「……えっ」
赤く短い髪。
優しそうな目に筋肉質な身体。
身長は高く、笑みがよく似合う。
そこにいたのは、あの夢に出てくる『あの男』だった。
「……嘘、でしょ?」
「………?一体、何がですか?」
男はキョトンとしている。
信じられなかった。
私は、今この状況を。
(というか、なんでここにいるの?これって不法侵入だよね?訴えたら勝てる……はず。てか、何?『貴方が私のマスターですか?』って……………、………?)
あれ?
なんで、
「………もしかして、貴方って」
私は息を呑みながら聞いた。
「私、の
「……それは、貴方がわたしの
その受け答えは、私の考えを確信に変えた。
「…………あぁ、駄目だ」
私は色々と考えが巡りすぎて頭がこんがらがってしまい、足から崩れ落ちてしまった。
「ま、マスター?大丈夫ですか?」
サーヴァントは心配そうに私のところに駆け寄って来た。
……あぁ、疲れた。
どっと疲れが襲う。
「……うん。大丈夫。少し疲れただけだから」
「そうですか」
そうすると、サーヴァントは優しく問いかけた。
「……マスター、良ければ夕食が出来上がっているので食べますか?」
「………え、料理できるの?」
「はい、多少の心得がありまして。和洋中、など全般の料理はできますよ」
サーヴァントはニコッと笑いながらそんなことを言った。
「……サーヴァントってみんなそんなものなの?」
「ええ……っと、それはどうでしょう?」
わからなそうなので深く聞くのはやめた。
「じゃあ、頂かせてもらうよ」
「はい。では、今持ってくるので少々待っててください」
そうすると素早い手さばきで料理の仕上げっぽいことをすると食器などを机の上に並べた。
……多分、このサーヴァントが凄いんだと思う。
バーサーカーのサーヴァントとかがこれをできたら逆に凄い。
「これで全部です」
サーヴァントは食器を一式並べ終えると私にそう言った。
「……ねぇ」
「はい?」
「これって、家の食材で作ったの?」
今日の朝までで冷蔵庫で入っていたもので作ったにしては、あまりに豪勢すぎる。
「はい。何か、不都合がありましたか?」
サーヴァントは心配そうに私に聞いた。
「……いいえ、なんでもない。じゃあ、頂きましょうか」
「はい」
「「いただきます」」
料理は、すっごく美味しかった。
ーーー
そのあと私たちは食器を洗い、改めて向き合って話をすることにした。
「……ええっと、名乗るとこから始めた方がいいよね」
私は不器用な言葉で前置きをすると、サーヴァントに向かい目を合わせて自己紹介を始める。
「初めまして。これから貴方の
そこで一旦言葉を止めた。
(……ここで、魔術を使われて誰かに聞かれてたらアウト)
今は名前を名乗るだけにしておこう。
「……ええと、じゃあ次は私の番ですか?」
「あ、うん。よろしく頼める?」
「はい。ええと、こちらも初めまして。私はサーヴァント『セイバー』」
「……、セイバー……?」
「はい。セイバーのサーヴァントです」
セイバーって、あのセイバー?
安定した性能、充実した実力のあの剣士のサーヴァント?
それが、私のサーヴァントなの?
「……もしかして私、凄いラッキー?」
ぼそっとそう呟いてしまうほど私は嬉しく、そして驚いていた。
「それで、真名は……」
「ストップ!」
私はセイバーの言動を止めた。
「はい?」
「誰かに魔術を使って聞かれてたら終わり。だから、今は真名を名乗らないで」
「………え、ええと」
そうするとセイバーは、困った顔でこう言った。
「どうしたの?今、名乗った方がいい?」
「そうではなく……」
そうするとセイバーは申し上げにくそうに言った。
「……実は、『真名』がわからないんです……」
「……え?」
私は、驚くを通り越し唖然とした。
ーーー
そして、この時私は気づかなかったが、
この時点で他の
「………クククッ」
下水道のところに真っ黒の
「……災いを地に。害悪を空に。汚物を海に」
『歪』は両手を広げ唱える。
「我は『泥』。人が悪性を喰らい、善意を奪い、望むがままに生きる」
すると、黒い肉体の中にある白い目を見開き、赤く染め上げた。
「
体の刻印が赤く反応する。
そうして、手をぐっと握り溜め込んだ『何か』を解放するようにすると、
空に赤黒い波動が広がった。
そうすると、高らかに笑いながら『歪』は言った。
「さぁ、欲望を満たせ!」
「新たな、聖杯戦争を始めようではないか」