違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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なんと日間ランキング6位に入っていました。これもみなさんが読んでくださるからです。ありがとうございます!

それと連絡なのですが、本日より作者テスト期間に入りますので少し投稿頻度が二週間程度遅れます。申し訳ございません。遅れるとは言っても週1は出すと思いますので少々お待ちください。


論争

テスト前一週間となり本格的にテスト勉強をしだす人が増えてきた。誰も彼もまじめに授業を受け、必死にノートを取る。それだけなら普通の高校とさして変わらない。しかしこの高度教育高等学校においてテストというものは大切なものであった。それは自らの退学をかけたものとなるからだ。赤点=即退学。その事実があるため、生徒たちは必死に勉強していた。そしてそれは放課後でもそうであった。

 

今日も図書館で勉強している桐生はいつになく問題に苦戦していた。普通の教科書の例題、演習問題程度であればさして問題なく解くことができていたが、今現在図書館で見つけた応用問題を解いていた。かれこれ考え始めて30分、すでに桐生に考えられる手は尽くした。これ以上どのように手を打てばいいのか分からず、完全に詰んだ状況になっていた。

 

「あーダメだ。分からないや。椎名は分かった?」

 

桐生の隣で椎名も同じように問題を解いていた。桐生に聞かれたことにより、動かしていたペンを止めて答える。

 

「一応この考え方で解いてみているのですけど、ここから先がうまくいかないです」

 

椎名も答えが分からず詰まっているようだった。

 

「ちょっと見せてもらってもいいか?……なるほど、こんな考え方は思いつかなかったな。だとしたらここをこう変形してみたら出来るんじゃないか?」

 

「えっと…ちょっと解いてみますね。………あっ確かにここを桐生くんが言う通りに変形することで解けました。ありがとうございます。」

 

「いや、俺も椎名の最初の解き方を見なければ思いつかなかった。ありがとう」

 

難しい問題を解き切ることが出来た達成感でお互いリラックスモードに入る。すると二人はいつも通りミステリーの話をする。二人で難問に挑戦し、解けた後休憩も兼ねて本の話をする。そしてその日の課題をすると言うのが彼らのルーティーンだった。

 

そんなミステリーの談義は今日は、一旦中断をせざるを得ない状況になってしまった。

 

 

 

「あ?…………お前ら、ひょっとしてDクラスの生徒か?」

 

静かな図書館の中では勉強をしていて、隣の人に分からないところを聞くといった小さな声を発する人は多くいる。現に桐生と椎名もそうである。だが今言葉を発した男はわざと隣のテーブルの人物たちをおちょくるように少し大きめの声で喋った。そのことに図書館にいる大勢の人がその方向を見る。

 

「なんだお前ら。俺たちがDクラスだから何だってんだよ。文句あんのか?」

 

そしてその挑発を受けたのは堀北、綾小路たち一緒に勉強をしているグループのようだった。舐めた態度をとる男に須藤がくってかかる。

 

「いやいや、別に文句はねえよ。俺はCクラスの山脇だ。よろしくな。ただなんつーか、この学校が実力でクラス分けしててくれてよかったぜ。お前らみたいな底辺と一緒に勉強させられたらたまんねーからなぁ」

 

「なんだと!」

 

その山脇という生徒はニヤニヤと笑いながら須藤たちを見回し、馬鹿にしたように言った。須藤がくってかかったときは桐生もまだ平気だったが、そのあまりに人を馬鹿にした態度を見て桐生も少し頭にきていた。

 

「本当のことを言っただけで怒んなよ。もし校内で暴力行為なんて起こしたら、どれだけポイント査定に響くだろうな。いや、お前らには失くすポイントが無いんだっけ?って事は退学になるのかもなぁ?」

 

「上等だ、かかって来いよ!」

 

 あまりにも馬鹿にした態度の山脇に須藤君が吠える。静かな図書館にその声が響きわたる。それによって、より多くの注目を集めていた。これ以上騒ぎを大きくするとどうなるか分からないし、退学もありえるかもしれない。ここは止めに入ったほうがいいだろう、そう考えた桐生はすぐにそのテーブルの下へと移動した。

 

「須藤、落ち着け。ここでお前が騒ぎを起こせば、最悪退学だってあり得るかもしれない。須藤がここ最近勉強を必死にしていることは分かっているんだからその努力を無駄にするのは止めよう。それと、山脇と言ったな。クラス間に別にそこまでの大差があるとは思っていないと俺は考えているのだがどう考えているわけで?」

 

 俺の言葉に須藤は少しだけ落ち着きを取り戻す。しかし、そんな落ち着きを取り戻した須藤をさらに挑発しに山脇たちはかかる。

 

「C〜Aクラスなんて誤差みたいなもんだ。お前らDだけは別次元だけどなぁ」

 

「あら、随分と面白い物差しを持たれているのですね。その話、私も混ぜてくださいな」

 

横から突然の乱入者が入ってきたことに山脇たちは誰だこいつといった表情を浮かべる。実際多くの人がその少女の存在を知らなかった。

 

「C〜Aが誤差だと考えていらっしゃる理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」

 

「は?そんなの当然に決まってんだろ。ポイントを見れば一目瞭然だろ。0のやつらなんて話にもならないからな」

 

「なるほど、0ポイントというのは確かにお話になりません。しかしながら実に浅はかですね。浅学菲才すぎて欠伸も出てしまいます」

 

肯定していた内容はいつの間にか山脇たちを否定することにつながっていっていたため、山脇たちが起こる。

 

「んだとテメェ!お前も同じDクラスだろうが!ちょっと顔がかわいいからってなんでも許されると思うんじゃねえぞ!」

 

「ふふっ、そこが愚かなところだと自ら露見させているようなものです。その行為、そこの赤髪の方と何一つ変わりませんよ?」

 

責める立場から逆に責められる立場になっていることに山脇は先ほどまであった余裕が一切なくなってしまっていた。少女の返しに更にムカついたのか、山脇が机を叩き立ち上がる。それを周りのCクラスの生徒が止めていた。

 

「今度のテスト、赤点を取ったら退学って話は知ってるだろ? お前らから何人退学者が出るか楽しみだぜ」

 

「ふふふっここまでヒントを与えてるにもかかわらず、一切何一つとして気づかないなんて、本当にダメなお方ですね。そこにいる彼の方がよほど聡明でお話がしたいですね。その様子ならCクラスがDクラスに足元を掬われるのも時間の問題でしょう」

 

「く、くくっ。足元をすくわれる? 冗談はよせよ」

 

どこからその自信が出てくるのが気になる程、山脇たちはその態度の大きさをを変えない。周りの人たちはお前が誰と話しているのか知っているため恐れていると言うのに…無知とは怖いものだ。

なおも山脇たちは饒舌に熱弁する。

 

「俺たちは赤点を取らないために勉強してるんじゃねえ。より良い点数を取るために勉強してんだよ。お前らと一緒にするな。大体、お前らフランシス・ベーコンだ、とか言って喜んでるが、正気か?テスト範囲外を勉強して何になるというんだ?」

 

「「え?」」

 

綾小路と櫛田が同時に発した。俺も内心驚いていた。テスト範囲外になっている?確かに俺たちは茶柱先生に聞いた範囲の勉強をしていたはずだ。山脇が言っていることが事実だとすれば、クラスごとで範囲が違うのか?それは公平性が無いためありえない。実力で測ると謳っているこの学校でそれは無いだろう。もしかして茶柱先生が嘘を言っていた?もしくは変更があったが伝え忘れたか?

幸い俺は椎名との勉強で賄えているが…

 

そんなことを考えていると、須藤が山脇の胸倉を掴み上げ、今にも山脇を殴ろうとしていた。ここで手を出してしまえは停学…あるいは退学が確定してしまう。

急いで止めるために動こうとした俺だったが、そんな二人の間に二人の女子生徒が割って入った。

 

「はい、ストップストップ!」

 

「山脇くん、そこまでですよ」

 

「んだ、テメェらは、部外者が口出すなよ」

 

「部外者? この図書館を利用させてもらってる生徒の一人として、騒ぎを見過ごすわけにはいかないの。もし、どうしても暴力沙汰を起こしたいなら、外でやってもらえる?」

 

「いえ、図書館を利用させていただいておりますのに大きな声を出し、至福のときを邪魔されたのです。部外者ではありません。図書館は騒ぎを起こす場所ではありません」

 

 須藤のすごみにも全く動じず、淡々と正論を言う二人に須藤もたじろき、手を放す。そして今度は山脇に向かって話し出す。

 

「それから君たちも、挑発が過ぎるんじゃないかな? これ以上続けるなら、学校側にこのことを報告しなきゃいけないけど、それでもいいのかな?」

 

「山脇くん、図書館で騒ぎを起こすとは何事ですか。私が争いを嫌う上に図書館で騒ぎを起こすのを嫌っているのを知っていますよね?」

 

「わ、悪い。そんなつもりはなかつまたんだよ」

 

椎名ともう一人の言葉を受け、山脇を筆頭にCクラスの生徒がこの場を去っていった。

 

「ごめんなさい、桐生くん。私は彼らに言わなければいけないことがありますので今日は帰らせてもらいたいのです。申し訳ないですけどよろしいですか?」

 

「ああ。大丈夫だよ。俺もあいつには言いたいことがあるから同じことを言おうと思っていたんだ」

 

山脇を完全に圧倒していた少女はすでにいなくなっていた。だが、桐生にはどこに向かっているのか分かっていた。

 

「分かりました。私のクラスの方が桐生くん、ひいてはDクラスのみなさんに多くの迷惑をかけてしまいました。Cクラスを代表して謝らせてもらいます。すみませんでした」

 

謝ることなく去っていった山脇たちに代わって椎名が謝る。突然の謝罪に綾小路、櫛田などは驚いているが、須藤はそんな椎名に詰め寄る。

 

「お前のところのやつがしっかりしてないからこうなったんだろうが!」

 

鋭い剣幕で椎名に詰め寄っていく。それこそ椎名の胸ぐらをつかもうとする勢いで椎名に向かって突き進んでいく。

 

「須藤くん!」

 

須藤を冷静にさせようと櫛田が名前を呼ぶが、頭に血が上った須藤は届いていない。本当に手を挙げてしまうのではないかとみんなが不安になり始めていた。体が華奢な椎名は須藤に詰め寄られたら危ない。

桐生はすぐに須藤と椎名の間に入り言う。

 

「おい、須藤。お前、椎名が今回の騒動と何も関係ないのを分かって今の行動をしようとしてるんだろうな?」

 

「うるせえ!大体Cクラスの奴らをしっかりできていないこいつが悪いんだろうが!」

 

もう我慢できない。この短絡な頭してるこいつをどうにかしないといけない。

 

「よく言えたもんだな。だが椎名に怪我を負わせるのは許さない。本当に椎名に怪我をさせるつもりなら表出ろ。他のやつに迷惑かけたくない」

 

「やってやろうじゃねぇか!表出ろや!」

 

「はいはい、そこまでだって言ったはずだよ。須藤くんも君もエキサイトしすぎだよ。一旦落ち着いてね」

 

もう一人の女子生徒が俺たちの仲裁をする。女子生徒に言われて気づいた。どうやら自分も熱くなってしまっていたらしい。反省しなければならないな…

 

「んだとテメェ!お前からやってやろうか!」

 

未だ須藤は怒りが収まらずイライラしていた。対照的に、桐生は冷静さを取り戻していた。

 

「これだけ言っても理解してもらえないなら先生に言うしかなくなっちゃうかな。言いたくはないんだけどね。君は理解してもらえるかな?」

 

「ああ。熱くなりすぎていた。先ほどまで注意していた立場の俺が注意される立場になってしまっていた。申し訳ない」

 

「うんうん。分かってもらえたならいいよ。それできみは?これでも暴力に訴える?」

 

「……ちっ」

 

須藤もなんとか怒り狂った感情を押し殺した。それによりこの揉め事は解決することができた。

 

「ありがとう。キミがいなければ解決することができなかった」

 

「いやいや、大変そうだったから助けただけだよ。キミの気持ちもわかるけど気をつけてね」

 

「分かったよ。それじゃあ俺ももう行く。それと俺は桐生司。よろしく」

 

「私は一之瀬帆波。Bクラスだよ!よろしくね!」

 

そう言って俺、椎名、一之瀬の三人は各々の目的の場所へと移動していった。




山脇を論破した少女って誰なんだろうなー(棒読み)
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