凜が目を覚ますと時間は朝方だった。
ふかふかのベッドで眠れたのか疲れなどは全て無くなっていた。
「ふぅん・・・良いベッドなのね」
この家に住む少女は一体何者なのか。
それが気になるばかりだった。
「そういえばあの子の部屋って・・・二階なんだっけ」
凜が泊まった部屋の外からは何も聞こえなかったので起きていないと思った。
年齢的にも小学生であるのに朝の時間に起きていないのは駄目だと思い、部屋を出た。
「意外と広いわね・・・」
何故親がいないのだろうという考えは持たない。
本人が話さないのなら無理に聞く必要は無い。
「一先ずあの子を起こしに行かないとね」
昨日二階に上って行ったであろう少女を起こすべく凜は二階へと上がった。
少女の部屋は扉が少し開いていたのですぐに見つかった。
躊躇いも無く中に入ると大きな天蓋付きのベッドで寝ている少女を見つける。
近くに寄ってみるとまだ寝ているのか規則正しい寝息が聞こえた。
「起きなさい、朝よ」
「・・・ん・・・」
「朝だから、起きなさい」
「ん・・・ぁ・・・ぅ」
少女は眠たそうに体を起こす。
だがまだ眠気も取れないのかベッドに倒れそうになっていた。
「ちょ、ちょ」
「んぅ・・・なぁんじぃ・・・」
「今・・・5時よ」
「はぁやぁい・・・」
「お願いよ、お腹も空いたし」
「む~・・・わかったぁ・・・」
不満げだが渋々と言った感じで体をしっかり起こした。
「そういや・・・あんた何者なのよ」
「ん~・・・凜さんなら・・・良いかな」
「何がよ?」
「・・・俺は遠明寺結紀。男」
「とう・・・みょうじ・・・って言ったら!?」
「ん、そう。あと男」
「・・・え?」
「俺は男。女の子じゃない」
「えぇぇぇぇぇ!?」
凜の絶叫で結紀の頭が完全に覚めたのは言うまでもないだろう。
そして少女のような見た目をしている結紀を女の子と勘違いしてしまうのも無理ないだろう。
「・・・とりあえず・・・ご飯作るから待ってて」
「え、ええ・・・」
現役小学生が作ったとは思えない料理に凜は最初驚くも確かな味で朝からご機嫌だった。
「美味しい?凜さん」
「ええ、今まで食べた料理で一番美味しいわ」
「なら、良かった」
「しかし本当に男の子なのね・・・見た目は女の子なのに」
「ん・・・髪切るの面倒だから」
「だからってそんな綺麗になるかしら・・・」
凜は羨ましそうに結紀の長い髪を見つめる。
自分と同じ黒髪だが光が反射しており、綺麗としか言いようがなかった。
「・・・触ってみる・・・?」
「良いの?」
「ん、凜さんは優しく触りそうだから」
「触りそうって・・・」
結紀は凜に髪の毛を向ける。
普段ならば絶対に触らせないが、凜ならばという考えで触らせた。
凜も恐る恐る触るとその心地よさが分かった。
きめ細かい髪の見た目通り、触るとふんわりとした感じ。
しかしスーッと指が通っている事から手入れはしっかりしているのがわかる。
「・・・これ結紀の髪よね」
「ん・・・そう」
「女の子なんかより良い髪じゃない」
「・・・ありがとう」
髪の毛で褒められるのは好きではないのだが凜の言葉に嘘が無いと分かると文句は言えないので素直にお礼を言う。
それでも褒められるのは嬉しいのか少し照れていた。
「・・・学校、行ってくるね」
「ええ。あと伝言頼める?」
「・・・?」
「イリヤに、あんた達の学校に集合って。結紀もよ」
「ん、了解」
「行ってらっしゃい」
「ん、行ってきます」
家に人がいるのが久しぶりな結紀は少し嬉しそうにして家を出た。
イリヤはもう出たのか家にはいなかったようだ。
「いつも通り」
教室に入ると一気にクラスメイトの視線が結紀に集まる。
別の意味で目立つ結紀は視線が少し怖かった。
「おはよー結紀」
「・・・おはよう」
「なんかあった?」
「ん・・・凜さんが泊まった」
「えぇっ!?」
「別に変なこと無いよ。ただ誰かが居るのが嬉しかっただけ」
「・・・そっか」
結紀の事情をある程度知っているイリヤは何とも言えなかった。
イリヤは帰ってくることが少なくとも両親が、兄やリズ、セラがいる。
だが結紀は母方の姉が唯一の家族なのだ。
しかし一緒にいれる時間は少ないために基本一人きり。
「・・・眠い・・・寝るね」
「ちゃんと起きてないとだよ?」
「おやすみ・・・」
「も~・・・」
いつも通り、学校で寝てしまった結紀をイリヤは起こしはしない。
起こしてもまた寝てしまうのと起きていても興味を示さないので意味が無いから。
案の定結紀が起きたのは下校時刻になるまで寝ていたが。
「結紀、学校終わったよ」
「ん・・・」
《おねむですかぁ?結紀さん》
「今日は・・・一緒に帰ろう?」
「・・・分かった」
イリヤに起こされた結紀は帰る用意をするとイリヤと一緒に帰った。
「ん、イリヤ」
「どうしたの?」
「凜さんが、今日の夜に学校に集合だって」
「夜かぁ・・・抜け出せるかな」
「頑張って」
「お任せください!私が何とかしますよ!」
「う・・・ルビーはなんか不安」
「仕方ない」
二人は夜中に抜け出す算段を帰宅中に考えることに。
結局、イリヤはみんなが寝た時間帯に抜け出す事になり、結紀は凜と一緒に出ることにした。
「それじゃ、夜にね。結紀」
「ん、分かった」
結紀はイリヤと別れると家に向かった。
一応鍵はかけてあるので鍵を開けてドアを開く。
「・・・ただいま」
「おかえり、結紀」
「・・・まだいたの?」
「その・・・しばらくで良いの。泊めてくれない?」
「ん・・・良いよ。凜さんが居てくれた方が良い」
「ありがとう」
「ご飯・・・作るから、待ってて」
結紀は二階に行くと制服を着替えて部屋着に着替える。
「ん、お待たせ」
「・・・随分と可愛いわね」
「これが、動きやすい」
結紀が部屋着として持っている服全てがパーカー系だった。
耳付きパーカー等もあり、本当に女の子の着る服ともいえる。
「ご飯何がいい?」
「お任せするわ」
「ん、じゃあグラタン作る」
結紀は手慣れた手つきで料理をし始める。
凜も興味深そうに見ていた。
「慣れてるのね」
「ん・・・自分で作らないと無いから。自然と身についた」
「・・・その・・・言いたくなかったら良いけど、家族は?」
凜が家族について聞くと結紀の表情は暗くなった。
それを見て聞いてはいけないとすぐに分かるぐらいに。
「・・・」
「言いたくなければ良いわ」
「両親は持病で亡くなった。親戚は縁を切った。家族は・・・お母さんのお姉ちゃんが俺を引き取ってくれた」
「・・・なんだかごめんなさい」
「凜さんは魔術師で、遠明寺を知ってるから。気になると思った」
凜はただの興味本位で聞いたことに罪悪感が込み上げる。
こんなに小さい子が一人なのは凜としても見ていられないぐらいに。
「グラタン、焼けたら完成。それまで聞きたいこと聞いて良い?」
「何を聞きたいの?」
「ずっと気になってた。学校のグラウンドの真ん中に魔力の残滓がある。協会で何かが起こってる?」
「イリヤには説明したんだけどね。いまこの冬木の町では『クラスカード』っていうのが散らばってるの。そのうち2枚を協会は回収して解析した結果、少なくともとても高度な魔術理論で組み上げられた物だと分かったわ」
「・・・高度・・・ならそれ一枚でこの町を吹き飛ばせるぐらい?」
「ええ。そして回収したのは7枚あるカードの内2枚。『アーチャー』と『ランサー』よ」
「・・・弓兵と槍兵。聖杯戦争のクラス・・・?」
「聖杯戦争を知ってるのね」
「ん、まぁ・・・聖杯戦争のクラスでいえば・・・残るは『キャスター』『ライダー』『アサシン』『セイバー』『バーサーカー』・・・この5つ・・・エクストラクラスは・・・分からないけど」
「・・・エクストラクラスって何?」
「聖杯戦争で出てくるクラス。・・・通常のクラスとは違うから基本は出てくることが少ない・・・よ」
「ふぅん・・・」
結紀が何故そこまで聖杯戦争の事を詳しく知っているのか凜は気になったが、オーブンの音で考えるのをやめた。
結紀もそれと同時にオーブンを開けて焼き加減を見ていた。
「ん・・・これならいっかな」
手袋をしてグラタン皿を取り出すと凛と結紀の席に置く。
小麦色に焼けた表面からはチーズの匂いが漂う。
「いただきます」
「いただきます・・・あつっ」
「・・・ゆっくり食べたのが良いよ。冷めにくいから」
結紀も熱いのかフーフーと冷まして食べている。
それでも熱いらしく、涙目になっていたが。
「美味しいわね」
「ん。良かった」
結紀の作る料理は全て美味しい。
それがとりあえず凜の出した結論だった。
グラタンをなんとか食べきった二人。
すると結紀が凜に聞いてきた。
「お風呂、先と後どっちが良い?」
「じゃあ・・・先に入ってて良いわよ」
「ん、分かった」
結紀はパタパタと走ってお風呂場へと向かった。
パーカーをかぶっているので本当に女の子にしか見えない凜だった。
数分するとお風呂から結紀が上がってきた。
「終わったよ」
「早くないかしら?」
「いつもこれぐらい。長く入ってたらのぼせる」
「そうなの。それじゃお風呂借りるわね」
「ん、どうぞ」
お風呂に入って気分が良いのかどことなく声も少し大きく感じれた。
「にしてもよくあんな姿で洗えるわね・・・」
結紀の髪は長い方なので洗うのも時間がかかると思っていた。
だがものの数分でお風呂から上がってきていたし、髪の毛からはほんのりと甘い匂いがしたため洗ったのは明確だった。
するとお風呂のドアに人影が見えた。
「凜さん。タオル置いとくね」
「ええ、ありがとう」
「着替えは・・・ある?」
「着替え・・・」
凜はやらかしたような表情になる。
着替えは日本に来る際に持ってきていたスーツケースの中に入ったままである。
「凜さん?」
「あー・・・スーツケースの中よ・・・」
「じゃあ・・・スーツケースを近くに置いとくね」
「ありがとうね、結紀」
スーツケースを持ってくるという発想に至った結紀に感謝する凜。
何か抜けているというとこは変わらない物なのだろう。
お風呂を終えてスーツケースの中から着替えを取り出し着替えた凜。
時間帯的にもちょうどいい時間なので行くことにした。
「結紀、そろそろ行きましょう」
「ん、分かった」
結紀はポケットから髪留めを取り出して自分の髪につけた。
「それは?」
「・・・お守り」
大切そうに髪留めを扱ったので何かあるのだろうと思うが今はカード回収が優先。
凜は結紀と一緒に家を出ると学校のグラウンドでイリヤを待つ。
数分するとイリヤが走ってきた。
「凜さーん!結紀ー!」
「やっと来たわね」
「ごめんなさいー・・・」
「さて、それじゃあまず転身してちょうだい」
「は、はい!」
イリヤはいきなりトイレに入るとトイレから光りが漏れる。
そしてあのコスチュームを着たイリヤが出てきた。
「お、お待たせしました・・・」
「なんで、トイレ?」
「恥ずかしいんだもん・・・」
「はぁ・・・とりあえず、カード回収するわよ」
「あの・・・凜さん。カードってどこに?」
「ここよ。このグラウンドの真ん中」
林が指差す先には何も無い。
いや一般人には見えないのだ。
凛と結紀は魔術師で魔力を理解しているからこそ感じ取れる僅かな魔力の残滓。
「ルビー!」
《はいはーい!半径2メートルで反射路形成。鏡界回廊、一部反転します!》
ルビーが詠唱すると、イリヤを中心に魔方陣が展開。
凛と結紀をも入れた範囲で周囲の景色が歪む。
「カードは普通の世界には無いの。あるのは鏡面界と呼ばれる現実世界の合わせ鏡の世界」
景色の歪みが終わる頃には普通の光景が広がっていた。
しかし唯一おかしな点は空が歪んでいること。
「・・・イリヤ。来るよ」
「く、来るって何が!?」
結紀達の前にはカードがあった。
そしてをそれが核となるように一人の女性が形作られる。
「
凜は宝石を取り出すと詠唱し、女性に向かって投げる。
爆風が起こるが何ともない用だった。
「・・・宝石が効かない。魔術の無効か」
「そうみたいね。イリヤ、任せたわよ!」
「ふぇっ!?」
凜は結紀と一緒に物影に隠れる。
あの女性には魔術が効かない何かがある。
しかしイリヤならば魔力の塊で攻撃が出来るのだ。
《イリヤさん攻撃が来ますよ!》
「えっ、えぇ!?」
《避けてください!》
ルビーに言われるがままイリヤはその場から飛び退く。
煙が晴れていないが確かに女性は攻撃して来たのだ。
そして僅かにイリヤの背中を掠った。
「今、今掠ったよね?!」
《物理保護で防護しました!・・・イリヤさん、距離を取ってください、接近戦は危険です!》
「そ、そうだよね!」
戦いにおいて重要な事が距離だ。
距離をとれば安心も持てる。
そしてイリヤは全速力で女性から逃げた。
「わぁぁぁぁぁ!!??」
「・・・逃げ足だけはあるわね」
「イリヤの走りはかなり早いからね」
《イリヤさん、距離を取って相手に魔力弾を飛ばしてください!練習したように!》
ルビーも少し焦りがあるのかイリヤに指示を出していた。
年端も行かぬ少女にいきなり本番の戦いをやらせることに無理があるとわかっているのだろう。
「ええい・・・もう!」
イリヤはある程度距離を取ると振り向いて女性に向かって思いっきりステッキを振る。
「どうにでもなれぇぇぇぇ!」
その時、ステッキから放出された魔力が女性を襲う。
決して遠くはない距離での直撃。
効果はあったのか、女性には傷が出来ていた。
「す、すごっ?!何今のビーム!?」
《あれが魔力弾です!イリヤさん、警戒を怠らずに!》
「ん・・・危なっかしい」
「結紀?」
結紀は凜の元から離れるとイリヤの隣にいく。
「・・・少しは稼いであげる」
「へっ?」
《結紀さん?》
ルビーもイリヤも結紀の行動を理解できず、何をするのだろうと言った感じだった。
「・・・桜神・・・起動」
結紀が呟くと結紀を中心に光の奔流が起こる。
それと同時に強い風が引き起こされた。
「結紀!?」
「ん・・・大丈夫」
全てが終わると結紀は先ほどの服装ではなく、巫女装束を着ていた。
「ん・・・」
女の子の服を着ている結紀は恥ずかしいのか、あまり見てほしくないようだ。
「ルビー・・・ちょっとは稼ぐから。それまでにイリヤに戦闘教えて」
《わかりました!イリヤさん、よーく聞いてくださいね》
「へっ?う、うん」
イリヤは一度戦線から離れるとルビーとともに戦闘講座を聞くことになった。
結紀は手を前に出すとそこに桜の花びらが集まる。
「・・・久しぶりかな」
結紀は手を戻すと女性に向き直る。
女性も結紀を警戒しているようで出方を伺っていた。
「・・・ていっ」
結紀が手を横に振りかざす。
それだけで女性からは血が出ていた。
透明な刃物で斬られたような感じで女性は更に警戒を強める。
「ん・・・」
結紀もどうしようと考えていると女性は目を光らせた。
巨大な魔力の集結。
「・・・宝具」
宝具を発動させようとする女性だがそれは叶わなかった。
結紀の隣を一つの影が女性に向かって突進していた。
「ランサー、
「ゲイ・・・ボルグ!」
結紀はそれを見ていた。
ゲイボルグ。
それはケルト神話の英雄クー・フーリンが扱ったという槍。
一度槍を投げれば、相手に必中という効果があった。
実際には必中した未来を作ってから放つのだが。
「・・・ランサー、
「・・・」
結紀は当然、イリヤや凜もいきなり現れた相手に警戒をした。
「・・・魔術・・・礼装。あなたも、魔法少女・・・か」
「・・・」
青色魔法少女は何も言わない。
結紀と少女は互いに見つめ合っていたが何も口を交わさなかった。
「オーッホッホッホ!」
「この腹立つ声は・・・!」
「ぶさまですわね!遠坂凜!」
「ルヴィア!」
「敵の宝具に恐れて逃げ惑うとはとんだ道化ですわね!」
「こんのぉ・・・!」
凜はルヴィアの背中に力強い蹴りを入れた。
人でいう延髄の所に。
「げほっ。げほっ!レディの延髄に蹴りとは、あなたにはおしとやかさは無いんですの!?」
「あぁ!?うっさいわ!」
結紀とイリヤは凜とルヴィアの言い合いを無視し、怪我が無いかお互い見た。
結紀も終わったことが分かると姿を戻す。
「再封印」
「・・・あなたは何者」
「・・・ん」
少女は結紀を興味深そうに見ていた。
だが結紀は先ほどの事には何も触れて欲しくなさそうにする。
「・・・言いたくないなら、良い」
「ありがとう・・・」
言いたくないと察した少女は引き下がると空間が割れはじめているのに気づいた。
「っ!サファイア」
《はい。半径5メートルで反射路形成。鏡界回廊、一部反転します》
殴り合いに発展した凜達をも入れるように大きめに魔方陣が展開された。
通常世界に戻るとようやく殴り合いが終わる。
凜は先ほどの少女とルヴィアを交互に見てある考えに至る。
「ルヴィア・・・あんたまさか」
「ええ!サファイアに逃げられましたわよ!」
ルヴィアはポケットからハンカチを出すと裾を噛んでキーッとしていた。
凜もルビーに逃げられたので何も言わなかったが。
「・・・君は、何者?」
「・・・」
「・・・ごめん、不躾に」
「構わない」
「・・・俺は、結紀。男だよ」
「・・・っ・・・美遊」
「美遊・・・か」
「その・・・結紀は女の子・・・なの?」
「男だよ。髪長いだけ・・・」
女の子と思われ結紀は少しムッとなる。
美遊はそれを見て焦る感じが見えた。
「・・・怒ってない」
「でも」
「怒ってない」
「・・・分かった」
「美遊!行きますわよ!」
「・・・ぁ」
「またね、美遊」
「・・・うん」
美遊は結紀にだけ見えるように手を振った。
結紀もそれを少し笑って返した。
「結紀?」
「ん・・・?」
「あの子・・・知ってるの?」
「・・・知ってても教えないよ」
「なんで?」
「イリヤは勿論、凜さんも知るべきじゃないから」
結紀が教えてくれないことが分かるとイリヤは少し嫌な感じがした。
そしてあの少女と喋っているとこを見ていたイリヤは胸が苦しくなる感覚も。
「結紀、イリヤ!帰るわよ」
「ん、分かった」
「はーい」
結局イリヤはそれは何かが分からず、家に帰った。
美遊は先ほどの少年の事を思い出していた。
《美遊様?》
「・・・サファイア」
《先程から・・・どうかなされました?》
「・・・ううん、何も」
サファイアにはそう言うも美遊は先程の少年の事を考えていた。
何故そこまで考えてしまうのか、美遊には分からなかった。
「・・・変なの」
それが何か。
あらゆる知識を持つ美遊にも不明な物だった。