IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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反省できる子たちです


試合後の反省

 軽く汗を流した後、千冬と箒は一夏に謝る為に職員室に向かう。この時間ならまだ部屋に戻ってないだろうと考え、最悪真耶に場所を聞ければと思っていたのだ。

 

「失礼します。織斑先生はいらっしゃいますか?」

 

「何か用か」

 

 

 思いがけず一夏が職員室にいたことに驚いた二人だったが、少し話したい事があると告げて一夏を職員室から連れ出す事に成功した。

 

「ここで構わないか……それで、何の用だ」

 

 

 誰もいない一年一組の教室までやってきた一夏は、千冬と箒に視線を向けて用件を尋ねる。二人は一度目を合わせて頷き、同時に頭を下げた。

 

「これは何の真似だ」

 

「せっかく一夏さんが指導してくれたのにあの体たらく……こんなことで許してもらえるとは思いませんが、謝らせてください」

 

「私も。一夏兄に教えてもらった事の半分くらいしか出来なかったから……」

 

「初めての試合で緊張でもしたか」

 

 

 一夏の言葉に、二人は弾かれたように頭を上げる。まさかそんなことを言われるとは思っていなかったのと、今更ながら自分が緊張していたことに気づいたのだ。

 

「そうか……私たちは緊張してたのか……」

 

「そう言われれば、いつも以上に余計な力がかかっていた気がするぞ……」

 

「そもそもお前たちはオルコットに勝てるつもりだったのか?」

 

 

 試合前は言外に「勝て」と言っていたはずの一夏が、今度は勝てるつもりだったのかと尋ねてきたので、二人は堪えに窮してしまう。

 

「一夏さん、私たちに『勝て』と言ったんじゃなかったのですか?」

 

「俺がお前たちにか? 無様に負ける事は許さないとは言ったつもりだが、勝てとは一言も言っていないだろ」

 

「それはそうだけど……」

 

「そもそも今回の決闘の真の目的は、オルコットを改心させることだからな。お前たちの成長は副産物にすぎん」

 

「「オルコットの改心?」」

 

 

 一夏の言葉の意味が分からなかった二人は、声を揃えて首を傾げる。その仕草を見た一夏は、盛大にため息を吐いて説明を始める。

 

「お前たちは更識妹と親交があるな?」

 

 

 一夏に問われて二人は頷いて話の続きを待つ。二人の答えは最初から分かっていたので、一夏は二人を一瞥しただけで話を再開する。

 

「代表候補生程度であの調子じゃ、オルコットは国家代表には選ばれないだろう。アイツの人生だからそれでも構わないのだが、せっかくIS学園にいるのだから、性格の矯正も必要だろうと考えたんだ。そこにお前たちとの決闘が舞い込んできたので、お前たちに指導してオルコットを追い詰めてもらおうと考えていたんだ」

 

「一夏兄は、オルコットが改心すると思ってるの?」

 

「根は悪い奴ではなさそうだからな。どうも落ちぶれかけている家を守る為に、必要以上に自分を偉く見せようとしているだけのようだしな」

 

「落ちぶれた家、というのは?」

 

「そこは本人に聞くか自分たちで調べろ。とにかく、この後オルコットがお前たちを訪ねてくる可能性があるから、さっさと部屋に戻っておくんだな。今日のところは課題は勘弁してやる」

 

 

 それだけ告げると、一夏は教室から出ていってしまう。まだ聞きたい事があった二人ではあったが、これ以上の情報は自分の中で処理できないと判断して、今日のところは諦める事にした。

 

「まさかあの決闘にそんな意図があったとはな……」

 

「一夏兄は何手先も読んで行動するからな……私たち凡人には理解出来ないよ」

 

「とりあえず、一夏さんに呆れられていなくて安心した……あの人にだけは見捨てられたくないからな」

 

「お前には束さんがいるだろうが」

 

「そう言う意味ではない。あの人は身内の私でも理解出来ないからな」

 

「あの大天災を理解出来るのは一夏兄くらいだろ」

 

 

 決闘の真意を聞いて少し驚いていた二人ではあったが、すぐにその驚きも納得に代わり笑い合う。そして一夏に言われたように部屋に戻り、今日の試合の反省を始める。

 

「やはり零落白夜の燃費の悪さはどうにかしないとな……」

 

「一夏兄に言われたように、相手に刃が当たる少し前に展開するしかないんじゃないか? 私たちにはISの武装を弄るだけの知識は無いわけだし」

 

「一夏さんに相談するか?」

 

「これ以上は依怙贔屓と思われるだろ。いくら身内とはいえ、私たちは一夏兄を頼り過ぎているからな」

 

「姉さんに聞いてみるとか……いや、あの人が教えてくれるはずもないか」

 

 

 自分で提案しておきながらすぐに却下した箒に、千冬は呆れた視線を向ける。確かに束が簡単に自分たちに手を貸してくれるとは思わないが、何も案を出さずに却下するのは早いのではないかと思ったからだ。

 

「妹なら何とか出来るだろ?」

 

「じゃあお前は、一夏さんを何とか出来るのか?」

 

「それは……」

 

 

 あの一夏が情に絆されて依怙贔屓をするとは考えられない。箒のまさかの切り返しに、千冬は言葉に詰まってしまったのだった。

 そのタイミングで、二人は同時に廊下に気配を感じた。一夏のように気配の識別は出来ないが、気配を感じ取ることだけは出来るのである。

 

「誰だ?」

 

「オルコットか?」

 

 

 一夏が部屋を訪ねてくるかもと言っていたセシリアではないかと考えながら、二人は扉がノックされるのをただ待つのだった。




原作箒なら、反省などしなさそうですが……
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