IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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この面子に囲まれたら、そりゃ疲れるよな……


相川清香の受難

 見学を終えた一同は、ホテルに到着するや否やベッドに倒れ込んだ。

 

「人が多いと、注目されるものなんだな……」

 

「そりゃ篠ノ之さんは専用機を持ってるから、何処に行っても注目されると思うよ?」

 

「シノノンが注目された所為で、私たちまで見られてたもんね~」

 

「あの場所にはセシリアやラウラ、シャルロットといった代表候補生もいただろうが! 私だけが見られてたわけじゃない!」

 

「でも、やっぱり『篠ノ之束の妹』っていう情報は、世間にも流れてるんだね」

 

「あの人は関係ないと、何度も言ってきたんだがな……」

 

 

 恰好の代表候補生である三人が注目されるのは当然だと箒も思っているが、まさか自分までもな注目されることになるとは思ってもいなかった。ましてや姉である束の所為で注目されている現状は、箒にとって非常に好ましくない状況だといえた。

 

「随分と大変だったようだな」

 

「お前と一緒にバスの中で謹慎してればよかったと思えるくらいにはな」

 

「こっちもこっちで大変だったんだがな」

 

「何かあったの~?」

 

 

 本音が少し興味があるような雰囲気で尋ねると、千冬は割と何時も通りの事だがと前置きをしてから離し始めた。

 

「束さんが音も無く現れて、その束さんを粛正するために一夏兄が音も無く現れたんだ」

 

「姉さんが来てたのか? 全然気づかなかった」

 

「他の人間の気配が多かったから、お前では気付けなかったんだろ。一夏兄は問題なく気づけたようだが」

 

 

 一夏と自分を比べるなと、箒は視線で千冬にツッコミを入れる。その意図がしっかりと伝わったかは怪しいところだが、千冬は話を先に進めた。

 

「相変わらず束さんが一夏兄と結婚しようとか言い出して、危うくバスの中に肉片が飛び散るところだったんだぞ」

 

「姉さんはまだ諦めてなかったのか……って、どうかしたのか?」

 

「キヨキヨはさすがに慣れてないからね、こういった会話内容」

 

 

 一般人である相川清香にとって、肉片が飛び散るなんて内容の会話をしたことがなかった。それを当たり前のように受け止めた箒と本音にも驚いたのだが、そんな話を当たり前のように話す千冬にも驚き絶句していたのだ。

 

「実際はアイアンクローだけで済ませたんだから、そこまで驚く事でもないだろ?」

 

「いや、十分に驚く事だから! 織斑先生って、篠ノ之博士と仲が悪かったの?」

 

「何時もの姉さんのじゃれ合いの範疇だ。一夏さんは迷惑そうにしてるが、姉さんはそれが面白いらしいからな。その都度生死を彷徨うような罰を受けているというのに、あの人は反省しないからな」

 

「しても次に生かされないだけだろ」

 

「あぁ、誰かと同じだな」

 

 

 箒の皮肉を込めた言葉は、千冬には理解出来なかったようで、彼女は首を傾げて箒を見詰めていた。もちろん、箒がその視線に応える事はなく、そのまま会話は先に進んだ。

 

「私としては、本音が当たり前のように受け止めた方が驚きなんだがな」

 

「これでも暗部の人間だからね~。単語程度で驚いたりはしないよ~」

 

「お前の雰囲気からは、そういった類の物を感じないから余計に驚く」

 

「それが強みだったりもするからね~」

 

 

 本音ののほほんとした空気に呑まれ、そのまま捕まってしまう相手がいたのだろうと、千冬と箒は本音が使った「強み」という言葉をそういう風に理解した。

 

「やっぱり私だけがこの班で浮いてるような気がするのよね……私の方が一般的なはずなのに」

 

「世間一般というくくりで見れば、確かに相川が一般的なんだろうが、この班に限って言えば、お前の方がおかしいんだ」

 

「おかしいって言い方は納得出来ない。せめて少数派って事にしてくれないかしら?」

 

「まぁ、それで納得するならそれでいいが」

 

 

 納得してしまうのもどうなんだという意味を込めた箒の言葉だったが、清香は箒の意図が分からずに苦笑いだけを浮かべている。

 

「そう言えば本音、お前は簪の護衛なんだろ? 簪の無事を確認しに行かなくて良いのか?」

 

「メールでまだホテルに到着してないって言ってるから、もうちょっとのんびりしてから行動を開始するよ~」

 

「四組はまだホテルに到着してないのか……」

 

「おい千冬。分かってるとは思うが、一夏さんに特攻を仕掛けるなんて馬鹿げたことを考えたりするなよ? あの女性は一夏さんにではなく更識家に雇われてるんだからな」

 

「分かってはいるんだが……あの身体で一夏兄を誘惑しないとも限らないだろ? ただでさえ日本人には無い色気があるんだから」

 

「一夏さんがその程度の色気で惑わされるなら、今頃山田先生との間に子供がいてもおかしくないんじゃないか?」

 

「お前、一夏兄を侮辱するのか!」

 

「そういうわけじゃないんだがな……」

 

 

 箒は一夏の忍耐力を褒めたのだが、千冬は侮辱したと受け取ったようで、箒は困ったような表情を浮かべながら千冬を宥めたのだった。




本音の見た目からは慣れてるように見えないし……
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