ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~
ここまでのハイライト
耀太は居候している旅館、十千万の末っ子、高海千歌とスクールアイドル部を発足するため、本格的に活動を開始し千歌の幼馴染、松浦果南を説得。条件付きでの参加という結果を勝ち取った。
千歌と果南のもう一人の幼馴染、渡辺曜もまた、千歌の力になりたいとの想いでスクールアイドルに参加する。
梨子もまた自身の迷いを断ち切り、スクールアイドルになることを決意した。
そして人間に続くようにして、グリードたちも本格的な動きを見せ始めるのだった。

カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズが使えるメダルは?
タカ×2
カマキリ×1
バッタ×1
トラ×1

微編集版


試練とまだない名前と新たな力

 静岡、某日某所。

「ウヴァはまたセルメダル集めに行ったの?」

 ネコ科動物を模した怪人と、

「ええ。少なくとも二枚、自分のメダルがオーズに使われているんですもの。早く取り返すために力が欲しいはずだわ」

 水棲生物を模した怪人がもう一体をあやしながら、そう言葉を交わすのは、人目のつかない、何者も近づくことがない場所。

「ふーん」

 ここまでの会話を聞いて分かる者なら、彼らが何者なのか、既に察しがつく者もいるだろう。

「それじゃあ、次はボクが行こうかな?」

 ネコの怪人、カザリが動く。

「待って」

「?」

 水棲生物の怪人のメズールがそれを止めると、もう一人のサイの角と象の鼻を彷彿とさせる顔のガメルが首を傾げる。

「その前にそこにいる人間からセルメダルを頂いていきましょう」

「「ひっ、ひぃぃっ!?」」

 メズールが攻撃を飛ばすと、遮蔽物が吹き飛んで二人の人間が悲鳴を上げる。

 ここは誰も寄り付かない。ただし、よっぽどな物好きでない者に限る。

 元々、いわゆる心霊スポットと呼ばれていた所に、グリード(かれら)が棲みつき、噂や都市伝説として謳われていたものが本物になった。それを確かめようとする命知らずが寄り付くようになった。

 逃げ惑う人間に、二体のグリードはそれぞれ一枚ずつセルメダルを挿入し(投げ入れ)た。

「「うわああああっ!?」」

 

 ***

 

「スキャニングチャージ!!」

「はぁぁぁぁ……セイヤー!!」

 ダメージを与えて動けなくなったカブトヤミーにタトバキックを叩き込み、セルメダルへ還元した。

「だいぶセルも集まってきたなぁ」

「そりゃあ、あれからも結構倒してるしね」

 初めてカマキリヤミーを倒し、アンクと出会ってから数週間が経過した。その時以降、ヤミーが頻繁に出現するようになり、世間でも奴らの存在が認知されるようになってきた。

「ただなぁ……」

 セルメダルが集まってアンク的には嬉しいづくめかもしれないが、俺はそうじゃない。

 俺には学校、そして十千万でのバイトがある。戦闘を重ねるごとに戦いには慣れたが、学生であるべきこと、そして高海家への奉公が完全に疎かになっているのだ。

「やっべえ!早く戻らないと!」

 変身を解いて時計を見ると、針は既に昼休み終了五分前を指していた……。

 

「す、すいません……!ちょっと昼寝してたら寝過ごしました……」

「またですか……。いくら成績が良いからと言っても遅刻のし過ぎは好ましくありませんよ」

「はい……」

 学校に戻ると案の定授業は始まっていて、ヤミーが出た時はほとんどまともに受けれていない。

 最近ではヤミーや(オーズ)の目撃者も増えて、学校の、それもクラスの何人かには俺のいなくなるタイミングとオーズの出現タイミングから、俺がオーズであることが疑われ始めている。

 バレてしまったら、その時はロリ神様が何とかしてくれると言ってはいたのでこっちに関してはさほど問題はないだろう。

 本当に厄介なのはここからだ。

「部活が設立出来ない?」

「うん、生徒会長に設立許可を届けに出たんだけど……」

 曜ちゃんがそこまで言うと、

「『わたくしが生徒会長でいる以上、スクールアイドル部は認めませんわ!』だって……」

 千歌ちゃんが会長の、黒澤ダイヤの真似をしてみせた。

 俺がいない間にそんな事があったのか……。

「三回行けばもしかして……」

「三顧の礼じゃあるまいし、無理じゃないかな……」

「それじゃああとは……」

「「「うーん……」」」

 三人ともほぼお手上げ状態みたいだ。

 残った方法といえば……。

「……一つだけ」

「え?」

「一つだけ方法がないでもないんだけど……」

「それ本当!?」

 毎度のことながら千歌ちゃんの食いつきがすげぇ。

 おかげで少しキョドってしまった。

「あ、ああ……それなんだけど……」

 

 ところ変わって理事長室前。

「えっと……もしかして理事長に直談判?」

「That's right」

「いやなにその時々英語で答えるの」

「何となく?」

「なんで疑問系……」

 ツッコミに回っている曜ちゃん。やっぱり可愛い。もう少し堪能しておきたいけど、見つめ過ぎると変態だと思われかねないので、先に進めることにした。

 ドアをノックして、

「失礼します」

 部屋には理事長が仕事をするための机と空席の椅子。

「あれ?誰もいない……?」

「ちょっと早すぎたか」

「え?それってどういうこと?」

「すぐに分かるよ」

 そう言うと、「彼女」はすぐにここにやって来た。

「ソーリー、少し遅れちゃったわ」

「こっちこそ悪いね、急に呼んだりして」

「この子たちが件の……」

「スクールアイドルの卵ってところかな?」

 千歌ちゃんたちを品定めするように見る彼女。

 そしていきなり現れた彼女に戸惑いを隠せていない様子の千歌ちゃんたち。

「三人ともベリーキュート!こんな子たちを侍らせるなんてやるわね、耀太!」

「誤解を招くような言い方やめて!」

 やめて!ホントやめて!約二名からの視線が痛いから!

「こほん……えー、紹介するよ。同じクラスの……」

「小原鞠莉よ。マリーって呼んでね」

 冷たい視線はなくなったが、やっぱり三人とも「は?」状態だった。まあ、ぶっちゃけ普通のリアクションだけど。

「ねぇ、耀太くん理事長は?」

 聞いてきたのは梨子ちゃん。

「わたしはここにいるよ」

「えっと、鞠莉さんは生徒ですよね?」

「あのね、梨子ちゃん。鞠莉ちゃんは生徒だけど理事長でもあるんだよ」

「「「………え!?」」」

 うん、普通そうだよね。

「言いたいことはわかるよ。けどそれだと話が進まないから、まずはそっちを解決してからで」

「う、うん……」

 まずはスクールアイドル部の問題を解決しなくてはいけないので、鞠莉ちゃんについてはまた後でということにした。

「なるほどねぇ。人数が足りなくて設立が出来ないだけじゃなくて、ダイヤが」

 やれやれと言いたそうな表情(カオ)をする鞠莉ちゃん。そして、

「分かったわ。理事長権限でスクールアイドル部の設立を許可しましょう!」

「本当ですか!?」

 その発言に「それって職権乱用なんじゃ」というツッコミが飛んだ……かと思われたが。

 

「ただし!ここでライブを開いて、会場を満員にすること!それが出来なければ直ちに解散してもらいます」

 天使のような笑顔で悪魔のようなことを言い放ったのだった。

 会場に選ばれたのは体育館。学校の体育館であるため、本物のライブ会場には見劣りしてしまうが……。

「ここを満員……」

「やめる?」

「ううん!やるよ!」

「オーケイ。それではライブを行うということで」

 ライブの承認を受けた鞠莉ちゃんはそのまま戻って言ってしまった。

「ねぇ、一つだけ聞いていい?」

「どうしたの梨子ちゃん?」

「この体育館を満員にするのに()()()()()()?」

「えっとねー……あれ?」

 

 ***

 

 梨子ちゃんの言葉により、千歌ちゃんはあの体育館を満員にするために必要なことに気づき、現在。

 現在、俺たちは沼津に来ているのだった。

「チラシ配りかぁ。確かにこれなら人を集められるかも!」

「はい、質問良いですか、千歌先生?」

「何かな、耀太くん?」

「どうしてアンクまでここにいるんですか!?」

「知るか!そんなこと俺が聞きたい!」

「だって人数は多いほうがいいし。それに協力してくれれば一つ三百円のアイスを買ってあげるって約束したしね」

「くっ……!」

 わぁお。もうアンクの扱いに慣れ始めていらっしゃる。

「まあまあ、それじゃあ行こっか!」

 こうしてライブの宣伝チラシ配りが始まった。

 ちなみにチラシを配っている時、曜ちゃんが結構手際良かったり、千歌ちゃんがそれに対抗したり、梨子ちゃんがポスターに向かったり、俺がタカカンドロイドを使って、アンクがセルメダルを無駄遣いするなとキレたり、いろいろあった。

 

「よろしくお願いしまーす!」

 チラシを配り始めてから一時間ほど経過した。

 作業はとても順調でこれなら、と思い始めた時だ。

「ヨータ」

「なんだよ、アンク。言っとくけど自分の分は自分で配れよ。俺の分だってまだこんなに……」

「ヤミーだ、行くぞ」

「は?」

 マジで、は?

 

「おいアンク待てよ!」

「あれだ」

「嘘だろ……」

 目の前にあったのはスクールアイドルショップ。そしてそこにいたのは一人の男と、その男から上半身だけを現してグッズを貪っている白ヤミーだった。

「アンク、メダル」

「は?バカかお前。あいつはまだ成長する。それまで待つ」

「そういうと思ったよ」

 おもむろにドライバーとアンクからくすねておいたコアメダルを三枚取り出した。

「お前!?」

「生憎ただの馬鹿じゃないんでねっ!」

 取り込むのに夢中になっているヤミーに気付かれないように、しかし急いで近づく。

「変身!」

「タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!」

「はーなーれーろーっ!!」

 白ヤミーに掴みかかって、先のタカカンドロイドにグッズを持ってもらい、剥がそうとした。が、

「ッ!?うお!?」

 ナニカが高速で向かってきて、一撃浴びせられる。

「困るんだよね、ボクのヤミーに手を出さないでもらえるかな」

 転がる俺に向かってそう投げかけたのは、ネコ科のグリード、カザリだった。

「勝手な真似しやがって。だからこんな目に遭うんだ」

「やあ、久しぶりだね。アンク」

 キレ気味なアンクにカザリが話しかける。

「カザリか。そう言えばお前のヤミーはそんなだったな」

「今日はボクのコアメダルを返しにもらいに来たよ。素直に渡してくれればアンク、キミのことは見逃してあげるよ」

「はっ!それは出来ないなぁ。コアメダルとこいつは俺のコアを探すのに必要なんでなぁ」

「そう、交渉決裂だね。キミもオーズもここで消す」

 カザリの攻撃が振りかざされる。

 両手のトラクローを展開しそれを防ぐ。が、

「なんて重さだ……!ヤミーとはまるで比べ物にならない……!」

「当たり前だよ。完全体にならなくたって、今のキミを倒すくらいボクにはどうってことない」

 空いているもう片方の腕が胸を直撃する。

「がはっ……!」

 思い切り吹き飛ばされ、胸部が点滅する。

「ヨータ!コアをこいつに変えろ!」

「ハアハア……」

 アンクから受け取ったカマキリコアとトラコアを入れ替えて再度スキャン。

「タカ!カマキリ!バッタ!」

 亜種形態タカキリバにフォームチェンジしてカマキリソードを展開、反撃を仕掛ける。

 ヒット!ヒット!ヒット!攻撃を喰らいながらも、確実に当てていく。

「甘いよ、オーズ」

 再び吹き飛ばされてカマキリも使用不可能になってしまい、変身が強制的に解除される。

「はは……これはやばいな……」

「これで終わりだよ」

 トドメの一撃が来る!身に迫る死を感じた。が、その攻撃はいつまでたっても来なかった。

 無人で走ってきたライドベンダーが俺とカザリの間に入ろうとし、カザリを弾き飛ばした。

「これ……もしかして……」

 ライドベンダーにはラッピングされた直方体が乗せられていた。

 間違いない。ロリ女神の仕業だ。

 箱を開けるとそこにはメダジャリバー、セルメダル三枚、そして二枚目のトラメダルだ。

「っ!?ボクのコアメダル……!」

 人遣い荒いなあのロリ女神……。でも今はありがてえ!

「タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!」

 再度タトバコンボに変身。メダジャリバーにセルメダルを三枚装填する。

 カザリの攻撃を今度はメダジャリバーで受け流す。

 俺は疲労のおかげで力が抜け、もう一枚の自分のメダルが現れたことによる焦りで無駄に力の入ったカザリ。おかげでカザリの攻撃はするりと交わすことが出来た。

 カザリの背中にメダジャリバーを振り下ろす。当然これだけではダメージは通らない。しかし、

「トリプル!スキャニングチャージ!!」

 ゼロ距離でオーズバッシュ!

 建物・地面ごとぶった斬り、カザリ以外はすべて元に戻る。

「うわああああああっ!?」

 ダメージを受け過ぎたカザリからメダルが二枚弾け飛ぶ。

 アンクはそれを見逃さなかった。

「はぁ……はぁ……ボクのメダル、キミたちに預けておくよ……」

 一度に二枚のメダルを失い、カザリは退散して行った。まさに二兎追うものは一兎も得ず、かな。

「カザリ相手にここまでやるとはなぁ」

「メダルは……とられな……」

 俺の意識はここで途絶えた。

 その後、アンクが俺を運んでくれて、その間にロリ女神が傷の治癒をしてくれたようで、痛みは完全に引いていた。異常な回復速度にアンクは少し怪しんだが、千歌ちゃんの奢りの高いアイスのおかげですぐに興味を失ったようだ。

 

「で、一体どうしたの?」

 カザリとの戦いから約一時間半。結局ヤミーの行方はわからなくなって、チラシ配りも既に終わっていた。俺とアンクの分はタカカンドロイドたちが配ったらしい。

「それがね、チラシ配りの途中でルビィちゃんにあってね……」

 千歌ちゃんから説明されたこと、まあ早い話がグループ名を決めようということだ。ルビィちゃんのことはまあ、知っている。黒澤ルビィ、ダイヤさんの妹だ。

 そのルビィちゃんにグループ名を聞かれたらしい。

 で、内浦のスクールアイドルということで海に因んだ名前にしようと、沼津駅の方から戻ってきたのだ。

 確かに土地や地域に縁のある名前にしようと思ったらそこに行くのが一番かもだけど……今日の俺には少々酷だった。痛みは取れても疲労は取れなかったからな……。

「それでいい案とかあるの?」

「「「………」」」

「ないんだ……。じゃあまず言い出しっぺの千歌ちゃん!」

「えーっと……浦の星スクールガールズ、とか?」

「まんまじゃない……」

「えー、じゃあ梨子ちゃんは?」

「えぇ!?うーん……わたしたち海で出会ったから、スリーマーメイド……なんて」

「それじゃあ果南ちゃんが入ったあとは?」

「………」

「完全に失念してたみたいだね。じゃあ曜ちゃんは何かある?」

「制服少女隊!」

「なんか違う気がする」

 あーだこーだと論争する三人。そして漏れなく俺もターゲットに。

「じゃあ、次耀太くん!」

「へ?お、俺か。そ、そうだな……」

 何これカザリと戦った時より苦しいんですけど、“俺の案”ってことになっちゃダメな気がするというか絶対ダメだし……。

頭を抱えて砂浜を見つめる。すると、

「?耀太くん?」

何かうっすらと線があるのが分かった。そうか!これだ!

俺の行動を不思議に思ったのであろう曜ちゃんが、

「耀太くん、何してるの?」

「文字をなぞってるの。消えそうだけど、なんだかいい名前になりそうな気がして」

浮かび上がってきた言葉。やっぱり。

「Aq……ours?アキュア?」

Aqours(アクア)じゃない?」

「Aqours──うん、これだ!」

 

──わたしたちは、Aqours!!──

 

千歌ちゃんの声が海にこだまする。

 

こうしてスクールアイドル、Aqoursが誕生した。

 

しかし、これからの未来をまだ誰も知らなかった。

 

Aqoursのファーストライブに、黒い欲望の影が忍び寄っていたことを。




耀太)今回はマジでダメかと思ったー!
ロリ神)わらわからのプレゼントは役に立ったようじゃな
耀太)……いや持ってるなら最初から出してくれよ。二枚ともとられてこそいなかったけど、変身できなくなってやばかったんだからな
ロリ神)こういうのにはロマンを求めるのが当たり前じゃろ!
耀太)いやこっちは本当に死にかけたんだからな!?それにメダルってこっちにバラまいたんじゃないの!?
ロリ神)人の話はよく聞くものじゃ。わらわは全部バラまいたとは言っておらん
耀太)え
ロリ神)ぬし……本気で人の話を聞いておらんかったようじゃの……。
耀太)……次回ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~「ファーストライブと二人目のライダーと最強コンボ」

カウント・ザ・メダルズ
タカ×2
カマキリ×1
バッタ×1
トラ×2
チーター×2
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