IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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感動は無いな……


姉妹の対面

 修学旅行二日目、千冬は一夏の雰囲気が何時もと若干違う事が気になったが、それを追求する事はしなかった。もししていれば、彼女の行動は変わっていたかもしれない。

 

「しかし、京都まで来てまた電車移動とはな……」

 

「疲れてる人もいるだろうから、電車で寝れるんじゃないか?」

 

「その疲れてる人の筆頭である一夏兄が、何か警戒してるようなんだが」

 

 

 千冬に言われて一夏を見た箒は、確かに一夏が周りを警戒しているように感じられたが、一夏が周りを警戒しているのは何時もの事ではないかと思い、彼女も深くその事について考えなかった。

 

「そう言えば、本音は何処に行ったんだ?」

 

「さっき一夏兄と何かを話してたから、トイレじゃないのか?」

 

「この電車はトイレがあるのか?」

 

「確か一番前と一番後ろにあったはずだが」

 

 

 二人ともうろ覚えなので、千冬も箒も自信なさげな会話が続いている。そんな時、上空からとてつもない殺意を向けられ、二人は慌てて窓から空を見上げる。

 

「山田先生、手筈通りにお願いします」

 

「わ、分かりました。一夏さん、ご武運を」

 

 

 一人冷静な態度で立ち上がり、緊急停車した電車の窓から飛び出した一夏を見て、千冬と箒は真耶に詰め寄った。

 

「どういう事ですか!」

 

「亡国機業が攻めてきたんです。不安を煽るから生徒には黙っているようにと言われていたんですが、織斑先生は今日、亡国機業が攻めてくる可能性が高いという事を知っていましたから」

 

「それで今日は何時もより警戒心が強かったのか……」

 

「のんびりしてる場合か! 私たちも出陣()るぞ」

 

「そ、そうだな! セシリア、シャルロット、ラウラ、お前たちもだ」

 

「あっ、ちょっと!」

 

 

 真耶の制止を無視して、千冬たちは窓から出陣する。既に一夏が交戦中なのを見て、邪魔にならないよう援護するつもりだったのだ。

 

「私とセシリアは周辺の敵を撃ち落とす。ラウラと箒は一夏兄の側にいる敵を引きつけろ。シャルロットは二人の援護だ」

 

「了解」

 

 

 千冬の指示に従いそれぞれが亡国機業の相手を務めようとしたが、一夏から余計な事をするなという視線を浴びせられ、全員一瞬その場で硬直した。

 

「織斑千冬!」

 

「むっ!」

 

 

 その一瞬の隙を突かれレーザーで攻撃された千冬は、何とかその攻撃を捌いて攻撃が飛んできた方へ視線を向ける。そこにはバイザーで顔を隠した少女らしき相手が、バイザー越しからでも分かるくらいの殺意を飛ばしてきていた。

 

「あれは……サイレント・ゼフィルス!?」

 

「イギリスで開発途中だったっていう?」

 

「間違いありませんわ! 資料でしか見たことはありませんが、あの特徴は間違いようがありませんもの」

 

「ではやはり、イギリスのラボを襲ってISを強奪したのは亡国機業だったのか」

 

「でも、何でその相手が千冬を狙うの?」

 

 

 シャルロットの疑問に、ラウラとセシリアも首を傾げる。彼女たちが知る限り、千冬が誰かに恨みを買っているなんて事はないのだ。元々交友関係が狭い事もあり、無用な恨みを買うような事をしていないはずだと、三人の考えはそこで止まってしまった。

 

「誰だ貴様は!」

 

「お前に名乗る名前なんて無い! お前を殺して、お兄ちゃんをこの手に!」

 

「お兄ちゃん? 誰の事を言ってるんだ」

 

「まだ分からないのか? 噂通りの阿呆なんだな」

 

「何だとっ!」

 

 

 相手の挑発に乗り、千冬がサイレント・ゼフィルス目掛けて攻撃を仕掛ける。だがすべて躱されて今度は千冬が攻撃を躱す番になる。

 

「お前とは才能が違うんだよ!」

 

「これは――偏向射撃かっ!?」

 

 

 躱しても追いかけてくる攻撃に苦戦しながらも、千冬はなんとか時間を稼ぐ。いずれ一夏が他の敵を全て片付けて助けてくれるだろうと考えているのだ。

 

「一夏兄の事をお兄ちゃんと呼ぶなんて……貴様、覚悟は出来てるんだろうな?」

 

「何だ、それくらいは理解出来てたのか。我が姉ながらそんな事も理解出来ない程の阿呆なんじゃないかと思ったけど、一応脳みそはあるみたいだな」

 

「姉? 私にお前のような妹はいないぞ」

 

「知らなくても当然だろうな。私は生まれてすぐにあのクソ共に連れていかれて、織斑家に存在しない者として育てられたんだからな」

 

「何を…言っている……?」

 

「何でもかんでも人に聞くんじゃなくて、その無い頭で少しは考えたらどうなんだ?」

 

「おいM! 何時まで遊んでるんだよ! さっさとこっちの戦線に復帰しろ!」

 

「五月蠅いな。私は私の目的の為だけに動くって言っただろ。お前らが倒されようが私には関係ない事だ」

 

「(今だっ!)」

 

 

 敵の興味が一瞬自分から逸れたのを見逃さず、千冬はレーザーを撃ち込む。不意を突かれた相手は、さすがに躱しきれなかったようで、相手の顔を隠していたバイザーが壊れ素顔が現れた。

 

「お前……」

 

「千冬と同じ顔…だと……?」

 

 

 素顔を見た千冬と箒は、敵前だというのを忘れて呆けてしまった。




そりゃ驚きもするだろ……
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