IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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暗部らしいのか?


呼び出しの理由

 篠ノ之神社の祭りを楽しんでいた簪と本音だったが、本家からの迎えの車でIS学園に急遽戻っていた。

 

「お姉ちゃんからの呼び出しなんて、今まであったっけ?」

 

「私の記憶してる限りでは無かったかな~。どっちかだけって言うのはあった気がするけど、二人揃ってっていうのは無いね」

 

「それだけ急を要する話なのかな?」

 

「学園に戻れば分かるんだから、今はのんびりしておいた方が良いかもね~。もしかしたら、もうこんなにのんびりしてる暇がなくなっちゃうのかもしれないし~」

 

「何それ? そんなに危ない話ってどんなの?」

 

「私には見当もつかないよ~。だから、学園で楯無様から教えてもらうまで、こうしてのんびりしてるんだよ~」

 

 

 緊張感の欠片もない本音の態度に、簪はため息を吐いた。人の不安を煽っておきながら、自分はいつも通りのほほんとした空気を纏っているのだから、簪じゃなくてもため息を吐きたくなるだろう。そう、例えば運転手とかも……

 

「本音、呆れられてるよ」

 

「私はこういう人間だから、どう思われようとかまわないのだ~」

 

「ちゃんと仕事をするときはしてくれるのに、どうして普段はこんなにダメ人間なんだろう……」

 

「どっちも私だから、かんちゃんも諦めて受け入れてくれると嬉しいな~」

 

「もうとっくの昔に諦めてるよ……ほんと、何で虚さんが私の付き人じゃないんだろう」

 

「真面目同士だと疲れちゃうからじゃないかな~? ほら、楯無様は私と似てるところがあるし~」

 

「お姉ちゃんだって、本音ほどふざけては無いと思うけど」

 

「そうかな~?」

 

 

 そんなやり取りをしている間に、あっという間にIS学園が見えてきたので、さすがの本音も真面目な空気を纏おうと努力し始める。

 

「あれ? 織斑先生……?」

 

「ほえ~? 楯無様やおね~ちゃんじゃないんだね~」

 

 

 学園の正門には、楯無でも虚でもなく、一夏が二人の到着を待っていた。その姿に簪は驚き、本音は首を傾げた。

 

「わざわざすまなかったな。お前たちの耳にも入れておいた方が良いだろう話が出来たからと、更識姉を通じて呼び出してもらったんだ」

 

「それは構いませんが、電話とかでは駄目だったんですか?」

 

「直接会って話した方が良いだろうと判断した。とりあえず、生徒会室まで来てくれ」

 

「分かりました」

 

 

 他の教師に言われてもこんなに素直に従わないだろうなと、簪は自分の態度を分析していた。理由も話さずにただついてこいと言われて素直に従う程、簪も教師の事を信用していないのだ。

 

「織斑せんせ~、さっき会った時は何も言わなかったのに、何で今になって呼び出したんですか~?」

 

「本音、織斑先生の話を聞いてなかったの? その説明は生徒会室でしてくれるって言ってたでしょ」

 

「まぁ、布仏妹の疑問ももっともだと思うが、もう少し我慢してくれ」

 

 

 呆れる簪の態度を受けて、一夏は笑いを堪えているような雰囲気で話しかけた。そんな一夏の態度が珍しかったのか、本音に呆れていた簪の興味が一夏に移った。

 

「織斑先生、笑い事じゃないんですけど……」

 

「いや、姉コンビとは真逆だなと思ったら面白くてな……悪かった」

 

「いえ、お姉ちゃんが何時もご迷惑をかけていますので……」

 

「こちらもいろいろと助けてもらってるから、お互い様な部分もあるから気にするな」

 

 

 確かに一夏も更識家の力を使っている事があるのは簪も知っているが、それ以上に楯無が一夏に迷惑をかけていると思っているので、一夏の慰めの言葉でも簪は納得しなかった。

 

「あっ、簪ちゃんに本音、着たわね」

 

「わざわざ呼び出すなんて、何かあったの?」

 

「えぇ、非常に残念なことが判明しました」

 

「ほえ~? まさか、楯無様とかんちゃんが実の姉妹じゃなかったとか~?」

 

「……時と場合を選んでボケなさい、貴女は」

 

 

 場を和ませようとしたのか、本音がトンデモ発言をすると、虚が呆れているのを隠そうともしない視線を本音に向け、盛大にため息を吐いた。

 

「先の事故――と一応言っておきますが、暴走した部分はアメリカの仕業だったのですが、その裏に闇組織が関わっていたことが確実という知らせが入りました。元々織斑先生はその可能性が高いと仰られておりましたが、更識で調査して、その組織の人間が学園に潜伏している可能性があると分かったのです」

 

「……確かに、電話じゃ話し辛い内容だね」

 

「それで? そのスパイさんは誰だかわかってるの?」

 

「疑わしいのは数名いますが、簪お嬢様の周りにも候補者がいますので、本音は細心の注意を払うように」

 

「私の周り? 誰ですか?」

 

「妙な時期に転校してきた三名。凰鈴音、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒの三名です」

 

「そんなっ!?」

 

「あくまで可能性ですので、そこまで衝撃を受けられる必要は無いのですが……この三名は、織斑先生もそこまで警戒する必要は無いと仰られていますし」

 

「そ、そうなんだ」

 

 

 虚の追加説明を受けて、簪はホッと胸をなでおろす。せっかくできた友達が実はスパイだったなんて展開、簪は受け止めきれる自信が無かったのだ。




疑わしいけど、スパイに向いてない連中だし……
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