IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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どう見ても引率の先生にしか見えないな……


年長組の水着選び

 男の一夏からすれば、わざわざ新しいものを買いに行く必要性を感じられないのだが、真耶に連れられて水着を買いに来ていた。

 

「――で、何でお前らまでいるんだ?」

 

「まぁまぁ、一夏先輩。真耶さんに誘われたからいるんですよ」

 

「何故私までお嬢様に付き合わされなけれなならないのか分かりませんが、お目付け役だと思ってください」

 

「更識さんも布仏さんも、今日はお付き合いしてもらってありがとうございます」

 

「いえいえ、私たちも新しい水着が欲しいなーって思ってたので」

 

「お嬢様は兎も角、私は去年ので十分なんですけどね……」

 

 

 自分の胸に視線を落とし、自虐的に呟く虚に、楯無はどういう反応をしていいのか困り、一夏の背後に隠れるのだった。

 

「というか、三人で行けばいいだろうが。俺は買い替える必要など無いんだから」

 

「それじゃあ駄目ですよ。一夏さんだって新しい水着を買った方が良いに決まってます」

 

「男の人のはそれほど流行が変わる事はないでしょうけど、ケチる程の額じゃないんですし、たまには外に出た方が良いですよ、一夏先輩は」

 

「人を引き篭もりみたいに言うな。俺が外に出れば、それだけ騒ぎになる可能性があるから出ないだけだ」

 

「織斑先生の仰る通りだと思います。ましてや織斑先生だけではなく、お嬢様もいるわけですしあまり目立つ行動は慎んでくださいね」

 

「なによ~。というか、真耶さんだって一応は顔が売れてるんだし、話しかけてくるような輩はいないとおもうわよ?」

 

「一応って……まぁ、私は候補生止まりでしたからね」

 

 

 元日本代表である一夏と、現ロシア代表である楯無と比べれば大したことはないが、真耶も元代表候補生としてそこそこ名と顔が売れているのだ。このメンバーの中で無名なのは、楯無の影として裏社会で生きて来た虚くらいだろう。

 

「最近では女尊男卑に拍車がかかってるようで、男の人を荷物持ち程度にしか思ってない女性が増えているようですから、一夏さんも気を付けてくださいね?」

 

「一夏先輩の事を知らない女の人がいるとは思えませんがね。もしいれば、その人はISに関係していない人でしょうし、世間の風潮を笠に威張ってるだけの愚か者でしょうし」

 

「というか、俺に声をかけるような物好きがいるとも思えんが」

 

「自己評価が低すぎるのが、一夏さんの欠点ですよね……」

 

「誰がどう見てもカッコいいと言うのに、本人が自覚してないんですもんね」

 

 

 真耶と楯無に言いたい放題言われ、一夏はさすがに居心地が悪そうに頬を掻く。そんな珍しい光景を見た虚は、たまにはこういうのもいいかもしれないと思っていたのだった。

 

「さて、到着しましたね」

 

「というか、真耶さんのサイズって普通の店に売ってるんですか?」

 

「ここは専門店ですから、心配する必要はありません」

 

「布仏、何の話だ?」

 

「私には関係のない話、という事は確かです」

 

 

 そういう知識に疎い一夏は、虚に尋ねたのだが、虚はそっぽを向いて答えた。一夏に悪気がないのは虚も分かっているのだが、こればっかりは気になってしまうのだろう。

 

「一夏さんは、千冬さんに買ってあげたりしなかったんですか?」

 

「しま〇らで事足りたからな。アイツはおしゃれとかに興味を示さなかったし」

 

「一夏先輩って、結構庶民的ですよね……お金あるのに」

 

「別に金額がどうこうってわけじゃなく、店を知らないだけだ」

 

「まぁ一夏さんが女性の専門店に詳しかったら、それはそれで嫌ですけどね」

 

「きちんと着飾れば、もっとカッコよくなると思うんですけどね」

 

「お嬢様、山田先生も。あんまり入り口で突っ立てると店の迷惑ですよ」

 

 

 虚のツッコミのお陰で、一夏の全身コーディネート計画は一旦中止され、三人は水着を選ぶ事にしたのだった。

 

「男性用はあちらですので、後程ここに集合しましょう」

 

「では一夏先輩、試着したところを見てくださいね」

 

「俺に見せる意味があるのか分からんが……決まったら電話してくれれば来る」

 

「お願いします」

 

 

 意外に虚も一夏に水着を見せる事に抵抗がないようで、それが一夏には意外だったのだ。

 

「布仏姉も、ちゃんと女の子してるんだな」

 

 

 一夏から見ても、虚は一般的な女子高生とかけ離れていると思えるくらい、おしゃれとかに興味が無いのだ。そんな虚が異性である自分に水着を見せる事に抵抗がないというのは、男として見られていないのか、それとも相談相手に最適だと思われているのか頭を悩ませるのだが、どちらも見当外れである。

 

「まぁ、気にしていないならそれでいいが」

 

 

 一夏としても、女性の水着姿を見たからどうこうなるわけでもないので、ただ見せたいと思っているだけだろうという事で片づけ、自分の水着を選ぶべく売り場に足を踏み入れた。

 

「大して違いがあるようには見えないがな……」

 

 

 ここまで来て「買わない」という選択をすれば真耶と楯無に何を言われるか分からないと諦め、一夏は地味な水着を探し始めるのだった。




一夏もかなりズレてますからね……原作でもですが
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