IS学園・一夏先生   作:猫林13世

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忙しいなぁ、一夏は……


教師として

 転入生二人の面談を終えた一夏は、二人とも違う理由で問題児だと考えていた。

 

「真耶、お前に任せて良いか?」

 

「一夏さんに頼られるのは嬉しいですが、私ではあの二人の相手は務まりませんよ」

 

「上手くクラスに馴染んでくれれば楽なんだろうが……デュノアは兎も角ボーデヴィッヒは難しそうだな」

 

「一夏さんが昔ドイツで何をしてたのか気になってたんですが……何であんなに懐かれているんですか?」

 

 

 先ほどのやり取りだけで、真耶は一夏がラウラに懐かれていると決めつけた。

 

「特別な事は何もしていないんだがな……アイツがいた部隊はそもそも特別な出自だから、本人の承諾なしに話すわけにはいかない」

 

「特別な出自、ですか? まぁ、それが何かは分かりませんが、一夏さんが彼女がいた部隊の子たちを認め、指導した結果があの子、ということで良いですか?」

 

「いろいろとツッコミたいところだが、説明できないからな……そんな認識で今は構わない」

 

 

 一夏としては懐かれているという部分から否定したいのだが、言ったところで真耶が納得するとも思えなかったので、ため息を吐くだけでこの話題を終わらせた。

 

「ウチのクラスには布仏さんがいますし、そのグループには織斑さんや篠ノ之さんもいますし、凰さんもすぐに仲良くしてくれそうな子ですし、孤立する事は無いと思いますよ」

 

「そうであれば楽なんだがな……」

 

「まだ何か気になることがあるのですか?」

 

「デュノアは兎も角、ボーデヴィッヒはよく国が転校を認めたなと思ってな……さっきも言ったが、アイツはいろいろと特別な立ち位置だから、おいそれと海外に出すとは思わないのだが……」

 

 

 腕を組みながら考え込む一夏を、真耶は特別な感情が篭った目で見つめていた。

 

「おい」

 

「……は、はい?」

 

「さっきから人の事をじろじろと見て、何か言いたい事でもあるのか?」

 

「い、いえ! な、何でもありません! 失礼します!」

 

「……なんなんだ、いったい」

 

 

 ラウラのように直立不動で敬礼したかと思ったら、脱兎の如く逃げ出した真耶を見て、一夏は先ほどとは違う理由で考え込んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏から頼まれていたシャルロットの調査結果を持って、楯無は一夏の部屋がある区域に足を踏み入れていた。

 

「こんばんは」

 

「こんな時間に何の用だ?」

 

「お申し付けのシャルロットさんの調査結果が出ましたので、ご報告をと思いまして。まぁ、もう殆ど本人から聞いているんでしょうが、一応」

 

「ご苦労だったな」

 

 

 楯無から受け取った資料に目を通し、大まかはシャルロット本人から聞いた通りだと一夏は小さく頷いた。

 

「スパイではなさそうだな」

 

「そうですね。デュノア社は少し開発戦争で後れを取っているとはいえ、第二世代型ISの代表であるラファールで何とかなっていますから」

 

「社長夫人に不幸があったと言っていたが、更識で調べた限りは存命か……」

 

「社長が巧妙に隠していないのであれば、身内に不幸があったなどという情報はありませんでしたが……もう少し深く調べてみますか?」

 

「いや、それは構わない。それよりもドイツ政府の動向を調べてもらいたいのだが」

 

「ドイツ政府の、ですか?」

 

 

 シャルロットはフランスの代表候補生なので、フランス政府の動向ならまだ楯無も納得出来たが、何故ドイツ政府の動向なのか楯無は視線で一夏に問い掛けた。

 

「特殊な出自であるボーデヴィッヒを簡単に海外に出しているのが気になる……何かあるんじゃないかと思ってな」

 

「一夏さんがそう思ったのなら、恐らく何かあると思いますよ。分かりました、その代わり、特別料金ですからね」

 

「また生徒会業務手伝ってやるから、それで無しにしろ」

 

「私はそれでも良いんですが、動いてくれた人に報酬を払わないと。いくらウチの人間とはいえ、お金は必要ですから」

 

「経費+αくらいは払うが、あんまり吹っ掛けてくるなよな」

 

「毎度ありがとうございますっと。それじゃあ私はこれで。部屋に戻ってさっそくドイツ政府の動向を探るよう指示を出さないといけないので」

 

「指示を出すのは良いが、お前のルームメイトは黛じゃなかったか?」

 

「大丈夫ですよ。さすがに薫子ちゃんに聞かれるようなヘマはしませんから。普段どれだけだらしなくしていても、一応暗部組織のトップなんですからね、私は」

 

「だらしなくしてる自覚があるなら、もう少ししっかりしたらどうだ? 最近布仏姉から泣き言を聞かされる回数が増えているんだが」

 

「あ、あはは……善処します」

 

 

 最後に小言を言われた楯無は、逃げ出すように一夏の部屋から去っていく。一夏はもう一度更識が調べ上げた資料に目を通し、面談時のシャルロットの事を思い返していた。

 

「嘘を吐いている様子はなかったが……警戒しておいた方が良いな、一応は」

 

 

 恐らく杞憂に終わるだろうと一夏も分かっているのだが、教師として生徒に被害が出ないよう警戒する事を決めたのだった。




シャルもラウラも最初からいい子だけど、問題はそのまま……
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