ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~ 作:白銀るる
前回の三つの出来事
一つ、カムイとの戦いで、耀太は変身につかえる手持ちのメダルの大半を失う。
二つ、耀太とアンクの二人は、息を合わせた連携攻撃で、カムイのメダルの破壊に成功する。しかし、カムイはその心の闇が肥大化し、黒いオーズ──ダークタトバコンボに変身してしまう。
そして三つ、ダークタトバコンボの圧倒的な力の前に、グリードたちと耀太は手も足も出なかったが、耀太の諦めない心がキセキを起こし、金色のコアメダルを生み出して、耀太はオーズ スーパータトバコンボへと変身したのだった。
カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×3
クジャク×2
コンドル×2
クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×2
ライオン×1
トラ×2
チーター×1
サイ×1
ゴリラ×1
ゾウ×1
シャチ×1
ウナギ×1
タコ×1
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×1
スーパータカ×1
スーパートラ×1
スーパーバッタ×1
慎司と晴也が十千万に戻ってから十分程が経過した。
晴也の姿を見たみなは、酷く動揺した。
神子が彼の傷を癒し、命に別状は無いことを明言したが、それでも彼女たちの表情は暗いままだった。
プロジェクターで映していた戦いの様子。
それも原因の一つだ
映像とは言え、その壮絶な戦いは、彼女たちを
「二人がかりでも勝てないなんて……」
「それだけあの人が強いってことなんだね……」
梨子と曜が、不安に満ちた表情でコメントする。
どんなコンボも、攻撃も決定打にならない。
それどころか、コンボは耀太の体力を奪っていく。
それを知っているからこそ、彼が連続でコンボを使用しているのを見ると、余計に不安と心配に飲まれてしまうのだ。
「あ!オーズが、耀太くんがいっぱいに……!?」
「分身の術ずら!」
「あ、あの数なら流石に……」
ガタキリバの力で、分身 ブレンチシェードを生み出して総攻撃を仕掛けた耀太。
それだけ見れば、誰であろうと勝ちを確信するだろう。
「あれが何体も倒されなければな……」
「どういうことですの?」
「あのコンボ、ガタキリバコンボで生み出した分身は、そのスペックが下がることはありません。けど、分身は耀太先輩本体とダメージや疲労を共有するんです。最大で……五十人分……」
「「五十人分っ!?」」
「そんなのいくら耀太でも耐えられるわけないよ!」
『ぐわあああ!!』
果南がそう言った直後、映像の中で耀太が悲鳴をあげた。
五、六体の分身たちが氷漬けにされて砕かれていく。
「コンボの力すらものともしないとは……カムイはそこまで力を高めたというのか……」
分身は次々と倒されていき、遂に耀太は一人となった
ブレンチシェードたちのダメージを負いながらも、耀太は膝をつきながら立ち上がり、武器を構えていた。
「普通の人間なら立つことも出来ないはず……グリード化の進行で感覚が鈍っているからか……」
「そんな……」
痛みが鈍っていたとしても、友人の、親友の、恩人の、そして愛する人の苦痛に歪む表情は見るに堪えない、見たくない。
この場にいる全員が、女神も含めてそう思っていた。
だが、最早耀太以外に世界を救うことが出来ないのも事実。
『プテラ!トリケラ!ティラノ!プットッティラーノザウルース!!』
「「っ!?」」
「またあのコンボ……」
声を漏らしたのは鞠莉。
彼女たちがあの姿を見たのは二回だけ。
一度目は暴走し、鞠莉がそれを止めた。
次は星を見た夜に、空を覆う雲を掻き消した。
その二回とも、あの変身には良い印象を持てなかった。
忌むべき姿になった二人とアンクが拳を交え始める。
戦いの舞台は大空に移っていった。
「地上からの映像ではよく見えないのお……じゃがこれ以上は危険か」
三人が空で戦いを始めた為に、その様子を詳しく伺えなくなってしまった。
撮影が出来るカンドロイドでは、地上からだとその機能には限界がある。
かといって、空を飛ばして二人の邪魔をしてはいけないと、神子なりに考えていた。
「どうして……」
「千歌ちゃん?」
「どうして耀太くんたちは戦うの?元々違う世界に住んでいた人なんでしょ?それなのに、どうして命をかけてまで……」
不意に千歌が呟いたこと。
Aqoursの面々が、「耀太たちが平行世界の人間である」という事実を知ったのは、つい一日前。
そしてその疑問を持っていたのは、千歌だけではない。
全員が同じことを思っていた。
「それは……この世界が好きだから……っていうだけじゃ、理由として足りませんか?」
「「慎司くん(シン)……」」
「ま、俺たちは聖人じゃないんで、そんなヒーロー染みた理由だけじゃないと思いますけどね」
「それってどういうことよ、シン?」
「それはまあ、そういうことですよ」
果南をちらりと見て口元を緩めた慎司。
その真意を理解し、紅潮する果南と微笑むAqoursメンバーと神子。
少しの間だけだが、みなの緊張は和らいだ。
直後、プロジェクターに接続されているスピーカーから激突音が響く。
映像の中に彼らが戻って来た。
「あのオーズは……カムイさんの方?三色のオーズに戻ってるってことは……」
「それじゃあ耀太くんたちが……!」
耀太たちが勝利した、誰もがそう確信した。
だが次の瞬間、画面の向こう側は黒に……否、黒く染まった青に飲まれた。
禍々しい波動を発して現れた黒いオーズ。
先程の黒とは、似ても似つかない色合いで、より邪悪な力を、神子と慎司はひしひしを感じていた。
「何アレ……怖い……見てるだけで震えが……」
ルビィがそう言ったように、他のメンバーからも恐怖を感じているのが伺える。
生物としての直感が、彼女たちに語り掛けているのだ。
刹那、黒いオーズの姿が画面から消える。
それとほぼ同時に画面外から悲鳴と破壊音が聞こえた。
「カザリくんたちの悲鳴……?」
カンドロイドが移動したのか、映像が回転して悲鳴が聞こえた方を映された。
「──!?」
倒れもがくアンクたち。
その中心にいるのは、カムイが変身した黒いオーズだ。
「たった一瞬であの五人が……」
「時間を止めて、奴らを攻撃したか……」
「時間を止める?どういうことよ?!」
神子の言葉に反応し、善子は彼女に問いかける。
「そのままの意味じゃ。たった今、この世界の時間が、ほんの一瞬じゃが止まった」
「ウソ……」
「アイツ……スーパータトバと同じ能力を持ってるってことか」
神子は、慎司の言葉に頷き、無言で肯定した。
「“スーパータトバ”ってなんなんずら?慎司くん」
「オーズの究極の形態だ。時間を止めるチカラがあるうえ、止まっている時間の中で動くことが出来る。女神さまの言ったことが正しければ、多分アイツもその力を使うことが出来る」
「それじゃあ、耀太たちに勝ち目は無いってこと?」
「………」
果南が尋ねると、慎司は黙って俯いてしまう。
現状、彼が把握している耀太の形態は、プトティラコンボが最強。
そして今、その形態も敗れた。
「変身が解けてしまったようデスね……」
グリード五人と同様、地に倒れ伏し、もがき苦しむ耀太。
そんな彼の前に立つカムイ。
カムイが黒いエネルギーを集め始めると、映像にノイズが混じり砂嵐のようになり始める。
「神子さん!このままじゃ耀太くんが……!」
途絶え途絶えで流れる映像に映るのは、満身創痍で苦しむ少年と闇に囚われた哀しき神。
彼らは勝っていた。
だが予想外の力が目覚め、形成が逆転した。
全てが終わる、最悪の結末とともに……そう絶望の底に落とされた。
『絶対に嫌だ……』
しかし、誰よりも絶望の淵に立たされている彼は、諦めてなどいなかった。
『まだ立ち上がるのですか……。もう諦めてしまった方が……』
『嫌だ!!俺は諦めない。たとえどんなに絶望的だったとしても!!』
『何故そこまでするのです……』
『決まってんだろ……!俺は未来を守る為に立ち上がるんだ!!お前の間違いを正して、みんなが幸せでいられる……笑顔でいられる未来を守る!!!』
耀太がそう返すと同時に眩い輝きに包まれる。
やがて光は消えてしまったが、耀太はその時に手に入れたらしいモノ──メダルをベルトにセットしていく。
『……これはミライのメダル。イマを一生懸命に生きる人たちが目指す先にある──ありとあらゆる可能性を秘めたミライのチカラ……!変身!!』
再び耀太の身体が光に包まれる。
それが消えた時、そこに立っていたのは、今までのオーズとは全てが異なる次元の存在。
仮面ライダーオーズ スーパータトバコンボだった。
***
スーパータカ!
スーパートラ!
スーパーバッタ!
スーパー!タ・ト・バ!タ・ト・バ!!
スーパー!!!」
棒立ちになっていた俺に向けて、カムイは収束していたエネルギー弾は放つ。
しかし、全身を包む金色の輝きによって、エネルギーは掻き消された。
「……!」
あの黒い姿──ダークタトバに変身してから、感情をあまり表に出なくなってしまったカムイが、狼狽えた様子を露わにする。
次の瞬間、奴の姿は目の前には無かった。
後方へと回っていたカムイのキックを、左腕で防ぐ。
「!?防いだ……どうして……?」
攻撃を打ち消されただけでなく、移動した位置を読まれて防御されたことで、彼はさらに焦りをみせ、驚きのあまり後ろに数歩退く。
そして驚愕の表情を見せたのは、アンクたちも同じだった。
「今の攻撃、見えたか?」
「いや、ボクの目でも追いつけなかった……」
「一体どれだけの速さで動いているんだ……」
茫然とする彼らを尻目に、俺は奴と対峙する。
見れば見るほどダークタトバコンボの姿は、スーパータトバコンボと酷似している。
まるで鏡の前に立っているような気分だ。
「来ないのか?なら今度はこっちの番だ!」
俺はスーパータトバの能力を解放し、奴の背後に回り込み、トラクローソリッドで斬り裂く。
カムイは俺の攻撃を受けるが、ダークタトバもスーパータトバと同様の
「……貴方のソレも、わたしと同じ力のようですね」
「ああ。確かに似ているな。能力も、姿も。けど──」
再び能力を使って
「お前のソレとは何もかも違う!!」
周りの時間はあまり進んでいないが、俺たちの戦いは激しさを増していく。
奴の体を俺の拳が打つように、俺の体を奴の拳が打ちつけた。
「お前は言った。戦争が……人間の欲望が未来を奪ったって。お前はその復讐に為にみんなを……果南ちゃんや鞠莉ちゃんを利用して、その未来を奪おうとした!“致し方ない犠牲”って言った。それが人間と同じだということも。だけど、どんな言葉で正当化しても、苦しみや悲しみは生まれて、繰り返されることで新たな悲しみを生む。そんな負の連鎖を作ってしまう復讐を、その子は本当に望んでいると思うのか!?」
一撃、また一撃と、俺は彼に訴えながら攻撃をしていく。
彼女たちと過ごしてきた時間を思い返しながら。
辛かったことや苦しかったことは、数え切れないほどあった。
だけど、本当に楽しかった時、嬉しかった時、そんな時の彼女たちの笑顔は、とても眩しく輝いていた。
カムイが出会ったという少女も、きっとそんな笑顔を望んでいたはず。
それを彼に伝えなければ……。
「(女神さま、聞こえるか?)」
『おう、聞こえておる。それに、ぬしが何をしたいのかも分かってる』
「(だよな。じゃあ頼めるか?)」
『……奴を止められるとは限らんぞ?』
「(いや、アイツにまだ心が残ってるなら……きっと聞いてくれるはずだ。その子の本当の気持ちを……)」
『分かった。じゃが、現世でない分、それなりに時間がかかる』
「(上等。耐えてみせるさ!)」
さて、ひとまず手は打った。
後は時間を稼ぐだけだ。
俺は翼を展開して、上空に飛び立つ。
それを見たカムイは、両手を広げて黒いエネルギー弾を複数生成し、俺に向けて放った。
エネルギー弾を回避し、避けられないものは弾き飛ばして奴から離れていく。
だが、このままでは埒が明かないと考えたようで、カムイも黒い翼を広げて、俺を追って来た。
再び後方に黒い光が集まっていく。
エネルギーの収束を妨害する為に、体を翻して、カムイの手元目掛けて、トラクローソリッドで斬撃波を飛ばした。
直撃して誘爆したらしく、赤い炎と黒い煙があがる。
煙の向こう側から、カムイが一直線に飛んできた。
奴は俺の顔を掴み、下に急降下する。
町からかなり離れたので、真下は地面ではなかったが、叩きつけられる時の痛みとは、別種の苦痛に襲われた。
水中に落とされ、沈む体。
なんとか水面まで上がろうと試みる。
すると、右目に映る世界が青から黒に変色する。
「(まずい……!)」
それがあのエネルギー弾──否、それ以上のエネルギーボールであることを悟り、焦燥感にかられる。
直撃すれば、いくらこの形態でもただでは済まない。
けど、避ければ海底に直撃……その衝撃で地震や津波なんかが起きれば、内浦……いや、沼津が大変なことになる!!
どうすれば……。
『耀太!準備出来たぞ!っと……ちとヤバそうじゃな』
「(ああ、めちゃくちゃヤバいよ。あんなもんが水底にぶち当たったら、どうなるか分からない)」
『なら、あのエネルギーを使わない手はないな』
「(は?女神さま、一体何を……)」
『良いか?あやつに少女の声を聞かせるには、直接接触し、かつ膨大なエネルギーを消費しなければならない』
なるほど。今あのエネルギーを集めてるアイツに、俺が技をぶつければ、とんでもないエネルギー量になる。
確かにそれを利用しない手はないな。
『出来るか?』
「(やってやるさ……!)」
再び翼を広げ、海中から勢いよく飛び出す。
カムイの頭上、そして彼が作っているエネルギーボールの遥か上で制止し、彼を見下ろす。
「スキャニングチャージ!!」
メダルを再スキャンし両足を揃えて、狙いをカムイに定める。
OOOのリングを通り、エネルギーを脚に収束して、カムイ目掛けてキックを打ち込む。
そしてカムイも、エネルギーボールを俺に向けて放った。
「はああああああ!!」
「………!!」
凄まじい衝撃が俺の体に襲い掛かり、ビリビリと痺れるような感覚が駆け巡る。
今までのどんな攻撃よりも重い。
さらにエネルギーボールから漏れる青黒いオーラは、俺の精神に干渉し、技を阻もうとしている。
──めろ……やめろおおおおっ!!
「やめるわけにはいかない!カムイを、本当の復讐鬼にしてしまう前に止めるんだ!!」
ありったけの力を脚に乗せ、足へと伝わせる。
俺の力がカムイの力を上回り、エネルギーボールを押し返した!
エネルギーボールは、威力が上がったキックに耐えきれず、爆発。
その爆発は、その場の全てのエネルギーを使い果たし、俺たちの精神を異空間に引きずり込んだ。
***
目の前に広がるのは、鞠莉ちゃんを助けた時と同じあの空間。
真っ白で何も無い空間に……。
「ここはどこだ……」
カムイがいた。
「ここは女神さまが……ミコさんが作り出した場所だ」
「キミは……なるほど。キミごとこの場所に閉じ込め、世界を人間を守った……ということですか……」
「いいや。残念ながらそれは違うね。ここにアンタを呼んだ理由は……彼女だ」
俺が横にずれると、そこには少女の──女神さまに連れてきてもらった、祈りの少女の姿があった。
「お久しぶりです、神さま」
「な……!まさか、キミは……!どうしてここに……」
「神さまのお姉さまが連れてきて下さったんです。『バカな弟を叱ってやってくれ』って……」
少女は苦笑しながらカムイにそう話す。
一方のカムイは困惑しているが、徐々に笑顔を見せ始めた。
いつも俺たちに向けていたような邪悪な笑みではなく、少年が見せるような純真な笑顔だ。
「わたし聞いたんです。神さまが色んな人に迷惑をかけてるって。その理由は、わたしたちが死んでしまった所為だってことも……」
「そんな……キミたちは何も悪くない!悪いのは、戦争を始めた悪しき者たちで……」
「たとえそうだったとしても、神さまが悪さをしてしまったのは事実です」
「………」
カムイの表情が暗くなっていく。
やはり彼にも、悪事を働いたという意識はあったようだ。
もっとも、そうでなければ俺の問いかけに、あんなに真剣な声で、「致し方ない犠牲」などと言えるはずがない。
「けど……神さまが、そこまでわたしたちのことを想ってくれていたんだって分かった時、わたし凄く嬉しかったです。神さまは、
少女が身体を保てる時間に限界が迫っているのか、光の粒子になり始めている。
「だから今度は、イマを生きる人たちがみんな笑顔になれる、幸せになれる、そんな平和な世界を作ってください」
約束、ですよ──
そして少女はひとしずくの涙を落とし、この場所から完全に消失した。
曇りも、陰りも無く、屈託のない笑顔を、心優しき神さまに向けて……。
作者)……なんでわたしここに呼ばれたの?
耀太)ちょっと聞きたいことがあってな。鞠莉ちゃんを助けた時は、タイミング合わせのカウントダウンだけだったのに、あの子の時は、エネルギーが必要だったんだ?
作者)ああ、それなら……
女神)あの
作者)そう。だから闇と光、二つの属性のエネルギーをぶつけ合うことで、その属性を失わせて、女神さまが吸収。あの子の身体を再構築してたんだよ。
耀太)なるほどな……。
作者)……すいません、次回予告良いですかね?
女神)おっと、悪い。それでは、次回「復讐と決着と八つのコンボ」
耀太)お前が全ての元凶だったのか……!!
???)ふははははは!!この世界を吸収して力を手に入れ、俺は世界を超えて復讐を果たすッ!!
カウント・ザ・メダルズ
タカ×3
クジャク×2
コンドル×2
クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×2
ライオン×1
トラ×2
チーター×1
サイ×1
ゴリラ×1
ゾウ×1
シャチ×1
ウナギ×1
タコ×1
プテラ×2
トリケラ×1
ティラノ×1
スーパータカ×1
スーパートラ×1
スーパーバッタ×1