プロローグ
ーーー
よく、似たような夢を見るのだ。
どこか懐かしく、優しいけど、なんとなく悲しい夢。
誰も知らない花園にいる夢。
そこには赤い髪の人が1人立っているだけ。
ただ立ち尽くして、でも、立ち止まっているわけだはないような、満ち溢れた眼をした男の人。
夢を持っていそうな、理想を抱いていそうな、優しそうな人。
でも、その静かな花園には私と彼以外、誰もいない。
しかも、彼は私に全然気づかない。
どことなく満足そうに笑って、誰もいないその花園に立つ赤い髪の人は、いつも平和を願っているように見える。
誰も知らない理想郷に立つあの人の夢から、
私は抜け出せないでいた。
ーーー
……ガタンッ、
電車が大きく揺れて私はふと眼を覚ました。
「………あぁ〜……」
1つ伸びをして次の駅を見る。
電光板に写っていたのは目的地の駅だった。
「……降りる、準備しなきゃ」
まだ眠気が抜けきっていない体を無理やり椅子から上げて、上から荷物を取り出した。
私の名前は
この度、
といっても、この聖杯戦争は『戦争』などと呼べるものではない。
理由は単純である。
10年と少し前、私が通っていた
が、しかし。
今回、
どこかまでは不明だが、この冬木市であることは間違いない。
私は年若き女である。
1人で行くのは不安であったが、この日本との交流がある生徒はあまり多くないからこそ、私が呼ばれたのだろう。
「……よいしょ、っと」
荷物を降ろし切符を手にすると私は電車の到着を待つことにした。
「……あっ、」
その時、私はふと思い出したように上の荷物置き場を焦りながら漁りだした。
そして、上にある木箱があるのを確認すると、
「……よかったぁ〜」
そっとその木箱を降ろした。
この木箱は聖杯戦争に必要になる
割れたペンダント。
どうやらこれが聖遺物らしい。
この聖遺物を渡してくれたのは、前の
これを見た時、人前で声を荒げたことのない私の師は口を押さえ酷く驚いていた。
II世先生は特になんもなしにそれを渡してきたけれど、今でも師が驚いていた理由はわからない。
まぁ、師も最後には「まさか……ね」と言ってそれを私に渡した。
そんなこんなで駅に着いた。
プルルルルっ、
「あ、降りなきゃ」
私は荷物を抱えてその地に降りる。
これは、本物の解体戦争。
聖杯の最後を描く、物語。