ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~ 作:白銀るる
前回までの出来事
鞠莉、果南、カザリの三人は、下校中にカムイとヤミーたちの襲撃を受け、カザリは二人を守るために奮闘するも、鞠莉はヤミーの親にされてしまう。
そこへ駆け付けた耀太とアンクだったが、耀太によってヤミーが倒されると、カムイは逃亡してしまった。
そして鞠莉の奪還に向けて、戦士たちは一時休息を取るのだった。
カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×3
クジャク×2
コンドル×2
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2
熱く盛り上がり、とても楽しかった閉校祭。
普通なら、その余韻に浸って友人や家族、人によっては恋人と語り合ったりするものだ。
けれど、俺たちにはそんなことする余裕はなかった。
否、許されなかった。
鞠莉ちゃんがさらわれてから、およそ半日が経った。
俺は部屋を抜け出し、日が出たばかりの海を眺めていた。
『次に会う時が、“最後の審判”の時です──』
最後の審判──俺と奴の決着、そして人類の未来。
もちろん、最優先は
けど、カムイの言ったことが気になってしまうのもまた事実だ。
「なーに考え込んでるんですか、耀太先輩」
不意に背後から声をかけられた。
振り向くと、慎司と晴也の姿があった。
「不安なんですか、耀太さん」
「……かもしれない、いや、きっとそうだな。鞠莉ちゃんのことが心配だし、絶対に助けたい。それに今度の戦いは間違いなく、今までで一番厳しい戦いになるはずだ。人類の存亡をかけた戦いに」
今まで、どんな手を使ってでも俺たちを倒そうとしてきた奴のことだ。
また良からぬ手段を用いて、俺たちを翻弄しようとするだろう。
「……そんなの、百も承知ですよ」
「たとえ、どんなに卑怯な手を使ってこようと、正々堂々、真っ向からそれを破って勝つだけです」
……本当、頼もしい後輩たちだな。
俺の中の曇りが、少しだけ拭われる。
「さて、そろそろ戻りましょう。朝飯の支度もしないといけないんだし」
「だな」
俺たちは十千万に戻り、後から目を覚ましてきたみんなと朝食を食べた。
その後はカンドロイドたちによる捜索。
俺たちも行こうとしたが、体力を温存しておけと女神さまとアンクに言われ、何かあるまで待つことにした。
パソコンでカンドロイドたちから送られてくる映像や画像を確認しながら、俺はふと思った。
戦いが終わった後、アンクたちグリードはどうなるのだろう。
当初の予定ならば、全てのメダルを回収、封印するはずだった。
初めは俺もそれに賛成だった。
けど、アイツらと過ごした時間は、グリードに対する俺の意識を少しずつ変えていった。
出来ることなら、みんなを封印なんてしたくない。
誰かに想いを寄せるようになったウヴァ。
気持ちを共有できるようになったガメル。
人と触れ合うことで愛を知り始めたメズール。
誰かの為に戦うことが出来るカザリ。
そしてもう一人──。
「何だ?」
アイスを頬張りながら、タブレットを操作していたアンクが尋ねてくる。
「いや、何でもない」
「……そうか」
俺が答えると、少しだけ間を開けてそう言い、視線をタブレットへ戻す。
そうだ……今は鞠莉ちゃんを助け、カムイを止めることだけを考える。
再びパソコンのモニターに目を向ける。
やはり何も見つからない……そう思った直後、
「「!」」
きた!アイツの気配だ!
俺はパソコンを閉じてからあぐらを解いて立ち上がり、起き上がったアンクとともに扉の前まで来て、開こうとした時だった。
扉に手を伸ばすも、触る暇なくひとりでに開いていく。
この部屋に……俺を訪ねてきたのは、ダイヤちゃんだった。
「ダイヤちゃん?」
「もう行くのですか?」
「ああ。やっとアイツが現れたからな」
アンクが問いに答えると、彼女は「そうですか……」と一言呟き、言葉を続けた。
「耀太さん、貴方に渡すものがあります。手を」
そう言われた俺は、ダイヤちゃんの方へ手を差し出す。
ダイヤちゃんは、両手で俺の手を包み込み、ソレを握らせた。
「これ……本当に良いの?」
「はい。彼がわたしに言うのです。『僕も連れて行ってくれ』と。役に立ててあげてください」
「……ありがとう。その想い、たしかに受け取ったよ」
俺はダイヤちゃんにそう告げ、部屋を出ていった。
「頼みましたわよ。仮面ライダー……」
***
沼津の町に現れたカムイとヤミーたち。
町の人々は、突然現れた怪物の群れを目の当たりにし、逃げ惑っていた。
俺、晴也、そしてアンクは生身で、慎司は徒手に加え、バースバスターも使って屑ヤミーたちを蹴散らし、逃げ遅れた人を助けながら奴らに近づいていった。
「おはようございます。今日は絶好の終末日和ですね」
「何が終末日和だよ。ふざけるのもいい加減にしろよ」
既に変身しているカムイからの挑発に、怒りの言葉を返す慎司。
バスターの銃口を奴らの方向に向け、トリガーを引いた。
だがエネルギー弾はカムイにも、隣に並んでいるヤミーたちにも着弾することは無かった。
「どこを狙っているんです?わたしたちは目の前にいるというのに」
「狙ったのはお前じゃねぇ。あそこにいた人を襲ってた
奴らの背後には、確かに腰を抜かしている男性と、頭を失い、欠けたメダルに還元されていく屑ヤミーの姿があった。
「ほう……まだ人間が残っていましたか。それも中々良い欲望をお持ちのようで……」
「「っ!?」」
奴はノールックでメダルを男性に投げ入れ、彼はライオンヤミーに姿を変えられた。
「お前……!」
「ふふふ。憤るのは良いですが、この数を相手にたった四人でどこまで出来るでしょうか」
たった四人。
そう言ったカムイの背後には、無数の成体ヤミーたちが吠えていた。
数では圧倒的にこちら負けている。
コンボに慣れてきたとは言え、ガタキリバ五十人分の体力を維持するのに何分持つか……。
「やっぱりグリード化の所為で目が悪くなってるんじゃないかい?」
そう思うやいなや、
さらに水流、電撃、投石攻撃が成体ヤミーと屑ヤミーたちに直撃する。
「質より量、そんな考えが俺たちに通用すると思うなよ!」
「ルビィたち泣かす奴、俺許さない!」
「ええそうね。そう言うことだからポセイドンの坊や、いえ、今はカムイの坊やだったわね。鞠莉を返してもらうわよ!」
カザリ、ウヴァ、ガメル、メズールが俺たちの加勢に来てくれたのだ。
「みなさん……」
「感動してる場合か。お前らもさっさと変身しろ」
「ああ!行くぞ二人とも!!」
「「はい!!」
俺と晴也、慎司は各々のドライバーを腰に装着し、変身の準備に入る。
晴也はドライバーに水を集め、慎司はセルメダルを指で弾いてキャッチして装填。
そして俺は三枚のコアメダルをオーカテドラルにセットし、傾け、全員同時に最後の変身シークエンスを踏む。
「変…「「変身!!」」…身!!」
「タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!!」
仮面ライダーへの変身が完了し、カザリたちとともに並び立った。
「くっくっく……最後の戦いに相応しい役者が揃いましたね。さあ、決着の時です!!」
どす黒いオーラを噴出するカムイ。
オーラと同時に衝撃波が放たれ、付近の建物の窓ガラスが全て砕け散る。
「お前の思い通りにはさせない!俺は……俺たちはこの世界の全てを守る為に戦う!!」
互いに酷似した剣と戦斧を構え、仲間たちも交戦の構えに入る。
「ふっ!」
カムイは剣を振り下ろし、それを命令と受け取ったヤミーたちが一斉に飛び出した。
***
バース・ツヴァイへと変身し、
腹部に拳をめり込ませ、足蹴にして払い、バースバスターを連射して吹き飛ばす。
しかし、その数と勢いは衰えることなく、なだれ込んで来る。
「クソ!これじゃあキリがねぇ!」
「慎司、後ろだ!」
ウヴァの警告が耳に入ると、背後からの攻撃をノールックで躱す。
「あっぶねー!助かったぜ。ありがとウヴァ!!」
ウヴァに礼を言いながら、攻撃してきたヤミーの顔面を殴り、爆散させる。
「ふざける暇があったら一体でも多く敵を倒せ!」
「倒せ倒せー!」
ウヴァだけじゃなくガメルにまで怒られた……。
まさかこんな日が来るなんてな……。
とは言え、本当にふざけている余裕が無いのは事実。
その点は省みながら、どうするか考える。
バースCLAWsを装着しただけでどうこうできる量ではないし……。
「おい、慎司!何か良い策はないのか!?」
ウヴァに言われ、一つだけ考えついた案を提案する。
「あるにはある。けど、コイツはセルメダルを千枚も消費するとんでもない金食い虫、もといメダル食い虫。発動させるのに時間がかかっちまうっていうのが大弱点なんだ」
「なるほどな。ならばその時間、俺たちが稼いでやる!」
「やるー!」
「……済まない、恩に着る!」
俺はカッターウィングを装着し、一時退避。
ありったけのゴリラカンドロイドを起動させ、ポットに入れていたセルメダルをぶちまける。
「ゴリラちゃん、お手伝い頼むぜ!」
ゴリラカンドロイドたちは、「任せろ!」と返事をするように腕をブンブン振り回す。
そしてセルメダルを投入開始した。
***
メズールさんとともに、ヤミーたちを散らしていく。
だが、いくら倒しても数が減っている様子は見られない。
「くっ……強さはそうでもないけど、これだけの数を相手にしてると流石に……」
「全くもってその通りだわ。本当に鬱陶しい!」
屑ヤミーに関しては分かっていたことだが、成体ヤミーすらもほぼ無限に湧いて来る始末。
戦いが始まってから十数分、既に二十体以上の敵を倒した。
どうする!?このまま一体一体相手をしていてもジリ貧だ……。
いつかは体力が無くなって
「!?」
思考回路を働かせながら戦っていると、いつの間にか敵が目の前まで迫ってきていた。
しかも大技を仕掛けようとしている。
まずい……!!
攻撃を受ける覚悟を決め、腕を頭上でクロスさせる。
けれど、耐えきることが出来るだろうか?
「はあっ!!」
そう思ったのも束の間、目の前にいたヤミーは水流攻撃をくらい、吹き飛んだ。
「もう少し周りを見なさい。こうしていつも助けてあげられるわけじゃないのよ!」
メズールさんが俺に叱責しながら敵を薙ぎ倒していく。
「す、すいません……。けど、このままではみなさん……」
「やられてしまうわね」
互いの背中を守りながら、メズールさんと話を続ける。
「だからと言って、今攻撃の手を緩めれば、すぐにそうなってしまうわよ」
「それは……そうですが……」
正論過ぎてぐうの音も出ない。
確かに今手を休めている暇は無くて、しかし何策を練らなければ、このままひたすら倒しているだけでは埒が明かないのもまた事実で。
この危機から脱することは出来るのか……。
「坊や。大切なのは諦めないことよ。耀太や千歌たちのようにね」
「耀太さんや……千歌さん……」
俺はその名前を反芻し、みなさんのことを想う。
彼らが諦めたところを、見たことがあっただろうか。
少なくとも、俺の知っている耀太さんや千歌さんは、簡単に何かを諦めるような人ではない。
そして諦めないことで、ラブライブ決勝大会出場というところまで来れたんだ。
「……そうでした。諦めたらそこで何もかも終わり。たとえ絶望的な状況でも、何度でも立ち上がる。それがあの人たち。なら俺も……その一人として、諦めるわけにはいきません!!」
俺は拳にありったけの力を乗せ、ヤミーたちを打ち上げる。
さらに水流……否、水龍を纏い、技の体勢に入る。
地面から噴き出た水が、まるで逆さの滝のようにさらに多くのヤミーたちを上空に吹き飛ばし、その体内に拘束する。
「ウォーターフォールクライムッ!!」
そしてトドメにキックの姿勢になり、水龍とともに滝登り。
「はあああああっ!!」
噴水に巻き込まれたヤミー全てにライダーキックを命中させ、爆発四散させた。
「やるじゃない。流石仮面ライダーね」
俺たちを囲んでいた大半の敵を倒した。
それでもその数はまだまだ多い。
「うおりゃああああっ!!」
響く宮沢さんの声。
それがした方向からCLAWs・サソリと、それを操る
「よお、佐藤ちゃん。さっきぶりだな」
「また凄いのを出して来ましたね」
「まあな。けど、サソリちゃんを使ってもまだ全然減らねーよ」
「ですね……」
倒せど倒せど、新しいヤミーが現れる。
まるでパンデミックのようだ。
全員が背中合わせになって円を作り、再び構える。
刹那、
「「っ!?」」
一体のヤミーが崩れ去り、セルメダルの山に還元された。
それに続くように、一体、また一体とヤミーたちがメダルに形を変えていく。
「どういうことだ……」
「うう……分からない……」
「考えられることがあるとすれば……」
メズールさんがそう言いながら、ある方向を見つめる。
その視線の先には、ヤミーたちで見えなくなっていたアンクさん、カザリさん、そして気を失っている様子の鞠莉さんをお姫様抱っこで抱える
***
慎司たちがヤミー軍団を相手にしてくれている最中、俺、アンク、カザリの三人で、キマイラヤミーとカムイの二人と対峙していた。
「君たちも随分酷いことをしますね。あの数のヤミーたちをたった五人に任せるなんて」
「は!どの口がそんなことを言うんだろうな?」
「キミだって人のことは言えないよね?」
「それに五人に大変な役を押し付けてしまったのは、俺がよく分かってる。だから、必ず鞠莉ちゃんを助けて、お前を止めるんだよ!!」
俺は奴の目の前まで跳躍し、メダジャリバーで奴を斬ろうとする。
「ウガアアア!!」
だがそれは、ヤミーによって阻まれる。
こちらを睨みつけるキマイラヤミー。
コイツの中に鞠莉ちゃんが取り込まれているのか……。
早く助けないと!
「アンク!チーターのメダル頂戴!それで鞠莉ちゃんを……!」
俺はアンクにチーターメダルを要求。
それに応じて、アイツはメダルを取り出すが、
「やめておいた方が良いですよ」
カムイのその声により、行為を妨げられた。
「何?」
「どういうことだ」
「彼女を取り込んだヤミーは、少々特殊なメダルを使っていましてね。無理やり引き剥がせば、鞠莉さんの意識は永遠に戻らないでしょう」
「お前……!!」
普段怒ることの無いカザリが、その感情を爆発させ、カムイに攻撃を仕掛ける。
攻撃は剣で容易く受け止められてしまった。
「ぐっ……」
「ほう……コアメダルが増えていないにもかかわらず、以前より力が増しているようですね」
「……キミの相手はボクだ!!耀太、キミはアンクと一緒に鞠莉を助けてくれ!それが出来るのは、きっとキミだけだ!」
奴を相手にするのに一人で戦うのは無茶だ。
しかし、彼の目はそれを言わせようとしなかった。
「分かった」
一言だけ、了承の返事をし、俺は目の前のヤミーに意識を集中させた。
むりやり引き剥がすのはダメ。
それ以外の方法で助けないといけない……。
考えている途中でも、ヤミーはお構いなしに攻撃してくる。
重量級ヤミーの特徴を持つ拳での一撃はとても重く、肩から放たれる電撃は、俺の体に強い衝撃と痺れを与える。
さらには、空中から風圧弾を発射し、オクトバニッシュのように装飾の足をドリル状にし突貫してくる。
俺は攻撃を躱し、あるいは受け止めるだけ。
どうすればあの子を救い出せるんだ……!
「何モ……」
「え?」
「何モ失イタクナイ……耀太……果南……」
俺と果南ちゃんの名を呼んだキマイラヤミー。
このヤミーの欲望は……鞠莉ちゃんは一体、何を想っているんだ……。
分からない……。
『耀太、聞こえるか?』
「(女神さま。ああ、聞こえてるよ。このタイミングで念話してきたってことは、何か考えでもあるの?)」
『うむ。わらわが、ぬしと鞠莉の意識をリンクさせる。リンクしている間は無防備になってしまうが、強引な方法が取れない以上、直接彼女を説得するしかない』
「(分かった、やってくれ)」
『それには、まずあのヤミーと触れ合うのじゃ。その状態が一番安定して同調させることが出来る』
俺はもう一度頷き、アンクに呼びかけた。
「アンク!これから俺は、鞠莉ちゃんを助ける為に彼女と意識をリンクさせる。その間、俺とヤミーに攻撃が当たらないようにしてくれ!」
「アイス一週間分で引き受けた」
交渉させる気も、拒否させる気も無いのアンクだったが、一週間分程度のアイスなど、安いもんだ。
再びヤミーが拳による打撃を食らわせようとしている。
そのチャンスを逃すわけにはいかない。
ヤミーの拳をしっかりと受け止める。
腕が痺れるが、今更その程度で音を上げるようなヤワな体はしていない。
『いくぞ!三、二、一!』
女神さまのカウントダウン。
『ゼロ!!』
それがゼロになった瞬間、内浦の町だった場所は真っ白な空間になり、俺の変身も解かれていた。
そして目の前には、目を閉じ、体育座りのように丸まっている鞠莉ちゃんがいた。
「鞠莉ちゃん!鞠莉ちゃん!!」
「……耀太?」
俺の呼びかけで目を覚ました彼女。
けれど、その瞳からは生気が感じられなかった。
「みんなのところに戻ろう。千歌ちゃんも、果南ちゃんもダイヤちゃんも、みんな待ってる」
「……もういいの。わたしはみんなを裏切って、迷惑かけて、貴方たちの手を煩わせてる。それに……あそこにいたら、また果南を……今度は耀太のことも傷つけちゃう!ならいっそ、このままわたしごとヤミーを……」
「……けんな」
「え……」
「ふざけんなっ!!」
「っ!?」
気付けば、俺は彼女を怒鳴りつけていた。
いつもより強く怒りを感じるのは、ここが精神世界だからだろうか。
「何だよ、もういいって。裏切るって何をだよ。手を煩わせてる?こんなこと、今までいくらでもあったよ!それに……分からないよ!何なんだよ、果南ちゃんを傷付けるって!そんなこと言われても、全然分かんないよ!!言っとくけどな、自分勝手に『消える』なんて言ってることこそが、俺に対する……みんなに対する一番の裏切りなんだからな!!俺たちの気も知らないで、良くもまあそんなことを……」
「それは……それはこっちのセリフよ!貴方こそ、わたしの気持ちを知らないクセに!!」
今度は鞠莉ちゃんが、感情的な声で叫ぶ。
光の宿らぬその瞳から、涙が溢れ頬を伝う。
「わたしは……!貴方のことが好きなの!!愛してるの!!初めて会った時からずっと!!」
彼女の口から放たれた言葉は、俺に強い衝撃を与えた。
ヤミー、グリード、カムイ、どんな強敵からの攻撃よりも強い衝撃。
「二年前、わたしと果南とダイヤで立ち上げたスクールアイドル部。最初は興味すら無かった。けど、二人と一緒にやっていくうちに、スクールアイドルが好きになって、二人と一緒にいたあの場所が好きだった。けどあの日、わたしたちは歌うことが出来なくて、そのままわたしは留学……Aqoursは解散して、スクールアイドル部も廃部になった……。でも、今年の春、千歌っちと梨子と曜と耀太……四人でスクールアイドル部を創部して、一年生の花丸とルビィ、善子と慎司が加わって、果南とダイヤの心からの笑顔を取り戻して……。耀太はずっと、わたしの大切な場所を守っていてくれた──」
外では、鞠莉ちゃんを助ける俺を待って、みんなが戦ってくれてる。
かなりヤバい状況なはずなのに、鞠莉ちゃんの話を聞いていると、これまでのことが、まるで走馬灯のように過ぎっていく。
「耀太のことを見ていると、考えていると、スクールアイドルを好きになった時と同じ……ううん、それ以上に胸がドキドキして、この想いを貴方に伝えて、貴方もわたしのことを見てくれたら……。そう考えるだけで、わたしは幸せだった。でもね、わたし、分かっちゃったの。耀太は本当にみんなのことをよく見てる。けど、その
「鞠莉ちゃん……」
「果南は大切な幼馴染で親友。もう二度と傷付けたくない。けど、わたしは耀太のことが好き。この二つの気持ちは、決して交われない。どちらかを諦めるしかない」
「だから、今までずっと言わなかったんだね……」
こくんと頷く鞠莉ちゃん。
その表情はどこか自虐的で、悲しげだった。
「でもやっぱり諦められなかった……。果南も耀太も、わたしは二人のことが大好き。でもこのことを二人に伝えたら、果南ちゃんは傷付くし、耀太も困るでしょ?欲張りで、醜いわたしのことなんて……」
「醜くなんてない」
また、俺の意識とは無関係に、俺の口が動き始めた。
俺の心からの声を紡ぐ為に。
「欲張りでいいじゃん、人間なんだから。同時にいくつも欲しいものがあったって、それは当たり前のことなんだよ。それがたとえ、好きな人と友達、その両方だったとしても。それに鞠莉ちゃんは、果南ちゃんを傷付けたくなかったから、ずっと言わなかったって言ったよね?そんなことが出来るのは、本当に友達が大好きな優しい子だけ。やっぱり鞠莉ちゃんは醜くなんてない。だから戻って来て」
俺は手のひらが上になるように、手を差し伸べる。
すると虚ろだった鞠莉ちゃんの瞳に、再び涙が溜まり始め、光が戻る。
「本当に良いの?」
「うん、みんな待ってるよ」
鞠莉ちゃんは俺の手を握る為、左手を近づけてくる。
が、手に触れる直前で、動きを止めた。
「鞠莉ちゃん?」
「もう一度……もう一度だけ言わせて」
何を、なんて無粋なことは言わない。
ただ彼女の言葉を待つ。
「耀太、好きよ」
俺は一息吸いこんでから、
「ごめんなさい」
そう返事をした。
それから鞠莉ちゃんは、少し悲しげな笑みを浮かべた。
「知ってた」
彼女の瞳から涙が零れた直後、俺の視界はホワイトアウトしていった。
現実世界に意識が戻ると、先程まで拳を交えていたキマイラヤミーの姿は無く、代わりに、俺の腕の中に気を失っている鞠莉ちゃんがいた。
「おかえり、鞠莉ちゃん」
静かに眠る彼女から視線を外し、カムイの方へ目をやる。
「本当に助け出してしまうとは……いやはや、流石としか言いようがありません」
一人拍手をするカムイ。
よく見ると、周りにいたヤミーは全てセルメダルになっていた。
多分、あのキマイラヤミーが司令塔のようなものだったのだろう。
『良くやった、耀太。鞠莉はわらわがみなの元へ連れていく。ぬしはあやつを……』
「ああ、必ず止める。この世界の人たちを守る為に!」
抱きかかえていた鞠莉ちゃんの体が光の粒になり消失。十千万に送られた。
「カムイ!次はお前だ!!」
「くっくっくっ………フハハハハハハハ!!!」
鞠莉ちゃんを奪還され、ヤミーも全滅。
追い込まれまはずのカムイは笑い声を響かせる。
「何だアイツ……頭でもおかしくなったのか?」
「いや、違う……」
慎司の言葉を真っ先に否定したアンク。
晴也と慎司、二人が疑問符を浮かべる中、俺たち六人は強い気配を感じた。
「貴方が
「彼だと?一体何のことだ!?」
奴に聞き返した直後、落ちていたセルメダルが奴の背後に集められていく。
キマイラヤミーだったメダルが塊となり、核のようなものを形成。
他のヤミーだったセルメダルが体を形作っていく。
「あれは……!!」
ヤミーやグリードを圧倒する強大な力を持った気配。
その正体は、俺の知っているコアメダルの生みの親。
錬金術師ガラの怪人態だった。
ダイヤ)無事鞠莉さんを助け出せたみたいですわね。
花丸)本当に良かったずら……。
果南)けど、今度はもっとヤバそうなのが出てきたみたい……。
耀太)冗談抜きでアイツはヤバイよ。なんて言っも、平行世界のコアメダルを生み出した張本人なんだから。
花丸)そんなに凄い敵を相手に耀太くんたちは勝てるずら……?
ダイヤ)信じるしかありません、彼らを。
AZALEA)次回「終わりの始まりとそれぞれの戦いとグリードたちの想い」
果南)信じよう。必ず鞠莉を取り戻して、帰って来るって。
カウント・ザ・メダルズ
タカ×3
クジャク×2
コンドル×2
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×2
トラ×2
チーター×2
サイ×2
ゴリラ×2
ゾウ×2
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2