最近の物語によくあるあの場面、あのキャラならどうする? 作:二色蓮赤喋
あまりにも強大な魔王軍の出現により保たれていた秩序は崩れ、人間たちのなかには盗賊に落ちぶれたり、魔王軍へ寝返るものも現れた
この状況を打開するため、この世界の女神は救世主となる者を召喚することになった
そして呼ばれたのは___
『勇者よ、私の声が聞こえていますか?』
女性のものと思われる声が周囲に響く。その声が向けられてる相手は背が高く、バンダナのような頭飾り、その手には赤いジッポを巨大化させたかのような道具を持っている男だ。年齢は見た目から推測すると20〜30の間だろうか?
その男は辺りを見渡しながらあぐらをかいて座っている
『私の都合で無関係な貴方をこの世界に召喚したことは申し訳なく思います。しかし、どうか私達の世界を助けて欲しいのです。このままではわたしたちの世界は___』
懇願するような声が男に向けられる。しかし、その言葉は男によって遮られた
「世界がどうだとか、そんな都合なんざ知るか。テメェのコトはテメェで片付けやがれ」
その言葉と同時に立ち上がり、どこかへ向かおうとする。しかし、その行動を女の声が呼び留める
『勝手なことをして申し訳なく思います。しかし、貴方しか頼れる人がいないのです。私に出来ることならばどんな望みでも叶えます。どうか魔王を倒して下さいませ』
懇願するような声が男に向けられる。その声に男は立ち止まる。
「何度も言うが、テメェの都合に振り回されるつもりは俺には無い。俺は元いた場所に戻らせてもらう」
『それはできません』
「……なんだと?」
『貴方はここではない世界から私の手によって召喚されました。元の世界に戻せるのは次元の神たる私と、私と同じく次元を操れる魔王だけです。私の頼みを聞き、魔王を倒さない限りは貴方は元の世界に戻ることはできないのです。強引なやり方ですが、もうなりふり構ってられないのです』
「チッ、メンドクセェ。ならその魔王とやらを倒せばお前は俺を戻すんだな?」
『もちろんです。どうか、世界を助けて下さい、勇者よ』
「俺は勇者とやらじゃねえ。テメェが勝手にそう呼んでるだけだろうが。それはそうと、さっき何でも望みを叶えるとか言ったな?なら俺の望みは決まってる」
『なんでしょうか?』
「『元の世界』では賞金稼ぎだったからな。そんな人間の欲しがるものつったらひとつしかないだろ」
『……お金、ですか?』
「少し違うな。俺が欲しいのは不変の価値を誇る
『金、ですか。分かりました。この世界に在る金をあなたが望むだけ提供しましょう』
「なら
『5000ポンド!?い、いくらなんでもそれは……』
「用意できないならこの話は無かったことにさせてもらう。元の世界に戻るのに心当たりが無いわけじゃないからな」
『わ、わかりました!なんとか用意します!!』
「言質はとったぜ。じゃあ魔王の場所に案内しな」
『え?いきなり魔王を?もう少し準備をしても___』
「いいから場所だけでも教えな。分からないなんて言うんじゃないだろうな?」
「ひっ!わ、わかりました!私の力は転送にも応用できます。なので魔王の拠点の近くまで連れていきます!」
神を名乗った女はその姿を男には現してはいない。だが、その男は姿形の有無など関係なく牙を剥き、神を名乗る女へと噛み付かんとする勢いだ。
『(もしかして私、タチの悪い荒くれ者を召喚してしまったのでは……)』
女神のその言葉は誰にも届くことはなかった
そして女神は自らの転送能力を使い、男を転送しようとする
『今、貴方は光に包まれます。しかしそれは転送のための光であり、害はありません。暫し耐えて下さい』
だが、男はそれに返事をすることは無かった
魔王の潜む拠点、この世界での呼称は魔王城
その中央には巨大な西洋風の城が建つ。だがそこから醸し出されるオーラは視界に入れただけでも人間を畏怖させる程だった
その魔王城から半径50kmは様々な魔物が居を構えている集落となっており、その魔物の大半は高い身体能力を誇る
無策でここに侵入し、生き残った人間はいないと言われている
女神はここより離れた場所に転送しようとした。いくら男が自分の実力に自信があろうとも、魔物が跋扈している場所に無策で突撃して無事だとは思えなかったからだ。だが、その行動に男は衝撃の言葉を漏らす
「もっと近づけろ。無駄な移動は減らしたい」
その言葉に女神も驚きを隠せない
『え?しかし、策もないのに近くで転送したらあの魔物の群れをやり過ごすのは難しいのでは……』
「やりすごす?なに寝惚けたことを言ってやがる」
「あの程度の連中、一瞬で炭に出来る」
その言葉で女神は確信した。自分は、とんでもない化け物を召喚してしまったことに。この世界にはあまりにも大きすぎる力を召喚したことに
だが、それだけ魔王が強力なのだから仕方ないと自分に言い聞かせる。そして、男の言葉を聞き入れ、再度転送を行使する
最初に異変に気付いたのは、魔物の集落の端に居た1匹の虎の魔物だった。鋭い嗅覚と聴覚で遠方から熱を持った存在が自分の集落へと向かってきているのに気付いたようだ
だが、魔物はそれがどんな存在なのかを把握した時、もはや手遅れだった。その熱を持った物体は彗星の如き勢いで集落へと突入する。虎の魔物はあわてて進路から外れようとするが、避けきれずに直撃してしまう。そして大きな爆発が起こり、虎の魔物は跡形もなく燃え尽きてしまった
それを引き起こした存在は、先程女神に召喚された荒くれ者の男だった。その周囲に居た無数の魔物たちはその男に飛び掛る。自分たちの縄張りを荒らすのならば血の洗礼で返す為だ
だが、それがその魔物たちの最大の過ちだった
飛びかかられ、魔物達の凶刃が迫ってるにも関わらず、かったるそうにゴキリ、ゴキリと首を鳴らす男。そして魔物達が男の身体に触れるか触れないか、その距離まで詰めた時、男は左手に持っていた巨大なジッポのような道具を一振りする
その瞬間、爆発が起こり、熱を持った暴風が吹き荒れる。間近に居た魔物達は爆発に巻き込まれて文字通りバラバラに吹き飛ばされ、少し離れていた魔物達も暴風により吹き飛ばされる
この男の、最初の攻撃によって死ねた者は幸せだ。今起き上がった魔物は生き残ってしまった。故にこれから
身の毛を震わせるほどの恐怖をその身に刻むことになる
生き残ったうち、知恵の無い魔物は再び男へと飛び掛る。その大半は猿や狼といった、動物の形をとった魔物だ
それぞれの魔物が男の手に、足に、腹に、頭に、そして喉笛に目掛けて己の爪を、牙を、拳を振るわんとする
だがその攻撃が男へと届くことは永遠になかった。飛び掛ってきた魔物を目前にして男は、巨大なジッポの様な道具を地面に突き立て、叫ぶ
「ガァンフレイム!!」
その言葉と同時に巨大な火柱が男の目の前に噴き出る。それは火山の噴火の如く、荒々しく力強い炎だった。予期できていた魔物は誰も居らず、飛び掛ってきた魔物達の先頭はこの炎に包まれその身を業火で焼かれることとなった。だがこの炎の恐ろしさはそれで止まらなかった
噴き出た火柱が収まったかと思えば再び吹き出したのだ。それも男から見ると、先程噴き出した位置より進んだ場所にだ
その火柱は生き物のように前方に進み、その進路にある物を焼き尽くす。まともに食らえば一瞬で黒焦げだ
それに気が付いたいくつかの魔物達は即座に停止し、大きく飛び退く。反応が遅れた魔物は先程の魔物のようにその身を業火で包まれることになった
だが大きく飛び退くということは、それだけ大きな隙を見せるということだ。男はその隙を見逃すほど甘くはなかった
男は身を屈め、強く地を蹴る。炎を纏った右拳を前方に突き出し、飛び退いた魔物達へと突進する。その勢いはまさに彗星。男から見て先頭に居た魔物はその突き出された拳ををまともに喰らってしまうことになった。最初の一体目が強烈な右ストレート喰らった時、空気が大きく揺れ、衝撃波が発生する。そしてその直後、その魔物は放たれた弾丸の如く吹き飛ばされ、飛び退いていた魔物達を巻き込む。
衝撃波が発生するほどの勢いで飛ばされた魔物は、それ自体が飛び道具となり離れていた場所でその『蹂躙』を見ていた魔物達へと直撃する。巻きこまれた魔物達は全身の骨や筋肉が断裂し、息も絶え絶えとしている。男は最早その魔物を眼中に捉えてはいない。その眼は残っている万全の魔物へと向けられていた。
残っている魔物達は大慌てでその場から逃げ出す。その男は自分達の手を出していい相手ではない、この場から逃げ出さないと死ぬより苦しい目に遭う、と本能が告げていた。
残っていた魔物は知恵のある魔物だ。そのため、バラバラに逃げることはなく、自分達の主の居る魔王城へと避難しようと一塊になって逃走していた
だが、一塊になっているのが最大の仇だった。今の彼らは男にとっては自分から一塊になったチリなのだ。ゴミを掃除する時は一塊にしてから塵取りで掬った方が楽なように、今の彼らは男の掃除の手間を減らしてしまっただけに過ぎない
男の身体が炎の闘気に包まれる。その闘気は近付くだけで爆発が起こりかねないほど高まっていた。そして先程より低く身を屈め、強く地を蹴る。そして逃げ出す魔物の集団へ追いついたと思うと___。
そのまま魔物の集団の先頭へとくり出す。驚いた魔物達は一斉にその動きを止める。
魔物達は何事かと思った瞬間、気温が大幅に上昇する。次に地が揺れ、何かが下で蠢いている。
次の瞬間、男が地面にジッポのような道具を叩きつけると、先程のガンフレイムと呼ばれた炎とは比にならないほどの超巨大な火柱が噴き出す。その火柱は次々と噴き上がり、魔物の集団を包み込む。逃げ道を完全に塞がれた魔物達は目の前に迫る死に恐怖し、悲鳴をあげながら燃えつきていった。
男は再びゴキリ、ゴキリと首を鳴らしながら呟く
「このままカタを付けるぜ」
魔王城・王座にて
そこには魔王と呼ばれる存在と、その側近が居た。魔王のその外見は見た目は2本の丸太のように太い足と4つの腕、そして牛のような頭をしていた超巨大な大男だ。背丈の程は8メートルほどはあるだろうか。
側近の方の背丈は成人男性ほどだ。しかしその外見はゴブリンを巨大化させたような醜い風貌だ。
だが、今はその側近は息を切らし、醜い顔をさらに歪ませる
「ま、魔王様!敵です!!敵襲です!」
その言葉を聞いた魔王は若干イラついた様な表情を浮かべる
「敵?そんなものお前達でも片付けられるだろう。人間どもなんぞ何人束になろうとムシケラでしかないのだらな」
「いえ、敵は1人です!」
「ならば尚更余裕であろう。なぜそんなに慌てる?たった一人ではここに辿り着くどころか我の城に近付くことさえ___」
その魔王の言葉に対して、側近は首を大きく横に振る
「敵は『集落』を抜け、たった今、城内へと侵入した模様です!!」
その言葉で魔王は激昴した
「たった一匹のムシケラ相手に……貴様らは何をしている!!」
激昴した魔王は丸太のような右足を大きく上げる。そして側近の次の言葉を聞かず、そのまま踏み潰してしまった。魔王の足元から赤黒い血が流れ出る
「醜いモノを素足で潰してしまったか。我の足を汚すとは、死んでも尚忌々しい」
どうやら魔王は側近を好ましくは思っていないようだ。魔王は汚れた足を水場のある部屋で洗おうと、その部屋の扉に手を掛ける。そのとき、扉の向こうから魔王へ向けて声が掛けられた
「そんなに汚れが気になるなら、俺が消毒してやろうか?」
魔王が出入りするための巨大な扉が吹き飛ぶ。魔王はそれに動じた様子も無く、その声の主を見据える
「フン、抜かす奴だ。ならば侵入者よ、貴様の血を以てこの汚れた足を清めてもらおうか!」
右足を上げ、男へと目掛けてその足を振り下ろす。男は懐に潜り込むように回避し、魔王の背後に回り込む
魔王は攻撃がかわされたことに少し驚きつつもその傲慢さを損なわずに男を見据える
「貴様がどうやってここに潜入したのかは分からんが、たった一人でここに来るとは無謀が過ぎるぞ。勇敢と無謀を履き違えたか?」
「テメェを殺すのに勇気も無謀も、ましてや決意も必要無えな。さっさとカタを付けるぜ」
その男は頭に付けていたバンダナのような物に手に掛ける。それはよく見るとヘッドギアと呼ばれる頭部専用のアイテムだ。そのヘッドギアを外した瞬間、男から凄まじい闘気が放たれる。それは集落で放った物とは違い、おぞましさを感じさせる異様な物だった。そして、男は身体に力を込め、天を向き、城を震わせるほどの雄叫びを挙げる
その雄叫びと共に、男の全身が黒く染まる。頭部からは二対の長い角が生え、身体の節々から鋭い鱗が現れる。その四肢は最早人間のものではなく、禍々しい鋭さと熱を持った異形と化していた
其の姿はまさに黒き竜人。放たれるプレッシャーは魔王と同じ、いやそれ以上だった。背丈は変化してないはずだが、巨人の如き圧力を放っている
この変化に魔王もたじろぐ
「な、なんだそれは!?なんなのだその姿は!!」
「知りたいならあの世で閻魔サマとやらにでも聞くんだな」
「抜かせ、青二才がァァァ!!」
「ウオオオオオ!!」
最初に攻撃を仕掛けたのは魔王だ。己の魔力と身体能力を全て活かし、目の前の存在を消し去らんとする。高まった魔力をその4つの拳に込め、男へと向ける。風を切る音がその玉座に響く。巨大な体格から振り下ろされる拳はそれだけでも地を揺らす威力を誇る。ましてや魔力を込められたその拳はあらゆる物体を粉砕するかのようだ。だが、それは魔王の最初で最後の攻撃となった。その4つの腕による攻撃を、竜人と化した男は『右腕1本』で受け止める。
「フン、所詮こんなもんか。なら、こっちのターンだ」
左手に持っていたジッポのような道具が振動する。ガチャガチャと機械の音を奏でるそれは、瞬く間に剣としての形を此処に表す。この道具、もとい武器の名前は『封炎剣』、その後は改造により『ジャンクヤード・ドック』と呼称が付けられた。
封炎剣は紅い光を放つ。その剣からは暴れ狂う火山を彷彿させる凄まじい熱気が放たれていた。生半可な人間は近付くことさえ出来ないほどの熱気だ。
「悪いがこれで終いだッ!!」
攻撃を止められ驚愕に染まっている魔王は、その封炎剣の変化に対応出来なかった。男は、呆然としている魔王にその剣を薙ぎ払うように叩きつける。その瞬間、封炎剣は大きく振動し、炎を吹き出す。そして、空間を揺らしたかと思うと、次の瞬間には封炎剣を中心として大きな爆発が起こる。それは、虎の魔物に与えた爆発とは桁外れの破壊力を持っていた。その爆発は玉座は吹き飛ばし、魔王城を大きく傾かせた。このままならこの魔王城は倒壊することは間違いないだろう
そして、その攻撃を受けた魔王は悲鳴を出す間もなく蒸発した。しかし、その男は無傷のまま玉座の間だった場所に立っていた
「メンドくせェからそのまま寝てろ」
魔王の討伐は瞬く間にその世界に広がった。それを知った魔物達の大半は士気を失い、あちこちへ逃げ惑った。最早彼らに闘争をする気力はなかった
そうなってしまった彼らを狩るのは赤子の手をひねるより容易いことだ。人間の戦士たちは残党狩りを行い、この世界に敵対する魔物達を全て排除することが出来た
そして、その魔王を討伐した男と遭遇した人間の報告はこうだ
魔王の討伐を遠視の超能力で見ていた青年はこう言った
「『それ』を見ただけで分かった。あの男はけっして勇者と呼ばれる存在じゃない。あの男は敵対する者を何もかも燃やし尽くす『背徳の炎』だ……!」
ある修道女はこう言った
「私が盗賊に襲われ、この身を穢されそうになったときに彼は現れました。けど、彼は私を助けたわけではありません。彼は、己を害そうとした盗賊達を焼き尽くしたに過ぎません。それはまるで業深き者を裁く断罪者のようでした」
しかし誰もその男の名前を知らない。故にその正体を掴むことができない
その正体は当人と神のみぞ知る……
「で、いつになったら5000ポンドの金は用意できるんだ?」
不機嫌そうな声色のその男は声だけしか聞こえない女神に報酬を催促していた。そういう契約で魔王を討伐したのだから当然とも言える
「半日もかからずに終わるなんて聞いてませんよ!!まだ1000ポンドも集まってませんからぁ!!」
「次元の神とやらなら他の世界でもなんでも使って用意すりゃいいだろうが」
「他の世界の資源を奪うなんて出来ません!」
「俺を合意無く召喚したくせによく言うぜ」
「うっ……」
一介の神がたった一人の男に言い負かされてるこの構図はこの世界の人間にとっては大きなショックになるだろう。しかしそれを見ている人間は当人を除いて誰もいなかった
「あ、あと三日!三日あれば集まります!だからもう少し時間をください、本当にお願いします……グスッ」
「……しゃあねえな。三日だけ待ってやる。ただしそれ以上遅れたら俺が自分の手で強引に集める」
「ご、強引……!?」
その言葉に嫌な予感を感じた女神。つまりは魔王城で振るった力を今度はこの世界に向けようというのだ
「なんとか用意しますから待ってください〜!」
もはやそれは神とそれに召喚された勇者、という構図ではなく借金取りと滞納者と言った方が似合う構図だ
「魔王より魔王みたいな性格してますね、貴方……。元の世界では悪人だったと言われても納得できますよ」
その女神の言葉に男はフッと、不敵な笑みを浮かべる
「そりゃそうだ。俺は元の世界ではこう呼ばれてたんだからな」
「
というわけでGUILTY GEARシリーズより主人公、ソル=バッドガイです
彼は殺れるならさっさと殺りにいきそうですよね。使えるモノはなんでも使って最終的にぶん殴る
でも根は優しいから襲われてる人間が居たら無言で助けに入って無言で去りそうな感じです
魔王にはブライディングブリーチよりタイランレイヴしたかったけど、そうするとDESTROYED出来ないので断念
雑魚相手にはグランドヴァイパーしたかったけど文章に表現するには雑魚が多すぎたのと、ソルの性格考えると多分オールガンズブレイジングで燃やし尽くしてそうなので没にしました
タイトル変えました。多分こっちのがラノベっぽい