ノーゲーム・ノーライフ I am a loser   作:飯落ち剣士

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基準値(10000m)

「……え?」

 

いいの?

 

「構いませんよ、どうせ私が勝ちますし」

 

全権賭けるってまじかよおい。油断してることは分かってるし、だからこそ相手に賭けるものを提示させた海だが、流石にこれは予想外。

 

(人類種(イマニティ)……舐められすぎじゃねえ?)

 

——まあ、油断してくれていた方がこちらも好都合だ。さっさとゲームを始めてしまおうか。

そう思って海は特に反論もせず、話を進める。

 

「じゃあそういうことでいい。詳しいゲームのルールを教えてくれ」

 

まあ、ゲーム内容は分かってるんだけども。

 

「ゲーム内容は、『具象化しりとり』私たち天翼種(フリューゲル)の間で用いられているゲームです」

 

そう、しりとりである。ただし具象化する。

 

「しりとりをして、使った言葉でこの場にあるものは消え、無い物は現れます。なお、

・既出の言葉を口にする

・30秒以上回答しない

・続行不能

——このいずれかで負けになります。なおプレイヤーに直接続行不能になるような影響は与えられません。例えば私が『血』といってもあなたの血は消えません」

 

……よく出来たゲームだな。ルールに穴がない。しかも絶対面白い。

まあ、穴なんていくらでも()()()()

海は質問を重ねていく。

 

「創作物の具象化ってあり?」

 

「もちろん、なしです」

 

「十の盟約違反してない?」

 

「ご心配なく。ゲーム中は一時的に仮想空間に移動します。終われば全て元どおりなので、一切の違反はございません」

 

「じゃあ続行不能ってのはさ、

——死んだら負けってことでいい?」

 

「その解釈で構いません」

 

じゃあもう聞くことはない。ゲームを始めよう。そう言って海は腕をパキパキと鳴らす。

 

「プレイヤーは俺1人。後の2人はおまけで」

 

「え」

 

「おかしいだろう」

 

ファルとテテフ(おまけ)が抗議の声を上げるが、海は些細なことと流す。

 

「では、初めてよろしいですか?」

 

「ああ、大丈夫だ。テテフ、用意してたやつちょうだい」

 

「……」

 

テテフは仏頂面で海に数枚の金属板を渡す。海はテテフと対照的に笑って受け取る。

 

「じゃあ、ゲームを始めようか?」

 

「はい。それでは」

 

「「『盟約に誓って』(アッシェンテ)」」

 

数十人の天翼種が見守る中、今。

 

——『盟約に誓って』(アッシェンテ)のゲームが始まった。

 

 

「先手はそちらからどうぞ」

 

「じゃーお言葉に甘えますかね」

 

そう言って海は、テテフに指示を出す。

 

「テテフ、何があっても大気保存以外の魔法は使うなよ」

 

「は?それってどういうこと——」

 

テテフが訝しんで発した言葉はしかし、言い切る前に海の言葉にかき消された。

 

「アヴァント・ヘイ()

 

海が発したその言葉とともに、アヴァント・ヘイム(幻想種)とそれに属する天翼種(フリューゲル)がミハイールを除いて全て消える。

そしてそれに従い、足場が消え、海・ファル・テテフは落下が始まる。

 

「これはまた……初手から飛ばしてきますね。ムカ()

 

ミハイールは涼しい顔で羽を広げながら気持ち悪い虫を具象化する。

 

「ちょっと海さん⁉︎」

 

天翼種(フリューゲル)は、飛べる。よって足場が無くても落下することはない。

つまり初手での足場消しは悪手以外の何者でもない。

ファルはそう思ったが——。

 

「そうか?電()

 

足場を消した当の本人はいたって涼しい顔で、いつも持ち歩いているスマートフォンを消す。

そしてそれを見たファルも、冷静さを取り戻す。

 

「まさか初手で足場が消えるなんて思いませんでしたよ。()

 

「まあほかのやつらにしりとり見られたくないしさ。ナイ()

 

「その配慮はありがたいですけどね。()

 

「でしょ?てかお麩はあるんだ。ファンタズ()

 

その言葉で、やっと足場、アヴァント・ヘイムが再び現れる。ただし天翼種(フリューゲル)たちは消えたままだ。

 

「戻すのなら最初から消さないでくださいよ。マス()

 

「別に消そうがどうしようが俺の勝手でしょうに。クラスルー()

 

海の言葉と同時に、机が、椅子が、床が、壁が、黒板が。

……いわゆる小学校の教室が姿を現わす。

 

「立ってやるのも疲れるじゃん?」

 

そう言って海は机に座る。

 

「ああ、私の知らない知識……たまりません」

 

そう言いながら海と同じように、ミハイールも机に座る。

ファルとテテフは近くでそっと椅子に座った。

 

「ところでこれどれくらい続くの?」

 

「長いと1ヶ月以上は余裕でかかりますが……人類種(イマニティ)にそれは無理でしょう。後1日くらいは付き合ってもらいますよ?」

 

……まあ、だろうなぁ。てか。

 

「俺もそのくらい続けるつもりだし」

 

さてと、まずは純粋にゲームを楽しみますか。




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