。
果南ちゃんは俺の後ろに隠れてしまった。
「あー……そのことなんだけど、みんなを集めてくれないかな?」
「……えーっと、実はね……」
「「?」」
俺たちがここに向かっている間に起きた出来事を千歌ちゃんは教えてくれた。
浦の星ごとこちらの地球に来てしまったこと。
μ'sのメンバーと会ったこと。
ヨウタくん同様、こちらの地球にも仮面ライダーがいたこと、などなど。
「なるほどね……とにかく一度集まって話をまとめよう」
「そうだね」
千歌ちゃんに頼み、鞠莉ちゃんに話を通してもらい、浦の星のアイドル部+アルファで十六人、音ノ木坂アイドル部+アルファで十四人、総勢三十人が俺たちのクラスに集まった。
改めての自己紹介を済ませ、俺たちと一緒に来た果南ちゃんのことを話す。
「って言うわけで、果南ちゃんは次元王に従ってたみたいなんだ」
「そうだったんだ……」
みんなが暗い顔をする。
そんな中、
「辛かったよね、果南ちゃん。でももう大丈夫だから」
千歌ちゃんが彼女に近づき、抱きしめた。
一瞬、千歌ちゃんが悲しげな
だがすぐに優しい表情に戻った。
「千歌……」
「そうね、たとえ別の世界だったとしても果南は果南。Aqoursのメンバーで、わたしたちの大切な仲間よ」
「鞠莉……」
千歌ちゃんに続いて鞠莉ちゃんも果南ちゃんにハグする。
耐えきれなくなったのか、果南ちゃんは泣き出してしまった。
「
いつぞやと同じくらいに号泣する慎司。
「宮沢……お前泣き過ぎだろ……」
「慎司さんはこういうの本当に弱いですからね」
シュウジくんが慎司の泣きっぷりを見て引き気味になり、晴也がそれをフォローする。
それから十分後、果南ちゃんは落ち着いたようで泣き止み、本題に入る為に話を切り出した。
「今俺たちが置かれてる状況だけど、はっきり言ってかなり分が悪い」
「ああ。俺の偽物に大量の怪人。おまけに変な像まで出てきたときた」
そう言ったのはユウヤくん。
自分と同じ姿で暴れられたことにかなり頭にきているようだ。
「あの像、外の人たちは綺麗だなんだって言ってるけど、俺には悪魔にしか見えないのだが」
「それには同意です。なんなら俺のスターライトブレイカーで……」
「「うん、それは違うと思うんだ(います)」
カザリと晴也からのWツッコミをもらう慎司。
だがそれを実行したとしても破壊できるとは正直思わない。
刹那、
『キイイイイイイイイイッ!!!!』
「「!?」」
女人像が不快な音を発した。
脳に直接響くような音。
「ぐっ……何だこれ……」
その中に……。
「よ……耀太?」
「悲鳴だ……」
「何?」
俺の言葉に反応したフミくん。
頭を押さえながら俺に問うてきた。
「悲鳴って……どういうことだ……?どうしてお前は平気なんだ……」
「それは……」
おそらく、俺がグリードだから。
その証拠にアンクは人間の体に憑いているから影響を受けているが、カザリからはそんな様子は見られない。
「そんなことよりこの音、これがある限り、ボクたちはまともに戦うことも出来ないね」
「……もしかしたら、あの像は悲鳴……いや、人間たちが発する恐怖や憎悪。そういった負の感情を吸収してるのかも」
「なるほどな……あの音はさしずめ吸引音ってところか……」
やがて音は収まり、教室は静かになった。
奇怪な音から解放されたみんなは立ち上がる。
「俺たち以外の地球人からしたら、あれは上の地球からの攻撃……ってことになるんか?」
「そうだろうな。早く何とかしないと……」
ヨウタくんとシオンくんが予想を立てる。
けれど相手に動きがない以上、こちラも動くことはできない。
「けど敵がどう動くかわからない今、下手に動くのは危険だと思うわ。夜のうちにカンドロイドたちに情報を集めさせるから、今日は明日の為に休みましょう」
その一声で今日の話し合いは終了。
バラバラになるのは危険だということで、鞠莉ちゃんの理事長権限を発動し、全員が浦の星に泊まることになった。
ちなみにその時の音ノ木側の反応としては……
「理事長!?嘘だろ!?」
「ハラショー……」
などなど、予想通り過ぎるものだった。
***
次元母艦司令官室にて。
次元王はある人物と通信していた。
「そちらの様子はどうですか?」
『こちらは何も問題はありません。けれどこちらに仮面ライダーが大集合していますねぇ』
同じ口調、同じボイスチェンジャーを使い、話す人物。
「ですがあなたの‟それ‟もあと少しで使えるようになりますね」
『ええ。フェーズ2は順調に進んでいます。‟これ‟を使えるようになるのも時間の問題です』
「義勇軍の方がどうなりました?」
『ふふふ……船の定員がオーバーするほど集まりましたよ』
「やはりわたしたちは
二人は同じ声で笑う。
その手に握られたドライバーは、三分の一が真の姿を取り戻していた。
***
学校で夜を過ごすなんて、決勝があったあの日以来だ。
中々寝付けなかった俺は屋上に向かい、足を進めていた。
「「あ……」」
屋上に続く最後の階段の前で二人の果南ちゃんと出会った。
……凄いシーンだなこれ。
「二人とも眠れなかったんだね」
「耀太も、でしょ?」
「ちょっとね。二人も屋上に?」
「うん」
屋上に出ると、内浦で見える景色とはまた違ったそれが広がっていた……って当たり前か。
光の消えない街。
そして、大きな地球もまた、暗闇の中でも消えることは無い。
そして巨大な女人像。
初めの一回目の音が鳴った数時間後、現時刻からすると二時間ほど前にもう一度音が響いた。
何か良くないことが起きてるのだろうが、今のままではどうすることも出来ない。
「耀太、顔が怖いよ?」
悔しさが顔に出ていたのか、果南ちゃんに指摘される。
「そんなに?」
「そんなに」
「マジか……」
「悩みがあるなら一人で抱えないで。あなたの側にはずっとわたしがいるから」
寄り添ってくる果南ちゃん。
出来ることなら腕を回したい。
が、ここにはもう一人の果南ちゃんがいる。
同情のような念を覚えるのは失礼ではないかと思うも、やはり人間であるからか、無意識的に感じてしまうのだ。
「ねえ」
不意にその果南ちゃんから声をかけられた。
「な、何?」
反応が遅れ、少しばかり変な返事になる。
「ずっと気になってたんだけど、こっちのわたしと耀太はその……恋人同士なの?」
やはりその質問をしてくるか……まああんなことをすれば、そう思わなくはないか……。
今日の出来事が鮮明に脳に焼き付きすぎて、すぐに思い返される。
「うーん、まだ付き合ってはいないんだよね。でも約束してるんだ。ラブライブと俺たち仮面ライダーの戦いが終わったら……その……け、結婚を前提に付き合おうって」
……かつてこんなに恥ずかしい思いをしたことがあるだろうか、いやない(反語)。
あって、あの告白をした時だけ。
……高校生のくせして結婚を前提にとか……なんてことを言ってしまったんだろうな、過去の俺……。
「け、結婚!?」
「しー、だよ?」
「ご、ごめん……」
まあ、そうなるよね、うん。
「わたしもそう言われた時はすごく驚いたから分かるよ」
苦笑しながらもう一人の自分にそう言う果南ちゃん。
「でもすごい嬉しかった。耀太がわたしを選んでくれて──」
「俺は選んだつもりは無いんだけどなー。果南ちゃんのことが好き、その心に従っただけだよ」
「も、もう耀太!」
「え!?俺だけ!?果南ちゃんも赤面ものなこと言ったよね!?」
果南ちゃんとわちゃわちゃと言い合っていると、
「二人とも!」
「「はい!?」」
「しー、じゃなかったの?」
「「すみません……」」
もう一人の果南ちゃんに諭された。
「よろしい。ふふ……でも羨ましいな。もしかしたらわたしも……そうなれたのかな──」
星明かりに照らされた果南ちゃんの微笑みは、どこか切なげで、声をかけるのも憚れる。
それから少しすると眠気がやってきて、俺たちは部屋に帰り眠りについたのだった。
***
翌朝、女神さまの呼びかけで、俺たちは昨日のように教室に集められた。
どうやらカンドロイドたちによる調査が終わったので、それの報告のようだ。
「夜の調査で分かったことはあの船に集められた義勇兵がすでに定員を超えたこと。それからあの像。あれは昨日耀太が予想したように、人間の負の感情を吸収するマシンよ。そして吸収された負のエネルギーは次元王が持つ何らかの兵器に動力源、あるいは起動させるためのエネルギーに変換されていることの二つよ」
「やっぱりそうか……」
「待ってください!兵が集まったってことは……!」
「今日中に攻め入るつもりね」
「「!?」」
早い。あまりにも早すぎる。
何一つ対策できないうちに敵の作戦が動き出してしまうなんて……。
「こうなったらもう敵に殴り込みに行くしか……」
「でもそれって危険なんじゃ……」
「それでも行くしか……!」
「やめなさい二人とも」
言い争いを始めようとしていた善子ちゃんと慎司を、女神さまが止める。
「ここでそんなことをしていても敵の思うつぼよ」
さっきも言ったお通り、敵は負の感情を力に変える。
つまり、俺たちが仲間割れを起こせば敵が強くなってしまうということだ。
「わたしたちに残された手段はたった一つよ。ここにいる全員が協力して敵を……次元王を倒すこと」
「その通りだね。ボクたちが勝つにはそれしかない」
女神さま、さらにカザリが念を押す。
「あのアビスとかいう仮面ライダーも気になるわ。あらかじめ分散して行きましょう。幸いにもここには仮面ライダーが九人、わたしも入れて十人いるわ」
「ちょ、神子さん!?それって果南ちゃんも含まれてない!?」
「ええ。今は戦える人は一人でも多い方がいいわ」
「それはそうだけど……」
それでも奴らからすれば果南ちゃんは裏切り者。
もし負けたり、捕まってしまえばどんな目にあわされるか……。
その点を踏まえても残ってほしいんだけど……。
『どちらにしろ同じことじゃ。ここに残ってもアビスが連れ戻しにくる。なら大人数で行動していた方が安全じゃ』
念話で話しかけてくる女神さま。
そうか……女神さまもただ果南ちゃんを危険にさらそうとしているわけではない。
考えられる最善策を言ってくれたようだ。
「ありがとう耀太。でも大丈夫、わたしも行きます。あの船の構造もよく分かってるし、それにあの人、次元王の居場所も」
「ありがとう、果南さん」
果南ちゃんも一緒に攻めることになり、女神さまの指名で二チームに分けられた。
俺、果南ちゃん、アンク、シュウジくん、シオンくんチームとヨウタくん、フミくん、ユウヤくん、慎司、晴也チームに分けられた。
ちなみに神子さんは「わたしは別にやることがあるの」と言って、そして護衛要員でカザリがμ's、Aqoursのみんなとどこかに行ってしまった。
***
先輩たちと別れ、現在船に向かって進行中。
いつ戦闘になっても良いように全員変身済みだ。
「人っ子一人見えないな」
「ですね。女性や子供はみんな家の中ってことでしょうか」
「だろうな。
不気味な静寂の中母艦を目指して進む俺たち。
だがやはり、それは阻まれることになる。
「ストライクベント」
どこからか水流攻撃が放たれた。
「危ない!」
あの攻撃の的は俺。
それに気付いた
「「佐藤(ちゃん)!?」」
胸の前でクロスして防御しているアクア。
やがて水流攻撃は、その勢いが弱まっていき、アクアのベルトに吸収された。
「ほう……俺の攻撃を防ぎ切ったか」
昨日俺たちを襲ってきたライダーと同じ声。
「アビス……!」
アビスラッシャー・アビスハンマーを従え、見下ろしてきたアビス。
「てめえか、俺の偽者は!」
「あん?あー……そういうことか。ふ、残念だが俺は偽者じゃない、本物だよ。ただし、蘇ることの無かった世界線のな」
もう一人の果南先輩の言った通りか。
まあそれが証明されたところで倒すだけなのだが。
「黙れ。俺からしたらお前は偽者なんだよ」
「アドベント ソードベント」
さらにアビスセイバーも装備し、偽アビスに斬り掛かる。が、
「本物を名乗る割には随分と弱すぎるんじゃないか?」
アビスクローで防がれ、そのうえ本物のアビスが押されているように見える。
契約モンスターたちも本人と同様に、偽アビスの方が押しているようだ。
「あのバカ、一人で突っ込みやがって!」
「ソードベント」
だが、本物のアビスラッシャーを倒した奴のアビスラッシャーが王蛇の前に出る。
「くっそ!どきやがれ!」
しかしアビスラッシャーは退くことなく、立ちはだかる。
「俺の邪魔はするんじゃねぇ!この偽者は俺が倒す!!」
「弱者のお前が勝てる訳ないだろ」
奴はアビスクローでユウヤさんのアビスセイバーを奪い投げ、腹部に蹴りを叩き込む。
「がっ……」
「おら!」
更にもう一撃加えられ、ユウヤさんは転がされ、変身が解除されてしまう。
「弱い!弱すぎる!!弱すぎて話にもならねぇ!!!」
ユウヤさんを下し、高笑いするアビス。
「アイツをたった二発で……」
「どうやら強さは本物みたいですね」
「テンガン!グリム!メガウルオウド!ファイティングペン」
「ドリルアーム クレーンアーム ショベルアーム カッターウィング キャタピラレッグ ブレストキャノン」
「俺一人に対して最大火力か」
ネクロムが仕掛けた先制攻撃をアビスクローで叩き落とし、変形させたガンガンキャッチャーを同じくアビスクローで防ぐ。
「流石にこれは防げねーだろぉぉぉ!!」
キャタピラレッグ、ドリルアームを出力全開でアビスに突っ込む。
しかし、アビスラッシャー同様、勝利したアビスハンマーが盾となり、攻撃を防いだ。
さらに胸部の主砲にエネルギーを溜めている。
「ちっ……」
「ブレストキャノン セルバースト!」
互いにゼロ距離で砲撃、俺もアビスハンマーも吹き飛ばされ、俺は変身解除、アビスハンマーも主砲が潰れる重症を負った。
「かは……」
「慎司さん!」
「佐藤ちゃん……!俺のことは良い!早く奴を止めろ!」
「っ!分かりました!」
俺に駆け寄って来た佐藤ちゃんに喝を入れ、アビスに向かわせる。
「もう二人ダウンか。あっけないな」
ネクロムたちを軽くあしらいながら挑発してくるアビス。
「ダイカイガン!オメガフィニッシュ!」
「アクアボルテェェックス!!」
合わせて必殺技を放ち、アビスに集中砲火を浴びせる。
完全に決まった、誰もがそう思えるこの場面。
しかし、
「ネオサバイブ」
その音声とともに、その希望は打ち砕かれた。
「何!?アビスラッシャーが……」
ヨウタさんと交戦していたアビスラッシャーと、気を失っていたアビスハンマーが合体し、アビソドンに。
さらにアビソドンがバラバラになり、必殺技を浴びたアビスに向かっていく。
「「うわああああ!!?」」
爆発が起き、佐藤ちゃんが吹き飛ばされ、変身が解ける。
そして爆発後に発生した煙が消え始めると、右手を突き出したアビスが、アビソドンを纏ったような姿で現れた。
「な……!技を消しやがったのか!?」
禍々しい鎧を纏ったアビス。
「力が……力が溢れる!!!」
その咆哮と同時にどす黒いオーラが放たれる。
「何だこの威圧感……全く勝てる気がしねぇ……けどやるしかねぇ!!」
ネクロムが武器を構えて突っ込む。
しかし──。
「かは……攻撃が……見えない……」
何が起きたのか理解出来なかった。
ネクロムの前に立っていたはずのアビスが、いつの間にかフミさんの背後にいて、その彼は倒れ、変身が解かれてしまった。
「ふっふっふ……ふははははは!!!遂に俺は最強の存在になった!!!俺に敵う者など存在しない!!!」
高々に笑うアビス。
五人いたうちの四人が既に倒され、残るはヨウタさん一人。
「ヨウタ……早く逃げろ……」
「バカ野郎!ダチを置いて逃げるなんて出来るかよ!それに、どうせ逃がしてなんてくれないだろうしな」
王蛇は、フミさんの警告を無視し、ベノサーベルを構えて対峙する。
「その通りだ。お前たちは一人残さず殺してやる。が、勝てないと分かっていても立ち向かうその勇気を讃え、全員仲良くあの世に送ってやるよ」
「ファイナルベント」
アビスの右足に青黒いエネルギーが凝縮されていく。
このままだと本当に全員殺されてしまう……!
飛び上がり、ライダーキックを放ったアビス。
万事休すか……。
キックはヨウタさんに直撃……することは無かった。
「Ready?Go!ハザードフィニーッシュ!!ラビットラビットフィニーッシュ!!」
「何!?」
黒いボディに赤い鎧を纏ったライダーがどこからともなく現れ、技を相殺……どころか、アビスを押し返してヨウタさんを守った。
この場にいる全員が、今の状況を上手く掴めていない。
突然現れたライダー。
俺が言えることはたった一つだけ。
今俺たちの目の前にいるこの仮面ライダーは、俺たちを救ってくれたということだけだ。
「ギリギリセーフ……だな」
黒いライダー……間違いない。
彼はビルドだ。
けどどうしてこの世界に……。
「貴様……何者だ!?」
悪役お決まりのセリフを彼に投げかけるアビス。
トドメになるはずだった攻撃を防がれ、さらに自分の力を超えられたかもしれないことからの怒りと焦りが奴の声から伺える。
「俺?しかいないよね。俺は仮面ライダービルド。創る、形成するって意味のビルドだ。以後、お見知りおきを」
「ビルドだぁ?何者かは知らないが、俺の邪魔をしたことを後悔させてやる!!」
アビスが拳にエネルギーを乗せ、ビルドにパンチを食らわせる。
しかし、
「ふむ。中々いい一撃だね」
ビルドはそれを片手で受け止める。
「マジかよ……」
開いた口が塞がらないとはこのことか。
フミさんは、自分が見ることの出来なかった攻撃をいとも容易く受け止めた彼に驚きの一言。
「それじゃあ今度はこっちの番かな?」
ビルドは空いている右手で、アビスのマスク目掛けてパンチした……と思う。
ビルドの攻撃もまた、速過ぎてみることが出来ない。
「が……」
頭を揺らし、後ろに下がるアビス。
ビルドは隙だらけになったアビスに追撃。
やはり見ることは叶わない。
「あり得ない……!この俺が負ける訳ない!!」
怒りに任せた攻撃を難なく回避。
攻撃を仕掛けた本人は、腹部に強烈な一撃を叩き込まれたのか、腹を押さえる。
「クソがああ……!!」
怒りが極まったのか、黒いオーラが溢れて建物や地面を抉る。
「あっぶな……でもあと少しダメージを与えれば、大人しくなるかな?」
ビルドはフルフルボトルを抜き取って、上下に振る。
「タンク!」
ボトルからタンクの音声が出ると、再び折り曲げ、
「タンク&タンク!」
ベルトに装填する。
「ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Are you ready?」
タンクタンクアーマーがどこからともなくやって来て、アビスに砲撃を浴びせる。
「ビルドアップ!」
「鋼鉄のブルーウォーリアー!タンクタンク!!ヤベーイ!ツエーイ!!」
ビルドは纏うアーマーをラビットラビットアーマーから、タンクタンクアーマーに換装。
タンクタンクフォームへの変身が完了した。
「何がヤベーイだ!色が変わった程度でぇぇぇぇ!!」
「色だけじゃないんだなぁ」
ビルドが正座すると、脚部のダッシュマッシュガレースが、まるで戦車のキャタピラのようになり、動き始める。
アビスの周囲を囲うように動き、逃げ場を失わせながら、フルボトルバスター キャノンモードで砲撃を繰り返す。
「クソ!クソ!クソ!!」
反撃のチャンスすら与えず、一方的に追い詰めていくビルド。
彼はボトルを一本取り出し、バスターに装填。
「ラビット!フルボトルブレイク!」
まずは一撃。赤いエネルギー弾が、アビスを吹っ飛ばす。
「ラビット!パンダ!ジャストマッチでーす!ジャストマッチブレェェイク!!」
紅白カラーのエネルギー弾が、さらにアビスを襲う。
「ラビット!パンダ!電車!ミラクルマッチでーす!ミラクルマッチブレェェェイク!!!」
赤い大きなエネルギー弾がアビスに直撃。
四本目を取り出して装填する。
「ラビット!パンダ!電車!ダイヤモンド!アルティメットマッチでーす!アルティメットマッチブレェェェェイク!!!!」
セットされたボトルと同じ色のエネルギーが収束されていき、充填が終わったところで、彼はトリガーを引く。
途轍もない量のエネルギー砲。
俺のブレストブレイカーを超える威力であるのは見ただけで分かる。
「ぐわあああああああ!!!!!」
砲撃に飲み込まれたアビス。
エネルギーが爆発した後、そこに奴の姿は無く、立っていたのはヨウタさんとビルドだけだった。
「嘘だろ……あの化け物を倒しやがった……」
傷を押さえながら立ち上がるフミさん。
「な、なあ……アンタは一体……」
「うん?あ、そうだ。これを君に」
ビルドはヨウタさんに一枚のカードを渡した。
「これは……?」
「それは次元王を倒す為の切り札だ。それじゃ、人を待たせてるから、俺はいくよ」
カードを手放した彼の背後にワームホールのようなもの……というか、まんまワームホールが現れた。
ホールの向こうに消えようとするビルド。
ヨウタさんは、彼に最後の質問をした。
「ちょっと待ってくれ!本当にアンタは何者なんだ!?」
「そうだな……君たちと同じ、愛と平和の為に戦う仮面ライダー、とだけ言っておくよ」
そう言い、彼はワームホールをくぐり、そのホールも消えてしまった。
「ヨウタ……今の人がくれたカードは……」
「これ……よく分かんねえけど、これから
「それじゃあ……」
「行ってくる」
ヨウタさんがそう言い、エビルダイバーを召喚して耀太先輩たちのところへ向かった直後、
「「おおおおおおおお!!!!」」
「「っ!?」」
男たちの勇ましい叫び声が聞こえ、迫り来るトルーパーのような集団が見えた。
まさか義勇軍が……間に合わなかったのか……。
そう思った刹那、キィィィン!という音が響き渡る。
あの女人像からのものと、それを掻き消そうとする音。
スピーカーから聞こえてきたものだ。
「何だ今の……」「おい!あれを見ろ!」
すぐそこまで迫っていたトルーパーたちから、何かを見つけたような声が聞こえた。
彼らの視線の先に何があるのか?
俺たちもその方向に目を向けた。
「マジかよ……」
そこにあった……いや、浮かんでいたのはライブの為のステージ。
そしてステージ上には十八人の少女たちと、仮面ライダーポッピーが立っていた。
***
「「ライブをする!?」」
わたしたちを学校から連れ出した神子さんはいきなりライブをするという話を切り出した。
「ど、どうしてこんな時にライブを?」
「こんな時だからこそよ」
「「?」」
神子さんの意図が全くわからない。
それは他のみんなも、μ’sのみなさんも同じだった。
「このままだと、仮面ライダーたちは絶対に勝てないわ」
みんなが驚きの声をあげる。
絶対に勝てない。
今までは、「仮面ライダーは何があっても負けない」というような話しかしてこなかった神子さんが、「絶対に勝てない」と言い放ったからだ。
「耀太くんたちが絶対に勝てないってどういうことですか!?」
「それは、次元王の力が実質的に無限大だからよ」
「無限……大……?」
「さっきも話した通り、次元王はあの像から力を得ている。そしてあの像力の源は……」
「人間の負の感情……」
「そうよ、園田さん。今この地球は負の感情で溢れかえっている。次元王は惑星単位で力を集められるのよ」
「そんな……」
惑星単位……。
それは規模の大きすぎる言葉。
「仮面ライダーが負けるなんてウソよ……そんなことありえないわ……」
真姫さんがそれを否定する。
けれど……。
「見てみなさい。これが現実よ」
神子さんが開いたタブレット端末。
映し出されていたのは、ボロボロになりながらも立ち上がろうとする仮面ライダーの姿。
「シン……」
「フミくん……」
善子ちゃんとことりさんが彼らの名を呟く。
「
「歌の力?本当にそれで耀太さんたちを助けることが出来ますの?」
「ええ」
信じたい、けど簡単には信じられないというのがみんなの本音だと思う。
なら、わたしは……。
「「やろう!」」
みんなの迷いに揺れる顔を見ていると、そう叫ばずにはいられなかった。
「千歌?」
「穂乃果?」
「今までわたしたちは色々なことに立ち向かってきたよね?それを支えてくれたのは誰?耀太くんたちでしょ?」
「わたしたちもだよ。ヨウタくんたちは素直じゃないし、素行もあまりいいとは言えないけど……けど穂乃果たちのことを守って、支えてくれた。だから今度は……」
わたしたちは声を揃えてみんなに訴えた。
「「わたしたちが仮面ライダーを助けようよ!!」」
ずっと支えてくれていた彼らを、今度が自分たちが支えるんだと。
「そうね……二人の言う通りだわ」
「いつもは助けられる立場やったけど、今回はウチらが!」
「イエース!助けない理由なんてありませーん!」
「わたしも!あの時の恩返し!」
絵里さん、希さん、鞠莉ちゃん、曜ちゃんが。
「わたくしも耀太さんには借りがありますわ」
「ルビィも!」
「わたしもフミくんたちのことを助けたい!」
「仕方ないわねー。この宇宙ナンバーワンアイドル、にこにーが力を貸してあげるにこ!」
ダイヤちゃん、ルビィちゃん、ことりさん、にこさんが。
「マルも耀太くんを助けてあげたいずら!あ、もちろん慎司くんも!」
「くっくっく……どうやらこの堕天使ヨハネが、リトルデーモンたちに力を授ける時が来たようね!」
「わたしも、シュウジのことを放っておくのは出来ませんね」
「仕方ないわね。シオン、負けたら承知しないんだから!」
「スクールアイドルの力で仮面ライダーを助ける……いつもは助けを求めてばかりだけど、今回は……!」
「ヒーローを、憧れの仮面ライダーを助ける!凛もやるにゃー!」
花丸ちゃん、善子ちゃん、真姫さん、花陽さん、凛さんが。
「梨子ちゃんと果南ちゃんは!?」
「千歌ちゃんってば……」
「わたしたちには聞くまでもないでしょ?」
眉をハの字にしながら笑う二人。
「決まりみたいね」
「ところで、どうやって歌を力に変えるの?」
カザリくんが神子さんに問いかける。
すると、
「こうするのよ」
神子さんが取り出したのは、緑色のベルトと……ゲームカセット?
「ときめきクライシス!」
「ドレミファライブ!」
「変身!」
背伸びしたいけど~ ちょっぴり照れるわ ときめきクライシス!
アガッチャ!ド・ド・ドレミファソライブ!ダンシング!ドレミファライブ~!!」
軽快なリズムの音楽とともに、パネルのようなものが現れ、神子さんはその中の一枚を選ぶ。
すると、ピンクのボブカットにハートの髪飾り。
青い瞳の仮面ライダーに変身した。
「……神子さんも仮面ライダーだったの?……それにしては耀太くんたちと少し違うような……」
「わたしもそれは思ったけど、ちゃんとした仮面ライダーだよ。それにかなりの強さのね」
そう告げる果南ちゃんの瞳はどこか遠くを見つめていて、まるで、あの可愛らしい姿に反する戦いを見たようだ……。
「まだ終わってないわ」
神子さんがそう言うと、頭上に神子さんが押したのと同じようなパネル、それもかなりのサイズのものが現れた。
そこから出てきたのは……。
「「ライブのステージ!?」」
「衣装はこれでいいかしら?」
いつの間にか神子さんが手にしていたマイク。
それについていたボタンが押されると、わたしたちの服がステージ衣装に変化した。
「す、凄い!」
「ハラショー……」
「アメイジング……」
花陽さん、絵里さん、鞠莉ちゃんが驚嘆の声を出す。
他のみんなも驚いているが、三人と違い、声が出せない様子。
「さ、みんな乗って」
「乗るってあれにですか!?」
「それ以外に何があるの?」
疑問符を浮かべる神子さん。
みんな戸惑っているが、
「ヨウタくんたちが待ってる!みんな、行こう!!」
穂乃果さんが声をかけ、みんながステージの乗った。
その後、ステージは再び浮かび上がり、進み始めた。
***
ガーディアンやマスカレイドなどの戦闘員たち以外との接敵が全くないまま、俺たちは次元母艦の艦長室まで辿り着いた。
「「はあ!」」
技で扉をぶち破り、部屋に突入した。
艦長室にしてはかなり広い。
『彼らが来たようですね』
「そのようですね」
部屋の中央にいた人物。
次元王本人がそこにいた。
しかし、不可解なことに奴の向こう側のモニターにも同じ特徴の人物が映っていた。
「みなさん、ようこそおいで下さいました。おや?あなたも帰って来たくれたのですね」
「ふざけるな。お前に果南ちゃんは渡さない!」
俺は果南ちゃんの前に腕を出して庇う。
すると次元王は、それが可笑しかったのか笑い始めた。
「失礼。あなたは中々面白い方ですね、自分たちを攻撃した相手を庇おうとするなど」
「こっちは全部聞いたんだ。お前ら、こいつが逆らえないのをいいことに好き勝手やらせようとしたんだってな」
シュウジくんも怒りを孕んだ声と眼で次元王を睨む。
『怖い怖い。それで?あなた方はわたしたちを倒しに来たと?』
「その口ぶりからするに、お前も次元王とかいう奴か」
『ええ。あなたも随分と相方を心配しているようでしたね』
「は、コイツがいないと、メダルが集められなくなるだけだ」
モニターの向こうの人物──もう一人の次元王とアンクが火花を散らす。
「何が目的でこんなことをしてるんだ!?」
『何が目的か?そんなもの一つしかありませんよ』
「忌々しい、憎たらしい人間どもを根絶やしにする為です。許せないんですよ、下等な存在でありながら、何かを欲することを許された人間がね!!」
未だ戦闘態勢に入っていないだろうに、奴らから放たれるオーラは異常としか言いようがない。
「なんて身勝手な……なら、尚更お前たちはここで倒す!俺たちの
ギャレンは銃口を次元王に向けた。
「そう熱くならないでください。わたしたちはまだ戦えるだけの力がありません。なので、彼がお相手します」
パチンッと指を鳴らすと、奴の眼前の床がスライドし、その下からユートピア・ドーパントが現れた。
「とんでもないのを出してきたな……」
既に変身済みな為、そのフェーズは飛ばし、襲い掛かって来たユートピアに応戦した。
ギルスクロウを解放した
「何だこのパワー……今まで戦ってきた相手の誰よりも強い!」
左脚でギルスを蹴り飛ばす。
飛ばされたギルスと入れ替わって、今度は俺がメダジャリバーとメダガブリューの二刀流で攻撃を仕掛ける。
剣での一撃は杖で防がれてしまうが、斧での斬撃はユートピアの体にヒット。
後退させることに成功する。
が、すぐに徒手で反撃され、メダガブリューを落としてしまう。
「ふ!」
「は!」
「ファイア バレット ファイアバレット」
俺が怯んでしまったのをみたアンクと
ユートピアの背に当たるが、びくともしていない。
「硬さだけはあるみたいだな」
「いいえ。防御だけではありませんよ。彼にはこんな攻撃方法もあるんですから」
次元王が言うと、ユートピアはその杖を振るう。
その力で俺たちは浮遊させられ、床に叩き付けられる。
「うが……!?」
「きゃ!?」
地面に押さえつけられた俺は蹴撃をもらい、アンクたちのところまで飛ばされる。
「耀太……」
「俺は大丈夫……アンク」
「分かってる。重力には重力だ」
アンクはメダルを取り出し、重々しく俺に渡してくる。
ユートピアの所為で、メダルはいつもより数倍重く感じる。
それでも俺はなんとかメダルをドライバーまで持っていき、装填、スキャンする。
サイ、ゴリラ、ゾウの三枚のメダルから成る、サゴーゾコンボにチェンジ完了。
その能力を解放し、重力を元に戻す。
「体が軽くなった……いや、元に戻ったのか」
重力が元に戻り、立ち上がった俺たち。
次元王たちはこうなることが分かっていたのか、動揺した様子は見られない。
「今度はこっちのターンだ!」
俺はゴリバゴーンを発射する、バゴーンプレッシャーを繰り出し、ユートピアにぶつける。
さらに追撃で、ギルスがクロウで切り裂き攻撃。
二段攻撃を杖で受け止めるも、同じ箇所で受けたからか、理想郷の杖は折れ、ユートピアに直接ヒットした。
再び後退するユートピア。
「スキャニングチャージ!!」
俺はもう一度、スキャンしてサゴーゾインパクトを発動。
ユートピアを引き寄せ、ゴリバゴーンとサイヘッドによる頭突きを食らわせる。
「セイヤ───!!!」
さらに後ろに下がったユートピア目掛けて、今度はギャレンとギルスが前に出てきた。
「ドロップ ファイア バーニングスマッシュ」
「「はああああ!!」」
ユートピアの胸部にダブルライダーキックを直撃させ、そのまま貫く。
ユートピアは爆散し、メモリはブレイク。
変身者は、消滅してしまったのか、もとよりいなかったのか、その姿は無かった。
『素晴らしい。まさか、わたしたちが誇るクローン怪人の中でも最強の戦士を倒してしまうとは』
「さて、残るはお前たちだけだ」
「そうですね。そろそろ良い時間でしょう」
「時間?何のことだ?」
シオンくんが尋ねた直後、再びあの音が響いた。
しかし、すぐに別の音で上書きされる。
「何です?この音……」
奴らにとっても二度目の音は想定外のことだったのか、少々訝しげな声になる。
『大方、彼らの仲間が何かしているんでしょう。それより、これを見てください』
向こうの次元王が取り出したのは、禍々しい形のドライバー。
金色の
一方中央部には、全体的に対称的な色である白いオーブがはめられてる。
「ではお見せしましょう、最終フェーズ!!」
『わたしたちの絶対的な力を!!』
モニターの向こうと目の前の次元王、二人が同時にドライバーを腰に巻く。
「『変身!!』」
どす黒いオーラがベルトに吸収されていき、二人の体が黒に包まれていく。
そしてモニターからもう一人の次元王が現れ、二人の次元王は一人へと融合した。
やがて闇は晴れ、黒い装甲を身に纏っ次元王が姿を現した。
翼を模ったかのような複眼。
オレノツノのようなものが伸びるショルダーアーマー。
背部にあしらわれた黒い片翼。
「わたしの名はルシフ。仮面ライダールシフ」
次元王──ルシフと名乗った漆黒の仮面ライダー。
奴からは、変身時以上の闇のオーラが噴き出ている。
「息が……詰まる……」
「あのオーラの所為か……」
シュウジくんとシオンくん、そしてアンクが苦しみだし、二人に至っては、変身が強制解除される。
「あなた方二人が平気でいられるのは、やはり人間ではないからでしょうか」
その道理で説明をつけようとすると、アンクも平気なはずだが、やはり人間の体に憑依しているからだろう。
「二人だけでどこまで抗えますかね?」
完全に見下した言い方で挑発してくるルシフ。
けど、そんな安っぽい挑発に乗ってやるわけにはいかない。
「抗う?いや、勝ってみせる!」
「プテラ!トリケラ!ティラノ!プットッティラーノザウルース!!」
サゴーゾのメダルを弾き出し、プトティラコンボにコンボチェンジ。
メダガブリューを生成し直し、ルシフに斬り掛かる。
「おっと。先制攻撃はとられてしまいましたか……」
残念そうな声を出すルシフだったが、奴は俺の全力の一撃を片手の、それも人差し指と中指だけで受け止めている。
「くっ……動かない……」
「おや?少し力み過ぎましたか?では──ふん!!」
掴んだメダガブリューを俺ごと投げ飛ばし、俺は壁を打ち抜いてしまう。
「島…村……」
「耀太!!」
オーラの影響で苦しんでいるシュウジくんと果南ちゃんが、俺に近寄って来る。
「俺は……大丈夫だから……。それより、アイツ……ユートピアなんか比にならないくらい強い……」
「そんな……」
瓦礫をどかしながら、俺は立ち上がる。
さっきの一撃。
たった一撃で、この威力。
あと一発でも食らえば、変身は解かれるだろう。
けど……。
「やるしかないッ!!!」
俺は歯を食いしばり、床を蹴って一直線に跳び、ルシフに殴り掛かる。
マスクに直撃するも一ミクロンも動いた様子はない。
もう一撃、さらに一撃。
だがピクリともしない。
「圧倒的過ぎるようですね。あなたの力は確かに素晴らしい。ですが……」
腹部に奴の拳がめり込む。
「が……」
ほとんど残っていないはずの痛覚が、腹に激痛を感じさせる。
「無限の負の力の前では無力でしたね」
腹を押さえる俺に回転蹴りがヒット。
先程の壁を完全に貫き、向かい側の部屋まで飛ばされる。
ダメージが許容範囲を超え、俺の変身も強制解除。
残った果南ちゃんも、あの攻撃を食らえば一撃で消滅してしまうだろう。
つまり、もう誰も勝つことは出来ない。
「耀太!しっかりして!耀太!」
既に体を動かせなくなった俺を果南ちゃんが抱き起そうとする。
「果南ちゃん、早く逃げて……」
「出来る訳ないよ!耀太を……みんなを置いてくなんて!!」
泣きながら叫ぶ彼女。
だが無慈悲にも、奴はそこまで迫って来た。
「どきなさい、果南さん。さもなくばあなたも消しますよ」
「いや!わたしはどかない!逃げない!ここであなたを止める!それが出来なくても……せめて最後まで足掻いて耀太と一緒に!」
槍を構え、ルシフと対峙する果南ちゃん。
「ダメだ……!君じゃ勝てない……!逃げるんだ……!!」
しかし彼女は言うことを聞かず、ルシフに槍を振るう。
「やれやれ……彼の言うことを聞いていればいいものを……」
奴に向けられたディーペストハープーンは、腕で防がれ、砂塵と化す。
ルシフは黒いエネルギー弾を右手に収束し、果南ちゃんに向ける。
「や、やめろ……!」
無情な一撃が彼女に放たれた。
力なく倒れた果南ちゃん。
俺は残っていないはずの力を振り絞り、彼女に近づく。
「果南ちゃん……どうして……」
「ごめんね……せっかく助けてもらったのに……」
抱き抱えた果南ちゃんの体は、塵になり始めている。
「わたしは一度死んだ人間……だからこれで良いの……」
「良くない!良いはずない!折角幸せになれるチャンスがあったかもしれないのに……!」
果南ちゃんは涙を流しながら続ける。
「みんなと……耀太ともう一度出会えただけで、わたしは幸せだった……。だから今度は……こっちのわたしを幸せにしてあげて……この力で、次元王を倒して……約束だよ……」
「分かった……」
彼女は俺の手に何かを握らせる。
そして……。
「耀太……大好きだよ───」
最期に……最期に果南ちゃんは、その想いは俺に伝え、笑顔で完全に消滅した。
「残念でしたね。ですがあなたもすぐに……」
後を追わせてやる、そう言おうとしたのだろう。
「ファイナルベント」
エネルギー弾をもう一度放とうとしていたルシフに、王蛇がキックを叩き込み、吹っ飛ばした。
不意打ちのキックを食らったルシフはかなり遠くまで吹き飛んでいった。
「悪い、遅くなったな……って、また泣いてんのか!?」
駆け付けてくれたヨウタくん。
また泣いているとことを見られてしまった。
「……なるほどな、大体分かった。お前はもう少しそこで泣いてろ。それくらいの時間は稼いでやる」
そう言って、彼はエビルダイバーとともにルシフを追った。
……さっきまで隣にいた果南ちゃんは、もういない。
残されたのは、俺の手に握らされた何か。
俺は手を開いて、それを確かめる。
「メダル……」
三枚の透明なメダル。
色も無ければ、動物の意匠も彫られていない。
俺はそれを再び握る。
涙を拭い、天井を見上げる。
「ヨータ!」
ルシフが離れたおかげか、オーラから解放されたアンクが二枚のメダルを投げる。
「アイツの仇をとってこい!!」
「……ありがとう、アンク!!」
視線をアンクから天井に戻し、俺は三枚のメダルを装填する。
「変身!!」
タカヘッドから進化したタカヘッド・ブレイブ。
固有装備タジャスピナーを装着し、高速での飛行を可能にする翼を持ったクジャクアーム。
真空刃生み出し、また能力を解放することで、強力な一撃を放つことが出来るコンドルレッグ。
そして、他のコンボと一線を画す、三枚で一枚となる火の鳥の紋様を持つ、オーズ タジャドルコンボに変身した。
タジャスピナーからエネルギー弾を発射し、天井を撃ち抜く。
穴から空を確認し、翼を展開して飛び上がる。
「はああああッ!!」
ルシフ目掛けて高速で飛び、三十メートルほど手前で回転してキックの体勢に入る。
「うお!何だ!?」
ルシフと対峙していた王蛇は、突然俺が乱入したことに驚く。
一方俺は、キックをルシフに当て、そのまま押していく。
「またあなたですか。あなたの攻撃はわたしには……何?」
「はああああああッ!!!」
受け止められたところで、俺はさらに力を込める!!
「パワーが上がっている……!?バカな……そんなことありえない!!」
それでもルシフは俺を跳ね除け、俺は王蛇の隣まで飛ぶ。
「随分早かったじゃねぇか」
「いつまでも泣いてなんかいられないよ。それに約束したんだ!次元王を倒すって!!」
刹那、俺の手に握られていが透明なメダルが輝きを放ち、さらにそのメダルに、どこからか来た虹色の光が集まる。
「その光……一体何なのです!?」
予想外過ぎる現象が目の前で起こり、次元王は戸惑いの声をあげる。
俺のベルトからメダルが外れ、輝くメダルと融合。
赤かったメダルは、青に色が変わった。
それを掴むと、色々なものが流れ込んできた。
人々の歓声、そして──
「お前には聴こえねぇみてぇだな、アイツらの歌がよ」
「歌だと……」
「そうだ。たくさんの人を笑顔に出来る歌。あの子たちがその歌を歌い続ける限り、俺たちは戦うんだ!!」
俺は手にしたメダル三枚に順番にドライバーにセット。
オースキャナーをスライドさせ、そのメタルを読み込んだ。
クジャク!
コンドル!
タージャードル──!!
どこか熱を感じるいつもの音声ではなく、歌を歌う彼女たちの声で読み上げられたメダル。
青い炎が体を包み、赤いボディを青色に染めていく。
タジャスピナーはスロットが拡張され、最大九枚の装填が可能に。
翼は生物的なものになり、虹色に輝く。
タジャドルコンボ・ブルーブレイズ。
「なら俺も、コイツ使わせてもらおうかな」
ヨウタくんはベノバイザーに一枚のカードを読み込ませた。
こちらも機械音声ではなく、少女たちの声がカードを読み上げる。
頭部から龍のような角が生え、ショルダーアーマーはさながら龍の爪を模ったものだろうか。
そして俺とは違ったカラーリングの九色の翼が生える。
王蛇 スーパーサバイブ。
彼はエビルダイバーから降り、その力をしみじみと実感していた。
『なるほどな、まさか奴が事件の黒幕じゃったとは』
「(女神さま……奴を知ってるのか?)」
『うむ、奴はルシフェル。かつては大天使と呼ばれた存在じゃったが、あろうことか人間に嫉妬し、神に謀反を起こし、天界を追放された愚か者じゃ』
「(ルシフェル……そんな奴が本当にいたんだな……)」
『今、ぬしらの体に力が漲っているじゃろう?』
「(ああ。とてつもない力──でも、凄く温かい力だ」
『あの子たちの力じゃ。歌に想いを乗せ、それがぬしらに力を与えている。奴を倒せ!ぬしらに全てを託した者たちの為に!!』
「分かった……」
「どうした、耀太?」
「いや、何でもない。それよりこの力……」
「ああ、俺も感じる。あの歌と一緒に全身に流れ込んでくるんだ」
俺たちは見合った後、奴の方に向き直る。
「何度姿を変えようと、同じことです!!」
ルシフは俺とヨウタくん、二人一度に挑みかかる。
早い……けど……!
「見えない程じゃない!!」
一人では勝てなくても、二人なら!
全ての攻撃を王蛇とともに弾き、避けていく。
高速移動と拳の応酬。
初めはほぼ互角だったが、徐々にこちらが押し始めた。
最初はマスクをかすり、次に肩を強打する。
そして胸部にダブルパンチ。
強烈な一撃を与えられたルシフは、地面を抉る。
「ふん!!」
しかし、奴はすぐに復帰。
俺が叩き落とされた。
「ぐお……」
上空で残された王蛇が奴と応戦。
「一人ずつ潰してあげましょう!!」
「は、俺は一人じゃねーっての。行くぜ相棒!!」
「アドベント」
アドベントのカードを読み、ベノスネーカーが進化したベノヴァイパー……ではなく、さらに進化を遂げ、古代メソポタミアの霊獣ムシュフシュをモチーフとしたベノムシュフシュが召喚された。
「グオオオオオ!!」
「何!?」
ムシュフシュは咆哮し、前足でルシフを叩き落す。
「クソッ!このわたしを地に落とすなど……!!」
「空を飛ぶのがお望みなら、俺が飛ばしてやるよ!!」
「!?」
左拳とタジャスピナー・ブルーに虹色のエネルギーを収束。
アッパーと同時にエネルギー弾をゼロ距離でぶつけ、ルシフをかちあげる。
「ぐわああああ!?」
さらに俺は飛翔し、タジャスピナーからエネルギー弾を発射。
弾幕を浴び続けるルシフを、ムシュフシュが噛みつく。
「ガ……」
そしてムシュフシュはルシフを投げ飛ばし、
「ソードベント」
ベノサーベルを召喚した王蛇が、奴を斬った。
ルシフは斬られた箇所を押さえ、俺たちを睨む。
「まだだ……セイレーンの像よ!わたしに更なる力を!!」
奴が叫ぶとあの女人像──セイレーンの像が奇声を発揮し始める。
さらに上空の地球からも黒いオーラが奴に流れ込む。
「まだパワーアップするのかよ……」
ショルダーの角が二回り大きくなり、背部の翼も巨大化した。
「!?」
途轍もないスピードで王蛇に突貫したルシフ。
彼のマスクを掴み、ビルに押し付けている。
「はあああああああ!!」
高速飛行で助走をつけたキックをルシフに食らわせるが、
「何ですか?その攻撃は?」
「ち……でたらめ過ぎる……」
逆に蹴りをもらい、別のビルに突っ込んでしまう。
だから綺麗なハナになりましょうか 夢見るような
「うおおおおお!!」
再び翼を展開して、右拳にエネルギーを集中させながらルシフに突撃する。
「まだ来るのか……」
が、王蛇の頭を掴んでいるのとは逆の手で押さえられる。
「当たり前だ……お前がパワーアップしようとも、俺は……俺たちはお前を倒さなきゃいけないんだ!!」
ルシフは静かに、不気味に笑う。
「哀しいな……勝てないと分かっていても戦うとは……」
「ふざけるな……勝てる勝てないは、てめえが決めることじゃねえ……!」
頭を掴んでいる手を引き剥がしながら、反論する。
「それにさっき言っただろ……!あの子たちが歌い続ける限り、俺たちも戦うと!!」
「何?うぐ……ぐわああああ!?!?」
俺と彼を押さえるルシフの腕が震え始める。
そして俺たちから虹色のエネルギーを流し込まれたルシフは苦しみ始めた。
「何故だ……!?何故このわたしの力が超えられた!?無限に溢れるはずの負の力が!!!」
俺とヨウタくん、ムシュフシュを前にして、そう叫ぶルシフ。
「当たり前だ!一人一人の憎しみや怒り、そんなものが、あの子たちの歌に……人を幸せにする歌に敵うはずないだろう!!」
俺たち二人に流れ込んでいる歌。
輝く瞳は 明日を信じてた
「認めん!認めんぞおおおおおお!!あんなものが……人間ごときがわたしの力を上回るなどぉぉぉぉぉ!!!!」
ルシフはそれを否定し、禍々しいエネルギーをその頭上に集める。
集められたエネルギーはやがて黒い球体変化していく。
「不味い……あれが地面に当たれば、日本が吹き飛ぶどころじゃ済まないぞ……!!」
「『最後まで駆け抜けるよ』……」
「あ?」
聞こえてくる歌に合わせ、その歌詞を口ずさむ。
「あれは間違いなく奴の最強の技。食らえばひとたまりもないと思う……けど、それを打ち返されば……!いくぞ、ヨウタ!!」
「なるほどな……なら、やるしかねーよな」
俺はメダルを、ヨウタはカードを構え、必殺技の体勢に入る。
「タカ!クジャク!コンドル!ギン!ギン!ギン!ギン!ギン!テラスキャン!!」
「ファイナルベント」
二人ともが虹色のオーラを纏い、それを増幅させていく。
「この星諸共……消えてなくなれぇぇぇぇぇ!!!」
巨大エネルギーボールは、その大きさに似合わあいスピードで俺たち目掛けて飛んで来る。
俺たちの纏うオーラは翼の生えた巨大な蛇と鳥のエネルギー体に変化、その翼を広げ、エネルギーボールとぶつかる。
「「うおおおおおお!!!」」
「無駄だぁぁぁぁぁ!!!」
押し返せない。
進行を留めておくことが精一杯だ。
「くっそおおお!!」
「足りない!!跳ね返せるだけの力が……!!」
「はははははは!!終わりだ!!これで……わたしの勝ちだああああ!!!」
少しづつ、ルシフの方が押し始める。
多分、これを見た人たちから絶望の感情を吸収したんだ……。
「ぐぐぐ………まだだ……!まだ諦めねぇ!!」
だが、俺たちの下がる速度はどんどん上がっていく。
こんなところで負けられない……!
しかし、それでも頭を過ってしまう敗北の二文字。
だが……
『負けないで!』
頭に直接響いて来た穂乃果ちゃんの声。
「穂乃果……?」
『耀太くんもだよ!こんなところで諦めないで!みんなで決めたでしょ?最後まで足掻こうって!!』
……そうだった。
みんなで決めたことじゃないか。
覚悟を決め、ヨウタに問おうとする直前、
「ブレストブレイカー!シュートォォォ!!」
「オーシャニックブレェェェク!!」
「バーニングショット」
「ダイカイガン!ネクロム!オメガフィニッシュ!!」
「ファイナルベント」
「うおおおおお!!」
白と緑の二つのエネルギー砲、火炎弾、ギルスとアクア、アビスとアビソドンがエネルギーボールと競り合う。
「「みんな(お前ら)!」」
「すいません、先輩!遅くなりました!」
「悪かったな、ヨウタ」
別動隊として行動していた慎司たちと、アンクと同じく、オーラから解放されたシオンくんたちが駆け付けてくれた。
さらに、
「Exceed Charge」
「ギリギリ!クリティカルフィニ──ッシュ!!」
デルタとレーザー コンバットバイクゲーマーがどこからともなく現れ、慎司たちと同じくエネルギーボールに攻撃をぶつける。
「すいません……ミイラみたいなのとロボットが店に押し寄せてきて……」
「ヤヨイっち!それに……」
「俺っちだってこの世界が消されたら困るんでね。だから今は協力してやるよ」
王蛇とレーザーの間に良いとも悪いとも言えない雰囲気が流れるが、すぐに二人とも攻撃に集中し直す。
「どれだけ人数が増えようと、どれだけ足掻こうと、結果は変わらない!!」
「なあ、耀太……お前が思ったこと、当ててやろうか?」
「どうせヨウタも同じこと考えてるんでしょ?ならいいよ」
「そうかよ……なら……」
歯を食いしばって全身を使って押し返し始める。
「何!?押し返されるだと……!?あり得ない!!下等な人間にごときにぃぃ!!」
どんでん返しに次ぐどんでん返し。
さらに起きたどんでん返しにルシフは焦り始める。
「俺たちは……仮面ライダーは諦めない!!」
「俺たちを信じてくれる奴がいる限り、仲間がいる限り絶対にな!!」
「ぐおおおお……ふざけるなぁぁぁぁ!!何が諦めないだ!何が信じるだ!そんなものは全てまやかし、妄想に過ぎないんだ!!」
虹のエネルギーがさらに鳥と蛇のエネルギー体に注ぎ込まれ、大きくなる。
「てめえがそう思うなら、そう言い続ければいい!!」
「けどこの歌は……俺たちを奮い立たせた……確かな力だ!!」
「ば……バカな!わたしが負ける……?あり得ない!アり得なインだああアあアアAAAAA!!!!!!」
エネルギーボールを貫き、爆発。
そしてルシフに到達した虹色のエネルギー体は、奴を包み込み消滅させた。
***
エネルギー同士がぶつかった影響で、街はボロボロになった。
俺たちも相当ボロボロになったが。
「はあ……ただいま、みんな」
巨大な謎のステージとみんなの衣装。
そしてポッピーに変身している女神さま。
どれもこれも気になったが、今は……。
「お帰り、みんな!」
穂乃果ちゃんが、千歌ちゃんが、そしてみんなが笑顔で出迎えてくれた。
「あれ?もう一人の果南ちゃんは?」
彼女がいないことに気付いた千歌ちゃんが俺に尋ねる。
俺は言葉で返すことが出来ず、首を横に振る。
「そっか……」
それだけで理解したのだろう。
みんなの面持ちは、少し暗くなる。
「最期に俺に力をくれたんだ。次元王を倒してって……」
「そうだったんだね……」
俺は握っていたメダルを見せる。
次元王を倒し、変身を解除した後、このメダルはアンクのメダルから分離して、アンクのメダルは元の色に戻り、このメダルも輝きを失った。
そして彼女が消えた時と同じように、メダルは消滅してしまった。
──こっちのわたしのこと、幸せにしてあげてね──
「「っ!?」」
今の……果南ちゃんが俺に託したこと……ってそうじゃない!!
「ふむ、何となく察していたが、やはり二人はそう言う……」
「ちょちょちょ!シュウジくん何言い出すの!?まだそう言うのじゃなくて……!」
「ほほう……“まだ”なのか」
しまったぁぁぁぁぁぁ!!!
「やっぱり〜、だからあんなに大胆なことを……」
「ことりさん!?それは言わないでって……」
顔を真っ赤に染め上げながら、ことりちゃんに申す果南ちゃん。
だが時既に遅し。
「えー?何何?」「二人とも何したのー?」
ああ……もうダメだ……。
ワイワイと騒ぎ出すみんな。
やっと訪れた平穏な時間。
それももうじき終わりを迎える。
「あれ?千歌ちゃん、体が透けて……」
「本当だ!って曜ちゃんもだよ!」
「ええ!?」
みんなに異変が訪れた。
それは俺や慎司たち、果ては女神さまにすらも。
「どうやらお別れの時間が来たようね」
「そんなー!まだ色んな話をしたかったのにー!」
「仕方ないよ千歌ちゃん。本当はわたしたちはここには来れない、来ちゃいけない人間なんだから」
千歌ちゃんをそっと諭す梨子ちゃん。
「梨子の言う通りね。それに早く帰らないと、準備が間に合わなくなるわよ〜?」
「あ、忘れてた」
ズコーッと滑り、肩口をずらすみんな。
本当に千歌ちゃんは……。
「耀太」
「……お別れだね。でも……俺、ヨウタやみんなと出会えて本当に良かった!」
「俺たちもだ。またもし会う時が来たら、その時も一緒に戦ってくれよ?」
「もちろん!」
再会した時、それが世界のピンチなら、もう一度ともに戦うことを約束し、友情の証を交わす。
そして俺たちは光に包まれ、元の世界へ戻ったのだった。
***
ハッと意識が覚醒する。
ここは……あの雑貨屋……。
「耀太ー!早く早くー!」
屈託のない笑顔と声で、俺を手招きする果南ちゃん。
あの様子だと、今までのことは覚えてないのだろう。
「待ってよ果南ちゃーん!」
俺は彼女の方へ駆け出す。
「ほら、これなんか部室に飾ってみるのはどうかな?」
店に入ると、彼はが示したのはやはりあのカラフルな飾り物。
「そうだね。色の種類も結構あるみたいだし、一色ずつ買って飾るのもいいかも」
「あ、これも可愛い!」
「こっちもいいんじゃない?」
並べられた品物を選ぶ俺たち。
果南ちゃんが欲したものを、俺が手に取り、買う物に追加していく。
隣で笑う果南ちゃん。
ここにはいないもう一人の彼女と俺は約束した。
世界に平和を取り戻し、必ず果南ちゃんを幸せにすると。
いかがでしたでしょうか?
それでは、今回でたオリジナルライダー及びフォームなどの説明をしたいと思います。
仮面ライダールシフ
今回の事件の黒幕、次元王ことルシフェルが変身する悪のライダー。
本編中ではほとんど語られていないものの、ポセイドンの男の忠実な僕である。
憎悪、恐怖、絶望などの負の感情エネルギーを取り込むことでドライバーの封印を解く、また変身が可能。
その力は絶大で、プトティラコンボでも全く歯が立たない。
しかし、暴走の危険性が非常に高く、ポセイドンの男はこれを使用しなかった。
実はカザリの夢に出てきた翼をもつ人物は彼である。
仮面ライダーオーズ タジャドルコンボ・ブルーブレイズ
平行世界の果南が遺したコアメダルがAqours、μ'sの歌の力が注がれたことで、タカ、クジャク、コンドルのメダルと融合。
青色に変化した三枚のコアメダルで変身する青いタジャドルコンボ。
そのスペックは通常のタジャドルコンボはもちろん、プトティラコンボをも大きく上回る。
必殺技は、虹色の炎エネルギーを纏い、敵に体当たりする「レインボーブレイズ」。
仮面ライダー王蛇 スーパーサバイブ
突如現れたビルドがヨウタに託したカードで変身した姿。
タジャドル・ブルーと同じく、歌の力が注がれ、サバイブを遥かに凌駕する超絶パワーアップを遂げた。
契約モンスターであるベノスネーカーもベノムシュフシュに進化している。
必殺技は、エネルギー体となったベノムシュフシュを纏い、放つ必殺キック「レインボークラッシュ」。
仮面ライダーアビス ネオサバイブ
次元王から与えられたカードを使い、変身した姿。
アビソドンが鎧となり、ルシフと同じく負のエネルギーを放つ。ただし、その力はフルパワーのルシフの十分の一にも満たない。
仮面ライダーポッピー ときめきクライシスライブゲーマーレベルX
「ときめきクライシス」とドレミファビートを基に作られたリズムゲームのガシャット「ドレミファライブ」をゲーマドライバーに挿して変身する。
ドレミファライブには、歌の力で攻撃したり、また回復やパワーアップが可能。
その効果は歌に乗せられた想いの強さに比例する。
神に知られたら削除されそう。
ドレミファライブのゲーマは装着型ではなく、大きなライブステージである。
またオリジナル武器、ガシャコンマイクで衣装の生成が可能。
仮面ライダービルド
慎司やフミたちのピンチを救った仮面ライダー。
ワームホールから現れ、アビスを終始圧倒した。
変身者は不明。
アビスを撃破後、ヨウタにスーパーサバイブのカードを託し、再びワームホールに入り姿を消した。
輝くコアメダル
平行世界の果南が、最期に耀太に託したメダル。
Aqours、μ'sの歌の力を受け、生み出したもの。
次元王を撃破し、アンクのコアメダルと分離後、輝きは消失。メダルも消滅した。
スーパーサバイブ
ビルドがヨウタに託したカード。
出自は不明。
通常のサバイブを大きく上回る力を得られる。
次元王撃破後、カードは消滅した。
以上になります。
作者)えっとそれから……。
耀太)ちょっといいか?
作者)ん?どうしたの?
耀太)女神さまとアンクを生徒会室まで案内した音ノ木の女子生徒いただろ?
作者)いたねぇ。
耀太)いきなり知らない場所に飛ばされたのに、練習を続けてるなんておかしくないか?
作者)じゃあ本人に聞いてみる?
耀太)え?
女生徒)えっと……どういうご用件でしょうか?
作者)学校が別な場所に転移しちゃったのに、練習を続けていた理由を知りたいんだけど、聞いてもいいですか?
女生徒)そう言うことならお安い御用です。わたしは今年で部活を引退になります。最後の全国大会で結果を残せるよう、たとえ学校の場所が変わってしまっても、練習を怠るわけにはいかないんです!!
作者)だそうです。
耀太)……なんという情熱……どっかの誰かに見習ってほしいもんだな。
作者)う……そ、それよりコラボしてくださったヨータさんにお礼をしないと……
ヨータさん、コラボのお誘いありがとうございました。
また機会がありましたら、その時はよろしくお願い致します。