ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~ 作:白銀るる
前回までの三つの出来事
一つ、失われたコアメダルを求め、グリードたちが動き始めた。
二つ、グリードたちが活発化し始める一方、千歌たちはスクールアイドル部を正式に設立させるためライブを開催することに。
そして三つ、新たな力、メダジャリバーを手に入れた耀太はグリードであるカザリを撃退したのだった。
カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×2
カマキリ×1
バッタ×1
トラ×2
チーター×2
浦の星学院の新生スクールアイドル、Aqours。
そのファーストライブの宣伝のために、今日一度十千万に集まってから活動を始めることになった。
「まさかこんなに早くライブすることになるなんて……」
「いつかは絶対やるんだし、早いうちに人前に出るのに慣れるのに丁度いいんじゃない?いっそ梨子ちゃんをセンターに……」
曜ちゃんの言葉に梨子ちゃんは一気に青くなって首をブンブンと横に振る。
「冗談だよ」
「そんな心臓に悪い冗談は言わないで!」
「まあまあ。梨子ちゃんにはいずれワンマンライブをやってもらうとして……」
「耀太くんも便乗しないっ!!」
今度は顔を真っ赤にして叫ばれた。
「しっかり宣伝して、たくさんの人に来てもらわないと」
「そうだね」
「よーし!頑張ろうー!!」
今日はリハーサル。
土曜日に開かれるライブのため千歌ちゃん、梨子ちゃん、曜ちゃんは町内放送、俺とアンクはよいつむトリオと一緒にリハの準備と昨日に引き続きチラシ配りだ。
アンクは文句こそ言ったものの、また高いアイスを引き合いに出されて渋々と引き受けた。ちなみに鞠莉ちゃんに理事長権限を発動してもらい、ちゃんと入校許可証ももらった。
「ありがとうね、こっちの仕事手伝ってもらっちゃって」
「いいえ。千歌のやりたいことをサポートするのはわたしたちのやるべきことだと思ってるんで。先輩こそ千歌に振り回されたりしてませんか?」
「思いっきりね。俺はともかくアンクまで手駒にするとは思わなかったけど」
正直これは一番びっくりです。
「勘違いするな!俺はアイツにアイスを奢らせるための貸しを作ってるだけだ!」
「はいはい。そういうことにしといてやるよ」
アンクは舌打ちして作業へと戻っていく。
「音響の方はどう?」
「バッチリですよ先輩!」
よいつむトリオの他にももう一人。一年生の
「宮沢もありがとう。全然関係ないのに手伝いに来てくれて」
「困った時はお互い様。こういう時は助け合いですから。それに先輩とは入学した時からの長い付き合いじゃないですか」
「よし、次は……」
どこかで聞いたことあるようなセリフだと思いつつ、次の指示を出そうとすると、
『こんにちは!浦の星学院のスクールアイドル、Aqoursです!』
『待って!でもまだ学校から正式な承認もらってないんじゃ?』
『じゃあ、浦の星学院非公認アイドルAqoursです!』
これには笑いを禁じ得ない。
『今度の土曜日、十四時から浦の星学院の体育館でライブ……』
『非公認っていうのはちょっと……』
『じゃあなんて言ったらいいのーーっ!!』
そして千歌ちゃんの叫びが町内に響き渡った。
***
ライブ当日、生憎の雨。
だけどライブは室内、よほどのことさえなければ雨天決行。
「ねぇ、このスカート短すぎない?」
「そんなことないよ。梨子ちゃん似合ってる!」
「本当?」
「本当だよ!ね、曜ちゃん?」
「うん!梨子ちゃんも千歌ちゃんも、二人ともよく似合ってるよ」
「それを言ったら曜ちゃんだって」
これから本番だというのに、三人はいつものように変わらないやりとり。表に出していないだけで、きっと相当緊張や不安があるはずだ。それをバックアップしなければ。
「そろそろ時間だね」
「緊張するな……」
「大丈夫。梨子ちゃんたちならきっと成功させられる。だから思いっきり楽しんでくればいいよ」
「楽しむ……」
「そうだよ梨子ちゃん!」
完全にとはいかないが、梨子ちゃんの不安も和らいだようだ。
「さてと、俺とアンクは次の仕事だ」
「おいチカ!アイス一年分忘れんなよ!」
「分かっ……えぇぇぇ!?」
鬼かこいつは。
ライブ開始まであと五分。駐車スペースに車は一台もない。
「なあアンク、この間のヤミー……」
「ああ。まだ成長してる。これで仕上げって感じか」
少し前に倒し損ねたヤミー。スクールアイドルショップを次々と襲っていて、目撃者は後を絶たない。駆け出しとはいえ、スクールアイドルと銘打っている
「俺はライブを守れる。お前はセルメダルがたんまり手に入る。ウィンウィンってことね」
「そういうことだ」
利用する形になってしまったことはいつか必ず謝ろう。
そうこうしていると、車が一台、二台とまばらにではあるが敷地内に入ってきた。
「よし、駐車場の整理だな」
駐車場に入ってくる車を誘導していると、
クラクションが鳴り出した。それも一度だけでなく何度も。
それが鳴らされた方を見ると、暴走車が入ってきた。
その車は駐車場に停めずに、体育館の方へ向かっていく。
「アンク、メダル!」
「きっちり稼いでこい!」
「了解!」
「タカ!トラ!チーター!」
オーズ、タカトラーターに変身し、暴走車の前を強引に止めた。
「やっぱりあの時の……」
「ヤミーの親か」
スクールアイドルショップにいた男性。ヤミーに寄生されているせいか、前より肥満気味になっている。
「たす……けて……もう……これ以上は……」
降りてきた男性は助けを訴えるが、最後まで言い切ることなくシャムネコヤミーに取り込まれてしまった。
「待っててください!今助けに……」
「きゃあああああっ!!??」
「え……」
ヤミーに向かおうとした瞬間、背後から悲鳴。
ピラニアヤミーの群れが空を覆い尽くしていた。
「ちっ……面倒なことになったなぁ……」
「どうすりゃいいんだ……」
***
先輩たちのライブが始まってから少し経った頃、観客は十数人。体育館とはいえ満員にするにはまだまだ足りないな。
それでも歌い続ける先輩たちにはかつての彼女たちに通ずるものがあった。
島村先輩や俺の“介入”がいけない方向に進みつつあるのか、それとも……。
そう思考した途端視界がいきなり真っ暗になった。
どこかに雷が落ちた……いや、そんなもの今日の予報にはなかったし、遠くで鳴っている音すら聞こえていなかった。
「俺ちょっと見てきます」
体育館を出るとその答えもすぐに出た。
空を覆う大量のヤミーだ。
「宮沢!?」
そして既にオーズに変身している先輩とシャムネコヤミーが視界に入る。
「なるほど。これは想像以上にやばそうだ」
「早く逃げろ!ここは俺が……」
「俺も手伝いますよ、先輩」
「は?」
シャムネコヤミーに向かって走り出し、ドライバーを腰に巻きメダルを挿入する。
「変身!」
レバーを回転させると巨大なカプセルが展開。
さらに複数のカプセルからバースの装備が全身に装着される。
バースへの変身が完了した。
「はあああ!うおりゃああ!」
先輩が押さえていたシャムネコヤミーに軽く一撃与える。
「お前それ……」
やっぱり驚いてるなぁ。教えてなかったから当然か。
「あーこれですか?まあ後で説明します。コイツは俺が引き受けますから、これ使ってあっちの方を」
「……よく分かんないけど、ありがとう」
こっちに来てすぐに拾ったクワガタコアを渡すと、先輩はピラニアヤミーの方へ向かった。
「さてと、先輩が攻撃しなかったってことはまだ中に人がいるみたいだな。それなら」
カプセルを閉じてメダルをもう一枚挿入、レバーを回転させる。
「ドリルアーム」
「うおりゃあああああ!!」
右腕にドリルアームを装着してシャムネコヤミーの腹のメダルをかきだす。
どんどんメダルがどんどん溢れ、零れていく。
「たす……けて……」
「今助けますから!手を……!」
空いている左手を男の人へと伸ばす。あと少し、あと少しというところでメダルが邪魔になってしまう。
「うおおおおお!」
そして遂に……。
「掴んだ!せぇぇのっ!」
思い切り反動をつけて男の人を引っ張り出した。
助け出した人は気絶してしまったが、無事なようだ。
「これで遠慮なくっ!」
シャムネコヤミーを立たせてドリルアームで殴る!殴る!殴る!
攻撃がヒットする度にメダルが零れ落ちる。
「そろそろ決めようか!」
もう一度セルメダルを挿入し、セルバッシュモードを発動する。
「うおおおおおおっ!!」
パワーをアップさせたドリルアームでヤミーを殴りつける。
セルメダルをどんどん削いで!削いで!貫く!
ヤミーの体をドリルアームが貫通。ヤミーは爆散してセルメダルを散らした。
「あっちもそろそろ……」
***
状況を整理しよう。シャムネコヤミーが現れたと思ったらピラニアヤミーまで現れて、どう打破しようか考えていたら宮沢がやってきてバースに変身して、コアメダルを渡されて……。
「とにかく細かいことは後回し。これがあればアレを……!」
宮沢から渡されたクワガタコアメダルに目線を落とし、再び顔を上げる。
「アンク!カマキリとバッタ貸して!」
「何する気だ?」
「何って、あの数を倒すにはコンボしかないでしょ!」
「お前、正気か?」
「正気だよ。やんなきゃ、千歌ちゃんたちのライブが中止になっちまう!」
「ふん!好きにしろ、どうなっても知らないからな」
渋りながらもアンクはカマキリとバッタのコアメダルを出してくれた。
バックルを戻し、メダルを抜き取る。新たにクワガタ、カマキリ、バッタのコアメダルを装填。バックルを再度傾けてスキャンした。
翼を広げた鳥の意匠だった頭部はクワガタの顎を模した角が伸び、緑色だった複眼は橙色に。
頭部から脚にかけて緑色で統一された。
クワガタ、カマキリ、バッタ。
オーズ、ガタキリバコンボが誕生した。
ピラニアヤミーに襲われている人たちを助けるために走り出す。その数を増やし、ヤミーを払いながら。
「早く逃げてください!」
五十人に分身した俺はヤミーを斬って斬って斬りまくる。
何体か零れても、別の俺がそれ以上通さない。
「やっぱり狙いは千歌ちゃんたちか」
このヤミーもスクールアイドルのファンから生まれたヤミー。同じ欲望なのに種類が違うだけでこんなに面倒くさいなんて……。
かなりの数のヤミーを落としたが、
「そろそろ体力の限界が……」
ヤミーの方もこれ以上は数を減らすまいと考えたのか、集合して巨大なピラニアヤミーとなる。
『スキャニングチャージ!!』
『セイヤーーーッ!!』
ピラニアヤミーと総数五十のスキャニングチャージが激突。ガタキリバキックを叩き込み、さらに内部に侵入して斬り裂いた。
大量にいたヤミーを全て殲滅し、宮沢の方も無事助けられたみたいだ……。
強制的に変身が解除されて、身体が一気に重くなる。
「やっぱりまだ……完全には使えないか……」
敵は撃破したものの、コンボの力に耐えきれなかった俺はその場で倒れてしまった。
保健室のベッドの上で俺は意識を取り戻した。
「宮沢……」
「大丈夫ですか?」
「俺……」
「コンボなんか使うからだ。あれは当分は控えた方が良さそうだな」
アンクに軽い説教をもらってしまった。
「そうだ……ライブは……」
「無事終わりました。先輩と(女神さま)のおかげですよ」
「そうか……え」
深いため息が出て心から安堵した。が宮沢の発言には驚きを隠せなかった。
『ふっふっふっ。体育館に特殊な障壁を張ったのじゃ。流石に侵入されれば防ぐことは出来ぬが、ぬしが戦ってくれたおかげじゃよ』
「(……その、ありが……)」
「耀太くん!?」
女神さまにお礼を言おうとすると、千歌ちゃんたちが息を切らしながら保健室に入ってきた。衣装を着たままなので、終わってすぐに来たのだろう。
「良かったぁ……心配したよー……。車を誘導してる最中急に倒れたって聞いたから……」
「えっと……」
『流石にあれは大事になりかねんからな。本来の記憶をブロックして、偽装した記憶を目撃した者には刷り込んでおいた』
今まで本気でやってなかったような仕事ぶりを発揮してくれたんだな、あの女神さま。てか本当に本気じゃなかったんじゃないか……。
新たな疑問も生じたが、今はこれで言うことにした。
「ごめん、それからありがとう」
今どこかで見ている女神さまと、俺の身を案じて駆けつけてくれた三人に深く感謝した。
「千歌ちゃん千歌ちゃん」
曜ちゃんが何かを促すように言う。
「あ、うん!耀太くんたちのおかげでライブ、大成功だよ!部活動としての参加も認めてもらえてね、それでね──」
耀太)やっとファーストライブが終わったなぁ……。
慎司)ご苦労さまです、先輩。
ロリ神)危機一髪じゃったの。
作者)今後はあれ以上のことが起こるかもしれないね……。
三人)お前が言うなよ。
作者)ハイスイマセン。
ロリ神)しかし、わらわの活躍の場を増やすとは、褒めて遣わすぞ。
作者)_|\○_ハハー。このまま次々回の予告までお願いいたします。
ロリ神)ふっふっふっ……良かろう。
耀・慎)チョロイな。
ロリ神)うん?次々回?
作者)次回は前々から言っていた特別回にするので。
ロリ神)なるほど、それならば。次回ラブライブ!サンシャイン!!〜Step! ZERO to OOO〜「小さな二人と本と憧れ」
作者)本当にありがとうございます!今後とも是非よろしくお願いたします!
カウント・ザ・メダルズ
タカ×2
クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×1
トラ×2
チーター×2