IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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しっかりと祝ってあげましょう


祝勝会

 試合が終われば何時も通り、仲良しメンバーで簪・本音ペアの祝勝会が開かれた。

 

「いや~、まさか負けるとは思ってなかったぞ」

 

「シノノンが私の事を下に見てたから勝てただけで、最初から本気だったら分からなかったよ~」

 

「簪さんの射撃の腕、私も見習わないといけませんわね」

 

「セシリアだって、入学当初から考えればかなり強くなってると思うよ」

 

「教官の前で負けてしまうとは……私も鍛え方が足りなかったな」

 

「ボクが足を引っ張っちゃったからね……」

 

「シャルロットもかなり強かったぞ。勝てたのは時の運だ」

 

 

 それぞれ称賛と反省の弁を述べながらも、簪と本音の事を本気で祝っている。

 

「はいはーい! 学年別トーナメント優勝のペアにインタビューしに来ました~!」

 

「黛先輩、相変わらずの地獄耳ですね。試合終わったのさっきですよ?」

 

「一年だけペアマッチになっちゃったから、それだけ注目度が高かったのよ。二年の部は順当にたっちゃんが勝ったし、三年の部は布仏先輩が勝ったし」

 

「お~、おね~ちゃんも参加してたんだ~」

 

「という事は、全学年更識関係者が優勝したという事か」

 

「まぁたっちゃんは別格だし、布仏先輩も強いから仕方ないと思うわよ。それじゃあさっそく――」

 

 

 簪と本音にぐいぐいと質問していく薫子を見て、千冬たちは苦笑いを浮かべる。一夏程ではないが、千冬や箒もマスコミ嫌いで有名なので、鈴も苦笑いを浮かべていた。

 

「代表決めの時も思いましたが、黛先輩は積極的ですわね」

 

「遠慮なしとも言えるな」

 

「ラウラ、はっきりといい過ぎだよ」

 

「だが、そういう感想が出てくるという事は、シャルロットもそう思ってるんだろ?」

 

「まぁ、ちょっと遠慮してもいいかなとは思うけど」

 

 

 インタビューが終わるまで、残りのメンバーでお茶会という事になり、鈴と千冬が全員の希望を聞いてケーキを買いに行った。

 

「それにしても、まさか本音に負けるとはな」

 

「それだけ実力を隠すのが上手だった、という事でしょうね」

 

「一夏教官が言っていたが、実力を隠すのも実力の内だそうだ」

 

「まぁ、織斑先生みたいに、明らかに強そうな人も嫌だけど、本音みたいに昼行燈を装ってる人も嫌だもんね」

 

「本音曰く『どっちも私だから』らしいぞ」

 

 

 本音としては、普段ののほほんとした感じが本当の自分だと思っているので、仕事モードや戦闘中の自分はあまり好きではないのだ。

 

「ん? 千冬たちが何か持ってきたぞ」

 

「ケーキじゃないの?」

 

「それもあるが、別のものも持ってるぞ」

 

「はい、お待たせ」

 

「鈴さん、その箱は何ですか?」

 

「さっき一夏さんに会ってね。生徒会長から預かったものを簪に渡してほしいって頼まれたのよ」

 

「生徒会長って、さっき黛先輩が言ってた二年の部で優勝した人だよね?」

 

「そっ、現役の国家代表の」

 

 

 実際に会った事はないが、ここにいる全員が楯無の事は知っている。一夏の後釜として期待されていたが、日本代表にはならずにロシア代表になり、現状第三回モンド・グロッソ優勝に最も近いと評されている人物だ。

 

「噂によると、かなりのシスコンらしくて、簪が優勝したって聞いてすぐに用意したみたいよ」

 

「家族を大事に思うのは大切な事だな!」

 

「ラウラ、少し黙ってようね~」

 

「な、何をするシャルロット!? もぐもぐ……相変わらずケーキは美味いな!」

 

 

 ズレた感想を述べ始めたラウラを黙らせるために、シャルロットはラウラの口にケーキを運び黙らせた。

 

「そういえば生徒会長って見たこと無いんだけど、どんな人なの?」

 

「ネットで画像検索すれば出てくると思うぞ」

 

「写真はボクだって見た事あるよ。そうじゃなくて、同じ学校に通ってるのに、一度も姿を見たことないって事」

 

「それならあたしたちだって見たこと無いわよ? この中で見た事あるのは、妹の簪と、従者の本音くらいじゃないかしら」

 

「一夏さんは会った事があるようだが、何処で会ってるのか見たことがないんだよな……」

 

「昔からの知り合いらしいから、何処か別の場所で会ってるんじゃないか?」

 

「別の場所って、一夏さんの部屋か?」

 

 

 箒が何気なく零した言葉に、薫子が機敏に反応して箒に詰め寄る。

 

「織斑先生の部屋ってどこにあるのかしら?」

 

「な、なんですかいったい……」

 

「敷地内の何処かにあるって噂は聞いたことがあるんだけど、その場所を誰も知らないのよね」

 

「まぁ、一夏兄に殺されたいのなら教えてあげますが」

 

「うん、止めておこう」

 

 

 まだ死にたくないようで、薫子は千冬の提案を却下して箒から距離を取った。

 

「それじゃあ簪ちゃん、本音ちゃん、優勝おめでとう。来月の校内新聞、楽しみにしててね」

 

「一応おね~ちゃんに検閲してもらうと思いますよ」

 

「の、布仏先輩に?」

 

 

 冷や汗をだらだら掻きながら、薫子は食堂を後にしたのだった。




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