IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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ちゃんと話し合っておかないといざという時に困りますから


長時間の話し合い

 一夏が淹れてくれたお茶を飲みながら、楯無と虚は今後の事を真面目に話し合った。いくらふざけていても暗部当主とその側近だけあって、ふざけて良い時とそうでない時はしっかりと弁えているのだ。

 

「――では、織斑先生の仰る通りにしてみます」

 

「それで何らかのアクションを起こしてくれれば、こちらとしても動きやすいわね」

 

「上手くいくかはお前ら次第だ。刀奈は兎も角として、虚もまだ学生だからと甘くみられている節があるんだろ?」

 

「えぇまぁ……昔からお嬢様の側にいただけの小娘と思われているでしょうね」

 

「相手がこちら側を甘く見ているのなら、そこを利用してやればいいだけだ。傲慢な相手程、この手は有効だろう」

 

「ですけど、こちらが相手を疑ってるって知ってるはずなんですけど、こんな堂々として大丈夫なんでしょうか? 万が一簪ちゃんにまで敵の手が伸びて来たら」

 

「IS学園にちょっかいを出してくれば、容赦なく俺が介入できるからな。それもありと言えばありだ。もちろん、簪たちには指一本たりとも触れさせてやるつもりは無い」

 

「それならまぁ……」

 

 

 簪を巻き込みたくないという気持ちと、一夏が護ってくれるなら完全に安心出来るという気持ちが綯い交ぜとなり、楯無は複雑な表情を浮かべながら頷く。

 

「とりあえず今は、相手が動いてくれない事には何も出来ない状況だからな。お前たち側には味方が少ないと侮ってくれている今だからこそ出来る事をしておけ」

 

「あの人なら、二重スパイなんて楽勝でしょうしね」

 

「今も父を介して、敵側の情報を流してくれてますし」

 

「当時は更識の人間だとは知らなかったからな。面識はあっても、話したことも無かったしな」

 

「それは、一夏先輩が当時から篠ノ之博士とセットだと思われていたからですよ。一夏先輩だけなら兎も角、篠ノ之博士も一緒じゃ、話しかけ辛いですし」

 

「そんなものか? アイツは緊張するような相手じゃないだろ」

 

「確かに当時はまだ、ISを発表していなかったようですけど、いろいろとぶっ飛んだ御方だったのは確かですよね? というか、一夏先輩が一番分かってますよね?」

 

 

 楯無の質問に、一夏は不本意ながらという表情で頷いた。確かに束が当時から色々と普通の人間とは違うということは一夏が一番よく分かっていたし、その所為で自分の交友範囲も狭くなっているという事は感じていた。それ以外にも一夏の交友範囲が狭かったのには理由があるのだが、一夏はあえて気づかないフリをしているのだった。

 

「一夏先輩しか篠ノ之博士を制御出来る人はいませんから」

 

「あんな奴放っておきたいが、アイツが暴走したら世界が滅びかねないからな……適度に締め付けておくのが精神衛生上良いんだろうな」

 

「織斑先生も、結構世界に興味なさそうですよね」

 

「世捨て人だからな、俺は」

 

 

 疲れ果てた表情でため息を吐く一夏に、楯無と虚はどう反応して良いのか困り、互いの顔を見詰める。

 

「さて、冗談はさておき」

 

「冗談だったんですかっ!?」

 

「半分くらいはな。さて、今はしっかりと学生として生活しておけ。周りに頼れるならそれを全力で頼れ。お前たちはまだ、未成年で学生なんだからな」

 

「何だか無理矢理まとめてません? 何かあるんですか?」

 

「別に何も無いが、そろそろ部屋に戻らないと、黛辺りが嗅ぎまわるぞ」

 

 

 一夏に時計を見せられ、確かにこれほどの時間姿が見当たらなかったら、薫子なら根掘り葉掘り聞いて来てもおかしくないと楯無は思ってしまった。

 

「今日は生徒会の仕事もないって、朝薫子ちゃんに言っちゃったしね」

 

「既に平常時でも放課後と言える時間ですからね……長居してしまい、申し訳ございませんでした」

 

「別に俺は構わないが、黛に付きまとわれるのは虚としても面倒だろ」

 

「ご心配なく。黛さんには教育的指導を施す予定ですので」

 

「……その指導内容は詳しく聞かない事にしておくが、怪我だけはさせるなよ」

 

 

 虚の表情から冗談ではなく本気だと読み取った一夏は、一応の注意だけはしておくことにしたのだった。

 

「薫子ちゃん、虚ちゃんの事が苦手っぽそうだしね~。何かしたの?」

 

「特に何もしてませんよ。精々三時間お説教したくらいでしょうか」

 

「十分してるわよ……というか、三時間も怒られたら、普通大人しくなると思うんだけど」

 

「黛さんはジャーナリズムをはき違えているようですからね。例え邪魔されようとスクープを掴んでやる、とでも考えているのではありませんか? 実際、この間織斑先生の居住スペースを探そうとして、織斑先生に怒られたらしいですから」

 

「立ち入り禁止区域に入ろうとしたら、怒られるのは当然だと思うが?」

 

「一夏先輩も虚ちゃんも、怒らせると怖いのに……」

 

 

 その両方に怒られた事がある楯無としては、薫子に若干の同情をしながらも、理不尽に怒る二人ではないので、同時に薫子に呆れたのだった。




怒られることをすれば当然怒られると思うんだが……
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