IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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IS三作目は一夏と千冬の関係を逆転してみました


始まり

 入学式を終えて、教室に移動すると、妙に注目されている事に気付く。

 

「なぁ、何でこんなに注目されているんだ?」

 

「当然だろ。私の苗字も、お前の苗字も、世界的に有名なんだ。私はあの悪名高き『篠ノ之』で、お前は世界中が憧れるあの『織斑』何だからな」

 

 

 同じ教室、隣の席、同じように注目されている幼馴染の説明で、ようやく納得したように頷く。

 

「しかしまぁ……これは凄いな」

 

「覚悟してたんだろ? 私だってそれなりに覚悟はしてた」

 

「その覚悟以上なんだよ……」

 

 

 世間が自分の苗字を聞けばどう思うか、それは理解しているつもりだった。そんなことは幼馴染に言われるまでもなく理解している。だが、自分が思っていた以上に、この苗字が持つ威力は高かったのだ。

 

「比べられるのは覚悟の上だったけど、個人を見てほしいんだけどな……」

 

「そんなのは今に始まった事じゃないだろ? 中学でもそうだったんだから」

 

「はぁ……」

 

 

 小さなため息とともに辺りを見回す。教室にいるのは全員女子。ここ、IS学園は原則男子禁制の女の園なのだから当然だ。

 

「なぁ箒、私はこの視線と三年間戦わなければいけないのか?」

 

「私だって同じだ。いい加減覚悟を決めたらどうだ、千冬」

 

 

 織斑千冬と篠ノ之箒。ほぼ生まれた時からの付き合いで小、中学校と共に過ごした幼馴染であり親友。本人たちは恥ずかしがって「親友」という単語を使わないが、周りから見れば二人は間違いなく親友だった。

 

「鈴は中国に帰っちゃうし、事情を察してくれてた弾と数馬は違う高校だし……」

 

「あの二人は男子だからな。この学園に通う事は出来ないだろ。ところで、一夏さんとは連絡は取れないのか?」

 

「合格したと連絡はしたけど、それ以降音沙汰無しだ……一夏兄、何処で何をしてるんだか……」

 

「ドイツからは帰国してるんだろ?」

 

「たぶん……あの事件以降、まともに会えてないから……束さんは一夏兄の居場所を知ってるんじゃないの?」

 

「姉さんが教えてくれるわけないだろ……」

 

「やっぱり?」

 

 

 箒の姉、篠ノ之束は世界的な発明家であり、今の世界を創り出した諸悪の根源だ。宇宙開発の為と銘打って創り出したインフィニット・ストラトス、通称『IS』の生みの親であり、世界中を巻き込んだミサイル騒動の犯人でもある。

 

「一夏さんが止めてくれなかったら、私たちは今頃バラバラになっていただろうし、別の誰かとして生活していただろうな」

 

「それは私も同じだ……今私たちが『織斑千冬』と『篠ノ之箒』でいられるのは、ひとえに一夏兄の尽力の賜物だからな……」

 

 

 千冬の兄、織斑一夏。男性でありながらISの開発に携わり、その流れでISが動かせることが判明。世界で唯一ISを動かせる男性として世界中に名をはせた。

 それだけでなく、ISの開発状況を世界規模で争うのが真の名目とも言われているモンド・グロッソで、大会連覇を成し遂げた強者。ただ、第二回大会終了後に、とある事件を理由に引退を表明したのだ。

 

「お前が誘拐された件、あれは一夏さんが悪いわけじゃなかったんだろ?」

 

「あぁ……だけど一夏兄は『世界が俺を許しても、俺が俺を許せない』って言って引退を撤回しなかった……」

 

 

 大会連覇を防ぐ為、某国が妹の千冬を誘拐。解放条件は一夏の決勝棄権だった。だが一夏は決勝戦に出場し、対戦相手を五秒で瞬殺。その後すぐ千冬が監禁されている廃屋にISで乗り込み千冬を救出。その際誘拐犯を半殺しにしたのは世界中を驚かせた。

 

「二兎を追うなら必ず二兎とも捕まえる、が一夏兄の座右の銘だから」

 

「実に一夏さんらしい座右の銘だな……それが出来るのも、一夏さんだからか」

 

 

 千冬救出の際に、一夏はISを競技以外で使用した。それが世界的に咎められることは無かったが、一夏自身が己を罰したのだ。

 

「お前を探す際に協力したドイツ軍に、教官として恩返しをしてたのは一年間だろ? その後の消息は本当に分からないのか?」

 

「だから、メールや電話で話すくらいで、直接は会えてないって言ってるだろ!」

 

「怒鳴らなくても聞こえる!」

 

 

 互いにヒートアップし、いざ立ち上がろうとしたタイミングで、二人同時に頭部に鋭い痛みが走った。

 

「「何をする!」」

 

「既に教師が来ているというのに、随分と舐めた態度を取ってくれるな。入学早々退学になりたいのか?」

 

「「い、一夏兄(さん)」」

 

「学校では織斑先生だ」

 

 

 もう一撃喰らわせて、一夏は教壇に立つ女性教師に視線を向ける。

 

「お待たせしました、山田先生。HRを始めてください」

 

「は、はい!」

 

 

 山田と呼ばれた女教師は、一夏に対して先輩教師に向けるような感情ではないものが混じった視線を一夏に向け、千冬と箒に睨まれた。

 

「な、何でしょうか……」

 

「貴女、一夏兄とはどういった関係で?」

 

「雌の匂いがプンプンしているので」

 

 

 真耶に詰め寄ろうとして、千冬と箒は仲良くもう一撃、一夏のありがたい出席簿アタックを喰らったのだった。




これ、続くかな……
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