見返したらなんか麻雀してなかったです。ここは物語へ進む滑走路みたいなもんなんで空戦が見たい人は読まなくても大丈夫です。
読まれる方はごゆっくりどうぞ
特第三話「フラグ乱立!?決戦前夜回」
「いよいよ明日ね・・・」
神妙な面持ちで言うのは我らが誇りの一航戦、加賀さんである。
「なんで加賀さんの方が気にしてるのよ・・・」
瑞鶴のこの反応もまあ当然と言ったもので、来たる雪風との決戦も、もう明日と迫っている中、一番そわそわしているのは加賀さんであった。
加賀さんに妬みの感情はない。一昔前の彼女なら、「なんで五航戦なんかが」と言っていたであろうが、今は違う。(当然彼女も認めていないし、当の瑞鶴もまだ認められていないと思って精進中であるが、)実際、空母の中で安定して一番強いのは間違いなく瑞鶴であろう。
後輩の方が自分より強いかもしれない。そんな悔しさを否応にも突きつけられている反面、彼女には嬉しさもあった。
あの風呂場での麻雀から加賀さんはみっちり瑞鶴に教え込んだ。空母たるもの、命をかけた一撃必殺よりも、アウトレンジで華麗にこなすべき美しき麻雀。牌効率に関してはまだまだ教え足りないところがあるが、防御はなかなかの仕上がりになった。そして瑞鶴には何より運がある。
加賀さんにとって、瑞鶴は誇れる後輩でもあったのだ。
「まあまあ、加賀さんおちついて。」
なだめるのは我らが誇りの食欲、赤城さんである。
「でも・・・」
「大丈夫。瑞鶴ならきっとやれるはず。」
珍しく不安そうな加賀さんをさらに我らが女子力、蒼龍さんがなだめる。
「加賀さんがそんな顔してたら瑞鶴も不安になっちゃいますよ。」
「そ、そうね・・・」
続いて声をかけたのは・・・飛龍である。
「いや、なんか紹介してあげて!?」
「瑞鶴?誰に話しかけてるの?」
「あっ、いや、別に。」
「加賀さんもしっかりあなたに期待してくださってるんだから、あなたも頑張らないとね、瑞鶴。」
そう言って瑞鶴に微笑むのは無類の瑞鶴LOVEであり彼女の姉、翔鶴である。
ここは空母の部屋の一室。決戦を間近に控えた瑞鶴を鼓舞するために空母たちが集まり、気持ちを落ち着け合う。そんな夜である。
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一方こちらは潜水艦、ゴーヤの部屋。がやがやと潜水艦たちが集まり、こちらも壮行会を開いていた。
「でも、イク、こういうイベントっていうか、みんなが注目するような試合って初めてなの〜」
こう話すのは伊19潜水艦、イクである。別段そんなに着任が遅かったわけではない。
「はっちゃんも、見た事ないですね〜」
返すのは伊8潜水艦、はっちゃんである。こちらもそんなに着任は遅くない。むしろ最古参レベルだ。
最古参レベルの艦娘たちが見た事ないのも仕方がない。なぜなら、これが初めての麻雀イベント、鎮守府の全艦娘が注目するような派手な試合は前例がないからである。
あるとすれば、初めて麻雀卓を買った直後、提督となぜか麻雀を知っていた名取が打った試合くらいであろう。それもあっという間におわり、提督が惨敗したため、誰の記憶にも残っていない始末である。
初めてであるからこそ、周りは騒ぎ立てるものだが、当のゴーヤは落ち着いていた。
「でも、こういう時でっちが静かなのって珍しいかも〜ですって!」
「そうですね〜(ニムニム)」
ろーちゃんとニムもまったり話しているが、やはりゴーヤは口を開かない。
「ゴーヤさーん?生きてますかー?」
「ちょっとイヨちゃん...だめだってば...」
ヒトミの静止も聞かず、イヨがゴーヤにちょっかいを出し始めた時、ゴーヤは発狂した。
なにかわけをわからぬことを叫びながら、山の方へ駆けていか...
「ないでち!!!」
「ええっ!?生きてないんですか!?」
「むっ!!ゴーヤは虎になんてならないでちよ!虎としては生きてないでち!」
「ほら...イヨちゃん...放っておきましょ...」
「ちょっとそこ!!聞き捨てならんでち!!!」
どうやらいつものゴーヤに戻ってしまったようだ。
「もー!!!さっきから集中してたのにー!!!負けたらヒトミのせいでちね!」
「え....私です…か...?」
理不尽なことこの上ないが、なぜか災難が降り掛かってくるヒトミであった。
「でもゴーヤ。ほんとに雪風なんかに勝てるの?だってあなた....」
「....」
「雪風に一度たりとも勝ったことないじゃない。」
慎重にイムヤが言う。
実の所、その通りであった。ゴーヤは何度も何度も雪風に挑戦してきた。その度に飛ばされ、尻尾をまいて帰ってきたのである。
深海棲艦に不覚を取り、大破して帰ってくることはあった。しかし、その次は必ず先制雷撃で手も足も出させないまま完膚無きまでに粉微塵にしたものだ。
ところが、雪風は何度挑んでも負ける。雪風の運が良いから、では済ませない。済ませたくない。
「でもさ、でっち。前にろーちゃんとはっちゃんとでっちで挑んだけどだめだったよね…?瑞鶴さんは確かに運がいいけど、提督さんって...不安..ですって!」
実は3対1で挑むのも初めてではなかった。はっちゃん、ろーちゃん、といえばゴーヤまでは行かないものの幸運の持ち主である。ここで挑んでもダメだったのだ。しかしゴーヤは言う。
「大丈夫でち。てーとくは、確かに弱っちくて、ダサくて、クソ提督でちけど、なにかしてくれそうな気がするでち...ゴーヤが素で1回負けたのは、偶然じゃないはず...でち」
「いやゴーヤ誘えるのが提督さんしかいなかったんでしょ...」
「っだー!!!それを言うなでち!!!」
イムヤの鋭いツッコミに周囲もつい、ため息が漏れる。
鎮守府のため、文字通り水面下で活躍する潜水艦。その活躍の幅から、鎮守府内の地位は最高レベルで、尊敬されることはあっても、ほかの艦種と普通の友達のように話すことは案外ないのだ。
(正規空母や戦艦たちともタメ口で話せるが、その容姿からものすごい場違い感がする。)
形容し難い寂しさがみんなを襲う。
「ほらもう!こんな空気になっちゃうんでち!」
「うう...ごめんなさい...」
「でももう大丈夫でち!鎮守府内で大イベントを開いて、さらに雪風に勝ったとあれば、潜水艦の株がもう爆上がりでち!」
「まさかそんなくだらない理由で?」
しおいの問いにゴーヤは満面の笑みで、
「でち!」
と答えた。
負けられない戦いが、そこにはあった。
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「瑞鶴。」
加賀さんが突然呼びつける。
なにか神妙そうな顔をしている加賀さんの前に、瑞鶴は背筋を緊張させる。
「いい、瑞鶴。困ったら、勘やジンクス、何にでも頼りなさい。」
「...は?」
「ちょっと、加賀さん...言葉が足りないわよ...」
突然オカルト信仰に走った加賀さんに対して、理解が追いつかない瑞鶴。
必死で赤城がフォローに入る。
「だからね、きっと加賀さんは、視野を広く、柔軟に考えろって言いたいんだと思うわ。ね、そうでしょ?」
「まあ...そうとも、言えなくもないわ...」
よくわからん返しをする加賀さんに口元が緩む瑞鶴。
「不測の事態ってね、どんなに準備しても起こっちゃう事なの。慢心してはだめ。でも、慢心してないからと言って、絶対に事故が起きない保証はどこにもない。」
いつの間にか完全に赤城が説明しているがいいのだろうか。
「じゃあ事故が起こってしまった時、ここで対応が遅れてしまうことが最も危険だわ。考えうるものを出し尽くして、それでも絶望的な時でも、絶望に浸る前になにかする。もがくのよ。例えば...そうね、例えば...」
「例えば、私にちなんで青({発})を大事にするとか。」
突然口を開いたと思ったらこれである。ついに瑞鶴は耐えきれず吹き出してしまった。
「あはははは、なにそれ。」
「あら、結構本気で言っているのよ」
「というか、{発}ってどっちかと言うと緑だから、蒼龍さんの方が合ってる気がするんですが。」
「五航戦のくせに口答えとは、生意気ね。」
「んー、でも私も服の色にちなんで{発}大事にしてたんだけどなぁ」
「ここは譲れません」
いつものやつに蒼龍さんまで加入してしまった。どうやら今夜はなかなか寝静まりそうにない。
太陽は深く沈み、やがて大いなる光とともに水平線から顔を出す。
それは、対決の日を照らし、皆にその時がやってきたことを告げる合図であった。
お粗末さまでした。
秋刀魚イベント初挑戦の私ですが、想像以上に釣れなくて困惑しています。流石艦これ、イベントといい、秋刀魚といい、楽に完クリできるものは何一つなさそうです。
次回もよろしくお願い致します。