ラウラの姿が見えないことに気付いたシャルロットだったが、すぐに見つける事が出来たのでホッと一息ついて何処にいたのかを訪ねた。
「どこ行ってたの?」
「自分に似合う水着を探していたら迷ってしまってな……一夏教官に会ったので、お前たちの気配を探ってもらったんだ」
「織斑先生がいるの? ここ、女性用の水着売り場だけど」
「山田先生が見えたから、付き添いで来ていたのでは?」
「まぁ、あの二人はよく一緒にいるもんね」
シャルロットはそれで納得したが、千冬はそれでは納得出来なかったようで、ラウラに詰め寄り更に詳しく説明を求める。
「山田先生以外はいなかったのか?」
「気配を探ったわけではないので分からないが、恐らくは山田先生だけだ。だが何故そんなにも気にするんだ? 同僚の買い物に付き合ってるだけだろ?」
「山田先生だけなら問題ないが、万が一他の人間がいたら、ちょっと意味合いが変わるだろうが」
「変わるか?」
ラウラの疑問に、千冬以外のメンバーは首を横に振った。例え他の人間がいたとしても、買い物に付き合ってるだけだろうという意見で纏まったが、千冬はやはり納得いっていない様子だ。
「例えば簪のお姉さんがいたとしたら、完全に一夏兄に対するアピールだろうが」
「お姉ちゃんが? 確かに織斑先生と仲がいいみたいだけど、別に異性として仲がいいわけじゃないよ?」
「だが、お前の姉さんは一夏兄以外の大人は信用していないんだろ? 信用出来る大人という認識から、何時しか恋しい異性になっていてもおかしくはないだろ」
「お姉ちゃんがそう思っても、織斑先生にとっては妹みたいな感じだと思うよ? そもそも、山田先生だってそんな感じなのに、お姉ちゃんがその関係を飛び越えられるとは思えないよ」
「おね~ちゃんだって妹みたいな扱いらしいし、楯無様がおね~ちゃんより大人な関係になるとは思えないもんね」
「というか千冬、一夏さんだって恋愛する権利はあるんだから、誰と付き合おうが勝手じゃないの? あんたが何時までも一夏さんにべったりだから、一夏さんに浮いた話がないってこないだ結論付けたんじゃなかったっけ?」
「ぐっ……だが、教師と生徒だぞ? そんな関係認められないだろ」
「実の兄で欲情するアンタよりかは健全だと思うけど?」
鈴の言葉に、千冬は反論の言葉を失い、ただただ口をパクパクさせるだけになってしまった。
「というか、山田先生だけだと男の人に絡まれる可能性があるから、一夏さんが付き添ってるだけだと私は思うんだが」
「まぁ、いくら女尊男卑が進んでるとはいえ、あの見た目だからね~」
「山田先生からは、傲慢とか高飛車とかいうイメージは感じないし、声をかけやすいとは私も思う」
「しかもあの胸だからな。男の人は女性の胸が好きなんだろ?」
「確かに、ボクたちから見てもあの胸は興味あるよね……何を食べたらあそこまで成長するんだろ」
「とにかく、千冬さんは少しくらい織斑先生離れをした方が良いと思いますわよ」
「おりむ~はダメダメだな~」
「本音には言われたくないと思うよ」
千冬の気持ちを代弁したかのような簪の言葉に、本音以外の全員が頷いて同意した。
「このブラコン娘の事は放っておいて、さっさと会計して帰りましょうよ。何時までもうろうろしてたら、外出許容時間過ぎちゃうわよ」
「そうだな。ほら千冬、お前もさっさと会計するぞ」
「こうなったら、学園に帰ってから一夏兄に確認するしかないな」
「はいはい、ボクたちは織斑先生の部屋を知らないから、何か分かったら教えてね」
「あら? シャルロットさんも興味津々ですの?」
「だって、あの織斑先生に彼女がいるのかどうか、気になるよ。千冬の話を聞く限り、結婚する理由は無さそうだけどね」
炊事洗濯と、自分でやった方が早く確実だと思っている一夏が結婚するなら、どんな相手なのだろうと、シャルロットは純粋な興味からそう言ったのだが、千冬は違う意味で捉えたようだった。
「まさかとは思うが、一夏兄に彼女がいなかったら立候補するつもりなのか?」
「違うって。ボクと織斑先生じゃ全然釣り合ってないよ」
「織斑先生には、もっと大人っぽい人が良いと私も思う。お姉ちゃんや山田先生じゃ、教師と生徒以前に兄と妹みたいだし」
「まぁ姉さんが隣にしてもそんな感じだからな」
「とにかく! 一夏兄に彼女なんて、そんなのありえないからな! 後十年は認めない!」
「頑固おやじか!」
鈴にツッコまれて、その場は笑いに変わったのだが、千冬としては結構本気でそう思っている節が見られる。そのことはラウラ以外の全員に伝わっており、一夏の苦労が窺われた。
「コイツが一夏さん離れするなど、姉さんが真面目になるくらいあり得ないと私は思っている」
「そうね……あたしもそう思うわ。篠ノ之博士の事は分からないけど」
付き合いの長い二人は、千冬の背後でこっそりため息を吐いたのだった。
鈴が良いツッコミしてるなぁ……