違うクラスの女の子に目をつけられたんだが   作:曇天もよう

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この小説、ヒロインが登場したのいつだっけ?となったら作者です

有栖が全く出てこれない状況だから、早く書けるようにテンポアップしたいのですが…


知らされる事実

女子との交渉が終わった俺と平田は一度男子側の拠点に戻ろうとしていた。

 

その最中、何か気づいたことはないか、お互いに意見を交換したり、平田の方で起こったことや見たことを聞いたりした。

 

すると、この近くのところに果物畑のような場所を見つけたことなどを知った。恐らくだが、これは学校側が意図的に作った畑だろう。見つけて有効活用し、ポイントを節約しろという目的だろうか。

因みにその畑にはバナナやいちじくと言った多種多様な果物があったらしい。果物を保存しておくような冷蔵庫などはありはしないので、腐ってしまっても困る。そのため、早速今夜の晩御飯に回されるらしい。調理の方は櫛田たちのグループが担当らしく、これから準備を始めるようであった。現に、先程俺たちが話し合いに行ったときに、櫛田たちのグループの人たちは果物を持って川の方向へと向かっていた。その途中で俺たちがやって来ていることに気づいて顔を出したのだろう。

 

「ところで桐生くんの方はどんな成果があったのかな?」

 

ここで、平田が俺の方で起こったことを聞いて来た。なので、俺の方であったことを簡潔にまとめて話す。木を集めに行った際、綾小路たちと出会ったこと、その帰りにCクラスの伊吹澪に出会ったこと、その伊吹が怪我をしていたこと、伊吹をうちのキャンプに連れ帰ることになったこと、Bクラスと同盟関係を未だ結んでいくのか、などを話した。

 

話を聞くと、平田は腕を組んで少し困ったような様子を示した。

それもそうだろう。伊吹を連れて帰ることは正直なところ俺でも反対であった。Cクラスは他クラスへの妨害工作などをよくするクラスだ。Dクラスも須藤が暴力事件を起こしたとして退学を受けかてた。Bクラスの方にも何かしら仕掛けており、小競り合いを起こしていたらしい。それだけに警戒しない方がおかしい。これで他クラスにもCクラスの生徒が忍び込んであれば黒で確定できるのだが、まだ判断できない。明日Bクラスに向かう際に確認をしておこう。

そしてBクラスとの同盟関係についてだ。こちらに関しては素直に同盟関係を組んでいいと俺自身は思っている。いずれは敵対することになるだろうが、Bクラスとの利害は一致している。共通の目標、それはCクラスを叩くことだ。DクラスはCクラスを倒して這い上がりたい、Bクラスとしては下から追いかけてくるCクラスを押さえ込んでおきたい。

 

「そうだね…僕としては、伊吹さんを僕たちの拠点に連れて来たことについては間違ってないと思うよ。困っているみたいだし、怪我もしているみたいだからね。それにこんな島で女の子一人野宿させるなんて危なくてさせてはいけないと思うんだ」

 

いつも優しい平田らしい回答だと思う。実際のところ、女性一人を野宿させるのは危険であるとは思う。学校が管理している島とはいえ、少なからず危険な場所は必ずある。そのために保護するのは間違ってないだろう。ただ、やはりスパイに関しての疑惑は晴れない。平田もそこについてのリスクも考えてはいるだろうが…。

 

「それとBクラスとの協力についてだね。これも僕は賛成だよ。協力者がいれば少しでも楽に生活していけるんじゃないかな。Bクラスで得られた情報も使えればかなり優位にこの試験を進められると思う。これが今の所の僕の考えかな。僕一人で決めるのはいけないと思うから、あとでみんなにも確認取ってみようかな?」

 

「ああ。確かに確認した方が確かだな。あとでって言うのは点呼の時か?」

 

「うん、そうだね。点呼の時にはみんな集まるだろうから。それでいいかい?」

 

「ああ。分かった。それまでに俺も水を蒸留するなどのことをしておきたい」

 

「分かったよ。じゃあ、あとでまた合流してみんなに話そう」

 

このように話しはまとまった。平田はそのまま男子たちの集団の方へと向かった。

 

俺も水の蒸留などしないといけないことがあるため、その場を離れたのだった。

 

 

 

 

 

平田と別れ、水の蒸留の準備をし完成するのを待っていた時、点呼の時間がやって来た。どうやら時計が点呼の時間が30分前になると軽いアラームを鳴らすシステムらしい。突然音が鳴ったため、びっくりしてせっかく組み立てた蒸留するためのセットを壊しそうになったが、なんとか壊れなかったので、一安心して、Dクラスの点呼場所へと俺は向かった。

 

 

 

 

おおよそ全員が集まって来たところで平田は、Dクラス名前に立ち、先ほど話していたことを話し始める。俺が話したことをさらに噛み砕いて説明する。

平田の内容を聞いて、Bクラスとの協力について文句を言う人は誰一人としていなかった。こちらはデメリットが限りなく低い上に、こちらのメリットが大きい。そのため反対意見はなかった。

 

これを受けて、俺が明日の朝にBクラスの元に向かって協力関係を結んでくることになった。俺が選ばれた理由としては、その話を直接受けたため、そして、Bクラスを取りまとめている一之瀬帆波と仲がいいからと言うことらしい。

それなら櫛田でもいいんじゃないかと思ったが、櫛田はクラスの女子のグループを率いる人のため、長期間離れるのを良しとしないと話された。その点、俺は一人で動いても問題ないから、適任とのことらしい。

 

クラスでぼっちであると言われたようなものだが、ここで反論してもあれなのでその仕事を受けておいた。

 

 

これに対して、大きく意見が割れたのは伊吹澪の処遇についてだ。やはりスパイだからつまみ出した方がいいといった意見の人と、可哀想だからここに泊めてあげた方がいいという意見の人で真っ二つになってしまった。

 

これに関して、再び口論が始まりそうになったが、ここで待ったをかけたのは平田であった。平田個人の意見、伊吹をここに置いておくことに関して賛成ということを伝え、そのメリットを話した。

伊吹をここに置いておくというメリット、それはCクラスは伊吹がここにいる限り、点呼を取るたびに5点を失うというところであった。この生活は1週間。そのうち点呼は一日に2度行われる。ただし、初日と最終日は1度のみ行われるとされているため、単純にずっといれば12回分損をすることになる。合計すれば60ポイントの損になる。これはCクラスにとって大きな損なのではないか?、と話した。

 

これには反対側の生徒たちも納得したようで、反対派の生徒たちで話し合い始めた。その後しばらく話していたが、反対派は折れ、伊吹をここに置いておくことで決定された。

 

「どうだ?話し合いは終わったか?」

 

俺たちの話し合いが終わると同時に茶柱先生がやってきた。時間を見ると点呼の開始時刻になっていた。

 

「点呼をするから、呼ばれた生徒は声を出して手を上げなさい。では一番!」

 

こうして点呼は始まった。呼ばれた生徒は声を出しているのだが、一つ気になっていることがあった。ここには何故か高円寺がいない。あれだけ目立つ男だ。いれば必ずわかるはずだが、どこを見渡しても見当たらない。まさか迷ったか?、そう思っていた時だった。

 

「そういえば、伝え忘れていたことがあったな」

 

茶柱先生は点呼を一時中断し、話し始める。

 

突然中断してまで話そうとするくらいだ。大事な内容なのだろう、そう思いみんなは茶柱先生に注目する。みんなが注目したところで茶柱先生はとても大切なことを話した。

 

「高円寺についてだが、あいつは体調不良を起こして船に戻った。よってポイントから30ポイント減点だ。これはルール上仕方のないことだ。高円寺はリタイアとなり、1週間船内で治療と待機が義務付けられた」

 

「えええええええ!?!?!?」

太陽が隠れ始めた無人島に、俺たちDクラスの叫び声が響き渡ったのであった。

 

 


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