IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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まだセシリアは傲慢って感じです


最終確認

 決闘前の取り決めを確認するために、千冬と箒、後セシリアはモニター室に呼び出されていた。そこにいるのは試合を取り仕切る真耶と、いざという時の為に待機している一夏の二人だ。

 

「では、この決闘の意味をもう一度確認したいと思います」

 

 

 真耶が切り出した言葉に、三人はしっかりと頷く。だがセシリアの表情には、何処か既に終わっていると思っている節が見られる。もちろん、それを見切ったのは一夏一人だ。

 

「本来この決闘をする意味はありません。ですが、オルコットさんが織斑さんと篠ノ之さんの実力を見て、クラス代表に推薦されるだけの力があるかどうかを確かめたいと言ったから、織斑先生がこうして場を用意してくださったのは知ってますよね」

 

 

 視線で三人に問い掛け、理解しているという返答を貰い、真耶も一度頷いて話を進める。

 

「この決闘に勝ったからと言って、織斑さんと篠ノ之さんにクラス代表を務める意思はない。これも理解していますよね」

 

 

 この質問はセシリアに向けてのもの。千冬と箒は質問の形になる前から頷いているので、それはセシリアにも理解出来ている。

 

「もちろんですわ。ですが、この私がお二人に負けるなんてことがあるとは思えませんの」

 

「分かっているのなら構いません。それから、織斑さんと篠ノ之さんが戦う意味は無いので、オルコットさんは連戦になりますが、それも理解していますか?」

 

「はいですわ。そもそもこのお二人の試合を見せられても、クラスメイトの方々は楽しめないと思いますの」

 

 

 明らかに二人を侮っている発言が続く中で、千冬と箒は一夏の表情が気になっていた。

 

「(一夏兄、なんだか怒ってないか?)」

 

「(自惚れてるやつが気に入らないんじゃないか? 一夏さんは教師だから、己が実力を理解させるのも仕事の内なのかもしれないし)」

 

「(そうなのかもしれないな……もしかしたら、私たちと試合した後で一夏兄と勝負――なんて展開になりかねない雰囲気だ)」

 

 

 二人が小声で会話している事に、セシリアは気づかない。最初からこちらに興味がないのもあるが、自信過剰で周りが見えていないのだろうと二人は感じていた。

 

「私からは以上です。織斑先生は何かございますか?」

 

「織斑と篠ノ之は勝っても代表をやるつもりは無いと言ったが、オルコットは負けても代表をやるつもりなのか」

 

「織斑先生はこの私が負けるとお思いなのですか?」

 

「可能性の話だ。ゼロではないのだから、その事を確認しておく必要がある」

 

「そんなことありえませんので、確認の意味などありませんわ」

 

「そうか。なら万が一連敗したとしても、クラス代表はオルコットに務めてもらう。クラス中から嘲笑われようが侮辱されようが、それは決定事項だ」

 

 

 一夏の言葉を聞いていた千冬と箒は、これは一夏が自分たちに勝てと言っているのではないかと感じていた。

 

「(プライドをズタズタにして、もう一度自分を見つめ直させるつもりなのか?)」

 

「(私たちに負けた方が、一夏兄にズタボロにされるより堪えるからじゃないか?)」

 

「(そもそも、一夏さんは私たちが勝てると思っているのだろうか?)」

 

 

 箒の疑問に、千冬も首を傾げたくなる。確かに指導はしてもらったが、一日付きっ切りというわけではなかったし、あれだけで勝てる程代表候補生が弱いとは考えられない。

 

「私からは以上だ。他になにか無ければ、さっさと試合を開始する。オルコットはあちら側のピット、織斑と篠ノ之はこちら側だ」

 

「私と箒は同じピットで構わないのですか?」

 

「お前たちが戦うわけじゃないからな」

 

 

 一夏の一言で、千冬と箒は納得したように頷いた。セシリアは先ほどの一夏の言葉が気に入らないようで、少しムッとした表情で反対側のピットに歩き出した。その背中が完全に見えなくなってから、千冬は一夏に尋ねる。

 

「一夏兄は、私たちがアイツに勝てると思っているの?」

 

「確率は低いだろうが、ゼロではない。それはアイツの前でも言った事だ」

 

「確かに言っていましたが、限りなくゼロに近いのには変わりませんよ?」

 

「何だ? お前たちは戦う前から負けを認めるのか? それだったらこんな決闘は意味はないな。山田先生、中止のアナウンスを」

 

 

 一夏の言葉に真耶が慌てる。だが千冬と箒は、一夏が自分たちに発破をかけてくれているのだという事を理解して、表情を引き締めた。

 

「期待に応えられるかは分からないけど、やる前から負けてやるつもりは無いよ」

 

「私もです。一夏さんのお陰で気合いが入りました」

 

「空回りするなよ。後、対峙して大したこと無いと感じても、相手を侮ることだけはするな」

 

 

 一夏からのアドバイスも終わり、千冬と箒もピットに向けて歩き出す。一連の流れについて行けなかった真耶は、二人に聞こえないように一夏に尋ねた。

 

「あんまり一方に肩入れするのは一夏さんらしくないのでは?」

 

「稼働時間の差を考えれば、これくらいで覆せるとは思えんがな」

 

「ですが、織斑さんも篠ノ之さんも、ISに対する知識が足りなかっただけで、実戦ではすでに代表レベルだと噂されているんですよ?」

 

「さて、オルコットがその噂を知っているかどうか」

 

 

 過大評価だと笑い飛ばす事はせず、一夏はモニターに映し出されているアリーナの状況を見ながら、楽しそうな笑みを浮かべたのだった。




実力だけなら、ね……
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