ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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前回までのラブライブ!サンシャイン!!~Step ZERO to OOO~
耀太たちの目の前で、錬金術師ガラが復活した。
カザリたちグリードは、カムイによって異空間に送られ、慎司と晴也の二人はガラと戦い、彼らは内に秘めた覚悟をもって、敵の撃破に成功した。
一方、耀太とアンクはカムイと交戦し、彼らが持つコアメダルのうち、五枚が破壊されてしまうのだった。

カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×3
クジャク×2
コンドル×2
クワガタ×2
カマキリ×2
バッタ×2
ライオン×1
トラ×2
チーター×1
サイ×1
ゴリラ×1
ゾウ×1
シャチ×2
ウナギ×2
タコ×2
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×2


理由とぶつかる二人とMIRAIのコンボ

 戦いが始まってから十数分が経った。

 サゴーゾ、ラトラーターに続き、シャウタとガタキリバのメダルまで破壊されてしまった。

 今使えるメダルは、変身に使っているタトバの三枚と俺の中の五枚、それからアンクのメダルが六枚だ。

 中遠距離で攻撃しても、すぐに間合いを詰められ、数で押し切ろうとしても、あっという間に分身たちを倒された。

「はあはあ……」

「流石の貴方も、通常の五十倍のダメージと疲労は相当こたえたようですね」

 ガタキリバの特性上、分身たちが受けたダメージが俺にも反映される。

 左半身は痛みを全く感じないが、右半身には剣で滅多刺しにされた、そして巨大な岩石に押しつぶされたかのような激痛が走り、ろくに動かすことが出来ない。

「ですが、こんなものではありません。わたしの怒りは!復讐はね!!」

 さらに腹部に、それも痛みが残る右腹に正拳突きが突き刺さる。

 攻撃箇所を庇うようにうずくまってしまい、隙を見せたところに、今度は回し蹴りを食らわせられる。

「ち……」

 アンクが舌打ちしながら奴に殴りかかる。

 が、その拳が顔面に直撃しても、カムイは微動だにしない。

「何!?」

「無駄です。完全でない貴方の攻撃など、避ける必要もありません」

 そう言いながらカムイはアンクの腕を掴み、自身の顔から離していく。

 そして俺にした時と同じように、腹部に拳をめり込ませた。

「そうでした。貴方たち二人のメダルも回収しなければいけませんね。やはり王はこのわたし……人類はみな、わたしに滅ぼされる運命にあるのです」

 カツンカツンという足音が、俺の方へと近づいてくる。

 俺の体内のメダル……これを除いてくれるってだけなら、喜んで差し出してやるところだ。

 だが、奴はこのメダルの力を使ってとんでもないことをしようとしている。

 そんな奴に渡してやるわけにはいかない!

 俺は体中を駆け巡る凄まじい痛みに耐えながら、立ち上がる。

「さっさと楽になってしまえばいいものを……」

「かもな……。けど、ここでそれを選んだら、後で死ぬほど後悔する。いや、死んでも後悔する。だから、これはお前には渡さない!!」

 ベルトに収められていた三枚のメダルが、俺の体内から出てきたメダルに弾き出される。

 そして自分の手でバックルを傾け、オースキャナーでメダルを読み込んだ。

「プテラ!トリケラ!ティラノ!プットッティラーノザウルース!!」

 プトティラコンボにコンボチェンジし、地を割りメダガブリューを生成して構える。

「無駄だと言うのに……」

「プテラ!トリケラ!ティラノ!プットッティラーノザウルース!!」

 奴も同じく、体内から放出されたメダルをドライバーに収めて、低音の変身音を響かせる。

 俺とは違い、黒いプトティラコンボに変身し、奴もメダガブリューを構えた。

「うおおおお!!」

 初めに動いたのは俺。

 カムイに向かって走り出し、メダガブリューを振り下ろし、奴はその一撃を同じくメダガブリューで受け止める。

「流石のパワーです。以前と比べてまた強くなっている。しかし、それはわたしも同じこと。ふん!!」

 鍔迫り合いは、俺が押し退けられ、奴が勝利。

 俺は数歩後退させられて、さらにテイルディバイダーで吹き飛ばされる。

「はあ!!」

 再びアンクが飛翔し、火炎弾をカムイに向けて放つ。

「無駄だと言っているでしょう!!」

 炎を斧で斬り落とし、アンク本人にも斬撃を浴びせようとする。

 だが、アンクはそれを左手で受け止めた。

「何……?」

 それだけではない。

 メダガブリューを介して、アンクの左腕と繋がっているカムイの右手が震え出した。

 それはカムイが力を込めている証拠。

 つまり、アンクは奴の全力の一撃を片手で受け切ったのだ。

「ひとのことを完全でないだのなんだのって、いちいち癇に障るんだよ。よく見も知りもしないクセに、過小評価するのはやめておけ!」

 空いている手でゼロ距離での火炎放射を浴びせるアンク。

 炎の勢いに負け、カムイは後方に押されていった。

 俺は瓦礫をどかして、アンクの隣に並ぶ。

「大丈夫か」

「なんとか。けど、これでアイツの逆鱗に触れたみたいだな」

「何言ってんだ。アイツは初めから俺たちの逆鱗に触れてただろ」

「ああ。アイツのしたこと許すわけにはいかないし、人類を滅ぼさせもしない……!いくぞ!!」

 俺とアンクはそれぞれの翼を広げ、カムイに向かっていく。

 一方のカムイも、漆黒の翼を広げて、空高く昇っていき、俺たち二人はそれを追いかけた。

 

 衝突する拳と拳。

 放たれる炎と絶対零度の氷。

 雲を切り裂く斬撃。

 三人(おれたち)の力が交わっては離れて、大気を、大地を、海を震わせる。

 やがて、雨粒が俺たちの体を打ち、稲妻が轟き始める。

 天災すら起こしかねない次元にまで、戦いは激化していった。

「人間の身でありながら、わたしとの戦いについてこられるとは……。だがわたしは負けない!!」

 カムイは黒い冷気を発生させ、エクスターナルフィンで俺たちの方へ向けて扇いだ。

 俺とアンクは、それを避けてカムイに接近。

 二人で連携攻撃を仕掛ける。

 俺の攻撃を回避したカムイに、アンクが攻撃を当てて、彼が奴を止めている間に再び攻撃に移る。

「カムイ、もう一度だけ聞く。どうしてお前は人間を滅ぼそうとするんだ?!人間を滅ぼして、お前は何がしたいんだ?!」

 斧で()り合いながら奴に問いを投げかける。

 すると、奴は俺の得物の刃を弾き、退けさせてから話し始めた。

「……キミが元いた世界と同じように、かつてこの世界でもこの星全てを巻き込んだ大規模な大戦がありました。それは権力(ちから)ある者たちの身勝手な欲望が引き起こしたものです。多くの人々は、平穏とは程遠い中で怯えながら暮らしていました。そんな中、わたしと姉さまが祀られていた(やしろ)に一人の少女が訪れては、祈りを捧げていました。下界への干渉は禁じられていましたが、わたしは姉さまたちの目を盗み、彼女のもとを訪れ、尋ねました。『何故、こんな辺鄙な場所まで来て、祈るのか』と。すると、彼女はこう言ったのです。『早く戦争が終わって欲しい。みんなに笑顔になって欲しいんだ』と……。わたしは少女の願いを叶えてあげたかった。だがわたしにはそれだけの力は無かった。ただ見守るしか出来なかった。……それから、少女は毎日社に来るようになりました。しかし突然、少女の姿を見ることは無くなってしまいました。それからすぐのことです。辺境の地にまで及んだ戦火により、彼女が命を落としたことを……。欲望が罪の無い命を奪った。欲望が穢れ無き願いを踏みにじった。欲望が……欲望が光ある未来を失わせた!!……それからわたしは、人間たちに制裁を与えることだけを考えて生きてきました。どんな方法が、一番相応しいかをね」

 カムイは、手のひらに三枚のメダル──サメ、クジラ、オオカミウオのメダルを、見せつけるように出現させた。

「それでコアメダル……か」

「ええ。欲望に(まみ)れた人間たちが最期を迎えるには、これ以上のものは無いと直感しました。自らの欲望によって人間は滅びる!実に皮肉でしょう?」

 俺は愕然とした。

 彼が(おこな)ってきたこと、その全ての裏側に、人間を憎む気持ちとともに、人間を想う気持ちがあったという事実に。

 その願いの先に辿り着いてしまったのが、「人間を滅ぼす」という本末転倒な方法であることに。

「それじゃあダメだ……」

 カムイの話を聞き、心の言葉が口から零れる。

「アンタのしてることは、アンタが憎んだ人間と同じじゃないか!!罪の無い人たちごと、関係の無い人たちごと滅ぼそうとするなんて間違ってるッ!!」

 俺は彼に向かって叫びながら、メダガブリューを振る。

「わたしの計画を果たす為には、致し方ない犠牲です!貴方たち人間も、その言葉で自らを正当化してきたではありませんか!」

 カムイは俺の攻撃を黒いメダガブリューで受け止め、反撃してきた。

「だからそれじゃあ……なんにも変わらないって言ってるんだよおおおおお!!!」

 斧での攻撃は何度も躱され、弾かれ、彼を捉えることは無かった。

 仕掛ける度にダメージを負ったのは俺の方。

 一人で無茶するな、そう言ってアンクもカムイに立ち向かうが、戦況は一向に良くならない。

 寧ろ、感情に任せてしまった分、俺たちが不利な状況に傾き始めていた。

「どうする?このまま戦っても、こっちが消耗するだけだぞ」

「分かってる……」

 いつかは負けてしまう。

 俺もともに戦っているのだから、そんなこと分かってる。

 そしてその時は、そう遠くないことも。

 どうすればそうならずに済むか、俺は一つだけ方法を思いついていた。

「アイツのコアメダルを破壊する。それが、今出来る最善の手段だ」

「……出来るのか?」

「やってみなきゃわかんねえ。協力してくれるか?」

「アイス一年分、追加だな」

 さりげなく、俺の財布に大打撃を与える条件を提示してくるが、世界を──人類を守れるなら、それくらい安いものか。

 俺はアンクに、出来るだけカムイが俺に集中出来なくなるように攻撃するよう頼み、俺自身もカムイとの戦いを再開した。

 拳と斧が、お互いの体を傷つけ合う。

 さらにカムイには、炎が襲い掛かる。

 カムイと俺はほぼ互角。

 この戦いで、今まで負ったダメージは俺の方が多い。

 しかし、カムイにも徐々にダメージが蓄積していった。

「ええい、鬱陶しい!」

 そして好機は訪れた。

 自分の攻撃を妨害するように攻撃してきたアンクを睨んだカムイ。

 その瞬間、俺は彼の視界から外れた為、隙だらけになった懐に入り込んだ。

「!?しまっ……!」

「はあ!はああああ!!」

 斧を二度、力強く振り、カムイを斬り付ける。

 二振りの攻撃は、見事カムイのメダルを捉えた。

「ぐ……!」

 だが、カムイもただ攻撃を喰らうだけではなく、反撃を仕掛けてきた。

 それにより、俺の体内のメダルが一枚、音を立てて砕けた。

 そして奴のメダルは、その全てが真っ二つに裂け、粒子となり消滅し、今の形態を保てなくなったカムイは、地上に落下した。

「わたしのコアメダルが……今の連携は、初めからそれが目的か……」

 タトバコンボに戻り、苦しそうに胸を押さえるカムイ。

 メダルの喪失とともに多大なダメージを受けたようだ。

 俺は地上に降り、アンクも地に足を着け、カザリたちも地に膝をつく彼を囲んだ。

「もう終わりだ。アンタの野望は潰える。最後のメダルを引き渡して、罪を償うんだ!」

 完全に勝利したと、誰もが思った。

 だが、彼は……。

「まだだ……まだわたしは!終わっていない!!審判を下すまで!人間たちを断罪するまで!わたしは終わらないっ!!!」

 カムイが叫ぶと、青黒いオーラを発生し、俺たちの体を打つような衝撃を放つ。

 彼のドライバーに収まっていた三枚のメダルは、バックルから外れて黒いオーラに飲み込まれる。

 再びその姿を現した時、それらは全く別の存在に変化していた。

 まるで意志を持っているかのように、黒いコアメダルはオーズドライバーに戻っていく。

 そしてスキャナーが外れ、その三枚のメダルを読み込んだ。

 

「ダーク!ダーク!ダーク!

 ダークタカ!ダークトラ!ダークバッタ!

 ダーク!タ・ト・バ!タ・ト・バ!!

 ダークネス!!!」

 

 黒いメダルのエフェクトがオーズの体を囲み、黒いタカ、トラ、バッタのクレストがそのアーマーを変化させていった。

 究極のオーズと瓜二つの姿。

 だが、その色は黒混じりの濃い色で、炎のような形の青い斑点が左右対称になる位置についている。

「何だあのコンボは……」

 あのアンクやカザリですら、目の前で起きたことに目を見開き、驚いている。

 奴から感じる底知れぬ。

 その力を前に、俺も、グリードたちも恐怖を感じることを禁じ得ない。

「まさか……神であったわたしの闇が……ここまで活性化するとは……。欲望の力のおかげということか……。だが、たとえ心が闇に染まろうと……わたしのやることは変わらない……」

 その力を見定めるように、握り拳を作ったり、黒いエネルギーを発生させながらカムイは呟いていた。

 そして確認が済むと、今度は俺たちを睨む。

「っ!来るぞ!構えろ!!」

 俺がそう叫んだ刹那、すぐ側でドンッ、という鈍い音が響いた。

 音のした方に目をやると、ウヴァの腹部に拳をうち下ろしたカムイがいた。

 次いでカザリ、メズール、ガメル、そしてアンクが。

 グリードたちが全員、たった一撃で屠られた。

 最後は俺が、目にも止まらぬ速さで、防御する間もなく吹き飛ばされた。

 攻撃を喰らった瞬間、俺の中で何かが音を立てた。

 一撃で変身が解除され、激しい痛みに襲われる。

「……どうですか?圧倒的な力を前にする気分は……」

 近づいて来たカムイが何か言っているが、内容までは聞き取れない。

「……聞こえていないようですね。せめて、これ以上苦しまないよう、今のうちに楽にしてあげましょう……」

 エネルギーが収束されていくのを肌で感じるが、抵抗することはおろか、指を動かすことも出来ない。

 次第に意識が薄れていく。

 このまま眠ってしまえば、楽になれるだろうか?

 ……いや、楽になんてなれない。

 さっきもそうだったじゃないか。

 今ここで諦めてしまえば、みんなを守ることが出来ない。もし、そうなれば本当に死んでも後悔することになる。

 そんなの絶対に……。

「絶対に嫌だ……」

 こんなところで諦めたくない。

 アイツを止めて、未来を必ず守る。

 願いや欲望の域を超え、執念と化したものが、たったそれだけが、ボロボロになった俺の身体を突き動かす。

「まだ立ち上がるのですか……。もう諦めてしまった方が……」

「嫌だ!!俺は諦めない。たとえどんなに絶望的だったとしても!!」

「何故そこまでするのです……」

「決まってんだろ……!俺は未来を守る為に立ち上がるんだ!!お前の間違いを正して、みんなが幸せでいられる……笑顔でいられる未来を守る!!!」

 俺の脳裏に彼女たちとの想い出が過ぎり、身体は温かい光に包まれていく。

「その光……以前戦った時と同じ……」

 そして光は、俺の着けているオーズドライバーに集まって、三つの輝きへ変化し、俺の手に収まると同時に光は薄れて消え、三枚の金色のコアメダルが手の中に残っていた。

「なんだ……そのメダルは……」

 俺はそれを一枚ずつドライバーにセットしながら、答える。

「……これはミライのメダル。イマを一生懸命に生きる人たちが目指す先にある──ありとあらゆる可能性を秘めたミライのチカラ……!変身!!」

 

「スーパー!スーパー!スーパー!

 スーパータカ!

 スーパートラ!

 スーパーバッタ!

 スーパー!タ・ト・バ!タ・ト・バ!!

 スーパー!!!」

 

 タジャドルコンボ時と同じく、タカヘッドから進化したタカヘッド・ブレイブ。

 トラアームがトラゴラスアームに進化し、トラクローもトラクローソリッドになり、より鋭利なものに。

 バッタレッグも、ジャンプ力が格段にアップしたバッタゴラスレッグに変化している。

 

 タトバコンボの進化系にして、オーズ究極の形態。

 オーズ スーパータトバコンボが、イマここに誕生した。

 




梨子)何、あのオーズ……今までのオーズと何かが違う……。
慎司)先輩が変身したスーパータトバコンボは確かに強いです。けど、カムイのあの黒いオーズの強さが分からない以上、戦いの行方は予想できませんね……。
鞠莉)耀太ならきっと勝てるわ。これまで、どんなストロングなエネミーも退けてきたんですもの。
善子)くっくっく……その通りよ。シン、リリーに次ぐ、上級リトルデーモンなのだから……でもシンより強いわよね、アレ……
慎司)ん?何か言ったか?
善子)い、いえ!何でもないわよ!何でも!
慎司)そうか?それじゃ、次回「神と少女と伝わる想い」
梨子)お願い耀太くん!
善子)カムイを止めて、さっさと帰ってくるのよ!
鞠莉)あんなことわたしに言っておいて、あなただけ帰ってこないなんて、ネバーアラウドなんだから!

カウント・ザ・メダルズ
タカ×3
クジャク×2
コンドル×2
クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×2
ライオン×1
トラ×2
チーター×1
サイ×1
ゴリラ×1
ゾウ×1
シャチ×1
ウナギ×1
タコ×1
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×1
スーパータカ×1
スーパートラ×1
スーパーバッタ×1
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