視線で助けを求められた一夏は、ため息を吐いてから全員に聞こえるように発言する。
「織斑のグループを一、篠ノ之を二としていき、出席番号順に割り振っていく。リーダーは訓練機を受け取り次第指導を開始してもらう。全員終わったら時間がある限りは自由に訓練機を使って構わないが、何か問題が起こった場合は各リーダーに責任を取ってもらうのでそのつもりで」
一夏の言葉に全員が返事をし、すぐさまグループが完成し各リーダーが訓練機を借りていった。ここから先は一夏と真耶は各グループのの指導を見てリーダーの評価と、指導される側の能力を見るだけで手を貸したりはしない。
「織斑先生、助かりました」
「先ほども言いましたが、少しは山田先生も頑張ってくれませんかね?」
「頑張ってはいますよ。ですが織斑先生程素早く纏める事が出来ないんです」
「そうですか……では、山田先生は四、五、六のグループを見て回ってください。私は一、二、三のグループを見て回りますので」
「分かりました」
真耶が担当するグループのリーダーは、セシリア、シャルロット、鈴の三人で、真耶でも問題なく扱える生徒が担当で、一夏が担当するグループのリーダーは、千冬、箒、ラウラといった、多少個性が強すぎる面々になっている。
『貴方、わざとこっちを担当したのかしら?』
「そんなつもりは無い。ただ、真耶にこっちを任せても泣きつかれる未来しか見えなかっただけだ」
『相変わらず自分から苦労を背負いこむんだから……少しは楽をしてもいいころじゃない?』
「こいつらが使い物になるようになったら、少しは楽も出来るだろうさ」
飛縁魔と会話しながら各グループの指導を見て回る一夏だったが、やはりグループ毎に指導の違いはあるようで、ISに不慣れな千冬と箒のグループは多少苦戦しているように見受けられた。
『手伝ってあげないのかしら?』
「そこも含めて評価の対象だからな。減点とはいかなくとも、厳重注意くらいだろう」
『ISに触れて二ヵ月足らずの二人に、他の子に教えろなんて無理だったんじゃない?』
「人に教える事で、自分の頭の中を整理出来るだろうと考えたんだが、どうやら出来ていないようだな」
苦戦しながらも説明している二人を見て、一夏は盛大にため息を吐いた。一方のラウラのグループも、順調とは言えない状況なのだ。
『まるで軍隊のような指導ね。さっき山田先生が厳しくする必要はないとか言ってた気がするんだけど』
「あれでもだいぶマシなんだろうな……ラウラは昔から基準がおかしいから仕方ないのかもしれないが」
『ダーリンが基準になってるんだから、おかしいのは当然よね』
「誰がダーリンだ」
『ツッコむのはそこなのかしら?』
「俺がおかしいのは俺自身が一番分かってるつもりだからな」
『貴方はおかしくないわよ。ただちょっと強すぎたり頭が良すぎるだけで、普通の男性じゃない』
「俺が普通の男なら、世の男性は普通じゃないという事になってしまうぞ。ISを動かせる俺が普通なわけないだろうが」
飛縁魔にツッコミを入れながら、一夏はそれぞれのグループを眺めてはため息を吐き、やはりこの方法は早かったかもしれないと頭を抱えていた。
『本当に苦労が絶えないわね、貴方は』
「仕方ないと言えばそれまでなんだが、ここまで酷いとは思ってなかったな」
『千冬ちゃんと箒ちゃんは、なんとなくで動かしてる節が見られるし、ラウラちゃんは説明が下手みたいね。さっきから擬音ばっかり使ってるもの』
「それはオルコットや凰も同じのようだがな」
横目で見ていたセシリアと鈴のグループも、ラウラのグループとさほど変わりはないようだと、一夏は何度目かのため息を吐いた。
「唯一順調に進んでいるのはデュノアのグループか」
『さすがIS企業の娘、という事かしらね』
「そんなこと関係ないと思うがな……そもそも、そういう問題以前の問題だからな、説明下手は」
『セシリアちゃんも鈴ちゃんも、独特な方法で理解してるようだからね』
「とにかく、この時間内に全員終わるのかどうか怪しくなってきたな……」
『それは終わるんじゃないの? 前の人が動かした通りにすればいいだけなんだから、最初の一人が終われば後はスムーズに事が進むと思うわよ』
「そうだと良いんだがな……全員が同じように理解出来ているかどうかが問題だ」
生徒の間にそれほど大きな差があるとは思っていない一夏は、一人目が理解出来ていないまま動かしているのなら、二人目、三人目と理解して動かせるとは思っていない。ましてやリーダーの説明を聞けば、理解が難しい事は一夏にはよくわかっているのだ。
「とにかく、説明の仕方を説明する必要があるみたいだな」
『おかしな話ね……』
飛縁魔も呆れた様子だと、一夏は自分の現状を改めて見直し、もう一度ため息を吐くのだった。
あの説明で理解しろという方が無理がある気がする