IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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期待値が高いのは仕方ない


周りの評価

 朝食を済ませ、掃除も終わらせたところで、弾と数馬に買い出しを命じ、その間千冬と箒は一夏から出された課題を片付ける事にした。

 

「あんたたちも大変ね~」

 

「前知識もなく入学したからな」

 

「試験受けたんでしょ? 何で前知識が無いのよ」

 

「受けた事は受けたが、私が最下位、箒がそのすぐ上だからな」

 

「つまり、筆記試験だけなら不合格だったのね……」

 

 

 二人の試験結果を知った鈴は、呆れているのを隠そうともしない視線と口調で二人に教えなければいけない一夏に同情した。

 

「一夏さんもあんたらみたいな落ちこぼれの相手をしなきゃいけないなんて、相変わらず苦労してるのね」

 

「落ちこぼれとは酷いな! 実技試験ではトップクラスの結果だったんだぞ」

 

「でもそれだって剣術の応用でしょ? ISの知識が無いんだから、それほど高度な動きが出来たとは思えないし」

 

「一夏兄にも言われた……だからこうして勉強してるんだろうが」

 

「まぁ、課題の進み具合を見れば、努力してるのは分かるけどさ」

 

 

 詰まることなく問題を解いていく二人を見て、鈴も二人の努力は認める。だが、詰まることなく進んでいくのと、正解しているのかはまた別の問題だった。

 

「ここ違ってるわよ」

 

「何処だ?」

 

「ここ」

 

「言われても何処が間違ってるのか分からないんだが……」

 

「はぁ……ここはこうやって解くのよ」

 

 

 鈴の解説を聞きながら、二人は一生懸命課題と向き合い続ける。

 

「買ってきたぞ」

 

「重い……」

 

「何よ、ひ弱ね……これくらい楽勝でしょうが」

 

「怪力女」

 

「あんですって!? ISに関わっている女子なら、これくらい楽勝なのよ! そんなことよりあんたたちこそもっと鍛えたらどうなの?」

 

「バイトで忙しいから、そんな暇ねぇよ。今日だって午後からバイトなんだから」

 

「そう言えばバイトしてるって言ってたわね。何してるの?」

 

「レンタルビデオ店」

 

「ふーん……確かゲームも扱ってるんだっけ?」

 

「数馬にはピッタリな場所だよな」

 

 

 鈴と弾が納得しながら頷くと、数馬も自分でそう思っているのか嬉しそうな表情を浮かべている。

 

「それじゃあ課題はこれくらいでやめて、千冬には昼食を作ってもらいましょうか」

 

「そう言えば千冬の料理って食べたことねぇな」

 

「一応作れるっていうのは聞いてるが、本当に大丈夫なのか?」

 

「そりゃ箒や鈴よりかは劣るかもしれないが、食べるのは問題ないからな」

 

 

 課題を片付けてキッチンに向かう千冬を見送りながら、箒と鈴は一抹の不安を懐いていた。

 

「本当に大丈夫なの?」

 

「一夏さんに聞いたが、とりあえずは食べられるようだ」

 

「何だか不安しかないんだけど……」

 

「まぁ、姉さんの料理と比べればだいぶマシだろう」

 

「姉さんって、篠ノ之博士? あの人料理なんてするの?」

 

「前見た時は、消し炭とゲルのような物体が完成していた……」

 

「それは料理をしてたの? それとも実験をしてたの?」

 

「分からん……」

 

 

 その時の事を思い出したのか、箒は急に顔色が悪くなる。黙って見ていた弾と数馬も、さすがに放っておくわけにはいかないと感じたのか、コップに水を入れて持ってきた。

 

「悪いな……ふう、落ちついた」

 

「どんだけ悲惨な状況だったんだよ……」

 

「あの人は何を食べても腹を下す事はないからな……自分で作ったものを食べても大丈夫だったし」

 

「あの人、本当に人間なの?」

 

「生物学上、あの人を人間以外に分類することは難しいと思うぞ。一応私と同じ両親から産まれたわけだし」

 

「血が繋がってるのか疑わしいくらい、頭の出来は違うけどね」

 

「それは私が悪いんじゃなくて、姉さんが凄すぎるだけだ」

 

 

 幼少期から散々言われてきた事なので、今更そんなことで腹を立てたりはしないが、自分が劣っているのではなく向こうが凄すぎるのだと言い訳をする。

 

「まぁ、確かに篠ノ之博士の天才的な頭脳と比べれば誰だって劣ってるって言われるでしょうけども、それを差し引いても酷いわよ?」

 

「鈴に勉強の事でとやかく言われたくはないがな」

 

「まぁ、あたしだってそれほど得意ってわけじゃないけど、それにしたってよ」

 

「勉強の事は置いておくにしても、確かに箒はいろいろと残念だよな。黙ってれば美人だって言われてるくらいだし」

 

「何それ? そんな噂聞いたこと無いわよ?」

 

「男子のコミュニティでの話題だからな。女子が知らなくても無理はない。なぁ、数馬?」

 

「あぁ。千冬も似たような評価だったが、俺にはよくわからん」

 

「だよな。箒も千冬もそういう対象として見たこと無いからな」

 

「もし見てたとしてもあんたたちと箒たちじゃ釣り合わないわよ。思うだけ無駄だから、これからも思わない方が良いわよ」

 

「うるせぇ!」

 

 

 他の男子たちが自分たちをどう見ていたか初めて聞いた箒は、少し恥ずかしそうにしている素振りを見せたが、あまり興味は無さそうに思えた。箒が一夏に惚れている事を知っている三人は、一夏にどう思われているかが気になっているのかと納得したのだった。




黙ってれば大和撫子の称号は伊達じゃないな……
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