IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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その辺りは成長しないのな……


変わらない考え

 部屋で反省文を書きながら、千冬は京都で見た妹の事を考えていた。

 

「あの女は危険だ……」

 

「何か言ったか?」

 

「いや、独り言だ」

 

 

 箒にそう答えたが、千冬は一人で考えを纏めるのが難しいと判断して、箒にも意見を求める事にした。

 

「お前はあの女、どう思った?」

 

「あの女って?」

 

「私の妹とか言っていたヤツだ」

 

「実力は私たち以上だろうし、目的の為なら手段を選ばない、そんな感じがした」

 

「私も同感だ。そしてあの女の目的は、一夏兄だ」

 

「お前を殺して一夏さんを手に入れる、だったか? お前も大概だが、妹もかなりのブラコンのようだな」

 

「私はブラコンではない!」

 

 

 何時も通りの反応を見て、箒は少し安心したように頷く。

 

「その反応が出来るって事は、まだ余裕があるようだな」

 

「お前に心配してもらわなくても、私は余裕を持ち合わせているさ。今回は私の完敗だったようだが、次に会った時は容赦しない」

 

「容赦なんてして無かっただろ? というか、向こうが手加減してた感じが否めないんだがな、私は」

 

 

 箒の分析に、千冬は項垂れる。恐らくは分かっていたのだろうが、何とか自分が優位に立っていると思い込んでいたのだろうと、箒は苦笑いを浮かべながら項垂れた千冬の背中を軽く叩いた。

 

「自分の立場を正確に把握しておいた方が、次に活かせるんじゃないか? そもそも私たちは、ISに関してはまだまだ素人同然だからな」

 

「そう…だな……私たちはISに触れてまだ半年くらいだ。あの女が努力してきた時間と比べるのは止そう。まぁ、私にはあの女がどれだけ努力したかなんてわからないが」

 

「少なくとも、偏向射撃が出来るという事は、セシリアよりは実力があるという事なんだろう。セシリアも相当な時間をISに費やしてきた事を考えれば、お前の妹もそれくらいISと向き合ってきたという事なんじゃないか?」

 

「もしそうならいいが、アイツは一夏兄の妹でもあるからな……最初から出来たという可能性も――」

 

「悪い方へ考えるなんて、お前らしくないな。何時ものポジティブシンキングがどうした」

 

「それだけ聞くと、私がバカみたいじゃないか。私だって物事を正確に把握することくらい出来る」

 

「妹の事で頭を悩ませるのは良いが、さっさと反省文を完成させたらどうなんだ? 一分遅れる事にグラウンド半周って事は、一時間遅れれば三十周だぞ? 一日遅れれば――」

 

「いうな! それは考えないようにしてたんだから!」

 

 

 遅れる可能性を考えていなかったのか、それとも罰の事を考えないようにしていたのかは分からないが、とにかく箒は話題を逸らす事に成功した。

 

「反省文といっても、私は悪い事をしてないと思うんだがな……」

 

「いやいや、簪の護衛として京都についてきた小鳥遊碧さんやナターシャさんに喧嘩を売ってただろ。あれは十分に反省するべき事だと思うんだが」

 

「あの女どもが一夏兄に色目を使ってたから、私が排除してやろうと思っただけだ」

 

「前々から言っているんだが、一夏さんがそんな事をしてくる女を相手にすると思ってるのか? あの人の人を見る目は確かだ。それはお前だって分かってるだろ?」

 

「確かに一夏兄の人を見る目は確かだし、私もそれは知っている。だけど、今まで誰とも付き合った事がない一夏兄の事だから、女を見る目はそれ程育っていないのではないか?」

 

「(誰の所為で付き合えてないと思ってるんだ、こいつは……)」

 

「何か言ったか?」

 

「なにも?」

 

 

 箒の中では、一夏なら既に結婚しててもおかしくないとさえ思っているので、未だに付き合ったことが無い原因は一夏には無いと思っている。その原因は自分の姉と、目の前の千冬だと。

 

「とにかく! 私の目が黒いうちは、変な女に一夏兄は渡せない!」

 

「お前、死ぬまで一夏さんに独身でいろって言うのか? あの人の遺伝子は、後世に受け継いだほうが良いものだと思うが」

 

「だから、私と束さんが認めた相手じゃなければならないんだろうが!」

 

「……お前も姉さんも、悉く拒否するだろうが」

 

「当たり前だ! 一夏兄に触れて良いのは私たちだけなんだからな!」

 

「……はぁ。妄想を膨らませるのは良いが、さっさと反省文を書けよな。お前一人が走らされるなら良いが、このままだと監督不行き届きで私まで罰せられそうだ」

 

「だから、私は別に悪い事をしたわけでは――」

 

「ならそう書けばいいだろ? それで一夏さんが許してくれると思ってるならな」

 

「………」

 

 

 さすがの千冬も、自分が思ってる事を素直に書いて一夏が許してくれるとは思って無いようで、渋々ながらも反省文を書き始める。

 

「(一夏さんが結婚できる日は何時になったら来るのやら……)」

 

 

 その相手が自分ならと、箒は少し夢見がちな事を考え、千冬から鋭い視線を向けられる羽目になるのだった。




箒も同情的になるよなぁ……
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