違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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一月もサボってすみません
最近レポート、バイト、テストがあるため、ほとんど触れられていませんでした。
次回もいつになるか不明ですが、気長に待っていてください


遭遇

これからの一週間、どのようにして飲み水を確保するのか…それについて揉めていたDクラスは、ひとまず俺が煮沸消毒をすることで、ひとまずの終結となった。

 

その煮沸消毒をするためには火を用意しなければならない。そのために、俺は木材を探しに行くこととなった。他のクラスメートたちも夜の点呼の時間まで時間があるので食材探しをするもの、周りにスポットがないか探すもの、他クラスがどこに陣を張っているか探すものなどに分かれて何かするようであった。

 

依然として男子と女子の間には大きな溝があるようで、そのグループを見ると大体男子と女子で分かれているようではあったが、平田は男女混合チームで動いた方がいいと言っていた。

 

しかし、互いのグループはそれを良しとせず、別れて行動するようになったようだった。男子たちは主にスポット探し、他クラスの偵察に向かうようであった。大体がポイントに関わることなので、男子たちの積極さが分かる。特に、池や山内、幸村が中心となっているようであった。

対して女子たちは食材確保、周りの探索の二つのグループに別れたようだった。櫛田を中心とした食材確保組、軽井沢を中心とした周りの探索組のようだった。

櫛田たちは積極的に動いているようではあったが、軽井沢たちは動きたくないようで、ダラダラとしているようであった。

 

そんな様子を横目に見ながら俺は木の枝を回収するために森の中へと入って行った。しばらく森を歩いて、焚き火に使うための木の枝を探す。鬱蒼としている森ではあったが、近場に木の枝は落ちていなかった。

 

そのため、少し離れた地点に向かって行ったが、かなりの数の木の枝を見つけることに成功した。幸いなことに大小様々な木の枝が落ちていたので手に持てるだけ回収して、ベースキャンプへと戻ろうとしたときだった。

 

「…痛い…龍園のやつ…本気で殴って来るんだから…」

 

戻ろうとした方向、こちらからは見えない位置から何やら女性の声が聞こえた。誰かは分からないが、龍園という人物は以前神室から聞いたことがある。

龍園 翔、Cクラス所属の男子生徒。非常に頭の切れる人物でCクラスの実質的リーダーの役割をしているらしい。

ここまでで聞けば良い人物に聞こえるが、彼について語る上で欠かすことのできないことは、その凶暴性だ。

彼は入学して早々クラスを支配下に置くため、逆らう者を暴力を持って制した。抵抗した者たちは完膚なきまでに叩きのめされ、服従させたらしい。これにより、恐怖政治を敷いているだけでなく、他クラスとの抗争も辞さず、校則の穴をついた非人道的とも言える手段も取ってくる。

直近で言えば、須藤の暴力事件、あれも裏で龍園が糸を引いていたようだ。須藤を挑発し、あたかも全て須藤が悪いように見せかけてDクラスに攻撃を仕掛けて来た。幸い、綾小路たちの活躍などにより、この事件は無事解決されたが、同様の事件をBクラスも受けていることを帆波からも聞いている。

総評すると危険な人物であるということだ。恐らくこの学年のなかでも特に警戒すべき人物の一人に入ると言えるだろう。

 

話を戻そう。先ほど聞こえて来た少女から聞こえて来た話を聞くに、その少女は恐らくCクラスの生徒であることは間違いなさそうだ。どうして、龍園がこの少女を殴ったのか、それは分からないが、どうやら目的のためなら女であろうと手をあげるような人物らしい。

 

そのやり方には反吐が出るが、少女をこのまま置いていくか、声をかけに行くか、悩むところだ。

これが普通の学校なら迷わず助けに行くだろう。しかしここはクラス単位での競争が行われる学校、それも一大イベントの一つ、特別試験。もしも龍園が少女を殴ることによって他クラスに潜入させるということを考えてしていた…としたならば、話しかけることすら危険な予感がする。

 

しかもこれはCクラスの生徒だ。CクラスはDクラスにとって最も近い敵だ。Aクラスを目指す上で最初に対立するクラスであろう。わざわざ助ける義理もないというのも本音だ。卒業までにAクラスに辿り着かなければ有栖に一生使えなければならなくなる。

有栖は友人としてならばとても面白い人物であるとは思う。素晴らしい知識の量、発想力の豊かさ、どれも常人を逸しているといえよう。それ故に自分だけでは思いもしないような面白いことを聞くことが出来る。それはいいのだが、有栖は自分が楽しめるようにと動くので、振り回されることが多い。友人ならまだしも、一生使えるのは勘弁願いたい。

 

そのためにも何としてもAクラスに上がらなければならない。そのためにも、わざわざ危険因子に話しかける必要はない。ここは酷だが、話しかけず、バレないようにベースキャンプに戻ろう。

 

そう考え、物音を立てないように戻ろうとしたときだった。

 

「お、桐生じゃないか。結構木の枝見つけれたみたいだな!」

 

ベースキャンプの方向から大きな声を出しながら山内がやって来たのだった。その背後には綾小路、佐倉の姿も見えた。二人は特に何も言わず黙って周りの枝を探し始めたが、山内はそんな事はせず、大声で色々と話しかけてくる。

 

俺は既に枝をかなりの数持っているので、早めに戻りたい、そう思っていた上、その少女にも話しかけるような状況を作りたくない。そう考えていたので、早く話を切り上げて帰ろうとするのだが、山内がそれを許してくれない。「一緒に来ている佐倉が気になるだの、俺に手を出すんじゃないぞ」などと、俺からすればどうでもいい事を意気揚々と語って来た。

 

俺はその話を適当に流していた。ぶっちゃけ言えば、佐倉なんてそんな感じで思ったこともないし、まだ付き合うような関係になった訳でもないのにそんな事を言うことがナンセンスだと思う。

 

そんなくだらない話を長時間聞かされていると、綾小路、佐倉は枝を回収し終えたようで、戻ろうと二人が話しかけて来た。俺もさっさと帰りたいと思っていたので、二人に賛同する形でなんとか山内を振り切ることができた。

そうして帰ろうとするとき、何も持っていなかった山内が佐倉の枝を持ってあげると言って、大半の枝を勝手に持った。本人は気になる人に、かっこいい姿を見せれたと自慢げな顔をしているが、佐倉は不快そうな顔を浮かべていた。

確かに考えてみると、枝拾いに来たのに、何もせず話をしてるばかり、帰るときに急な持ってあげるよアピール。良いところ見せたいんです感が半端じゃない。そりゃあ、嫌な感じで見られるわ、そう伝えてあげるのが良いことなんだろうが、どうせ何も話は聞かないだろうし、無視して置くことにした。

 

 

そんなことがありながら、戻ろうとしていたとき、山内がさらに厄介な事を持ち込んでくる。

 

先ほど考えていたCクラスの少女を見つけるやいなや、すぐに話しかけ、Dクラスのベースキャンプに連れて行かないか、と俺たちに提案して来た。俺としては断固反対をしたかったが、綾小路、佐倉も賛成の意を示したため、断るのが不可能となってしまった。

これにより、この少女、伊吹澪を連れて帰ることとなってしまった。伊吹の顔を見ると、右の頬に青アザができていたため、恐らく右の頬を龍園がグーで殴ったのだろうと思った。

見た感じ、潜入させるために付けたような軽いものではなく、本気で殴られたような後に見えた。これによってスパイではないかと思いはしたが、どうか分からないため、警戒して置くに越した事はないだろうと思った。

 

その帰り道、山内が積極的に伊吹に話しかけに行くが、ほとんどを無視で返答しているため、伊吹はどちらかと言えば、クールで一匹狼タイプ、それも気が割と強いタイプであろうと判断した。

話し方を聴くと、ハキハキと話すし、大事な事をきっちり話してくる上、龍園に殴られたとは言え、一人でいたためである。それに、持っていた荷物を山内が待とうかと何度も話しかけていたが、断固受け入れる事はしなかったのもこう判断した理由だ。

 

果たして伊吹をDクラスのベースキャンプに置いて置く事でどうなるのか、不安には感じつつも、早くこの重い枝を早く置きたいと思っていた俺たちは足早にDクラスのベースキャンプへと戻っていただった。


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