IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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オータムがまともに思えてくる……


感じる恐怖

 元更識の人間たちの襲撃計画を利用しようと、千秋たちも彼らの背後に控えていた。もちろん、一夏に気付かれている事は彼女たちも分かっているので、変にコソコソとはしていなかった。

 

「Mを始末出来ないのは残念だけど、これが終われば後は自由にして構わないわよ」

 

「貴女の思い通りにはならないと思うけど? あの一夏が、貴女程度の思惑にハマるとは思えないし、向こうにはあの大天災もいるんだから」

 

「篠ノ之束は他人を認識出来ないわけだし、自分が興味の無い相手に干渉してくることも無いわよ。たとえ一夏が頼んだとしても、この闘いに介入してくることは無いでしょうしね」

 

「まぁ、貴女がそれでいいなら、これ以上私は何も言わないけど」

 

 

 千秋の思考は既に、千冬を殺し一夏に殺される事に占拠されているので、スコールがいくら他の可能性を上げたところで相手にされないのだ。スコールもそれが分かっているので、必要以上に可能性を上げたりはせず、すぐに千秋のそばを離れた。

 

「本当にやるのか? オレとしてはありがてぇんだが、スコールは反対なんだろ?」

 

「こんな事したところで、徒に戦力を落とすだけだもの。でも、リーダーが命じたのなら、私たちはそれに従うしかないの。たとえ負け戦だとしてもね」

 

「気に入らねぇな……負け戦だと分かっているのに襲撃するなんて」

 

「仕方ないでしょ。彼女は娘を殺して息子に殺されるという願いに憑りつかれているんだから……この場所には息子も娘もいるわけだし、遅かれ早かれこういう事になっていたと思うわよ」

 

「でもよ、アイツの思い通りに動くのはなんだか癪だぜ。いっそのことその娘をオレが殺してやるとするか」

 

「別に自分の手で殺す事には拘っていないのだし、貴女が殺したところで彼女の願いは叶っちゃうのよね……だから、彼女の思い通りに行かせない為には、息子も娘も手に掛けず、彼女を生かし続ける事なのよ」

 

「スコールはそれが狙いなのか?」

 

「一夏なら彼女の思い通りに動かないとは思ってるけど、その妹はどうかしらね……大人しく部屋で寝てくれていればいいんだけど」

 

「Mの姉貴なんだろ? じゃあ単細胞なんじゃないのか?」

 

「そうみたいなのよね……一夏は聡明なのに」

 

「……なぁ、随分とその『一夏』って野郎を評価してるみたいだが、何かあるのか?」

 

 

 不貞腐れたような表情で尋ねてくるオータムに、スコールは妖艶な笑みを浮かべて答えた。

 

「あら嫉妬? 別に特別な関係ではないわよ」

 

「そういうんじゃねぇよ! ただ、スコールがそこまで評価する野郎がどんな奴か気になっただけだ」

 

「一夏は知らないでしょうけども、あの子は私を助けてくれたのよ」

 

「どういう事だ?」

 

「さぁね? さて、お喋りはこのくらいにして、そろそろ気合いを入れないとね」

 

 

 スコールがはぐらかしたタイミングで、裏切者たちが爆薬を使って正面ゲートを破壊した。

 

「あらあら、あんなことすれば、一夏に介入させる理由を与えてるも同然なのに」

 

「どういう事だ?」

 

「一夏はIS学園の教員で、学園の施設を破壊した相手を粛正するのは当然でしょ? ましてや一夏にはそれが出来るだけの力があるんだから」

 

「別にあいつらがどうなろうがオレたちには関係ないだろ? さっさと飛び越えてこのくだらない任務を終わらせようぜ」

 

「そうしたいところだけど、もう一夏の間合いに捕まっちゃってるのよね……」

 

「はぁ? ……っ!? な、なんだこの殺気は」

 

 

 ついさっきまで何も感じなかったのに、オータムは急に身体が動かなくなった事に驚いてしまう。それなりに修羅場をくぐってきた彼女にとって、威圧感だけで身体が委縮するなどありえないと思っていた事なので、余計に混乱してしまう。

 

「これが『一夏』ってやつの殺気なのか? こんな化け物相手にどうしろっていうんだ」

 

「落ち着きなさいな。一夏は襲ってくる相手には迎撃するけど、こちらが何もしなければ襲ってこないわよ」

 

「そんなこと言われてもよ……」

 

 

 オータムの目の前では、更識を裏切った人間があっという間に殲滅される光景が繰り広げられているので、落ちつけと言われて落ち着ける状況ではない。

 

「あらあら、相変わらず桁違いの強さね……あれで生身って言うんだから、神はどれだけ一夏を優遇してるのかしら」

 

「お、おいっ!」

 

 

 恐怖に囚われた亡国機業の人間が自棄になり一夏に襲いかかるが、彼女たちもそのまま一夏に仕留められてしまう。

 

「ISがあってもこれかよ……こんな化け物が存在して良いのか?」

 

「化け物とは失礼だな。俺は普通の人間だ」

 

「いや、それは無いんじゃない? 貴方が普通だと、他の人が普通以下になっちゃうし」

 

「あぁ一夏……会いたかったわ……」

 

「………」

 

 

 スコールと会話していた一夏が、興味なさげな視線を千秋に向けると、彼女は満面の笑みを浮かべて一夏に近づき始めるのだった。




うん、普通ではない……
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