IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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授業で指摘できる範囲だけ教える形です


一夏の指導

 アリーナに移動した二人はまず、一夏に自分たちの動きを見てもらう為に専用機を展開して互いに攻撃を仕掛ける。その光景を見ていた一夏はまず、箒にアドバイスをする。

 

「ISの動きに対応しきれていない。まずは速度に慣れろ。攻撃云々はそれからだ」

 

「ですが、相手は遠距離主体なのですよね? いくら速度に慣れたとしても、チャンスが増えるとは思えないのですが」

 

「回避するにも速度は必要だ。今のままでは良いようにハチの巣にされて終わりだ」

 

「わ、分かりました」

 

 

 一夏に言われた通り、箒はISの速度に慣れるための練習を始める。その動きを見て小さく頷いてから、一夏は飛縁魔を展開して千冬に近づく。

 

「お前はIS以前の問題だな」

 

「どういう事?」

 

「標的をしっかりと見て射撃をしろ、という事だ。肉眼でも良いし、モニターでも構わない。慣れないからと言って、引き金ばかり見ていたら当たるものも当たらないからな」

 

「だって、いきなり遠距離武器で戦えとか言われても難しいって」

 

「的を出すから、とりあえずそれに向かって撃ってみろ」

 

 

 一夏が的を出し、千冬を正面に移動させて試射させるが、ほとんどが的を大きく外れたり、当たっても的の端だったりする。

 

「束は何を思ってこいつを遠距離担当にしたんだか……」

 

「そんなこと、私に言われても……」

 

「よく見ていろ」

 

 

 一夏が遠距離武器を瞬時に展開して的目掛けて射撃を開始する。放った攻撃の全ては的のど真ん中に当たり、全て同じ個所に着弾している。

 

「凄い……一夏兄のイメージと言えば、容赦なく敵を斬り捨てるって感じだから、射撃がここまで上手だとは知らなかった」

 

「そのイメージは、第二回モンド・グロッソの決勝でついたものだからな。普段は遠距離と近距離をバランスよく使っていたんだ」

 

「そうだったっけ? もう一夏兄=近距離戦闘だから、一夏兄が遠距離狙撃をしてた記憶が無いよ」

 

 

 頑張って思い出そうとしたが、やはりあのシーンしか思い出せずに、千冬はあきらめたように肩をすくめる。一夏の方も、思い出せないものも無理に思い出させようとはせず、千冬の背後に回って射撃のフォローを始める。

 

「お前の場合はまず、びくびくしながら銃を構える癖を治せば多少マシになるだろう。しっかりと構えて、的以外を見ないように集中しろ」

 

「う、うん……」

 

 

 後ろから一夏に抱きしめられる形なので、千冬は別の意味で凄く緊張している。だが、一夏に包まれる安心感からか、自然とびくびくと震えていた身体がピシッと制止するのを感じていた。

 

「素早く引き金を引く必要はない。正確に引く事だけを考えろ。技術云々は正確性が上がってからの問題だから今は気にするな」

 

 

 ゆっくりと引き金に添えた指に力を入れて引き金を引く。発射された弾は吸い寄せられるように的の中央に着弾した。

 

「そのイメージを反芻しながら撃ち続けろ。慣れて来たら別の的をこの場から狙ってみろ。一々移動する必要はない。身体を回転させて的を正面に捉えられるようにすればいい」

 

 

 一夏がゆっくりと千冬から離れるが、千冬は変に緊張することなく的を射抜いていく。先ほどまで的に当たらなかったのがウソみたいに、次々と着弾していく。

 

「凄い……さすが一夏兄だ」

 

「浮かれるのは良いが、次の的を撃ってみろ」

 

「はい!」

 

 

 軸がぶれないようにゆっくりと身体を回転させて別の的に照準を合わせ引き金を引く。さすがにど真ん中とはいかなかったが、しっかりと的を捉えられた。

 

「まずはゆっくりで構わないから次々と的を狙う練習だ。当たるようになってきたら、素早く動いてみたり、引き金を引く速度を速めたりして、敵に余裕を持たせないようにしてみろ。今回は反撃してこない的だが、今のままでは一発一発の間が長すぎて、その隙を敵に突かれるからな」

 

「分かった」

 

「それから箒」

 

「はい」

 

 

 加速してISの動きに慣れていた箒に声をかけ、一夏はそちらに行ってしまう。なんとなく寂しさを覚えた千冬ではあったが、今はその寂しさに浸っている暇は無いと思い直し次々と的を狙い撃ちしはじめた。

 

「箒の場合は速度について行ければある程度は期待できるだろう。俺が受けてやるから試してみろ」

 

「わ、分かりました」

 

 

 一夏と対峙するのは何時ぶりだろうと、箒は記憶をたどってみたが、一対一で正面から戦うのはこれが初めてであることに思い至り、物凄い緊張感を懐いた。

 

「どうした? 動かないならこちらから行くぞ?」

 

「い、行きます!」

 

 

 一夏から流れてくるプレッシャーに押し潰されそうになりながらも、箒は剣を構えて一夏に斬りかかる。だが箒の攻撃は一夏に簡単にいなされてしまった。

 

「視線が分かりやす過ぎる。それではオルコットにも通用しないぞ」

 

「はい!」

 

 

 すぐさまもう一撃放つが、今度は一夏の放った蹴りで剣筋を逸らされてしまう。

 

「ISの力だけに頼るな。自分が持っている技術も使え」

 

「わ、分かりました!」

 

 

 ISの稽古なのか剣道の稽古なのか分からなくなりそうだったが、箒は一心不乱に剣を振る。ついに一夏に攻撃を当てる事は叶わなかったが、それなりにISで剣を振ることに慣れたお陰か、後半は軸がぶれる事無く剣を振ることが出来ていたのだった。




これなら肩入れとは取られないでしょうしね
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