IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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サイズが合ってないと余計に目立つだろうな


目立つ部分

 神楽を舞う為に身体を清めた箒は、気が進まないまま巫女装束を身にまとい、盛大にため息を吐いた。

 

「後で絶対千冬や鈴にからかわれるんだろうな……」

 

 

 箒は、自分の見た目が海外の人間が思う日本人女性の特徴に近いと知っている。そんな見た目でこの衣装を身にまとえば、たちまちからかわれるネタにされることも知っていた。

 

「いっそのこと千冬くらいに切り落とせば……いや、せっかく伸ばしてきたのに、そんなことで切るのはもったいないか……」

 

「何をブツブツ言ってるんだ?」

 

「千冬か……売り子のバイトはもういいのか?」

 

「何がバイトだ。無償で手伝わされてただけだ」

 

「それで去年壊した神輿の弁償にしてやったんだから、感謝こそされ恨まれる覚えはないぞ」

 

「あれは事故だと言ってるだろうが! いや、まぁそれはとりあえず良いとして……せっかく身を清めたというのに淀んだ空気を纏っていては、神事にならないだろうが」

 

「やりたくないんだから仕方ないだろ」

 

 

 箒も自分が淀んだ空気を纏っている自覚はしていたので、千冬に言われるまでもなく神事に挑む態勢ではないと分かっている。分かっていて尚、その空気を払拭出来ずにいるのだ。

 

「いっそのこと逃げ出してやろうか」

 

「その恰好でか? というか、さっきから監視の目が多く感じられるが、この視線の中を逃げ切れる自信があるのか? 師範代クラスの気配もちらほらとあるが」

 

「叔父さんたちはよっぽど私に神楽をやらせたいんだな」

 

「この祭りの目玉だからな。中身が残念無双の箒だろうが、口を開くことがないから問題ないんだろう」

 

「誰が残念無双だ!」

 

「そういえばさっき、鈴からメールが着ててな。一夏兄、帰ったそうだぞ」

 

「本当か!? それは良かった」

 

 

 箒はこの格好を一夏に見られたくない、という気持ちも多分にあった為に、一夏がこの場から去ったと聞かされて安堵の息を吐いた。だがそれを見た千冬が、イタズラを企てているような笑みを浮かべて口を開いた。

 

「せっかくだから、写真を撮って一夏兄の携帯に送ってやろうか?」

 

「そんなことしなくていいからな! 絶対だぞ!」

 

「それはあれか? 所謂『押すなよ! 絶対に押すなよ!』という振りか?」

 

「何処をどう見れば振りに見えるんだお前は!」

 

「冗談だ。お前の淫乱な姿を一夏兄に見せるわけにはいかないからな」

 

「誰が淫乱だ! 巫女装束を愚弄するのか!」

 

「だってなぁ……お前のサイズに合ってないから、お前のその無駄にデカい肉塊が強調されまくってるぞ」

 

「っ!? 叔母さん、リサイズしておくって言ってたのに」

 

 

 千冬に言われて漸く気が付いたのか、箒は恥ずかしそうに自分の胸を隠した。

 

「あぁ、これが小母さんからお前に渡すように頼まれてた巫女装束だ。脱衣所に置いてあったのは、リサイズする前のヤツらしいからな」

 

「それを早く言え! 着替えてくる」

 

 

 急いで脱衣所に引っ込んだ箒に、千冬は扉越しに話しかける。

 

「どうやったらそこまで育つんだ?」

 

『私が知るわけ無いだろうが! というか、大きくても良い事ないぞ』

 

「良い事がないかどうかを決めるのは私で、お前の感想など興味ない」

 

『聞いておいてなんだその言い草は。というか、この歳で肩こりと付き合わなければいけない私の身にもなれと言うんだ』

 

「この祭りは他所からの客も多いから、お前のその肉塊に魅了される男どもが大勢いるかもしれないな」

 

『今のご時世、そんな勇気ある男がいるとは思えんが』

 

「まぁ、お前の本性を知れば、あっという間に逃げていくだろうがな」

 

 

 千冬も箒も、黙っていれば魅力的な女子に見えないことも無い。その所為で遠出などをすると地元の男に声をかけられることも多々ある。もちろん、最終的には二人の本性を知って声をかけてきた男の方から逃げ出すのだが。

 

「ISという物を持ってからというもの、声をかけられる機会も減ってるがな」

 

『そもそも、そう簡単に遠出が出来なくなった所為だろ』

 

「それもあるが、この間買い物に行った時も、腕のこれを見てビビって逃げてった男どもがいただろ」

 

『遠目で見て分かるんだから、よっぽどISが世の中に浸透してるという事か』

 

「一夏兄と束さんが大々的に印象付けたからな……」

 

『一夏さんは不本意ながらだっただろうが、姉さんはノリノリだったんだろうな』

 

「今思うと、私を誘拐した黒幕は束さんだったんじゃないかと思えてならないんだが」

 

『もしそうだとしたら、今頃姉さんは一夏さんに殺されてるだろ』

 

「それもそうか……一夏兄は私の事を大事に思ってくれてるからな!」

 

『そうだな……』

 

 

 扉越しでも、千冬は箒が呆れたのを感じ取った。だがこれも何時も通りなので、千冬は気にすることなく一夏の事を考えていた。

 

「一夏兄、忙しそうなんだよな」

 

『まだ例の件が完全に終わってないからな』

 

「一夏兄が背負わなければいけないわけじゃないと思うんだがな」

 

 

 ナターシャの事で一夏が忙しい思いをしているのがつまらない千冬は、盛大に舌打ちをしたのだった。




結局そこにたどり着くブラコン……
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