ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~ 作:白銀るる
前回の出来事
ポセイドンは斃し、彼の遺した暴走龍をも撃破した耀太。
その時の衝撃で発生したブラックホールに吸い込まれ、時空の裂け目と呼ばれる場所に来てしまう。
それから耀太は仮面ライダービルドの力を手に、三つの世界を救い、元の世界に帰還したのだった。
カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズが使えるメダルは?
タカ×1
クワガタ×1
ライオン×1
サイ×1
シャチ×1
コブラ×1
カムイとの戦い。
そしてラブライブ。
全てが終わった。
いや、一つだけやり残していたことがある。
「耀太先輩、何してるんですか?」
屋上から青空を眺めていると、背後から名前を呼ばれた。
振り向くと、そこには共に戦った二人が立っていた。
「ちょっとな。今までのことを思い出してたんだ」
「そういうことでしたか」
「色々ありましたよね。部員勧誘の時は特に大変でしたね」
「そうだな……」
頭下げたり、襲われたり、殴られたり、殴ったり。
……ある意味では、あの時期が一番大変だった気がする……。
「耀太くーん!」
再び俺を呼ぶ声。
今度は女の子──千歌ちゃんだ。
俺たち三人は、中庭の方に目を向ける。
そこにはペンキで顔を汚し、手を振る千歌ちゃんと、同じく顔の汚れた八人の姿があった。
しかも、よく見ると校舎も汚れている……いや、あれは文字が書かれているのか。
所々に綴られた感謝の言葉。
「ったく……学校、こんなにしちゃって良かったのー?」
「やってしまったものは仕方ありませんわ。それより耀太さん、慎司さん、晴也さん。あなたたちも何かしたらいかがですか?」
おっと、まさかダイヤちゃんからそんな言葉が聞けるとは。
「そうだな……慎司、バースドライバー貸してくれるか?」
「何をするんです?」
「それは見てからのお楽しみ!」
俺はバースに変身してカッターウィングを展開する。
「ちょっと刷毛を……!」
ルビィちゃんが刷毛を落とし、嗚咽を漏らし始めた。
「ダメだよルビィちゃん。最後まで泣かないって、みんなで約束したんだから」
ルビィちゃんをなだめる花丸ちゃん。
そして他のみんなも、寂しさを含んだ笑みを浮かべている。
そんな彼女たちから刷毛を一本ずつ借り、再び飛翔する。
何をしようとしているのか、と疑問符を浮かべながら慎司や晴也、そしてみんなが俺を見る。
「『み・ん・な・あ・り・が・と・う・!』……」
千歌ちゃんが読んだのは、俺から彼女たちへ感謝の気持ちの言葉。
この世界で、大切な思い出をくれたみんなへの。
「それじゃ、俺も!」
屋上に戻り、ドライバーを慎司に返却すると、慎司もまた何かを書き始めた。
「『よ・し・こ・あ・い・し・て・る』……あはは」
「な、ななななな、何を書いてるのよ、シン!!」
「ソーグッド!素敵な告白ね!」
梨子ちゃんが苦笑しながら読み上げると、善子ちゃんは顔を真っ赤に染め上げた。
「何雰囲気ぶち壊してんだよ」
「良いじゃないですか、今日くらい」
「『今日くらい』って言いますけど、慎司さんはいつも善子さん大好きオーラ全開じゃないですか」
「だって大好きだもん。仕方ない」
そう言って胸を張る慎司。
慎司の自分に正直なところは羨ましいと思う。
「おうおう。わらわが大変な思いをしている時に、随分楽しそうなことをしておったんじゃな」
何も無かった場所から現れたのは、女神さまとカムイ。
あの事件が終息し、元のような仲の良い姉弟に戻ったようだ。
「楽しそうって……まあ、楽しいは楽しいけどさ」
「ここに来ると、わたしの行いがつくづく愚かだったと思い知らされる。彼女たちの笑顔は、どこかあの少女に通ずるものがある……」
大事な物を見失っていたカムイだったが、もうそれも昔の話。
今の彼ならば、二度と道を踏み外すことは無いだろう。
「それが分かれば良いんだ」
「ところで、これからのことなのだが、わたしは現世で──この世界でコアメダルの研究をしようと思っている。神の力はもう無いが……それでも、いつか必ず彼らを復活させる。それがわたしに出来る数少ない贖罪の一つだと思っている」
「そっか……で、どうする女神さま?」
「何のことじゃ?わらわは忙しいんじゃ。人間一人がしていることに口出ししている暇など無い」
興味なさげな態度を演じる女神さま。
こういう時のテンプレ展開だな。
「それよりぬしたちとの約束を果たす時が来た」
「「約束?」」
何のことかと、三人揃って首を傾げる。
そんな俺たちを見て、彼女はあきれ果てて垂れる頭を抱える。
「初めに言ったじゃろ。無事メダルを集められたら願いを三つ叶えると」
「「あ、忘れてた」」
そういや言ってたな、そんなこと。
本当に初めのこと過ぎたのと、色々なことがあり過ぎてすっかり失念していた。
「でも、メダルなんてほとんど砕いちゃって……残ったのも、六枚だけだし……」
「構わん。元々天界にとっても不要な物。無くなるに越したことは無い。それにぬしらは世界を救ったのじゃ。何の見返りもないのは嫌じゃろう?」
俺は無理矢理連れてこられたうえに、欲しい物なんてもう無いし……。
それに見返りを求めたら、それは正義じゃないって言葉も、仮面ライダーにはあるしな。
「ほう……欲しいものは無いか。確かに今のぬしは、以前は持っていなかったものをたくさん持っているからの。例えば……そう、恋人じゃな」
「いや、そこ掘り下げるところじゃないからな」
「ま、今すぐじゃなくても構わん。気が向いたらいつでも言うがいい。わらわに出来ることならな」
「じゃあ俺も願いを──」
その後、慎司が
***
「卒業証書授与。──」
浦の星女学院、そして共学化したのちの浦の星学院としての最後の卒業式。
理事長である鞠莉ちゃんの手から、俺を含む卒業生一人一人に卒業証書が授与されていった。
生徒から生徒へ、なんて実におかしな光景なのだが、不思議なことにそれが自然であるように見える。
「島村耀太さん」
「はい!」
名前を呼ばれた俺は、大きな声で返事をして壇上に上がる。
「卒業証書、感謝状、島村耀太殿」
卒業証書に続いた感謝状という言葉に、俺は思わず目を見開く。
困惑する俺の様子を見て、鞠莉ちゃんとダイヤちゃんはクスリと笑い、読むのを続けた。
「右の者は、高等学校の課程を全て修了するとともに、仮面ライダーとして本校とこの町を守り続けてきたことをここに証明し、感謝とともに表彰します。私立浦の星学院理事長及び全校生徒一同。代表、小原鞠莉」
わき起こる拍手喝采。そして聞こえてくる感謝の言葉。
みんなの想いが心に響き、感情が昂っていく。
「はあ……こんなの反則じゃない?」
「あれー?耀太ってば、もしかして泣いてるのー?」
「泣いてないよ!ちょっと目にゴミが入っただけ……」
熱くなる目頭と溢れる涙。
押し殺すことのできない嗚咽が、マイクを通じて体育館全体に広がっていく。
「本当に素直じゃないんですから」
何とか証書を受け取り、その後も次々と証書は授与された。
「閉式の言葉。黒澤ダイヤさん」
「はい!」
全ての証書が卒業生に手渡され、その他もろもろの挨拶も終わった。
司会は、そのマイクを生徒会長であるダイヤちゃんに譲る。
「今日この日、浦の星学院はその長い歴史に幕を閉じることになりました。でも、わたしたちの心にこの学校の景色はずっと残っていきます。それを胸に新たな道を歩めることを……浦の星学院の生徒であったことを誇りに思います。ただいまをもって、浦の星学院を───
──閉校します!」
最後の挨拶が終わると、ダイヤちゃんの横にいた鞠莉ちゃんがラブライブの優勝旗をかざした。
「わたしたちはやったんだ!」
「ラブライブで!!」
「優勝したんだ!!!」
戦いが終わった。
ラブライブが終わった。
そして今度は、浦の星学院が終わりを迎えようとしていた。
***
「「おお……!」」
扉を閉める為に教室までやって来た俺たち。
そこで見たのは、千歌さんたちAqoursが優勝した
「凄いですね、この絵」
「本当によく
それはもう見惚れてしまうほどに。
「みんなで思い出しながら描いたんだよ!あの時、わたしたちから見えてた千歌たち、輝いてたな、本当。……目が開かないくらい……!」
ステージの上で輝いていたみなさんの姿は、今でも瞼の裏に焼き付いている。
会場に響く歓声、そして光輝く青色。
まるで、光の海のようだった。
「わたしたちにも見えてたよ。輝いてるみんなが……。会場いっぱいに広がる、みんなの光が……!!」
視覚が捉えた光……普通の人ならそう言うだろう。
そして以前の俺でも……。
けれど、今は……。
「ええ。Aqoursのみなさんも、会場のみなさんも──みんな、とても輝いてました」
今は違う。
みんなの想いが、願いが、あの場所を眩く、暖かい光で包んでいた。
確かにそう感じたんだ。
「俺はAqoursの全部を知りません。千歌さんが……みなさんがどれだけ大変な想いをしたのか。どんな想いでここまで辿り着いたのかも。途中参加だったから……。けど……いえ、だからこそ、俺凄く嬉しかったです。みなさんと……千歌さんと同じものを感じられたことが……」
「晴也くん……」
「本当にありがとうございました──っ!!」
俺は深々と頭を下げる。
いくら感謝してもしきれないものがある。
「晴也くん、顔を上げて」
顔を上げると、あの時と同じ、とても優しい笑みを浮かべる千歌さんがいた。
「お礼を言うのはわたしたちの方よ」
「そうだね。初めての地区予選の時も、わたしたちの知らない所で、ヤミーからわたしたちを守ってくれてたんだしね」
「今わたしたちがここにいられるのは、晴也くんのおかげなんだよ。晴也くん、もちろん耀太くんと慎司くんも、三人が守っていてくれたから、わたしたちは輝きを見つけることが出来た。だから──」
──ありがとう!
三人からの感謝の言葉。
それを聞いた瞬間、視界が霞み、熱い何かが頬を伝った。
***
先輩たちと一度別れ、
そしてこの階は図書室を残すのみとなった。
「はあ……図書室の片付けは図書委員に任せれば良かっただろ」
「マルは図書委員ずら。他の人たちは別の所を閉めてるし、まる一人じゃ終わらないから三人にお願いしたんだよ」
文句を垂れながら本を片付ける。ま、
「でも、そう言いながらも手伝ってくれる慎司くんは、やっぱり優しいね」
「別にそんなんじゃねーよ。お前らにだけやらせてたんじゃ、終わんねーと思っただけだ」
「は!もしかしてこれが噂のツンデレずら!?」
「俺がデレるのは善子にだけだ!
「(`・ω・´)じゃないわよ!それに善子じゃなくてヨハネ!!」
片付けをしていたはずが、いつの間にかワイワイと騒ぎ始めてしまっていた。
次第に楽しくなっていった片付けは、すぐに終わりを迎えた。
「これで最後ずら」
「終わっちゃったな……」
「うん……すっかり何も無くなっちゃったね……」
ルビィの言う通り、山のようにあった本たちは、全てダンボールにしまわれた。
それらは、また別の場所でたくさんの人に読まれることだろう。
残ったのは、本の入っていない本棚と花丸が座っていたカウンター。
もうここに本を借りに来る人がいないんだと、否が応でも思わされる。
「四月からは別の……それも慎司くんたち以外の男の子もいる共学の学校に通うんだよね……」
「頭では分かっていても、やっぱり少し怖いずら……」
「ルビィもだよ……。でも、これまで花丸ちゃんたちとスクールアイドルをやってこれたんだもん。だから大丈夫かな!」
この三人の中で……いや、恐らくAqoursの中で一番成長したルビィ。
一年前までの彼女からは、こんな頼もしい言葉はきっと聞けない。
「ま、その辺は安心しとけ。お前らリトルデーモンに何かあったら、
「慎司くん……」
「誰がアンタのヨハネよ!それに善子!!……あれ?」
花丸が、ルビィが笑い始める。
つられて俺と善子も。
そう、終わるわけじゃない。
ここではない別の場所で、これからも一緒にいられるんだ。
図書室を出て、最後はドアを閉めるだけ。
ルビィと花丸がのぶに手をかけ、俺はドアを直接押せるように手を当てる。
「善子ちゃん、一緒に閉めるずら」
「嫌よ」
「一緒に閉めるずら」
「だから嫌だってば!」
「一緒に閉めるずらっ!!!」
ドアを閉めたくないと駄々をこねる善子に、花丸が声を荒らげる。
十六年間一緒にいて、一度も聞いたことがなかった声。
しかし、どこか弱く、そして脆く感じられた。
「お願いだから……」
「……分かったわよ」
そして先程とは真反対に、小さくなった花丸の声を聞き、観念した善子。
三人がドアをスライドさせ、俺も押して動かした。
「今までまるたちを守ってくれて、ありがとう……」
「ありがとね……」
感謝の念とともに扉は閉じられ、俺たち以外誰もいない廊下にその音が響いた。
***
バッタカンドロイドが俺のもとまで戻り、缶へと姿を変えた。
「また盗撮ですか?」
「気付かれないように様子を探れって言ったのはダイヤちゃんじゃない……」
「冗談ですわ」
クスクスと笑うダイヤちゃん。
揺れる画面、響く怒号、かけられた冤罪……。
あの時の
「大丈夫、耀太?顔色が悪いよ」
「い、いや、大丈夫……。それより鞠莉ちゃんだけど、やっぱり泣いてるみたいだよ」
「そうだよね……」
無理もない。
あれだけ頑張ったのに、結局廃校は阻止出来なかったんだ。
想い出の詰まったこの学校の最期の日に泣くなと言うのは酷というものだ。
「でもいつまでもあんな顔をさせてるわけにはいかないよ。それに今日の借りも返さないと」
「「借り?」」
俺たち三人は、鞠莉ちゃんが一人泣いているであろう理事長室に向かい、そのドアをノックした。
「鞠莉ちゃん、いる?」
「よ、耀太!?ちょ、ちょっと待ってて!」
ほんの数十秒だけその場で待ち、鞠莉ちゃんが「どうぞ」と言ってから扉を開いて部屋に入った。
「もうそろそろ閉めようと思ってたのだけど、どうかしたかしら?」
「実は鞠莉ちゃんに渡したいものがあってね」
「渡したいもの?」
鞠莉ちゃんが疑問符を浮かべると、一旦俺は後ろに下がり、ダイヤちゃんと果南ちゃんの二人が前に出る。
「卒業証書、感謝状。小原鞠莉殿。右の者は、生徒でありながら本校の理事長として」
「尽力してきたことをここに証明し、感謝と共に表彰します。浦の星学院全校生徒一同。代表、松浦果南」
「黒澤ダイヤ」
「島村耀太」
鞠莉ちゃんの表情が曇ったのは、決して気のせいではない。
「受け取って、鞠莉」
「大丈夫ですわ。これを受け取ったからと言って、みんなの手を離したわけじゃありません」
「そうだよ。わたしたちはいつも繋がってる。どんなに離れて、見えなくなっても」
「いつか……“いつかの明日”で、また一緒になれる」
二人の手から、鞠莉ちゃんへ卒業証書が手渡される。
そしてもう一つ。
「卒業記念品贈呈」
「え?」
また二人が後ろに下がり、俺が鞠莉ちゃんの前に立つ。
「手を出して」
「こう?」
鞠莉ちゃんの手を包み、その手にあるものを握らせた。
手を離すと、鞠莉ちゃんは手を開いてそれを見た。
「これ……」
「カザリのメダルだよ」
カザリの意志が宿っていたライオンのコアメダル。
その色は褪せて灰色になり、その意識も力とともに既に消失してしまっていた。
「もうアイツの意識は無いけれど、こっちに戻って来た時、俺たちと一緒に戻って来たみたいなんだ。だから鞠莉ちゃんが持ってて。アイツが帰ってくるその日まで」
途端に、鞠莉ちゃんの瞳から涙が滝のように流れだした。
「ありがとう……!ありがとう……!!」
泣きながらハグしてきた鞠莉ちゃん。
俺が彼女の背に手を回すと、果南ちゃんとダイヤちゃんも鞠莉ちゃんを抱きしめた。
泣き止んだ鞠莉ちゃんは、いよいよこの場所を終わりにすることを決めたようだ。
俺たち三人が部屋を出た後、最後に鞠莉ちゃんが廊下に出て、
「さよなら……」
その言葉とともに、扉を閉じたのだった……。
***
学校の戸締りが終わり、みんなが校門前に集まった。
これで本当に最後。
浦の星学院は終わりを迎える。
「それじゃあ閉めるよ」
千歌ちゃんの言葉にみんなが頷く。
そして門に手をかけ、動かしていった。
が、門は閉まりきる直前で止まってしまう。
「千歌ちゃん?」
千歌ちゃんを見ると、その体は小刻みに震えていた。
「最後は……笑顔で終わろうって決めたんだ!……泣くもんか……泣いてたまるか……!!」
必死に涙を堪えようとしている千歌ちゃん。
最後の最後で、今まで我慢出来ていた感情が、一気に込み上げてきたのだろう。
「千歌ちゃん」
「一緒に閉めよ」
曜ちゃん、そして梨子ちゃんが、千歌ちゃんに言葉をかける。
そして遂に、浦の星学院はその長い歴史に幕を下ろしたのだった。
***
卒業式、そして閉校式から数日が経った。
俺は、鞠莉ちゃんを見送り、ダイヤちゃん、そして果南ちゃんとともに出発した……はずだった。
『ごめん耀太!忘れ物しちゃったから、ちょっと待ってて!』
と、果南ちゃんとダイヤちゃんは元来た道を戻り、俺は一人駅に残されてしまった。
仕方ないので、果南ちゃんが戻って来るまでネットでも見ていようか、とスマホを取り出そうとポケットに手を入れると、出てきたのはスマホではなく、タカメダルだった。
赤かったそれは、カザリたちのメダル同様色を失い、灰色になっている。
残った六枚は、封印するまでもない状態である為、俺たちに譲渡されたのだ。
今俺が持っているのはこれ一枚だけ。
クワガタは千歌ちゃん、ライオンは鞠莉ちゃんに、サイとシャチはルビィちゃんに譲り、コブラは再びダイヤちゃんに返還した。
紫色のコアメダルは全て消滅し、俺の体は徐々に人間のものへと戻っていった。
カムイとの戦いで無くしてしまった金色のコアメダルは未だ見つかっていない。
コアメダルが悪用される心配は無い。
「耀太くーん!」
そんなことを考えていると、名前を呼ばれた気がした。
周りを見回すと、一人の女の子が手を振っている。
千歌ちゃんたちのクラスメイト、いつきちゃんだ。
いつきちゃんは、俺の傍まで走って来た。
「いつきちゃん、どうしたの?」
「耀太くんにどうしても来て欲しい場所があるの。だから一緒に来て」
「え?でも俺は果南ちゃんたちを……」
待ってるから、そう言おうとしたが、いつきちゃんは強引に俺の手を引いて、その場所から引き離されてしまった。
そして連れてこられた場所は……まさかの浦の星学院だった。しかも、校門が開いている。
「いつきちゃん、これは……?ってあれ!?いつきちゃん!?」
いつの間にかいつきちゃんは姿を消していた。
一体どこに……。
「あ、耀太先輩!」
また名前を呼ばれた。
今度は男の、それもいつも聞いていた声だ。
「耀太さんもここに連れてこられたんですね」
慎司、そして晴也がそこにいた。
晴也の口ぶりから、二人もむつちゃんたちにここまで引っ張られてきたのだろう。
「一体何なんでしょうね……」
「うーん……でも、ここが開いてるってことは、入れってことなのか?」
「迷ってても仕方ないですよ。ほら先輩、晴也ちゃんも行くぞ!」
二人で悩んでいると、何も考えていなそうな顔で、慎司が校内に進んでいく。
「……それもそうですね」
「だな」
俺と晴也も腹を括り、慎司の後についていった。
そこからは、まるで誘導されているかのように、迷うことなくある場所まで辿り着いた。
「体育館?」
晴也がそう呟くと、とても懐かしいことを思い出した。
「そう言えば、千歌ちゃんたちのファーストライブはこの体育館だったな」
「あ、その話知ってます。千歌さんから聞きました。あの時は酷い天気で停電してしまったんですよね?」
「そうそう。おまけに駐車場の整理をしてる時に大量のヤミーが来ましたよね」
「ああ……」
一年前のことなのに、どこか昔のことのように思える。
そんな
中に入ると、生徒たちが俺たちを囲むように立っていた。
その中心にいたのは、俺たちをここに連れてきたいつきちゃん、むつちゃん、よしみちゃんの三人。
「……これはどういうこと?」
「“みんな”に頼まれたの。三人をここに連れて来てって」
「みんな?それってここにいるみなさんのことですか?」
「うーん……半分正解かな?」
「半分って……先輩、勿体ぶらないで教えてくださいよー」
「そろそろ良いかな」
「「?」」
これがアニメや漫画なら、頭の上にドデカい疑問符を浮かべているように見えるだろう。
そんなリアクションをする俺たちを他所に、そこにいた全員は話を進めていった。
「「!?」」
突然、体育館の灯りが落とされ、舞台などが開演される時の「ブー」という音が鳴る。
何事かと驚いていると、生徒たちが分かれるように移動し、さらに舞台幕が開いていった。
すると、壇上に立つ
千歌ちゃんを始めとする二年生や花丸ちゃんたち一年生はもちろん、見送ったはずの鞠莉ちゃん。そして「忘れ物をした」と、俺を残して戻って行った果南ちゃんとダイヤちゃんまで。
「……本当にどういうこと?」
開いた口が塞がらない。
茫然と立ち尽くす俺たち。
そんな俺たちとは真逆で、千歌ちゃんたちは笑みを浮かべ、そして言葉を紡ぎ始めた。
「耀太くん!初めて出逢った時のこと、わたし今でもはっきりと覚えてる。思えば、それが全ての始まりだった」
「ここに来るまでにたくさん大変なことがあったよね」
「マルたちが危ない目に遭った時には」
「いつも駆け付けてくれて」
「守ってくれて、大事なことも教えてくれたわ」
「わたしたちが何かに負けそうになる度に」
「何度も奮い立たせてくれて」
「一番近くでチアーアップしてくれた」
「そんな三人の為に、わたしたちみんなでこの歌を、この曲を創りました!輝きを追いかけてきたわたしたちの物語!!!」
それは九人の少女と
三人の少年と
人ならざる者たちの物語
決して交わることの無かった輝きが一つになって、ヒカリ輝くキセキを起こした
そしてその物語は終わることは無い
それぞれが新しい場所で
新しい夢を追いかけて
物語は続いていく
いつまでも、ずっと───
耀太)あれ?このコーナー的なものって前回で終わったんじゃないの?
作者)何言ってんの。まだ大事なことが残ってるよ。
耀太)大事なこと?
作者)そうそう。
ピンポーン
作者)噂をすれば。どうぞー。
???)えっと……どうも、初めまして……。
耀太)こ、こちらこそ初めまして……彼は?
作者)彼は次作の主人公くんだよ。ま、引継ぎってやつよ。
耀太)なるほど、そういうことか。それじゃ、これから世界の愛と平和は、君に託したぞ。
???)愛と平和か……。なんだかとんでもないものだけど、やってみるよ。
??)ちょちょ!お前一人だけじゃないだろ!俺だってここにいるんだぜ!
作者)え!?ちょっ!君はまだ出てきちゃダメだって!
ワイワイガヤガヤ……
作者)えーっと……ひ、ひとまずはこれでStep! ZERO to OOO シリーズは外伝を残すばかりとなりました。
耀太)んで、外伝はいつ更新するの?
作者)……現在アクア編の執筆中です。新作と同時更新とか難しいんじゃああああ!!
耀太)はあ……そんなことだろうと思った……。みなさん、大変申し訳ありません。外伝の方は、もうしばらくお待ちください。
作者)本当に申し訳ありません……。
耀太)よし!それじゃあ、謝罪の意を込めて焼き土下座しようか♪
作者)♪じゃないよ!それ普通に死ぬから!なんでそんな世紀末みたいな発想が出来るんだよ!!
耀太)ほら、あそこに用意してあるぞ。
???)鬼、いや、悪魔だ……この人……。
作者)ちょ!やめ!うわああああああ!!
カウント・ザ・メダルズ
タカ×1
クワガタ×1
ライオン×1
サイ×1
シャチ×1
コブラ×1
一年間、応援ありがとうございました!