ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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長らくお待たせ致しました。およそ半年ぶりの投稿です。
ラブオーズ外伝 仮面ライダーアクア……本当は令和に間に合うように出したかったのですが、書き直してたらいつの間にか0時を回っていました……。
というわけで、少々遅ればせながら、サヨナラ平成!ありがとう平成!






ラブオーズ外伝
仮面ライダーアクア


 世界の平穏を脅かした大厄災。それは、仮面の戦士と人の心を持つ異形たちにより討ち払われた。

 彼らの活躍で世界の平和は守られた……はずだった。

 

 それは、人々が眠りについた夜の世界での出来事だった。

 星々が輝く空の下、空間がねじ曲がってワームホールが発生し、そのホールから何者かが世界を覗く。

「この夜景……間違いない。十年前と同じ景色。どうやら時間移動に成功したようね」

 ホールから姿を現したのは、人間……ではない。

 透き通るような体。クラゲを彷彿とさせる頭部に、更にそこから伸びる四本の触手。

 唯一、人間らしいのは体のフォルム。グラマラスと言って差し支えない体を持つ彼女は、ある種の人間にはウケることだろう。

「世界を越えれば、流石に()()でも追っては来れないはず……。今度こそ世界を海に沈め、このジェパルが支配する魔海族の理想郷を築き上げるのよ!」

 闇の中でただ一人、ジェパルはその赤い瞳に宿した邪悪を炎の如く燃やし、哄笑する。

 この世界は、再び滅亡の危機を迎えようとしていたのだった。

 

 

 ***

 

 

 コアメダルを巡る戦いが終結し、数ヶ月程の時間が経過した。

 世界の危機は過ぎ去り、俺こと佐藤晴也は、前の世界と同じくらい……いや、以前よりも充実した毎日を過ごしていた。

「充実した毎日ねぇ……本当にそうかい?晴也ちゃんよ」

 沼津の喫茶店で、俺と相席で座っているのは宮沢慎司さんは、かつてグリードやヤミーたちと戦った仲間の一人だ。

 二年生に進級した今でも、そのゲキレツな善子さんLOVEは健在だ。寧ろ酷くなっている気がする。

「本当ですって。ていうか、心読まないでくださいよ……。女神さまじゃないんですから……」

「心読むなって、そう言っていること自体、何か引っ掛かりがある証拠だぞ?」

 分かっているのにわざわざ口にする辺り、本当に慎司さんらしい。

 わざとらしいこの人の反応に俺は嘆息した。

「溜息吐いてると、幸せが逃げちまうぞ」

「誰の所為だと思ってるんですか……」

「まあまあ。んで、実際どうなの?千歌先輩と何か進展あった?」

 彼がそう尋ねたのは、俺が高海千歌さんに好意を抱いているからだ。

 けれど……。

「それが……残念ながら全く……」

 慎司さんは「だよな……」と、苦い笑いを浮かべた。

 俺が彼女を好きになってから、既に半年以上が経過している。

 その間、一切のアプローチは出来ていない。

 カムイさんとの戦いで手一杯だった……なんて言い訳をしているが、耀太さんのように想いを伝えられる時間はあった。

 ()()()()()()のではない。()()()()()のだ。

「このままじゃいけないって、分かってはいるんです。でも、俺の気持ちを伝えたら、俺たちの関係がおかしくなってしまうかもしれない。そう考えたら怖くなってしまって……」

「……そうか」

 慎司さんは一息吐き、コーヒーを一口含む。

 俺の意気地の無さに幻滅してしまったのだろうか……。

「まあ、晴也ちゃんはこういうことは初めてなんだろ?仕方ないさ。これは晴也ちゃんの問題だから、俺から口出しは出来ないけど、相談ならいつでも乗ってやるし、応援もする。だから、諦めるなよ」

 俺の肩を叩く慎司さんは、いつもとは全く違う雰囲気を帯びていて、俺よりもずっと「大人」のように思えた。

「慎司さん……。慎司さんってそんな顔出来たんですね……」

「どういう意味だ、それ!まるで、俺がいつもふざけてるみたいじゃねーか!」

「いつもふざけてるじゃないですか」

 反論する「いつもの彼」に、思わず笑ってしまう。

 やはり、慎司さんは慎司さんだ。

「でも……ありがとうございます」

「おう!んじゃ、早速千歌先輩をデートに誘おうぜ」

「で、デート!?ちょっと急すぎじゃないですか……?」

「今までずっと何もしなかったんだろ?それに『このままじゃいけない』って思ってるんだろ?なら、いい機会なんじゃないか?」

 慎司さんにそう言われて俺はハッとする。

 

 そうだ……このままじゃダメなんだ。このままじゃ、ずっと千歌さんに想いを伝えられない。そんなの絶対に嫌だ。

 

「すいません、慎司さん。今日はこれで失礼します」

「おう、健闘を祈ってるよ」

 千歌さんをデートに誘う、そう決めた俺はすぐに行動に移すべく、慎司さんに断って喫茶店を後にした。

 

「晴也ちゃん……しれっと会計押し付けて行ったな……」

 

 

 ***

 

 

 慎司さの激励を受けてから一週間が経った。

 この一週間の間、俺は千歌さんをデートに誘う為に乏しい知識を絞り出し、どうにか計画を立てて彼女を誘うことが出来た。

 今は待ち合わせ場所である沼津駅前で千歌さんを待っている。

 身なりは出来るだけ整えてきた。

 現在時刻は九時四十七分、待ち合わせ時間の十三分前だ。

 千歌さんが来た時に焦らないよう、深呼吸をしていると、「晴也くん!」と俺を呼ぶ声が聞こえた。

 声の主はもちろん、待ち人である千歌さんだ。

「ごめんね、晴也くん、待たせちゃって」

「いえ、俺もさっき来たばかりですから、大丈夫ですよ」

「ありがとう。それじゃあ、早速映画館へレッツゴー!」

「はい!」

 

 

 俺たちが最初に足を運んだのは、千歌さんも言った通り映画館だ。

 現在、公開されている映画の中に、スクールアイドルを題材とした映画がある。今日観に来た映画はそれだ。

「楽しみだなぁ、『スクールアイドル・ザ・ムービー』!ね、晴也くん!」

「そうですね。実は、俺もこの映画のことが少し気になってたんです」

「あ、やっぱり晴也くんもだったんだ。わたしもすっごく気になっててね、特に今回はこの映画の為の歌が凄いの!もう何回もPVで聴いちゃったんだ……」

「それ分かります!俺のアカウントの再生履歴もそれで埋まっちゃって」

「ふふふ……晴也くん、変わったね」

「え?」

「初めて会った時は、ガチガチに緊張してたのに、今ではこんな風に話せるようになって」

「……千歌たちのおかげですよ。千歌さんたちと一緒にいて、俺の女性嫌いも少しずつ良くなっていって、ラブライブ優勝も見届けることが出来た。本当に感謝してます」

 そう伝えると、千歌さんは少し顔を赤く染め、恥ずかしそうに頬をかいた。

「そ、そこまで言われると照れちゃうな……。でも、わたしたちが優勝出来たのは、晴也くんたちのサポートがあったからだよ。こちらこそ、ありがとう」

 俺に向けられたその笑顔は、とても眩しくて、そして愛おしく思えた。

 やはり、俺はこの人のことが好きなんだ。

 そう、再認識させられる。

 そんな俺を現実に引き戻したのは、劇場への入場アナウンス。

 俺たちは、購入したチケットを手にし、映画の上映されるシアターに入ったのだった。

 

 

 上映が終わった頃、既に時刻は正午を過ぎていた。

 昼食をとる為、近くのファミレスに訪れたのだが、映画を観た俺たちの興奮は治まる事を知らず、料理が運ばれてくる間、先程の映画の感想を語り合っていた。

「あの映画、本当に面白かったね!」

「ええ!ステージの上に立つ煌びやかな姿だけでなく、普段の彼女たちの姿!そして苦悩を抱え、それでもなお立ち上がる!なんだか、他人事じゃないようなそんな気持ちになりました!」

「うんうん!わたしもそうだよ!まるで、今までわたしたちが走ってきた道を見てるみたいで……思い出して少し泣いちゃった」

 およそ百分という時間の中に詰め込まれた、スクールアイドルたちの姿。彼女たちの世界を疑似体験した俺たちの語らいは、料理が来た後もとどまることは無かった。

 

 料理を全て平らげた俺たちは、ファミレスに長居することは出来ない。まだ語り合っていたいという思いをなんとか抑え、会計を済ませた。

「ねえねえ、晴也くん!次はカラオケ行こうよ!映画観てたら、千歌、歌いたくなっちゃった」

「カラオケかぁ。良いですね、行きましょう!」

「やったー!」

 

 次に向かったのは、千歌さんのリクエストに応えてカラオケ。

 一時間程の待ち時間があったが、近くのゲームセンターで時間を潰していると、あっという間に一時間が経っていた。

 

「晴也くん!千歌と勝負しよう!」と一言から始まったカラオケバトル。

 当然ながら結果は千歌さんの全勝。だが、圧倒的な差を付けられたということは無く、点数自体は僅差だった。

 ……俺も少し歌の練習してみよう、そう密かに心に決めた。

 

 一日中遊び倒し、日も傾き始めてきた。

 まだ西の空の端が赤くなり始めた程度だが、俺も千歌さんも遊び疲れてきていた。

「はあー……楽しかったー!」

「俺も凄く楽しかったです。また今度、一緒に遊びましょう」

「うん!」

 もうすぐ終わってしまう千歌とのデート。

 今日のデートは、俺の想いを彼女に伝える為に計画したものだ。

 だが、いざ言葉にしようとすると、やはり、腰が引けてしまう。

 

 ……いや、何を考えてるんだ。決めたじゃないか。この想いを伝えるって。

 好きだと伝えるんだって。

 

「……千歌さん」

「どうしたの?」

 

 もう一度、俺は覚悟を決めて彼女の名前を呼んだ。

 首を傾げる千歌さんを見据え、言葉を紡ぐ。

 

 

 ……はずだった。

 

「きゃぁぁぁあああ!!」

 

 突如として悲鳴が響き渡り、その数秒後に空が何かに覆い尽くされた。

「な、何!?」

「千歌さん、俺から離れないで下さい!」

「う、うん……」

 俺は千歌さんに近づき、絶対に離さないように肩を抱く。

 そして起きた第二の異変。空を覆った何かから雨のように液体が降り始めた。

「雨……?」

「……ただの雨じゃ無さそうです」

「え……?」

 悲鳴が聞こえた先に、空を覆う何かの発生源と思しき怪人が佇んでいた。

 クラゲを彷彿とさせるその怪人からは、言うまでもなく邪悪な雰囲気を纏っていた。

「お前、何者だ!?」

「わたしはジェパル。この世界を統べる女王……」

 ジェパルと名乗ったクラゲ怪人は、魚類のような頭を持つ怪人を何体も召喚した。

 俺たちはあっという間に囲まれてしまい、逃げ場を失ってしまう。

「その為に、邪魔なあなたたち人間には消えてもらうわ」

 ジェパルに指令を下された怪人たちは、一斉に俺たちに襲い掛かって来た。

 変身しようにもこれでは間に合わない。それでも、俺は千歌さんだけでも守り切ろうと、彼女の盾になるように抱きしめる。

 

 目を閉じ、暗闇の中で待っていた絶望と死。しかし、それらが訪うことは無く、聞こえてきたのは銃声と怪人の悲鳴らしき音だった。

 

「全弾命中、ヘッドショット!危機一髪、だな」

 

 目を開けて視界に確認出来たのは、頭が吹き飛び絶命した怪人たちと、バスターを構えた仮面ライダーバース。

 そして、部下が倒されたことで、驚愕の表情を見せるジェパルだ。

「慎司さん!?一体どうして……」

「千歌先輩を守る晴也ちゃん、格好良かったぜ!」

「はぁ……全部見てたんですね?」

「まあな。みんな!千歌先輩たちのこと、頼んだぞ!」

 バースの号令に答えたのは、カンドロイドたち。そして彼らは、梨子さんたちスクールアイドル部のみなさんに、月さんを加えた六人を守っていた。

「……後で話は聞かせてもらいますからね」

「仕方ねーか。ま、今はアイツをぶっ飛ばす方が先だな!」

 俺はバックルを腰に当てて、アクアドライバーを装着する。

 そしてバックル部分の水車を水のエネルギーで回転させ、仮面ライダーアクアへと変身した。

「仮面ライダーアクア……!?」

 俺が変身すると、彼女はアクアの名を憎々しげに口にする。

「アイツ、晴也ちゃんのこと知ってるみたいだけど?」

「俺の知り合いにあんな怪人いませんよ」

 何故、アクア()の名前を知ってるのか、ジェパルに聞きだしたいところだが、千歌さんたちを守ることが先決だ。

 俺とバースはジェパルに対し、先制して連携攻撃を仕掛けた。

 攻撃は捌かれてしまうが、確実にジェパルを後退させていく。

「へっ!あんだけ派手に登場したクセに、大したこと無いな」

「調子に乗るな!仮面ライダー!!」

 アクアの姿を見た直後から奴から放たれていた怒気が、バースの挑発で爆発し、頭部の触手が四方八方に広がって電撃を発した。

 電撃は俺たちの体を焼き焦がし、ダメージを与えると共に麻痺で体の自由を奪う。

「仮面ライダーアクア……!わたしたち魔海族を滅ぼしたあなただけは、絶対に許さない!!」

 麻痺でまともに動けない俺は、魔海族と名乗ったジェパルの攻撃をもろに受けてしまう。

 電気を纏わせた拳が、何度も俺のボディに打ち込まれた。

 その攻撃は、今まで戦ったどの敵よりも重く、鋭い。

 まるで、体を貫かれたかのような激痛に襲われ、瞬く間に変身が解除されてしまった。

「晴也ちゃん!?……この野郎!!」

 バースは怒りに身を任せ、ジェパルに殴り掛かろうとするが、突然、彼の動きは鈍くなる。

 攻撃は簡単に避けられ、カウンターのハイキックを喰らってしまった。

 吹き飛ばされたバースは、あっさりと変身が解除されてしまう。

「嘘……シンの変身があんなに簡単に……!?」

 その事実には善子さんはもちろん、俺や慎司さん本人も驚きを隠せないでいた。

「どういうことだ……。そんなにダメージは受けてないはず……」

 そして異変は突然訪れた。健康体そのものと言って良い彼が、悶え始め、血を吐いたのだ。

「何だ……これ……」

「毒よ。今もこうして振り続けている雨……これはわたしの可愛い子供たちが作り出している毒……。この毒を浴びた人間は、徐々に体を侵されて一週間程で命を落とす。彼のように血を吹き出してね」

「この程度の毒なんて……気合いで……ゲホッゲホッ……!」

 膝を地につけながらも、慎司さんは立ち上がろうとするが、再び血を吐いてしまう。

 慎司さんが血が吐き出した血の量は尋常ではなく、彼は溜まった血の中に倒れる。善子さんは彼を抱き起し、自身の膝に乗せた。

「シン!しっかりしなさい!シン!!」

「無理はしない方が良いわ。彼には、このわたしの毒を打ち込んだのだから。子供たちの毒と違って、わたしの毒は強力なの。そうね……一日も持てば大したものかしら」

 ジェパルは邪悪な笑みを浮かべ、彼に死を告げた。

 その口ぶりから、毒が全身に回るのにそう時間は掛からないだろう。

「アクア……あなたの所為で彼は死ぬのよ。仲間が死にゆく様をその目に焼き付けなさい。ふふふ……はっはっはっはっ!!」

 悪魔のような笑い声と共にジェパルは姿を消した。

 やっと手にした平穏は、どこからともなく現れた狂気により崩壊してしまったのだった。

 

 

 ここは市内の病院。慎司さんは今、集中治療室で治療を受けていた。

 ただごとではないという院内の雰囲気、そして医師や看護師たちの顔色から、状況が良くないことは嫌というほど伝わってくる。

 千歌さんたちも、言葉では到底表せない程、落ち込んだ様子だった。

 

『一日も持てば大したものね』

 

『あなたの所為でアイツは死ぬの』

 

 ジェパルが去り際に残した言葉が、先程から何度も頭の中で響いていた。

 早く彼女を見つけて倒す、あるいは解毒剤を作らせなければ、慎司さんは本当に死んでしまう。

 慎司さんだけじゃない。千歌さんたちも毒の雨を浴びてしまっている。あの雨が、どれだけの範囲に降ったのかは分からないが、いずれ世界中に毒の雨を降らせるつもりだろう。

 その前に、俺が!

「晴也くん、どこに行くの?」

 千歌さんが、病院から出て行こうとする俺を引き留める。

「ジェパルを倒しに行きます」

「無茶だよ!慎司くんだって毒にやられてあんな風に……」

「俺が行かなきゃ!……俺が行かなきゃいけないんだ!千歌さんたちだって毒を浴びてる。俺が戦わなきゃ、千歌さんたちだって死んでしまう。それだけじゃない。いずれ、彼女は世界中に毒の雨を降らせるつもりだ。今、ジェパルを止められるのは、俺しかいないんだ……!」

 つい感情的になり、千歌さんに向けて声を荒げてしまう。

 そのことに気付き、少しだけ冷静さを取り戻し、目に入った彼女は完全に怯えてしまっていた。

「ごめんなさい、千歌さん。絶対戻りますから」

 俺はそう言い残し、病院を後にした。

 

 

 ***

 

 

「ごめんなさい、千歌さん。絶対戻りますから」

 晴也くんはそう言って、わたしの前から去って行った。

 

 

 彼から浴びせられた怒号。狼狽する彼の姿。

 あんなに優しかった晴也くんが、あんな顔をするなんて思わなかった。

 晴也くんの言っていたことは、きっと間違っていない。

 あのジェパルという怪人(ひと)は、今なお降り続けている毒の雨で、世界中の人たちの命を奪う。

 それを止められるのは、晴也くんしかいないのだ。

 晴也くんは言っていた。絶対に戻ると。

 けれど、晴也くんは一度ジェパルと戦い、そして負けた。

 

 嫌な予感と憶測が、わたしの頭の中を過る。

 

 もしかしたら、晴也くんは自分の命と引き換えにジェパルを倒そうと──死のうとしている?

 必ず戻るというあの言葉は、わたしを安心させる為の嘘?

 

 そんなはずない、彼は必ず帰ってくる。そう自分に言い聞かせても、嫌な感覚は消えない。

 

「千歌ちゃん」

 

 不意に名前を呼ばれ、そっと後ろに振り返る。

 わたしに声をかけたのは、曜ちゃんと月ちゃんの二人。

「ち、千歌ちゃん!?ど、どうしたの!?」

 さっき程ではないけれど、二人とも驚いた顔をしていた。

「あれ?晴也くんは?さっきまで千歌ちゃんと一緒にいたはずじゃ……」

 驚きの表情は、一瞬でわたしを心配するものに変わった。

 それもそのはず、わたしは泣いていたのだ。自分でも気が付かないうちに、わたしは泣いていた。

「何があったのか、僕たちに教えてくれる?」

「あのね、晴也くん死ぬつもりなんじゃないかって……」

「え?もしかして晴也くん、あのジェパルって人の所に行ったの!?」

「多分……」

 わたしの話を聞くと、曜ちゃんも月ちゃんも慌てふためく。

 でも、今から引き留めに行こうにも、多分間に合わない。

 ここで慌てていても、何の解決にもならない。

 そう諦めかけていたわたしの肩に、一台のバッタカンドロイドが飛び乗った。

『千歌くん、聞こえているかい?千歌くん』

 聞こえてきたのはカムイさんの声だ。

「カムイさん……」

『事情は大体把握している。晴也くんのことはカンドロイドたちに追わせている。ジェパルという侵略者のことも捜索中だ。ここからは、わたしに任せてくれ』

「カムイさん、あのジェパルって怪人(ひと)は、一体何者なんですか?」

『実は、一週間程前に沼津の上空で時空の歪みが観測されたんだ。恐らく、その歪みを発生させた張本人であり、異世界から来た怪人だろう。君たちが浴びた雨。あれは、彼女の言った通り、生物を短期間で死に至らしめることが出来る毒だ。現代の地球の医学力では解毒することは不可能だ』

「じゃあ、わたしたちは全員……」

『いや、解毒する方法はもう見つけている。だが、その前にジェパルを倒す必要がある。これから彼に、その為の新装備を渡しに行く。だからこれで失礼するよ』

「待って!」

「千歌ちゃん?」

 わたしは、髪を纏めていたヘアピンを外して、手に乗せてカンドロイド越しにカムイさんに見せる。

「これも一緒に晴也くんに渡してください。絶対に帰って来て欲しいから……」

『……分かった。必ず彼の手から返すようにと伝えておこう』

 飛んできたタカカンドロイドが、掌に乗せたのヘアピンを加えて飛び去って行った。

 

 わたしに出来ることはもう残っていない。

 後は、晴也くんが無事に帰ってくることを祈って待つだけ。

 

 ──お願い神さま。どうか、慎司くんを守ってください。

 

 

 ***

 

 

 カンドロイドの案内に従い、辿り着いたのは廃工場。

 建物は、立ち入られないように囲われていたが、この中にジェパルがいる以上、入るしかない。

 クジャクカンドロイドで、有刺鉄線を切り落とし、敷地内に足を踏み入れた。

 

「あら?こんな所まで来るなんて、ご苦労なことね」

 建物の中で、ジェパルは無数の卵を愛でていた。

「それが空を覆い、毒の雨を降らせたものの正体か」

「ええ。けれど、それを知ったところでどうするの?言っておくけど、あなたに私は倒せないわ。たとえ、あなたの命と引き換えにしても……ね」

「そんなのやってみないと分からない!」

「良いわ。口で言って分からないなら、その体に刻んであげる!」

 ジェパルは触手を伸ばし、鞭で打つように攻撃を仕掛けてきた。

 俺は触手の中を掻い潜りながら、ベルトを腰に装着する。

「変……身!」

 そして水のエネルギーを集めて水車を回し、仮面ライダーアクアへ変身した。

 アクアに変身した俺は、触手を避けながらジェパルの懐に潜り込む。彼女に勢いを乗せた一撃を喰らわせ、後ろに仰け反らせる。

 俺は、更にジェパルに迫り、追撃を浴びせようとするが、彼女の触手に阻まれた。

 腕を捕まれ、逃げることが叶わなくなった俺に、ジェパルは電撃を纏った拳を叩き込む。その威力は、先の戦いの時よりも上がっていた。

「どうしてアンタは、毒の雨を降らせたんだ!?どうして人間を殺そうとする!?」

「そうね。冥途の土産に教えてあげようかしら。わたしはね、この世界とは別の世界から来たの。そこには、ここと同じようにたくさんの人間が蔓延っていた。その世界の地球に古くから棲んでいたわたしたち魔海族は、人間を支配し、地球を魔海族の理想郷に変えようとした。けれど、それはたった一人の人間によって阻まれた。それが、わたしたちの世界の仮面ライダー……アクアなのよ!」

「ちょっと待って!それって、こっちの世界に来たのは……!」

「元の世界の代わり……てことね」

 そんな身勝手な理由で、千歌さんや慎司さんの命を危険な目に……!

 心の底から怒りが込み上げてくる。

 だが、ジェパルの攻撃は、俺の怒りでどうにか出来る程甘くは無く、攻撃の手が緩むことは無かった。

 捌いても捌いても、捌ききれないジェパルの攻撃。

 それをを受けているうちに、俺の中に疑問が一つ生じた。

 

 何故、ジェパルは俺に毒を使わない?

 慎司さんに使った毒を俺に打ち込めば、勝負は一瞬で決められるはずだ。

 ジェパルは、何故か俺に強い恨みを抱いている。それを考えると、あえて毒を使わず苦しめている。その可能性あるが、どうも腑に落ちない。

 

「ッ!?」

 

 俺は、撃ち込まれたジェパルの拳を受け止める。

 手が焼けるように熱い。が、この手を退けるわけにはいかない!

「何故、毒を使わない?毒を使えば、俺なんか簡単に倒せるはずだ」

 攻撃を受け止められ、驚いていたジェパルだったが、俺の質問を聞くと、不敵に笑った。

「あなた、もしかして気付いていないの?」

「何?」

「効かない相手に毒を使ったところで、何の意味もないでしょう?」

 俺に毒が効かない?

「忌々しい力……仮面ライダーアクア。けど、まあ良いわ。あなたは、このわたしが直々に殺してあげる。でも、安心して。あなたの仲間もすぐに後を追わせてあげるから」

 歪な笑みを浮かべるジェパル。

 俺の拳は簡単に払われ、回し蹴りを喰らわせられた。

 吹き飛ばされた俺は、工場の壁を崩した。

 やはり力の差は歴然だった。

 強力な打撃、素早い蹴撃、大地すらも焼き焦がし得る電撃。

 ジェパルの持つありとあらゆる能力が、アクアの性能を遥かに凌駕していた。

 

 しかし、完璧に見えるジェパルにも弱点は確かに存在していた。

 俺が最初に当てた攻撃は、大した攻撃ではない。だが、その一撃を受けたジェパルは、大きく退いたのだ。

 ジェパルの体は決して丈夫であるとは言えず、その脆さは、たった一撃で体勢を崩す程。

 つまり、一撃必殺の威力を込めた攻撃を一発撃ち込めれば、ジェパルを倒すことが出来るのだ。

 俺はその好機を掴む為、立ち上がり彼女に接近していく。

 行く手を阻むジェパルの触手は、彼女の拳と同様、電気を纏うようになる。

 

 拳に持てる力の全てを集中させ、攻撃を避けて近づく。

「これで全てを終わらせる!」

「させるわけないでしょ!」

 拳を叩き込む直前に、ジェパルは触手で俺を捕らえた。

 更にジェパルは、触手を介して電撃を放った。

 焼かれるような不快感と激痛に襲われるが、それも計算のうちだ。

「……いや、お終いだ!」

 ジェパル目掛けて拳を思い切り振り上げる。

 渾身の一撃は、至近距離でジェパルに炸裂した。

 彼女の体は四散し、エネルギーを使い果たした俺の変身も解かれた。

「まさか……こんなことがああああ……」

 下半身、そして左半身が消え去り、体だった物はゲル状の破片となって散らばっていた。

「そんな姿ではもう何もできないだろう……。慎司さんと千歌さんたちの毒を……!?」

 

 突如、飛び散っていたゲルが動き始める。

 この光景に俺は嫌な予感を覚えた。

 そしてその予感は、的中してしまうことになった。

 動き出したゲルは、無残な姿となっていたジェパルに集まっていく。

「まさか、自分の身を捨ててまでわたしを倒そうとするなんて……。その覚悟だけは認めてあげる。けど、残念ね。わたしは、たった少しの肉片でも残っていれば再生出来るのよ」

 ジェパルを瀕死にすることは不可能。そのうえ、倒すには完全に消し去らなければいけない。

 だが、戦うことはおろか、変身出来るだけの力も残されていない。

「もっと苦しむ姿が見たかったのだけれど、それじゃあ仕方ないわね。感謝なさい。一瞬で楽にしてあげる」

 電流の流れる触手が俺に迫ってくる。

 生身でアレに触れれば、死は免れない。

 万事休すかと思われたその時、ジェパルの触手が吹き飛んだ。

「あら?わたしに楯突くバカがまだいたのね」

 触手は瞬時に再生してしまうが、介入されたことで彼女の意識は完全に俺から逸れた。

 俺を救った戦士の正体は、仮面ライダーバースだった。

 だが、正規の装着者である慎司さんは、今は病院で治療を受けている。となれば、バースに変身出来る可能性がある人物は一人。

「どうやら間に合ったようだね、晴也くん」

「カムイさん……ソイツは!」

「分かっているよ。私では倒せない。彼女を倒せるのは君しかいない」

 バースは俺に歩み寄り、腰を落として新しいドライバーを俺の手に乗せた。

 そのドライバーは水車が内蔵されていて、構造自体はアクアドライバーと変わりは無いが、その形はイルカを彷彿とさせるものだった。

「それからこれを」

 更に、三つ葉の形をしたヘアピンが俺の手に握らされた。

「このヘアピンは……」

「必ず君の手で返すんだ」

 バースは立ち上がり、ジェパルと対峙する。

「お別れの挨拶は済んだかしら?」

「生憎だが、わたしは死ぬつもりはない。わたしには、まだやらなければならないことがあるんでね!」

 ジェパルに返答し、バースバスターを構えたバース。

 互いに駆け寄り、二人の戦いは幕を開けた。

 

 

 ***

 

 

 初めは拮抗しているように思われたが、徐々にバースは劣勢になっていった。

 原因はバースの立ち回りにある。

 ジェパルに毒を打たれないよう、遠距離からの攻撃がほとんどで、近接攻撃を主とする武装を多く持つバースの力を十分に発揮できていないのだ。

 長期戦になれば、ただの人間であるカムイさんが不利になるのは火を見るよりも明らか。

 彼が敗北するのは、時間の問題だった。

 

 カムイさんが、俺の体力を少しでも回復させる為に時間稼ぎをしてくれていることに気付くのに、多くの時間は要さなかった。

 

 ──彼女を倒せるのは君しかいない。

 

 カムイさんはそう言ったが、相手はほぼ不死身。

 そのうえ、毒を抜きで考えても、その能力はアクアの性能を凌駕する。

 そんなジェパルに勝てるとは到底思えない。

 

 ──『このままじゃいけない』って思ってるんだろ?

 

 ふと、脳裏を過る慎司さんの言葉。

 それは、一週間前に彼と会話していた時に、彼の口から出たものだ。

 

 その時の俺は、千歌さんに想いを伝えることに思い悩んでいた。

 千歌さんに気持ちを伝えることで、今の関係が壊れてしまう可能性を恐れて。

 

 ……そうだ。最初から失敗を恐れて諦めてしまったら、何も変わらない。変えられない。

 

 ──わたしたちが優勝出来たのは、晴也くんたちのサポートがあったからだよ。こちらこそ、ありがとう。

 

 俺が守らなきゃいけないんだ……。この世界を、千歌さんを!

 

 

 俺は、残る力の全てを振り絞り、立ち上がる。

 そんな俺の姿が目に入ったのか、バースを踏みつけていたジェパルの動きは制止した。

 

 立ち上がった俺は、カムイさんから受け取ったドライバーを腰に当てて装着する。

 すると、アクアドライバー同様、バックルの水車が回転し始めた。

 水車を介して水のエネルギーが体中を駆け巡った。

 立つこともままならなかった俺の体に、たちまち力が充ち満ちる。

 

「変身!」

 

 アクアと同じカラーリングの装甲が、俺の体を覆い尽くす。

 だが、そのシルエットはアクアとは全く異なり、複眼は吊り目となっていた。

 更に、バックルからエネルギー体のイルカが二体出現し、海の中を泳ぐかのように空中を疾走する。

 エネルギー体のイルカは、それぞれアクアの頭部と体に衝突し、アーマーを形成した。

 イルカのシルエットをデフォルメしたドルフィンヘッド。

 ショルダーアーマーは、右から左にかけてイルカの形をしていて、チェストプレートには、飛び跳ねる二頭のイルカのシルエットが左右に描かれていた。

「なんだ……あの姿は!?」

「ふっふっふ……どうやら成功したようだね。仮面ライダー……アクアトリトーンの変身に……!」

 アクアトリトーン……この力なら勝てる!

「面白いわ。死に損ないがどこまで戦えるのか、試してあげる!」

 ジェパルが叫ぶと、彼女が愛でていた卵が孵化して大量のクラゲが発生した。

 孵ったクラゲたちは、一斉に俺に襲い掛かって来た。

 俺は、三又の槍「アクアトライデント」を召喚し、クラゲたちを薙ぎ払う。

 無数のクラゲたちは、一瞬で消し飛び、消滅していった。

「まさか……たった一撃で、あれだけの数の子供たちを消し去った!?」

「次はアンタだ!」

 ジェパルの懐に素早く潜り込み、トライデントを振るう。

 槍の先は数本の触手を斬り裂いた。

 斬り落とされた触手は、しばらくは動いていたが、やがて黒く変色して消滅した。

「再生しない!?どうして!?くっ……」

 斬られた触手が再生せず、ジェパルは戸惑っていた。

 先程まで見せていた余裕の表情が、初めてアクアとして対峙した時と同じ、憎々しげなものに変わる。

「仮面ライダーアクアァァァァァ!!」

 電流を纏った拳が、雨が降るかの如く撃ち放たれる。

 俺は、槍にエネルギーを纏わせて、それを迎え撃った。

 トライデントから放たれたエネルギーは、無数のイルカとなって拳撃を押し返していった。

 拳撃とイルカのエネルギー体の衝突は、徐々にジェパルに近づいていき、遂に彼女を吹き飛ばした。

 ジェパルは廃工場の壁をぶち抜き、外に飛び出していった。

 俺は、吹き飛んだジェパルを追いかける。

 倉庫の壁に当たり、ジェパルは壁をへこませた。

「またしても邪魔をするのか……この世界でも、わたしの邪魔をォォォォ!!」

 よろよろと立ち上がるジェパルは、その身を怒りに震わせた。

 怒るジェパルは、毒々しいオーラを纏い、赤い瞳を鈍く輝かせて飛翔した。

 彼女がとった行動が何を意味するのか、俺は瞬時に理解した。

「不味い!ジェパルはより強い毒の雨を降らせるつもりなんだ!」

 けど、あの毒を解毒する方法は分からない……。

 どうすれば良いんだ……。

「アクアの力の源、マナスアクア。それを放出すれば毒を無力化出来る!」

 マナスアクアで解毒……?

 そうか!だから、ジェパルは俺に毒は効かないと言っていたのか!

 俺はアクアトライデントを空に向けて振り、人間一人が乗れる程度の大きさのエネルギー体のイルカを召喚し、それに乗って上昇する。

 速く!もっと速く!

 そう念じれば念じる程、イルカの速度は上がっていった。

 そして、辿り着いた先では、先程とは比べ物にならない数のクラゲとジェパルが、紫色の巨大なオーラを放っていた。

「この世界の人間を……一匹残らず殺してやるぅぅぅぅ!!」

「させるかぁぁぁぁぁ!!」

 激昂するジェパル目掛けてトライデントを投げ、彼女の体に突き刺す。

 そうすることでジェパルの動きを封じ、右足にエネルギーを収束してキックを放った。

「そんな……この世界でも……わたしたちは敗れるのかぁぁぁああああ……!」

 キックはジェパルを貫き、その体は爆散。

 同時に、イルカたちが大量に生まれ、空を覆うクラゲたちを消滅させ、マナスアクアの雨を降らせた。

 

 空を昇った時のイルカに再び跨り、地上へと降りていく。

「終わった……。これでみんな助かるんだ……」

 地に足をつけると同時に変身は解かれた。

 長いようで短かった戦いの幕は閉じ、再び世界に平穏が戻ったのだった。

 

 

 ***

 

 

 ジェパルを討ち倒してから数日が経過した頃、俺は病院のベッドの上で目を覚ました。

 どうやら、戦いが終わった後、限界を超える力を行使した反動で倒れてしまったらしく、カムイさんの手によって運ばれたそうだ。

 怪我こそしていたものの、命に別状は無く、すぐに退院できた。

 また、一時は予断を許さない危険な状態だった慎司さんも、今は回復に向かっているらしい。

 

 俺たちの日常は、少しずつ元に戻り始めていた。

 

 そうこうしているうちに、部室の前まで辿り着いた。

 カムイさんから預かった千歌さんのヘアピンをポケットから取り出す。

 これを千歌さんに返すんだ。

 ドアを開いて部室に入ると、千歌さんだけが一人部屋の中で座っていた。

「晴也くん……もう動いて大丈夫なの!?」

「は、はい。おかげさまで……。えっと、これをお返ししようと思って」

「わたしのヘアピン……。ありがとう、帰って来てくれて」

 へアピンは俺の手から千歌さんの手へ、そして彼女はそのヘアピンで再び前髪を束ねた。

 俺へと向けられた笑顔。

 やはり、俺はこの女性(ひと)が好きなんだ。

 

 今、この部屋にいるのは俺と千歌さんだけ。

 気持ちを伝えるタイミングとしては、またとない絶好の機会だ。

 

「千歌さん!」

 

 意を決した俺は、千歌さんの名を呼んで彼女を振り向かせた。

「どうしたの?」と首を傾げて俺を見つめる彼女。

 俺もその瞳を真っ直ぐ見て、それを言葉にした。

「好きです」

「……え?」

「千歌さんのことが好きです!」

 顔がとても熱い。鏡を見たら、多分、燃えるように真っ赤な顔をした俺が映るだろう。

 千歌さんも目を点にした後、頬を紅潮させ、若干パニック気味になりながら、俺に尋ねた。

「そ、そそそそれは『ライク』じゃなくて『ラブ』の方の好きってこと!?」

「はい……!」

「そ、そんな……千歌に晴也くんは勿体ないよ。晴也くんはカッコイイし、仮面ライダーだし……。ほ、ほら、千歌は普通怪獣チカっちだし!」

「関係ないです。誰にでも優しい千歌さんが好きです。諦めない、強い心を持つ千歌さんが好きです。キラキラ輝く千歌さんが好きです。とても可愛らしい千歌さんが好きです。千歌さんの全部が大好きです!」

 頬を染めるだけにとどまらず、千歌さんの顔全体が真っ赤に染っていく。

 千歌さんは、赤くなった顔を隠すように俯き、言葉を紡いだ。

「千歌、本当に普通なんだよ?梨子ちゃんやダイヤちゃんみたいな美人さんじゃないし、曜ちゃんみたいに運動ができるわけでもない。果南ちゃんや鞠莉ちゃんみたいに胸も大きくない。善子ちゃんみたいに頭が良い訳でもないし、花丸ちゃんやルビィちゃんみたく可愛くもないよ?」

「俺にとって、一番魅力的な女性は千歌さんなんです。『ありがとう』って初めて言われたあの日から、色んな千歌さんを見てきて、その全部を愛おしく思えた。そんな女性(ひと)は、千歌さんが最初で最後なんです。千歌さん、好きです。大好きです!俺と……付き合ってください!!」

 訪れた沈黙は、実際の時間よりも長く感じられた。

 赤く染った顔は、更にその熱と赤みを増していき、湯気が出てもおかしくない。

 高鳴る鼓動だけが聞こえるこの空間で、遂に千歌さんの口が開かれた。

「……れば……こんなわたしで良ければ、よろしくお願いします……」

 聞こえた小さな声は、それでも精一杯振り絞られたように思えた。

 俺の顔もかなり熱くなっているが、千歌の顔もとても赤い。

 茹で上がったように、顔を染める千歌さんの顔に近づいていく。

 俺が何をしようとしているのか、察した彼女もまた、目を閉じて唇を突き出してきた。

 そんな一生懸命な千歌さんをずっと見ていたいが、そうもいかない。

 俺も目を閉じ、そして、彼女と唇を重ねたのだった──。

 

 

 




如何だったでしょうか?
最後の方は、もう深夜テンションとノリで書いていたため、めちゃくちゃになっていましたが……。
というわけで、今回の敵キャラとアクアの新形態を解説しようと思います。

ジェパル
異世界より現れた魔海族の生き残り。平行世界の地球にて、遥か古代より海底のさらに下の世界、魔海に棲んでいた住民。
人間や地上に生ける全ての生物を滅ぼし、地球を海で覆って掌握しようとしたが、「その世界の仮面ライダーアクア」の手により、ジェパル以外の魔海族は全て倒された。残されたジェパルは、異世界へのゲートを開いて本作の世界に襲来した。一週間で彼女が「子供たち」と呼ぶ毒クラゲを産み、計画を実行した。ジェパルは再生能力と毒を持っている。彼女自身の毒は非常に強力で、並の人間なら一日どころか、数時間で死に至る。また、彼女たちの毒は、アクアの保有するマナスアクアに触れると、無力化されてしまう性質を持つ。


仮面ライダーアクアトリトーン
仮面ライダーアクアの新形態。異なるドライバーを用いる為、正確には別ライダー扱いである。
モチーフは、ギリシア神話におけるポセイドンの子供のトリトーンで、彼の武器をモチーフとしたアクアトライデントという槍を扱う。
超音波や高い機動力は、地上戦だけでなく海中戦でも猛威を振るい、その力はポセイドンやオーズ シャウタコンボをも凌ぐ。
また、マナスアクアでリキッドルフィンというエネルギー体を生成することが出来、攻撃に利用する。また、リキッドルフィンとアクアトリトーンの意識は共有されていて、変身者が自在に操ることが可能。
必殺技は、槍にエネルギーを纏わせて敵を貫く「トリトーンストライク」と、リキッドルフィンたちと共に放つ「ドルフィンブレイク」。


完成した安堵感から上記二つの説明を完全に忘れていました……。
残る2つの外伝も令和中には投稿し、ラブオーズを完結させたいと思っています。


……嘘です。今年中には完結させたいと思います。
最後になりますが、今後もラブライブ!サンシャイン!!〜Step! ZERO to OOOをよろしくお願いします。
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