ノーゲーム・ノーライフ I am a loser   作:飯落ち剣士

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遅れました。理由は活動報告にて。


終焉値(6000℃)

「地殻」

 

海のその言葉で——地面が、消える。

 

「へぇ?」

 

「えっ!?」

 

「わぁぁぁ?!」

 

地殻が消えたことにより、落下する4人。

(……地面の下は、マグマ)

溶けた岩石が煮え立っている足元。到達すれば人類種(イマニティ)であるファルと海は間違いなく死ぬ。一方、天翼種(フリューゲル)であるミハイールと森精種(エルフ)は無傷。

なんの意味もない、悪手。ミハイールはそう判断した。

——と、()()()()して心の底で笑う。

確信して、海は続いて言葉を紡ぐ。

 

「さて、これからお前に要求することはたった1つ。

——地獄の業火に焼かれて消えろ!」

 

意味不明なその言葉、海の『言ってみたいセリフ第九位』を、ミハイールは鼻で笑った。

 

「クリ()

 

……そして、海の言葉に続けてミハイールが放ったその言葉。言外に意味するのは、しりとりの続行。とある言葉の要求だ。

流石に馬鹿な劣等種でも……これを分からないはずあるまい。そう、ミハイールは目で海に問いかけていた。

 

「チッ……足()

 

舌打ち1つ、海はミハイールに応じ、自分たちの足元の地面を戻す一言を返す。心底不愉快そうに、しかし心の底では嗤いながら。

 

「……これでもうわかったろ?私を殺すなんてのは『不可能』だ。馬鹿()

 

罵倒と同時に、しりとりも返すミハイール。会心の一言だったのだろ

う、薄く笑みを浮かべている。

まあ、笑みを浮かべているのは、ミハイールだけでは無いのだが。

 

「篝()

 

笑みを浮かべていた海の雰囲気が、変わる。そして笑みを浮かべたまま海が——『____』が、続ける言葉に、ミハイールの足元から広がる炎は、消えた太陽の代わりに辺りを照らした。

 

初めてミハイールの顔から笑みが、そして心から余裕が消える。

ミハイールは知っている。基本的に具象化されるものは、『イメージ依存』である。

 

例えばだ。先程ミハイールが具象化させた牛。ミハイールがイメージした品種は『ホルスタイン』。そのため出てきた品種もホルスタインである。この時にアンガスなどの別品種は出てこない。

特に炎と言った不確かなものはイメージに引っ張られやすい。例えば——。

 

「温度とか、な」

 

()()()()()()、そう呟く。

500度、完全燃焼の青い炎がミハイールの全身を飲み込み、

篝火が、消える。

 

「そりゃあそうだよなぁ?俺を殺す程の温度にすりゃ……。

()()()()()()()()()()()()()

 

神に作られた神殺しの兵器、天翼種(フリューゲル)。たかだか500度の温度で死ぬような兵器——『大戦』で生き残れるはずがないだろう?

そして何より、と。ミハイールは先程と同じく、そしてその時よりも濃い殺気を露わにした。

 

「この程度で、主様(アルトシュ様)に作られたこの体が負けると思われた事。それが何より癪に触る。

……もういい、十分楽しんだ。終わらせてもらう。

 

 

倍返しだ。()

 

ミハイールが呟くように言ったその一言で、お返しとばかりに。

海の足元に、先程の倍、『1000度』の炎が広がる。

 

「っ!()!」

 

先程『丸呑み』を防いだように、自身の膝を消して炎を躱す予定だったのだろうか。しかしその目論見は外れる。そう分かっているミハイールはその刹那の時間、海から視線を外した。

 

次の瞬間、()()()()()()()()()()()()()。プレイヤーには直接危害を加えられないが……プレイヤーでない2人は別だからだ。

そして、具象化しりとりは『無いものは現れ、ある物は消える』。

そのまま、海は炎に飲み込まれる。1000度にもなる炎はそのままあたりにも影響を及ぼすが、ミハイールは無傷、テテフとファルもテテフの魔法で無傷。ミハイールはその姿を見て、最後になるであろうしりとりを返す。

 

「雑()

 

天翼種(フリューゲル)人類種(イマニティ)が勝つなど、不可能だと。この世界のルールを告げるように。

……さて、『続行不能で敗北』改め、海の質問により、『死亡は敗北』がこのしりとりのルールである以上、これで、海の負け。ミハイールはしりとり盤がまだ術式を保っていることに不思議がりながらも、しりとり盤を解除しようとして、ふと視界の端に光るものを見つけた。

 

——それは、テテフの魔法で照らされた、二枚の小さな金属板だった。

金属の名は、『アルマタイト』。融点3000度の、エルキアの『 』(空白)の前の王が東部連合とゲームした時に、初めて賭けた土地で取れる鉱物であり、その土地は現在は工業地帯になっている。その工業地帯こそは、先程海達が訪れた工業地帯。

二枚のアルマタイト板には、それぞれにこう書かれていた。

 

『ようこそ、『____』(最底辺)へ』

 

『恒()

 

ミハイールがそれを見た、瞬間。表面温度およそ6000度。

太陽が、現れた。

その光景を理解出来ずに、ミハイールは焼かれていく。数秒も持たないであろう。

 

その数秒で、ミハイールは理解出来なかった光景を理解する。

『馬鹿』から『雑魚』まで。全て、動かされたのだと。

『イメージ依存』を利用するというのは正しかったが、まさか。

初手のアヴァント・ヘイムで、『大まかな位置』を決められることを確認していたとは。

 

……最初の一手で、ゲームが決まっていたとは。ミハイールはそう理解。いっそ清々しい、ここまでする人類種(イマニティ)になら、引き分けでもいいと笑おうとして。

 

 

 

 

 

 

……いや、待て。

 

最初の一手ではない。

 

そもそも——あの金属板を、いつ作った?まさか、

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!?

それを理解すると笑いは消え、地獄の業火の中で。

ミハイールは生まれて初めて、寒気を感じた。そして、消える意識の中思う。

それだけのことができるなら何故、

——引き分けた?

 

答えは出ないまま、意識が消えた。




次回、三章最終回。
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