簡単な救済劇ですか?   作:moti-

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延長生命線

 せっかく俺の話題も出てきたので、わたしの話を聞いてほしい。

 

 そんなに長い物じゃないよ。わたし自身の単純な失敗劇。

 

 どうしてそれで呪われないと思ったのかはわからないけど、わたしはどうにも単純だったから。

 

 じゃあ、語ろう。

 

 私が俺だった頃の話からね。

 

 俺は、モンスターハンターと言うゲームが大好きだった。

 

 だから3DSで発売された4からそのあとの作品は全モンスターを千体ずつ狩って、武器を全部つくって、ってしてたんだ。

 

 時間だけは腐るほどあったしね。

 

 けど、それがわたしにとっての不幸だったんだと思うんだ。

 

 

 ◇

 

 

「はぁ……」

 

 少女を拾い、そのまま夜が明けた。事が起こるなら迅速であるだろうと思ったので自身は睡眠を極限まで減らし警戒をずっとしていたのだが、それは無駄に終わったらしい。

 

 といってもそれ自体が完全に無駄であったとは言えない。少女の体質を予想すれば、少女を徹底的に不幸に叩き落とす最悪の性質だろうからだ。

 

 雷を無傷で凌いだことから少女の肉体の持つポテンシャルは強い物となっているだろう。ならその少女を殺す方法とは? 精神的に殺し、少女の人格を破壊すればいい。廃人となればいつかは寿命で死ぬだろうから。老衰しないとしても精神的に殺しておけばそれが理性で持って動くことはない。

 

 さて、自身が予想した少女の体質だが『神に愛されなかった者』、と言う類だろう。単純に不況を買ったか、嫌がらせか、それとも存在的に恐れているからか。

 

 少女が存在するのを恐れた。

 

 人格、肉体、或いはどちらも引っくるめて。

 

 きっとその線が強いと思う。

 

「いいや、その線はないだろうね、親友。たぶん、本当に神がいるとしたら彼女をいじめ抜く理由は愛故だよ」

 

 ーーーと。

 

 友人が目を覚ましたらしい。まさかここまで眠りこけるとは、とは思うがそれについてはどうでもいいこととして放っておく。

 

「どういう根拠だ?」

 

「惚れたんじゃない?」

 

 即答。

 

 問いを予想していたのだろうか。

 

「神様だって生き物だ。龍だって殺せないわけではない。だから生き物だ。生きてるんなら、理性があるなら、感情があるなら……特定個人に惚れることだってあるだろうよ。惚れた相手に嫌がらせをする、ってのは昔からよくある物だしね」

 

「そうか、そうか……じゃあ根本を解決するには神様殺せばいいのか?」

 

「無理だね、諦めなよ」

 

 意外に、返ってきたのは断定だ。

 

「何故?」

 

「理を定めているのが神だからだよ。或いは只の超常か。もしくはーーーまあ、ただの偶像だから存在しないって可能性もある。ともあれ、理を定めてるってのはそれ単体が天災であるってこと……いや、それは当たり前だね。じゃあこう言おう」

 

 言葉を切らず、続ける。

 

 刺すように。

 

「君は、世界中に存在する龍竜の類と正面から単体で激突するってことになるんだよ」

 

 マジかよ、と言う声は出なかった。スケールの違いに呆然としているだけだった。

 

 

 ◇

 

 

 わたしは何処かわからない『白』の中にいて、それは城のようで、あるいはただの素のようだった。

 

 『 』しかない世界に佇んでいることをわたしは知覚する。ここはどこなんだろう? そう思い、動き始めようとしたところで、

 

『やぁ』

 

 声がした。

 

「……?」

 

『あははは、困惑してるね。うん、じゃあ定型をなぞってみようか』

 

 

 誰だお前、死ね。

 

 

 ーーー俺は言った。

 

 そいつは実体を持っていなかった。ただ、無駄にかっこいい声に腹が立つ。わたしが俺だったこの時はこういうノリだったからなぁ、馬鹿だよなぁ。

 

 人を殺したことがないくせに。

 

 臆病者は虚勢を張る。或いはただ一つ、欠片で残された『俺』のプライドに障ったのかもしれない。

 

 何処か意外そうな雰囲気のそれに言葉を続けていく。

 

「死ね、マジで死ね、二回死んで生き返ってまた死ね。ついでにあと一回死んでまた死ね」

 

『一つの括弧の中に殺意が溢れてる……』

 

 ともあれ、とヤツは仕切り直した。

 

『君は死にました。それは神様のミスとかトラックとかそんなのでもなく単純に寿命と言うわけでもなく、そもそも生まれ落ちる筈の無かった『キミ』が朽ちて消え果てたってだけなんだけど……本来存在しない筈の君は何故か生まれて、ここまで生きた。だから思った。君は転生させてあげてもいいんじゃないかなって』

 

「雑だな貴様死ね」

 

「それ止めてくんない?」

 

 肉声で声が響いた。

 

 これが素らしい。

 

『じゃ、ってことで君の転生の際にモンスターハンターのキミのデータのキャラに生まれ変わらせてあげるよ』

 

「……は? いやおいまてよちょっやろーてめーぶっ殺す!!」

 

 

 そうして俺は私になった。

 

 とまあ、モンハンプレイヤーが男データを使っていることが少ないために併合した上で作った素体ならばまず女キャラだろう。

 

 とりあえず、

 

「女キャラじゃなかったらよかった……死にたい……何で俺が女になってんだよ……」

 

 ヤツを殺してからでないと死ぬ気は起きないが。

 

 

 この時意識を向けなければならなかったのはそこじゃなかったと言うことは、そこから回想して約三十一秒後に知ることになる。

 




なあ、こいつ……本当は存在しない存在として『生きてたら』絶対主人公格だよな……(希少価値的な意味で)

ちなみにこれ地味にヒントです。
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