IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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あっさり終わります


密漁船捕縛

 海域封鎖の手伝いに駆り出された千冬たちは、海保の指示に従い周辺を警戒していた。

 

「なぁ、一夏教官が指示したにしては、封鎖が甘くないか? あのあたりなど、すり抜けるのは簡単だぞ?」

 

「一夏兄は、日本政府に土産を持たせるとか言っていたぞ」

 

「土産?」

 

「これは噂なんだが、この辺りは最近、密漁船が頻繁に出没しているらしい」

 

「密漁か……確かに、この辺りの漁場は良いものが取れると、昨日旅館の人が話してるのを聞いたな」

 

「密漁船の映像はあるらしいんだが、知らぬ存ぜぬで認めようとしないらしいから、現行犯逮捕を狙ってるんじゃないのか?」

 

 

 千冬の考えに、ラウラだけが納得したように頷いたが、他のメンバーは首を傾げた。

 

「これだけ厳重に海域封鎖してたら、密漁なんて出来ないんじゃないの?」

 

「確かに一見厳重に見えるかもしれないが、あえて穴を作っている。忍び込むことに慣れているやつ程、その穴は見つけやすいんだ」

 

「つまり、わざと誘い込んで、一気に穴を塞ぐって事?」

 

「そのつもりなんだろうな。映像だけでなく、現行犯逮捕されればさすがに言い逃れは出来ないだろ。ここは間違いなく日本の領海なんだからな」

 

「でも、海ばっかりに気を取られてたら駄目だよね? 織斑先生が撃ち落す予定のISを回収するのが、本来の役目なんだから」

 

「それは当然だろ。一夏さんが失敗するなどありえないだろうから、ほぼ間違いなくあのあたりにISが落ちてくるだろう。つまり私たちは、ISを回収するのと、密漁船をあのあたりに行かせないようにする二つの役目があるという事だ」

 

「というか、さっきからこの近海に怪しい船の反応があるんだが」

 

 

 レーダーを見ながら小声で話すラウラに、千冬は一夏の読み通りだと満足そうにうなずく。

 

「IS到着時刻まで残り五分。密漁船が罠にかかるのも時間の問題か」

 

「既に領海侵犯で捕まえてもおかしくないくらいに侵入しているのだが、海保からの合図があるまでは泳がせておく手筈だからな」

 

「どっちが本来の目的だか、分からないねこれじゃあ」

 

「織斑先生としては、ISの撃墜が本来の目的なんだろうけど、外交問題解決の為には、密漁船の捕縛も必要なんだよ、きっと……」

 

「私たち学生には関係ない事ですがね。もっと言えば、私たちの半分は日本国籍では無いわけですし」

 

「まぁそういうな。密漁を見逃せなどという命令じゃないだけマシだろ」

 

 

 もしそんな命令だったとしても、正義感の強いラウラや箒辺りが命令無視して密漁船の捕縛に動いただろうと、千冬は内心そんなことを考えていた。

 

「ラウラさん、その獲物を狙うような目は止めてくださいませんか? 私が見られているわけではないのですが、ちょっと怖いので」

 

「そうか、済まない」

 

「鈴、まだだって」

 

「分かってるけど、明らかに密漁してるのに手を出すなって言われても……」

 

「っ! 合図だ。私と千冬で密漁船の逃げ道を塞ぐ。鈴と箒で密漁船を所定の位置まで誘導してくれ。逃げるようなら威嚇射撃が許されてるからそのつもりで。間違っても当てるなよ」

 

「任せといて」

 

「簪とシャルロット、セシリアは一夏教官が撃墜したISを回収するため、この場で待機だ」

 

「分かった」

 

 

 ラウラの指示で一斉に動き出したお陰で、密漁船を無事捕縛し、海保に引き渡す為に誘導する事が出来た。

 

「やけに素直に従ったわね」

 

「ISには逆らえないとでも思ったんじゃないのか?」

 

「まぁ、あたしは銃口、アンタは剣を持って接近したら、誰だって大人しく従うか」

 

「向こうでは千冬とラウラが狙ってるからな。これで逃げ出したらただの命知らずだと言われるだろうよ」

 

 

 無事海保に引き渡したところで、千冬とラウラが合流してきた。

 

「これでミッションの半分は完了、と言ったところか」

 

「後は一夏兄が銀の福音を停止させれば、この任務は完了と言えるだろうな」

 

「そろそろ到着予定時刻なんだけど、レーダーに反応が無いのよね……」

 

「一夏さんに確認してみるか?」

 

 

 オープン・チャネルでもプライベート・チャネルでも、どちらでもいいから聞いてみようと話がまとまったところで、上空から物凄い殺気が漏れてきた。

 

「この殺気は、一夏教官の?」

 

「間違いない。この殺気は一夏兄のものだ」

 

「ここまでの殺気を飛ばすという事は、上空で何かあったという事だな」

 

「戦闘が始まったって事じゃないの?」

 

「いや、普通の戦闘なら、一夏教官がここまで殺気を飛ばす必要なんてないだろ。ましてや、銀の福音に乗っている女性は知り合いなのだからな」

 

「もしかしたら、意識を失っているのかもしれないな。それで殺気を飛ばして意識を呼び戻そうとしたとか」

 

「逆に気絶しちゃうわよ、こんな殺気を浴びせられたら……」

 

 

 考えても分からないので、後で理由を聞けばいいという事で納得し、四人は下手に動くことはせず見えない上空を見詰めたのだった。




IS相手じゃ仕方ないか……
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