ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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ラブライブ!サンシャイン!!〜Step! ZERO to OOO〜
前回の三つの出来事
一つ、閉校祭が終了し、帰路についていた鞠莉、果南、カザリの前にカムイが現れる。
二つ、カザリは鞠莉たちを逃がし、カムイの足止めを試みるも、彼の手下のヤミーに彼女たちを捕えられてしまう。
そして三つ、鞠莉は、カザリたちを助ける為に、自らヤミーの親になってしまうのだった。

カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×3
クジャク×2
コンドル×2
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2


明かされた真実と秘密と休息

 俺はプトティラコンボに、そしてアンクはグリードの姿に変身し、道中の屑や成体ヤミーたちを蹴散らしながら、嫌な気配の方へと近づいていた。

 そして遂に、屑ヤミーたちのその向こうで複数人の姿を確認が出来た。

 とても良くないことが起きている気がしてならない。

 一刻も早く彼女たちのもとへ行きたいのに、屑ヤミーたちが壁を作り、行く手を阻む。

「俺たちの邪魔をするんじゃね───!!」

 冷気を広範囲で発生させ、エクスターナルフィンで扇いでヤミーたちを凍らせる。

「「はあ!!」」

 凍りつき動かなくなった屑たちを、アンクは火炎弾で、俺はテイルディバイダーで粉砕する。

 砕け散った氷たちは粉塵となり、宙に舞う。

「ライオン!トラ!チーター!ラッタ・ラッタァ!ラトラーター!!」

 ラトラーターにコンボチェンジ。

 ライオディアスで氷の粉塵を全て溶かし、視界を回復させていく。

 晴れ始めた視界に入ったのは八人程のシルエット。そのうち二人は座っていて、一人は倒れていた。

 やがて全ての氷が溶けると、その光景が露わになった。

 地に伏していたのはカザリ。縛られていたのは果南ちゃんと運転手さんだけ。

 そしてポセイドン、否、カムイが変身しているオーズと、軍鶏ヤミー、ゾウヤミー、カマキリヤミーと悶えているように見える合成ヤミーも目に映る。

 ……鞠莉ちゃんがいない。

「カムイ!鞠莉ちゃんをどこにやった!?」

「出会って早々、挨拶もなしに聞くことがそれですか……」

 やれやれと肩をすくめるカムイ。その仕草は、俺をさらに苛立たせる。

「答えろ!鞠莉ちゃんはどこだ!?」

「彼女ならそこにいるではないですか。おっと……君は見ていないんでしたね」

「……どういうことだ」

「そこですよ。今君の目の前にいるヤミー──それが小原鞠莉さんです」

 恐竜系を除くヤミーが全て混ぜられた容姿のヤミーを指差すカムイ。……やはり嫌な予感が的中してしまった。

「貴様ぁぁぁぁ!!!」

 灼熱の肩書きを持つラトラーターのボディから、絶対零度の冷気が発生する。

 俺はメダガブリューを生成して、カムイに斬り掛るが、三体のヤミーに阻まれる。

「くっ……邪魔だって言ってるんだよ!!」

 再び発生した冷気は、三体のヤミーの下半身を捕らえる。

「カブ!ゴックン!ラトラーター!!」

 セルメダル一枚をメダガブリューに噛み砕かせ、エネルギーの充填。

「はああああッ!!」

 横一文字に斧を振り、三体のヤミーを爆散させた。

 そして次に向かう先はカムイ。

 俺は斧を構え直し、奴と対峙する。

「君は……いえ、君たちは随分と変わった人間です。何故この世界の為に、そしてこの世界の人間の為に戦えるのですか?この世界とは無関係な異世界の住人であった君たちが」

 やっぱり気付いていたんだな。

 腐っても神、そして女神さまの弟ということだろう。

「関係あるよ。この世界も、そしてみんなも、あとちょっとで丁度一年の長い付き合いだ!それに……」

 俺は一瞬だけ果南ちゃんの方を見、すぐにカムイの方へ向き直る。

「……そうですか。やはりわたしたちは戦う運命にあるのですね。世界は違えど、人間を守りたい君と、人間を滅ぼしたいわたし。どちらの欲望が“王たる器”に相応しいか、すぐにでも決着をつけたいところですが……彼女との約束なのでね。今はここまでにしておきます。次に会う時が、“最後の審判”の時です──」

「!待て、カムイ!!」

 奴は黒い霧を発生させて奴自身と鞠莉ちゃんを取り込んだヤミーとともに姿をくらませた。

 ……俺は今にでも叫びたいほどの憤りを抑え、果南ちゃんと運転手さんの拘束を解いた。

「鞠莉……」

 二人がいた場所を見つめながら、果南ちゃんは鞠莉ちゃんの名を呟いた。

 

 ***

 

 十千万に戻ると、慎司と晴也、そして二人と一緒に帰ったはずのみんなが集まっていた。

 どうやら帰る途中でヤミーに襲われ異変を感じ、散らばっているのは危険だと判断したらしい。

「そんな……」

「鞠莉ちゃんが……」

 俺たちはつい先程までに起きたことを、包み隠さずみんなに話した。

 今回のヤミーの大量発生がカムイの仕業であること。

 鞠莉ちゃんがヤミーの親にされ、攫われたこと。

 後者は特にみんなに打撃を与え、その面持ちは暗く落ち込んでいた。

「ねえ、耀太」

 そんな中、あの場にいたうちの一人──果南ちゃんが俺にあることを尋ねてきた。

「あの人が言ってたこと、『この世界とは無関係な異世界の住人であった君たち』ってどういうことなの?」

 ……いつかは話さなければいけはい。

 俺のグリード化と合わせて、ずっとそう思ってきたことだ。

 今がその時だ。

「……みんなにはいつか言おうと思ってたことだ。本当は全員揃ってる時が良かったんだけど、こうなった以上、そうも言ってられない。だから全部話すよ、俺が……俺たちが知ってること、全部。(女神さま、今の話聞いてた?)」

『うむ。一語一句落とさず聞いてたぞ。真実を話すか否かはぬしらの自由じゃ。といっても、あやつが言ってしまった以上、もう言うしかないじゃろうがな』

「(慎司と晴也も良いな?)」

「(俺は構いません。いつまでもみなさんに隠し事をするのは心苦しいですから)」

「(俺も佐藤ちゃんと同じです。まあ、あとは信じてもらえるかですね)」

『待っておれ。今からわらわもそっちに行く』

「(なるべく早く来てくれ。俺たちだけじゃ信じてもらえるか分からないから)」

『任せておけ。ちゃんとタイミング良く行けるようにする』

 ……タイミング良くって……いや、そんなことより、今は女神さまが来るまで話を進めよう。

「耀太さん?」

「っと、ごめんね。じゃあ話すよ。……俺と晴也、それから慎司は、元々この世界の人間じゃないんだ。神子さん……女神さまに頼まれて、コアメダルを集める為にこの世界に来たんだ」

 みんな……グリードたちですら言葉を失う。

 そりゃそうだ。本当は仮面ライダーだの、ヤミーだの、グリードだのと、こんな非常識に関わるはずではなかったのだ。

 そして極めつけは神から遣わされた異世界の人間。

 グリードたちもそう易々と信じられはしないだろう。

「信じられないかもしれないけど、これは事実なんだ」

 俺は念を押すように、そう告げる。

「シン……本当なの?」

「本当だ。もっとも、俺はちょっと特殊なんだけどな」

 善子ちゃんが、慎司に真偽を問うが、慎司からの答えは、当然イエスだ。

『詳しいことはわらわから話そう』

 部屋中にあの人の声が響く。

「神子さんの声……?だけどどこか雰囲気が……」

 しかし、いつもとは全く違う雰囲気に、みんな何処と無く気付いている。

 そして次の瞬間、部屋の中にワームホールが出現。

 その中から、幼い容姿ながらも、気高く、美しく、そして神々しさを持つ彼女、女神さまが現れた。

「うそ……」

 驚愕に次ぐ驚愕。

 今この瞬間の出来事は、一生忘れることが出来ないだろう。

「神子……さん?」

「おう、“ミコ”じゃよ。女神ミコじゃがの」

 千歌ちゃんが呼んだ名、かつて彼女自身が名乗った名前を正す女神さま。

 てか女神さまのそれって本名だったのか……。

「当たり前じゃ。こんななりでもわらわは女神。嘘などつかん」

「いや、今心の声を読まなくていいよ!ほら早く説明してよ!」

 女神さま──女神ミコは、「やれやれ……」と嘆息してから語り始めた。

「話を始める前に、みなの記憶を戻そう。耀太たちと出会ってから、わらわが改ざんした全ての記憶をな」

 女神さまは右手に光を纏わせ、それを上に掲げる。

 すると、

「……そうだ、あの時わたしは……」

 失われていた記憶を、初めに言葉にしたのは千歌ちゃんだった。

「済まなかったな、千歌。ぬしのような心の綺麗な者に、あんなものを覚えていて欲しくなかったんじゃ」

「俺からも謝ります。あの時は本当にごめんなさい」

 千歌ちゃんに頭を下げる女神さまと晴也。

 三人が話しているのは、きっとカムイが学校に攻めてきた時のことだろう。

 それに続いて果南ちゃんが。

「わたしも思い出した──。千歌たちが初めてライブした時、巨大な怪物が外に現れて……それを倒した緑色のオーズ……」

「初めて俺がコンボを使った時だね。あの後、コンボの反動で倒れて大変だったのは、今でも良く覚えてるよ」

「あの時耀太くんが保健室に運ばれたのって過労じゃなかったんだ……」

 曜ちゃんに言われ、そんな言い訳をしていたことも思い出す。

 それからあとの出来事でも色々あったが、今は話し込んでいる場合ではない。

「では順番に、まずはグリードたちとコアメダルについてじゃ。みなは耀太たちからその誕生について話は聞いておるじゃろう。それは確かに本当じゃ。じゃがそれはまた別の世界での話。今ここにいるアンクたちが持っているものは、わらわと弟──カムイの二人で創り出したものじゃ」

「「っ!?」」

 ウヴァやメズールはもちろん、カザリとアンクも目を見開く。

「で、でもボクたちには“あの王”と戦った記憶が……」

「ぬしらが持っている八百年前の記憶、それらは全てわらわが埋め込んだ虚像じゃ。現世の者たちに神の存在を知られることを良しとしない輩も多いうえに、そういった神は色々とうるさいからの」

「「………」」

 人間によって造られたのではなく、神により生み出されたという事実。

 それは途方もなく壮大なスケールであり、グリードたち(かれら)もそう簡単に飲み込めるものではないのだろう。

 そう言えばいつだったか、「神は原則、直接下界で力を使ってはいけない」みたいなことを言ってたけど、やっぱりそういうことだったんだな。

「ま、ここまで来てしまえばそんな輩も何も言えんじゃろ。そんな堅苦しい考えでは手遅れになるやもしれんということが分かったじゃろうからな」

 そこまで話し、彼女はもう一度息を吐いた。

「あ、あの……女神、さま……?」

 女神さまをそう呼んだのは、梨子ちゃんだ。今までずっと“神子さん”と呼んでいた所為で、慣れないらしい。

「今まで通り“神子”で構わんよ。どこかの誰かのようにタメで話しかけてくる輩もおるからの」

 どこかの誰って思いっきりピンポイントじゃねーか!

 しかも視線が明らかに俺の方を向いてるしな。

「えっとじゃあ、神子さん……そのカムイって人のことを弟って……」

「ああ、わらわの愚弟じゃ。人間を『同じ過ちを繰り返す愚かな存在』と考え、滅ぼそうとしている。じゃからそれを止める為に、耀太と慎司、晴也をこの世界に喚んだのじゃ」

 元々はコアメダルを集める為。

 そして封印するという真の目的を告げられ、今の目的はカムイを止めること。

 こちらもまた、随分と話が大きくなってしまったものだ。

「……じゃあその目的が達成出来たら、耀太たちは元の世界に帰っちゃうの……?」

 不安そうな声で問うてくる果南ちゃん。

 俺はそれに対して、首を横に振る。

「帰らないよ。戦いが終わっても、俺たちは帰らない。みんなと別れるなんて嫌だからね」

「三人とも異世界で大切なものを見つけちまうバカですからね」

「惚気けるのは後にしてくれよ。まだ言いたいことがある者がいるようじゃからな」

 女神さまが目を向けた先にいるのは、もちろん俺。

 ただし、今度はさっきのようなふざけが混じったものではない。

 語りのバトンが、女神さまから俺へと渡された。

「俺からもう一つ、みんなに話したいことがある。色々聞かされて混乱してると思うけど、この話もちゃんと聞いて欲しい。……俺の体は……」

「グリード化してるんだよね……?」

「「っ!?」」

「え?」

 突然割って入ってきた果南ちゃんに、みんなだけでなく、俺や晴也、慎司も驚かされる。

「ど、どうしてそのことを……」

「忘れたの?体が入れ替わっちゃった時のこと」

「あ……」

 完全に失念していた。

 そうか……あの時果南ちゃんは、俺の体で異変を感じてしまったんだ。

「耀太の体でいた時、変な違和感を感じて、初めは気のせいかと思ったんだけど、アンクさんからその話を聞いて、その時に一瞬だけ見えるもの全部の色が消えたんだ」

「アンク……誰にも言うなって約束だろ」

「お前だって大層なことを隠してただろ。これであいこだ。それにカナンがいっただろ。異変を感じたって。あの時は、いつお前の秘密がバレてもおかしくなかったんだよ」

 それを言われると、何も言えなくなってしまう。

「今の話は本当なんですの?」

「本当だよ。もう俺の体はほとんどグリード化してる。お腹は空くけど、味は分からないし、目に映るものを色褪せて……聞こえる音は全て雑音のようになってしまう。みんなの歌をちゃんと聴けたのは、地区予選を突破した時が最後かな」

「そんなに前から……一体何故?」

「コアメダルだ。お前は直接見たはずだ、暴走したオーズをな」

「暴走……あの時の紫色のオーズですか?」

「そうだ。アレがヨータの中に入り込んで、コイツの体をグリード化させていってる。……まあ今となっては進行しきってると思うがな」

 みんなの視線が俺へと向けられる。

「そうなの、耀太くん……?」

「進行しきるってのは言い過ぎだ……って言いたいけど、実際左半身はほとんどグリード化してる。完全にグリードになってしまうのも時間の問題かな……」

 これ以上落ち込みようが無かったと思われたみんなの気持ちが、さらに深くなっていくのが分かる。

 隠し事をしていたことに対して何も言わないのは、それを知ればラブライブに集中出来なかったと理解してしまったからか、それとも言葉が見つからないのか。

 どちらにしろ、彼女たちには悪いことをしてしまった、そんな罪悪感が俺を襲う。

「……その力を手放すことは出来ないの?」

 ルビィちゃんが声を振り絞り、そう聞いてきた。

「女神さまの力を使えば多分出来ると思う。けど、これが無いと、俺は奴を止められない。皮肉なことに、毒とも呼べるこの力は、俺に奴と対等に戦えるだけの力を与えてくれてるんだ」

「気に入らんが、耀太の言う通りじゃ。それは今耀太が使える中で最強の力。もちろん戦いが終われば、それはわらわらが取り除く。じゃから済まないがそれまでは……」

 本当に申し訳ないと、謝罪の言葉を述べる彼女。

「大丈夫さ。それより今は鞠莉ちゃんが心配だ。一刻も早く助け出さないと……」

 今は俺の体より、鞠莉ちゃんの方が優先だ。

 俺は自分のことから鞠莉へシフトし、さっきの状況について話し始める。

「助け出すって言っても、情報が何もなくちゃ始まらない。……辛いかもしれないけど、さっきのこと教えて欲しい」

「鞠莉のことを助ける為だもん。わたしが聞いた限りの話だけだけど……」

「お嬢さまの為ならば、微力ながらわたしも協力させていただきます」

 果南ちゃん、そして運転手さんもそう言ってくれた。

 あの場にいたもう一人──カザリは。

「鞠莉を守れなかったのはボクの責任だ。ボクはボクでやらせてもらうよ」

「カザリ、待て!」

「はぁ、仕方のない子ね」

「カザリー?どこに行くんだー?」

 鞠莉ちゃんを守れなかったことに強い責任を感じているらしく、一人出て行ってしまった。

「済まん、耀太。俺たちも行かせてもらう」

「ええ。カザリが無茶しないよう、様子見も兼ねてね」

「分かった。でも無理だけはするな。もちろんカザリのことも、危ない真似をする前に止めてくれよ」

「了解よ」

 ウヴァたちにカザリの後を追い、彼のブレーキになってくれるよう頼んだ。

 そしてアンク以外のグリード……って俺ももうグリードみたいなもんか……。

 ともかく四人が出て行った後、話をもとに戻し、鞠莉ちゃん奪還作戦を考えることとなった。

 果南ちゃんと運転手さん、二人から聞いた話だと、奴は俺たちから聞いたことのないメダルを使ったらしい。

「金色のメダル……そんなメダルは聞いたことは……」

「ないな」

「わらわもそのようなメダルは知らぬ」

「……ということはカムイが新造したメダルってことか……」

 だけど、普通のメダルと何が違うんだ?二人が言うには、鞠莉ちゃんの額に挿入口が現れて、そこにメダルが投入されてヤミーになった……正確にはヤミーに取り込まれてしまったらしい。

「果南先輩、他には何か言ってませんでしたか?例えば欲望がどうとか」

「そう言えば、わたしが鞠莉の代わりになろうとした時、『今の貴女の欲望ではわたしの望みを果たせない』って言ってた」

「果南ちゃんの欲望では望みを果たせない……?」

「ようは、マリくらいの大きさの欲望がなければ成し得ない何かがあるってことだろうな」

「成し得ないこと……もしかしたら、カムイの計画が最終段階にまで達したとか?」

「多分、それで合ってると思う」

 晴也の推測は、これまでのことを考えれば、何となく想像ができるだろう。

 けれど、ただ鞠莉ちゃんをヤミーにすることだけが、奴が目的を達成する為の引き金ではないだろう。

 何を条件として、カムイの“望み”が果たされるのかは分からない。

 けど、今は早く鞠莉ちゃんを助けなければいけないことに変わりはない。

「どこに行くの、耀太。まさか今から戦いに行くなんて言うわけじゃないよね?さっきの戦いで消耗しているまま行っても、鞠莉を助けるどころか、耀太がやられちゃうよ!!」

 部屋を出ようとすると、果南ちゃんに止められる、

「果南の言う通りじゃ。それにあやつがいそうな場所にあてがあるのか?」

「……カンドロイドたちと一緒に見つける」

「無謀ですわ。それこそ、見つける前に貴方が倒れてしまいますわよ」

「でも早く見つけないと……!!」

「ヨータ!」

 焦りを感じ始めると同時に、アンクに怒鳴られる。

カムイ(アイツ)は、次に会う時が最後の審判だと言った。その言葉に嘘がなければ、アイツが行動を起こすことはまだ無い」

「……信用は出来ませんけど、今は信じるしかないですね」

「晴也……」

「そうです、先輩。今は休んで、出来るだけ体力を回復させましょう」

 晴也、慎司もアンクに続いて俺は止めた。

 ……あいつらの言っていることは、一理あるどころか、ドがつくほど正論だ。

「分かった……今日はもう休むよ」

 みんなの説得に、俺は冷静さを取り戻し、今日カムイたちを見つけるのは諦めることにした。

 

 俺は自室に戻り、アンクの俺、二人分の布団を敷く。

「これでよしと……ふぅ……」

 いつもより疲れたのは、恐らく戦いの所為だ。

 風呂にも入ったし、アンクはそのうち戻ってくるだろ。

 俺は自分の布団に潜り込むが、なかなか眠りにつくことが出来ない。

 鞠莉ちゃんのことで頭の中がいっぱいになってしまう。

 今彼女は、どれだけ苦しい思いをしているだろう。

 どれだけ辛い思いをしているだろう。

 そう思うと、眠ることなど出来ない。

 休むに休めないこの状況に嘆息していると、誰かがドアをノックした。

 

 ***

 

 今日は色々なことがあった。

 鞠莉がヤミーにされてしまったこと。

 神子さんは実は女神さまだったこと。

 そして耀太たちは他の世界から来た人たちということ。

 どれもにわかには信じ難いことだし、鞠莉のことに関しては信じたくもない。

 けれど、どれもこの目で確かに見てしまった。

 信じるしかないことなんだ。

 女神さま……神子さんが、「バラけていると、まだ誰かが危険な目に遭うかもしれない」と言ったことで、今日は全員が十千万に泊まることになった。

 そしてわたしは、今耀太の部屋の前まで来ている。

 どうしてここまで来てしまったのか、それは十数分前に遡る。

 

 お風呂を出て着替え、髪を纏めていると、アンクさんがやって来た。

 もちろん、扉越しにではあったけど。

「どうしたの、アンクさん?」

「ヨータのところに行ってやれ」

「……へ?ちょ、ちょっと待って!ど、どういうこと!?耀太のところに行けって……」

 突然耀太のところに行けと言われ、動揺してしまうわたし。

 い、いや、それは普通だと思うんだけど……。

「前にも言っただろ。アイツには……ヨータにはお前の支えが必要だ。特に今回はかなり気に病んでる。あの様子だと、十分休むことも出来ないだろうな」

 わたしやダイヤ、そして今や千歌たちもそうであるように、耀太にとっても鞠莉は大切な仲間で、友達。

 そんな鞠莉を助けることが出来なかったことは、耀太に精神的なダメージを十分与えたはず。

 力を持っていながら、成すことが出来なかった彼からしてみれば、それは尚更だ。

 そんな状態で耀太を戦いに行かせるわけにはいかないし、何より行かせたくない。

「……分かった。それじゃあ耀太を元気付けて来る」

「任せたぞ。俺は晴也たちの部屋で寝るから、お前は俺の布団を使え」

「ありがとう、アンクさん」

 アンクさんにお礼を言うと、彼は言った通り、晴也くんたちがいる部屋に行ってしまった。

 ……そして彼が見えなくなった後で、わたしは事の重大さに気付いた。

「……え?『俺の布団を使え』って……えええええ!!!?」

 

 そして今に至るわけなんだけど……。

 ど、どどどうしよう……アンクさんは、その……つまり、耀太と一緒に寝てくれって………。

 体温が一気に上昇していく。

 だ、だってわたしたちはまだ高校生だし、まだちゃんとお付き合いもしてないわけで……。

 い、いや、アンクさんは耀太を元気にしてあげてと言っただけで、やましいことをしろとは……ででででも、げ、元気ってそういう……。

 頭の中がこんがらがっていく。

 こ、こんな状態で部屋の前で躊躇っているのを誰かに見られたら……。

 わたしは覚悟を決め、扉をノックした。

「ん、アンク?」

「わ、わたしだよ……その、入って良い……?」

「うん、良いよ」

 耀太から入室の許しを貰い、ドアを開ける前に深呼吸する。

 それからわたしは耀太の部屋に入り、耀太の隣に座った。

「お邪魔しまーす……」

「どうぞー……と言っても、時間が時間だから何も出せないけど。それにしても、俺の部屋に来るなんて何かあったの?」

「えっと、その……もしかしたら耀太、落ち込んで休めないんじゃないかと思って、気になっちゃって……」

「ははは、果南ちゃんには敵わないな。……うん、全くもってその通りだよ。明日の為にも早く寝た方がいいのに、全然寝れなくて……」

 耀太は後頭部を掻きながら苦笑する。

 どこか無理をしていて痛々しく思える彼。

 そんな姿を見ていると、羞恥心なんてものは、いつの間にか消え去っていた。

「じゃあ、ちょっと横になって?」

「え?う、うん……」

 言う通り横になってくれた耀太。

 わたしも横になって耀太の頭が自分の胸元にくるように、そして息が出来なくならないよう、耀太を抱きしめた。

「あ、あの、果南さん?これは一体どういう状況でしょうか?」

 顔を真っ赤にする耀太。

 息が当たって少しくすぐったい。

「こうすればちゃんと寝られるかなと思って。どう?わたしの胸の音、聞こえる?」

「う、うん……これだけ近ければ流石に……」

 霧散していったはずの恥ずかしさが次第に戻ってくるも、それから数分後、胸元から「すぅすぅ」という寝息が聴こえてきた。

「良かった、ちゃんと寝れたみたい」

 幸せそうな顔で眠る耀太の頭を撫でる。

 眠るまでの過程も相まって、幼い子どものように見えてしまう。

「わたしもなんだか眠くなってきたな……」

 けど、部屋に戻ろうにも、下手に動けば耀太が起きてしまうかもしれない。

 ……今日だけなら良いよね?

 わたしは部屋に戻らず、そのままこの部屋で夜を明かしたのだった。




耀太&果南)Zzz……
ダイヤ)二人とも全く起きる様子がありませんわね。
花丸)仕方ないずら。今日は二人とも大変な目に遭ってしまったんだから。
ダイヤ)そうですわね。今はそっとしておいてあげましょう。
作者)oh……二人ともぐっすりなんですね……。それじゃあ、ダイヤちゃんと花丸ちゃん、次回予告お願いします。
花丸)了解ずら!
ダイヤ)休息をとり、体力と気力を回復させた耀太さんたち。
花丸)そこへ、最後の決着をつけようと言うカムイさんと、鞠莉ちゃんを取り込んだヤミーが現れた。
ダイヤ)耀太さんたちは無事鞠莉さんを救い出し、カムイさんを止めることが出来るのか?
花丸)次回「欲張りな少女と王たちと復活」
耀太&果南)Zzz……
ダイヤ)さ、わたくしたちも部屋に戻りましょう。
作者)え?果南ちゃんはどうするの?
花丸)こんなに気持ち良さそうに寝てるのに、起こしちゃうのは可哀想ずら。
作者)さいですか……。起きた時の反応が目に見えるよ……。

カウント・ザ・メダルズ
タカ×3
クジャク×2
コンドル×2
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2
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