IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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鈴も結構友好的になってます


食堂での一幕

 授業が終わりすぐ食堂に向かった千冬と箒だったが、既に鈴が仁王立ちで二人を待っていた。

 

「遅い!」

 

「お前が早いだけだろ」

 

「私たちだって授業が終わってすぐここに来たんだぞ」

 

 

 千冬と箒の後ろで頷く本音とセシリアに視線を向けたが、あまり興味なさげな態度で二人に視線を戻した鈴は、とりあえず先に席に着いていると言ってこの場を去っていった。

 

「相変わらずだな、アイツは……」

 

「たった数年で変わるくらいなら、一夏さんに怒られてた時に変わってるだろ」

 

「違いない……」

 

 

 鈴の態度に納得した二人は、本音とセシリアと共に料理を受け取るために列に並んだ。

 

「あっ、かんちゃん」

 

「本音? 本音たちも今からなんだ」

 

「授業終わったばっからし、同じ時間でも不思議じゃないよ~?」

 

「そうだね。ところで、さっき千冬たちが話してたのって、今日転校してきた子だよね? 知り合いだったんだ」

 

「まぁ、腐れ縁というやつか」

 

「数年だが、私たちと遊んでたやつだ」

 

 

 ここで説明するには時間がかかり過ぎると判断して、二人は軽く説明するだけに止め、食事を受け取り鈴が待つテーブルに向かった。

 

「さっきより人が増えてない?」

 

「列で見つけたんだ。問題ないだろ?」

 

「あんたたちの友達なら、別に構わないわよ。それよりもあたしは、あんたたちが友達を作ってる事に驚いたけどね」

 

「「何だと!」」

 

 

 鈴の軽口に、二人同時に立ち上がる。あまりにシンクロした動きに、鈴は面白そうに笑った。

 

「相変わらず息ピッタリなのね。変わらなくて安心したわ」

 

「……それで、お前は何でこんな時期に転校してきたんだ?」

 

「それは確かに気になるな。まだ入学して一ヶ月経っていないというのに、前の学校はどうしたんだ?」

 

「通ってないわよ。てか、最初からIS学園に通う予定だったのに、無能な政府の人間が手続きにもたついてこんな時期に『転校』という形になったわけ。本当なら初日から一緒だったのにね」

 

「まぁ、何処の国の役人もそんなものだろ。ところで、クラス代表になったというのは本当なのか?」

 

「あたしはやるつもりなかったんだけど、専用機持ちならって任されたのよ」

 

「本当か? お前が脅してその座を奪い取ったんじゃないのか?」

 

 

 箒の冗談に、鈴は笑って手を左右に振って否定する。彼女の言葉が冗談だと分かるくらいには付き合いがあるから言えたことで、実際側で聞いていたセシリアや簪は驚いた表情をしている。

 

「あたしが面倒事を好き好んで奪うわけ無いじゃない。クラス代表なんてまったくの名誉職なんだから、なおさらあたしの柄じゃないでしょ」

 

「そうだな。お前はクラスに輪をもたらすどころか、率先して輪を乱す側だもんな」

 

「あたし一人なら輪を乱したりしないわよ。あんたたちが一緒だったから、結果的に輪を乱してたことになってたんだから」

 

「それは何だ。私たちが問題児だと言いたいのか?」

 

「少なくとも優等生じゃなかったでしょ?」

 

「まぁ、そうだな」

 

 

 楽しそうに話す三人に割って入るタイミングが見当たらず、セシリアと簪はどうしたものかと顔を見合わせていた。だが本音はそんなことを気にした様子もなく、気になった事を三人に尋ね始めた。

 

「おりむーとシノノンはリンリンと何時知り合ったの?」

 

「小五の頃にこいつが転校してきたんだ。それで自然と仲良くなった、という感じか?」

 

「弾と数馬がコイツをからかっているのを制裁したのがきっかけじゃなかったか?」

 

「てか、リンリンってあたしの事なの?」

 

「本音……相変わらず空気とか関係なしなのね」

 

「目に見えないことを気にして仲良くなれるタイミングを逃すのは得策じゃないもん」

 

「それは、確かにそうかもしれないけど……」

 

 

 本音の言葉に思わず納得しそうになってしまう簪だったが、要するに空気が読めないだけではないかと考えてしまう。

 

「まぁあたしたちも空気なんて気にしないから良いけどね。それで、何時知り合ったのかは、さっき箒が言ったように小学校五年の時にあたしが転校してきた時よ。仲良くなったのは、一緒に弾や数馬を弄ってたら自然に、って感じかしらね」

 

「その後ウチに遊びに来たりして、更に仲良くなったという感じだな」

 

「剣道場なんて遊ぶところないって思ってたけど、思ってたほど退屈じゃなかったわよね」

 

「お前は、私と箒が一夏兄に小突き回されるのを見て笑ってただけだろうが」

 

「いくら一夏さん相手だからって、さすがにあれは弱すぎるんじゃないの? だって一夏さん一歩も動いてなかったし」

 

「お前も対峙すれば分かるが、一夏兄相手に『動かない』など、何のハンディにもならないんだぞ!」

 

 

 千冬が大声を出して鈴に詰め寄る。その隣では箒が力強く頷いているのを見て、セシリアと簪は一夏の強さがどれほどなのか考え、無意識のうちに震えていた身体を抱きしめた。

 

「とにかく、あたしたちの出会いはそんな感じね」

 

「おい、話を逸らすな!」

 

 

 誤魔化しにかかった鈴に対して、千冬はツッコミを入れたが、残念ながら鈴には通用しなかった。




何だか本音が名言っぽいことを言ったような……
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