IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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癒し系キャラ、と言えば聞こえはいいのかもしれませんが……


本音という存在

 食堂で一夏の誕生日パーティーの計画が話し合われている頃、生徒会室でも同じような会話が繰り広げられていた。

 

「私たちは夜、一夏先輩の部屋でお祝いする感じで」

 

「良いの? 私たちは一応知ってるけど、本音は織斑先生の部屋、知らないんだよね?」

 

「何となくは知ってるよ~? でも、行ったことは無いかもしれないな~。かんちゃんを探して近づこうとしたことはあったかもしれないけど」

 

「まぁ、関係者以外立ち入り禁止だからね、あの区域は」

 

「殆ど守られていない感じですけどね、私たちの行動を思い返すと」

 

 

 虚のツッコミに、簪は情けなさそうに楯無を見詰める。簪に見つめられた楯無は、少し嬉しそうに尋ねた。

 

「どうしたの、簪ちゃん? お姉ちゃんをそんなに見詰めて」

 

「何でこんな情けない人が当主なんだろうと思っただけ」

 

「酷っ!? 私だって頑張ってるんだからね?」

 

「お嬢様がもっとまともな当主だったのなら、このような事にはなっていなかったでしょうね……」

 

「八割以上が反旗を翻し、更識家の資金の半分以上が亡国機業の活動資金に充てらてるなんて、お父さんが知ったらなんて言うだろうね……」

 

「うっ……」

 

 

 虚と簪に突きつけられた現状に、楯無は言葉に詰まってしまう。もっと早くに気付けていたら、ここまでにはならなかったと楯無も思っているし、自分にもっと他人を惹き付ける力があれば、反逆者もここまで増えはしなかっただろうと。

 

「まぁまぁおね~ちゃんもかんちゃんも、あんまり楯無様を虐めないであげてよ~。楯無様だって出来る範囲で頑張ってたんだからさ~」

 

「それは私たちも知ってるけど、お姉ちゃんがサボり魔で、散々織斑先生に迷惑を掛けてたのは事実なんだから」

 

「まぁ楯無様は昔からサボり魔だったもんね~」

 

「貴女にだけは言われたくないわよ! 現在進行でサボり魔な本音にはね!」

 

「私はサボってるように見せて、実はかんちゃんの事を誰よりも守ってきたのだ~」

 

「肝心な時にいなかった気もするけどね」

 

 

 簪が当てつけのように首元をさするが、本音は悪びれた様子も無く笑っている。

 

「だって、あの時私は待機命令だったんだもん。楯無様と織斑せんせ~が動くから、私が動くと計画に支障が出るって」

 

「そんなこと言ったっけ?」

 

「いえ、少なくとも私たちは言っていません」

 

「じゃあ、一夏先輩?」

 

 

 本音が誰から命じられたのか分からず、楯無と虚は小声で話す。そんな二人を見て、本音は自信満々に胸を張った。

 

「碧さんが教えてくれたんだよ~。織斑せんせ~がそう言ってるって」

 

「やっぱり一夏先輩だったのね……まぁ、確かに本音が動いてたら、もっと面倒な事になってたでしょうし、あのオータムとかいう女と本音の相性は最悪っぽかったしね」

 

「すぐにキレる相手に、本音のようなのほほんとした空気は耐えられないでしょうしね」

 

「ほえ?」

 

「そういう意味では、あのオータムの相手は本音にさせた方が良いのかもしれないけど……」

 

「本音に任せたところで、すぐに逃げられるのがオチだと思いますが……」

 

「というか、本音は専用機を持ってないからね……」

 

 

 残念なものを見るような目で自分を見てくる三人に、本音はニコニコと笑みを浮かべている。面倒事を頼まれなくて済むという気持ちと、これからも楽な任務だけが良いという怠け心から抗議するのを止めたのだ。

 

「まぁ本音の事は後で考える事にして、今は一夏先輩の誕生日の事よ。料理は私と本音で準備するから、簪ちゃんと虚ちゃんは一夏先輩のマッサージとかをお願いね」

 

「ですが、私たちの力で、織斑先生の肩凝りを和らげられるでしょうか?」

 

「どうして?」

 

「お嬢様が織斑先生にかけている迷惑量を考えると、相当凝っているのではないかと思いまして」

 

「私、そこまで一夏先輩に迷惑かけてないもん! 一夏先輩だって『気にするな』って言ってくれたし!」

 

「まぁ、織斑先生は大人だからね。子供なお姉ちゃんに心配をかけないように言ってくれただけじゃない?」

 

「私子供じゃないもん! ちゃんと立派に育ってるもん!」

 

「「何か言った(言いました)?」」

 

「べ、別に身体的特徴の事じゃないわよ!? 二人とも、過剰に意識し過ぎなんだから」

 

 

 楯無は精神的な話をしていたので、二人が自分の胸に鋭い視線を向けてきたのは予想外だった。だからいつも以上に過剰に反応して、自分の胸を守るように身体を捻って見せる。それが余計に胸を強調させてしまうポーズだという事は、楯無は一切考えていなかった。

 

「お嬢様のその肉塊を切り取って織斑先生に贈るというのは如何でしょう?」

 

「貰っても嬉しくないと思いますけど」

 

「怖いからっ!? 二人とも、目が怖いからね?」

 

 

 何でそこまで言われなければいけないのかと思いつつ、楯無は必死に二人を落ち着かせようと努力するのだった。




要するにただの役立たずとも言えますからね……
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