IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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残念な思考回路……


同じ思考回路

 スコールが率いていた部隊を一人で撃退した一夏は、被害状況を確認すべく真耶の側に降り立った。

 

「状況は?」

 

「周囲に影響はありません。怪我人も、今のところ報告されておりません」

 

「あれだけの戦力を投入しておきながら、本気では無かったようだな」

 

 

 一夏が相手した亡国機業の人数は三十余り。指揮を執っていたスコールを除き、歩兵部隊ではあったがそれなりの訓練を積んでいる感じはしていた。それでも一夏一人で撃退出来た事を考えれば、本気では無かったと感じてしまうのも無理はないだろう。だが、側で見ていた真耶は違う感想だった。

 

「一夏さんが強すぎて相手が何も出来なくなっていた感じでしたけど」

 

「そうか? それほど本気で撃退してなかったんだがな……敵の戦力を図ろうとしていたんだが、向こうも実力を隠す方向だったのか?」

 

「それなりに本気だったと思いますけど……一夏さん、ご自分の強さを把握してないわけじゃないんですし、本気で迎撃すれば壊滅出来たのでは?」

 

「上で指揮を執っていたヤツは知らんが、俺が相手にしていたのは殆どが下っ端、下手をすれば使い捨ての兵だ。壊滅させたところで奴らにそれほどダメージが行くとも思えんし、情報を持っているとも思えなかったからな。後始末も面倒だったし、素直に撤退してくれて良かった」

 

「面倒って……そういうのは国がしてくれるんじゃないんですか?」

 

「お前だって知ってるだろ? 日本政府がそんな事をするはずがないって」

 

「まぁ、一夏さんの忙しさを知っているから、その言葉が真実だって分かっちゃうんですけどね……」

 

 

 今の政府は殆ど機能していないハリボテだと真耶も知っているので、一夏が面倒だと見逃した意味もちゃんと理解している。理解していながらも、敵を捕まえた方が良かったのではないかと感じているのだ。

 

「今回で終わらせる必要は無かったんだし、あの程度なら俺がいなくても何とか対応出来るだろう。学園には刀奈や虚もいるんだし」

 

「更識さんと布仏さんは確かに強いですけど、他の子たちはどうするんですか? 専用機を持ってない子の方が圧倒的に多いんですし、訓練機で撃退出来るのかどうかは怪しいですし……」

 

「最悪束に片付けさせるから問題ない。さて、山田先生」

 

「何でしょうか?」

 

「避難させていた生徒たちに避難解除を。それから、私はホテル側と話がありますので、今日の引率はお願いします」

 

 

 攻めてくることを知っていたので、あらかじめ避難させておいた生徒たちへの指示を真耶に任せて、一夏はその足でホテルに戻ろうとした。だが背後から声をかけられ、その足はその場にとどまったのだった。

 

「一夏兄っ! 少し聞きたい事があるんだけど」

 

「何だ?」

 

「私の家族は、一夏兄だけだよね?」

 

「……会ったのか」

 

「やっぱり知ってたんだ……あれは本当に私たちの妹なの?」

 

「顔を見たなら、否定したくても出来ない事は分かってるんじゃないのか?」

 

「……確かに、そっくりだった」

 

 

 力なく項垂れる千冬に、一夏は何も言わなかった。

 

「一夏様、ホテル側との交渉は既に束様が終わらせたとの事です」

 

「束が? アイツの事だから交渉じゃなく脅しなんだろうが、話が付いたならそれでいい」

 

「一夏兄、アイツは何で私を狙うの? アイツが一夏兄と離れ離れになった原因は私ではないはずなのに」

 

「その辺りはマドカ本人に聞くしかないだろうな。俺は詳しい理由までは知らない」

 

「私を殺して一夏兄を手に入れるとか言っていたけど、一夏兄に執着する理由は?」

 

「そんなこと、私が知るわけないだろ。それこそ、マドカに聞くしか知る方法はないだろうな」

 

 

 一夏の答えに、千冬は何となくではあるが、一夏が嘘を吐いていると感じた。根拠は無いが、彼女の直感がそう告げていたのだ。

 

「一夏兄、本当は知ってるんじゃないの?」

 

「お、おい?」

 

「一夏兄なら、あの小娘が一夏兄に執着する理由を知っていてもおかしくはない。もしかした本人から聞いているのかもしれないし、束さんが調べ上げたのかもしれない。でもそんな事は関係ないよね? 一夏兄、教えて」

 

「……俺にはよくわからなかったが、自分だけ離れて暮らしているのに、千冬は俺の側で生活していたのが許せない、とか言っていた」

 

「なるほど……あのマドカとかいう小娘も、千冬と同じブラコンなのか」

 

 

 一人で納得したように頷く箒とは対照的に、千冬は意味が分からないという表情で首を傾げていた。

 

「私が一夏兄と一緒に生活してたのは当たり前の事だろうが。何故それで恨まれなくてはならないんだ?」

 

「じゃあもし箒がマドカの立場だった場合、どう思う?」

 

「そりゃあの小娘を消し去り、一夏兄を取り戻すに決まってるだろ」

 

「つまり、お前と同じ思考回路だという事だ」

 

 

 箒の説明でも納得がいかないのか、千冬はしきりに首を傾げるのだった。




それで納得出来る箒もどうかしてる……
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