IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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興奮の仕方がちょっとおかしい


消灯時間後の興奮

 騒ぐだけ騒いで満足したのか、一組の生徒たちは十時前には解散した。幾ら打ち上げという名目とはいえ、消灯時間を破るようなことは誰もしなかったのだ。

 千冬と箒も今日は風呂を諦め、部屋のシャワーで済ませ寝間着に着替えてベッドに横たわっていた。

 

「何か事件があったようだが、無事に終わったな」

 

「一夏さんが難しい顔をしていたのが気にはなるが、私が気にした所で力になれる事は少ないしな」

 

「私だって手伝えないんだ。お前が手伝えるわけがないだろ」

 

「恐らく一夏さんの手伝いが出来るのは、生徒会長たちや姉さんくらいだろう」

 

 

 自分たちでは力不足だと自覚しているので、千冬も箒も必要以上に一夏が何をしているのか聞こうとはしない。もちろん、一夏から頼まれれば全力で手伝う覚悟はあるのだが、そんなことは滅多に起こらないので、今回も気にはしているが深く関わることは無いだろうと思っていた。

 

「それにしても、弾があんな趣味を持っていたとはな」

 

「思春期の男なら誰しも持っていると開き直っていたが、蘭にまで知られているのはどうかと思ったな」

 

「というか、一夏兄がそんな本を持っていたなんて聞いたことが無いぞ」

 

「姉さんですら知らないとなると、持ってなかったんだろうな。一夏さんは、そう言った事に興味なさそうだったし」

 

「それどころではなかった、というのもあるのかもしれないが、一夏兄が世間一般の男たちと同じなわけがないというわけだな」

 

「まぁ、あの人はいろいろと世間一般からかけ離れてはいるが、お前が自慢する事ではないだろ」

 

 

 一夏が弾と同じ年頃のだった時、彼は生活費を稼ぐのと千冬の世話、加えて束の相手など他に時間を割く余裕が無かったことは箒も知っている。だからそう言った物にお金を使わなかっただけなのではとも思っているのだが、一夏が弾たちと比べ異性に対する興味が薄いのも知っている為、とりあえず千冬が自慢した事に対してだけツッコミを入れた。

 

「兎に角一夏兄は凄い人だという事を、私は世界中に発信したいんだ! まぁ、私が言わなくても、大抵の人間は既に一夏兄の凄さを知っているのだがな」

 

「世界大会を連覇してる人だぞ。お前がどうこう言わなくても凄い人だってことは知ってるだろ」

 

「だがそれは、一夏兄の強さを知っているだけだ。あの人の凄さは、何も強さだけではないからな」

 

「それは確かにそうだが、そんなことまで世界中に知らしめて、有象無象の女どもが一夏さんに求婚して来たらどうするつもりなんだ?」

 

 

 箒は別に、一夏が誰と付き合おうと、誰と結婚しようと一夏の自由だと思っているが、こういえば千冬の暴走を止められると考え、あえてその事を口にしたのだ。

 

「それは考えてなかったな……すぐに束さんに計画の中止を伝えなければ」

 

「待て。姉さんも絡んでたのか?」

 

「当然だろ? 私と同じくらいに一夏兄の素晴らしさを知っている束さんが、この計画に絡んでこないわけがないではないか」

 

「何でそんなに自信満々に言うのか、私には理解出来ないな……とにかく、明日は片付けで授業は無いが、出席確認はされるんだ。お前とくだらない話をしていた所為で寝坊するなんて御免だからな」

 

「くだらないとは何だ! お前、一夏兄の話がくだらない事だというのか!?」

 

「一夏さんは兎も角、お前と姉さんが企てている事に関しては、くだらない事だと思っている。何せ実行しない計画の話だからな」

 

「それはそうだが……だが、一夏兄に関する事だぞ。くだらない事など無いだろうが!」

 

「私はお前や姉さん程、一夏さん至上主義ではないからな。もちろん、一夏さんがどれだけ素晴らしい人かは知っているし、尊敬もしているが」

 

 

 箒が一夏に対して懐いている感情は、あくまで一般的な範疇に収まる物で、千冬や束のように一夏を悩ませる程ではない。だからある程度冷静に千冬や束の計画がどれだけ酷いかを見る事が出来るのだった。

 一方の千冬は、一夏の事になると冷静さを欠き、普段なら問題なく出来る事も出来なくなってしまう。自分でもその癖を自覚しているのだが、未だに矯正する事は出来ていない。

 箒の冷静なツッコミで落ち着きを取り戻した千冬は、消灯時間を過ぎて自分が大声を出していた事に気が付き、慌てて部屋の外に意識を向け、ホッと一息ついた。

 

「どうやら一夏兄は来ていないようだな」

 

「あの人はこの時間に寮内には入ってこないだろ? 騒いでるのに気づいてたとしても、怒るのは明日の朝とかだろ」

 

「一夏兄に怒られるのだけは勘弁してほしい……」

 

「なら、大人しく寝るんだな」

 

「そうする」

 

 

 急に大人しくなった千冬に対して、少し呆れた気分で見詰める箒だったが、それだけ一夏に怒られたくないのだろうと考え、苦笑いを浮かべて自分も眠りに就くため瞼を閉じたのだった。




束が絡むとろくな結果にならないからなぁ……
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