金色のガッシュベル!!SECONDLAP   作:アンドロイドQ14

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LEVEL18 目覚めよ、チェリッシュ!

モチノキ町

 ウォンレイ救出と温泉旅行が終わって帰ってきたガッシュ達はパートナーが仕事や学校に行っているため、体を鍛えるため、マラソンをして、海岸まで来ていた。

 

ガッシュ「(ウォンレイを救出しに行く時のバリーとの戦いでは真のバオウがなければ私達は負けておった…。体を鍛えてゼオンなどの強敵との戦いに備えねば…)」

 

コルル「ガッシュ、ちょっと休憩しよう…」

 

ティオ「流石にここまでのマラソンは堪えるわね…」

 

パティ「だらしないわねぇ。私はガッシュちゃんと一緒なら、どれぐらいきつくても動けるわ!」

 

ティオ「ガッシュ絡みだととんでもないあんたと一緒にしないでよ…!」

 

 言い合いをしながら走っていると、海岸に2人の人が打ち上げられている事にコルルが気付いた。

 

コルル「みんな、人が打ち上げられているよ」

 

 打ち上げられている2人の元へガッシュ達が向かった。1人は黒焦げになっていたが、確かめてみると、その2人はガッシュには見覚えのある魔物とそのパートナーだった。

 

ガッシュ「チェ…チェリッシュ!(な、なぜこんな所にチェリッシュが…?チェリッシュと会うのはもっと後だったはずなのに…)」

 

ティオ「チェリッシュ?ガッシュ、この女の人を知ってるの?」

 

ガッシュ「この者は魔物なのだ」

 

ティオ「魔物って…」

 

コルル「もう1人の倒れてる人、本を持ってるよ」

 

 コルルが言った通り、本があったため、チェリッシュは魔物だという事がティオとパティにもわかった。

 

パティ「この倒れてる人って…、男?女?」

 

コルル「女の人みたいだよ。ほら」

 

 倒れているチェリッシュのパートナー、ニコルの帽子をとると、長い髪が露わになった。

 

ティオ「ほんとだ!」

 

コルル「2人共怪我してるよ。早く救急車を呼ばないと」

 

ガッシュ「私に任せるのだ」

 

 

 

 

モチノキ中学校

 ガッシュはマントで空を飛び、清麿のいる学校へ向かった。

 

ガッシュ「清麿~~、早く救急車を呼ぶのだ~~!」

 

清麿「ってガッシュ、何で学校に来たんだ!」

 

ガッシュ「マラソンの途中で怪我人を見つけたのだ。だから、救急車を呼んでもらうために学校に来たのだ」

 

清麿「わざわざ学校に来なくても公衆電話で連絡すりゃいいじゃねえか!近くに公衆電話はなかったのか!?」

 

ガッシュ「怪我人を見つけたのは海岸だったからなかったのだ」

 

清麿「わかったよ、呼べばいいんだろ?呼べば」

 

 

 

 

 

モチノキ町立総合病院

 清麿からの通報で駆け付けた救急車でチェリッシュとニコルは病院に搬送された。それから次の日、先にコルルとティオとパティが病院に向かい、清麿も学校が終わってからガッシュと共に病院に来ていた。

 

清麿「チェリッシュっていい魔物なのか?」

 

ガッシュ「そうなのだ。親のいない子供達の母親代わりになったりととても優しい上、その子供達を守るためならどんな悪人にも屈しないほど強いのだ」

 

清麿「すげえな!仲間になってくれたら心強いぞ!」

 

ガッシュ「ただ、チェリッシュは一度だけ、心から屈してしまった相手がいたのだ」

 

清麿「そいつは誰」

 

ティオ「ガッシュ、チェリッシュの病室はここよ」

 

 ティオに呼ばれてガッシュペアはチェリッシュの病室に来て、目立った外傷もなく、先に意識が戻ったニコルと話をしたり、チェリッシュの容態はどうなのかを聞いていた。

 

ニコル「あなた達の名前は高嶺清麿、ガッシュ・ベル、パティ、ティオ、コルルね」

 

コルル「うん」

 

パティ「ええ」

 

ティオ「そうよ」

 

清麿「あなたがチェリッシュのパートナーだったのですか」

 

ニコル「そうよ。私はニコル。鳥獣保護区で保安官をやっていたわ」

 

清麿「ガッシュ達から話を聞いたが、どうして男装なんかを?」

 

ニコル「女2人で旅をしてると色々と危ない事も多いから男装してるの」

 

清麿「聞きたい事がある。どうして二人はモチノキ町の海岸に」

 

コルル「みんな、チェリッシュが起きるみたいだよ」

 

 コルルの言う通り、チェリッシュは起きた。

 

チェリッシュ「ここは…」

 

ニコル「ここは病院よ。私達、この子達に助けられたみたいよ」

 

ガッシュ「意識が戻って良かったのう、チェリッシュ」

 

 チェリッシュの意識が戻って起きた事にガッシュ達は喜んだ。しかし、チェリッシュはガッシュを見た途端、ある人物に見えてしまい、顔色が変わった。

 

チェリッシュ「ゼ…ゼ、ゼ……ゼオン!!」

 

 一気にチェリッシュは怯えだした。

 

パティ「ちょっと、急にどうしたのよ」

 

チェリッシュ「な、何でこんな所にゼオンがいるのよ…!私達をしつこく追いかけてきたの……!?」

 

ティオ「ゼオン?何を言ってるのよ。話が見えてこないわ」

 

ニコル「チェリッシュ、落ち着いて!この子はゼオンじゃないわ、ガッシュよ!ゼオンに見えるかもしれないけど、落ち着いてよく見るのよ」

 

 怯えながらもチェリッシュはガッシュを凝視した。よく見た結果、ようやくチェリッシュは目の前にいるのはゼオンではなく、ガッシュである事がわかった。

 

チェリッシュ「…ゼオンじゃないかったのね…」

 

 チェリッシュを寝かせた後、病室の外で清麿達はニコルからどうしてチェリッシュがあのようになったのかを聞いていた。

 

清麿「チェリッシュはガッシュを見た途端、ゼオンと言ってたけど、何があったんだ?」

 

ニコル「…そもそもの発端はゼオンとの戦いよ…」

 

 

 

 

 

回想

 ある島でゼオンとチェリッシュは対峙していた。ゼオンは至って無傷だが、チェリッシュはボロボロだった。

 

ゼオン「ほう、俺の攻撃を何度も受けているのにまだ立ち上がれるとはな…」

 

チェリッシュ「(こいつ、かなり強い……私がこれまで出会った奴よりも…)」

 

ゼオン「だが、それも終わりだ。デュフォー、あれを使うぞ」

 

デュフォー「こんな奴にか?わかった。バルギルド・ザケルガ」

 

 ガッシュが経験した前の戦いでもチェリッシュはバルギルド・ザケルガを受けていたが、今回はさらに早くバルギルド・ザケルガを受ける事になった。

 

チェリッシュ「キャアアアアアアッ!!!」

 

ゼオン「この雷は、お前の体がボロボロになるまで、電撃の激痛を与え続ける。痛みで気絶することも許されない。体が壊れる前に、限りなく強くなるその激痛で、心の方が早くぶっ壊れる。どうだ!?身が引き裂かれるとはこのことだろう!?まさに地獄の拷問だ」

 

 数分後、バルギルド・ザケルガを受け続けたチェリッシュは黒焦げになった。

 

ゼオン「さて、次は本を燃やすか」

 

ニコル「(このままだとまずい!こうなったら…)」

 

 ニコルは背後が海である事を確認して本を海に投げ捨てた。

 

ゼオン「本を海に捨てただと?」

 

 思わぬ行動にゼオンが怯んだ隙にニコルはチェリッシュを抱えて海に飛び込んだ。

 

ゼオン「逃げられたか…」

 

デュフォー「珍しいな、ゼオンが敵を逃がしてしまうとは」

 

ゼオン「確かに逃げられたのは手古摺らないからデュフォーの指示はいらんと思っていた俺の詰めの甘さがあったからだろう。だが、奴等はずっと俺の影に怯えながら戦い続ける事になる」

 

 

 

 

ニコル「上手く私達はゼオンから逃げられたけど、逃げ切った後でもチェリッシュはひどく怯えていたわ。それから、私達は意識を失って海岸に打ち上げられていた所をあなた達が発見したの」

 

ティオ「そのゼオンってどういった魔物なの?」

 

ニコル「外見は色々とガッシュに似てるけど、特徴的なのは銀色の髪と白いマント、何よりも冷酷な目つきよ。性格は無邪気で優しいガッシュとは正反対で冷酷だったわ…」

 

パティ「ゼオンって魔物はまさに悪魔ね。愛しのガッシュちゃんとそっくりな外見で悪さをするっていうのは気に喰わないわ!」

 

ガッシュ「(今回でもチェリッシュはゼオンに心を折られてしまったのか…。せめて、こんな時にテッドがいてくれれば…)」

 

清麿「それで、ニコルさんとチェリッシュはこれからどうするんだ?」

 

ニコル「退院してからの予定も決まってないの…」

 

清麿「だったら、チェリッシュが本調子に戻るまで俺ん家に来ないか?」

 

ニコル「本当に…いいの?」

 

コルル「私達は悪い魔物としか戦わないの。それに、私もパートナーが見つかるまで清麿お兄ちゃんの家にいた事があるから、ニコルさんも遠慮したりしなくていいよ」

 

ニコル「…ありがとう」

 

 

 

 

モチノキ町

 その後、ガッシュと清麿は家に帰っていた。

 

清麿「病院に来る時に言ってたチェリッシュが屈した相手って、ゼオンの事じゃないのか?」

 

ガッシュ「その通りなのだ。チェリッシュはファウードでの戦いの際、ゼオンの術で心を壊されて無理矢理従わされておった…。そんなチェリッシュを救ったのがチェリッシュが魔界に居た頃に一緒に暮らしていたテッドという魔物なのだ」

 

清麿「だが、今回はガッシュが経験した戦いの時と違ってテッドって奴はまだお前と会ってないんだろ?」

 

ガッシュ「ウヌ…」

 

清麿「テッドという特効薬がない以上、ゆっくり療養するという方法しかないな…」

 

 

 

 

高嶺家

 それからしばらく経ち、チェリッシュはニコルと共に退院した。そして、清麿にチェリッシュの心の傷が癒えるまで家にいていいと言われて清麿の家に来た。

 

ニコル「わざわざすみません…」

 

華「いいのよ。遠慮なんていらないからね」

 

 その後、夕食になった。

 

華「チェリッシュちゃん、来た時から元気がないわね。何かあったの…」

 

チェリッシュ「……」

 

華「誰にも言えない辛い事でもあったの…。でも、おいしいご飯を食べれば少しは和らぐと思うわ」

 

ガッシュ「母上殿のご飯はおいしいのだ。食べれば元気が出るぞ」

 

 夕食をチェリッシュは一口食べてみた。すると、涙を流した。

 

チェリッシュ「……おいしい…」

 

清麿「(おいしいものを食べただけで涙を流すなんて…、ゼオンから受けた心の傷はよほど凄かったんだろうな…)」

 

 夕食を食べ終わった後、チェリッシュは進んで食器洗い等を手伝った。

 

華「あら、チェリッシュちゃんって家事もできるのね。とっても偉いわよ」

 

チェリッシュ「本当に…?」

 

華「本当よ。きっと、いいお嫁さんになれると思うわ」

 

 華に褒められてチェリッシュは少しだけ笑った。寝る時間になった際、ガッシュと一緒に寝る事になった。

 

チェリッシュ「ごめんね。私、病院に入院してる時から毎晩のように悪い夢を見るから一緒に寝てもらって…」

 

ガッシュ「気にするでない。コルルと一緒に住んでた時はコルルと一緒に寝ていたのだ」

 

チェリッシュ「あなた、確か名前はガッシュって言ってたわよね。どうして坊やは私達を助けてくれたの?」

 

ガッシュ「私はいい者が困ったりしているのを見ると、放っておけないのだ」

 

チェリッシュ「…この戦いでは味方はいないと思ってたのに、まさか坊やみたいな子に会えるとは思ってなかったわ。それに不思議ね。ゼオンは悪魔のようだったのに、そのゼオンとそっくりな坊やはまるで天使みたいよ」

 

ガッシュ「天使…」

 

チェリッシュ「もう寝ましょう。おやすみ、坊や」

 

 

 

 

 

モチノキ町

 翌日、お遣いを頼まれたガッシュは洗濯等をニコルに任せ、チェリッシュと共にお店に向かっていた。

 

チェリッシュ「坊やって戦いがない時はいつもこういった事をしてるの?」

 

ガッシュ「ウヌ。何もない時は公園で遊んでいるのだ」

 

チェリッシュ「やっぱり坊やも年頃の子供ね。聞きたい事があるけど、テッドに会った事はあるのかしら?」

 

ガッシュ「テッド…、会った事はないのだ…」

 

チェリッシュ「…気にしなくていいのよ。さ、お遣いを済ませるわよ」

 

 いつもガッシュがお遣いに来るお店の人はチェリッシュが来た事に驚いていた。

 

店主「坊や、この女の子はお姉さんなのかな?」

 

チェリッシュ「いえ、しばらくこの子の家に住ませてもらっているだけで…」

 

店主「それで、坊やは今日もお遣いに来たのかい?」

 

ガッシュ「そうなのだ」

 

 お遣いの品を買ったガッシュとチェリッシュは家に帰っていた。そこへ、ティオ達が来た。

 

ティオ「ガッシュとチェリッシュじゃない」

 

ガッシュ「ティオとコルルとパティではないか」

 

パティ「ちょっとチェリッシュ、ガッシュちゃんと一緒にいるのをいい事に私を差し置いてイチャイチャしてないでしょうね!?」

 

チェリッシュ「別にそんな事はしてないわよ」

 

コルル「何をしてるの?」

 

チェリッシュ「お遣いが終わって帰っているの。みんなは坊やの家に遊びに来たのかしら?」

 

ティオ「それだけじゃないわ。チェリッシュには届けたいものがあるの。見たら驚くわよ」

 

 

 

 

高嶺家

 ティオが持っていた箱をチェリッシュが開けた。中にはデコレーションが整っていないケーキが入っていた。

 

コルル「これ、ティオが焼いたの…?」

 

ティオ「恵が焼くって言ったけど、仕事もあるから負担をかけたくなくて私が焼いたのよ」

 

パティ「それにしても、全然デコレーションがなってないわね」

 

ティオ「何ですって!?ケーキを焼いた事すらない世間知らずのあんたに言われたくないわよ!!」

 

パティ「黙らっしゃい!!」

 

チェリッシュ「…これ、おいしいわね」

 

 ティオとパティが喧嘩してる間にガッシュと一緒にティオが焼いたケーキを食べたチェリッシュがおいしいと言ったのと同時に笑った事にガッシュ達は驚いていた。

 

ガッシュ「チェリッシュが笑ったのだ!」

 

ティオ「…え…?」

 

チェリッシュ「このケーキ、坊やのお友達なりに私に喜んでもらえるように作ったのね。お礼に私がケーキを焼いてあげるわ」

 

コルル「本当なの?」

 

パティ「どんなケーキができるのかしらね」

 

ティオ「楽しみだわ。ん?」

 

 ここにきて、ティオはチェリッシュを喜ばせるために焼いたケーキをガッシュが勝手に食べている事に気付いた。

 

ティオ「ガッシュ、何で私がチェリッシュのために焼いたケーキを勝手に食べてるのよ!!」

 

ガッシュ「とてもおいしそうだったから食べたのだ。ティオのケーキはおいしかったのう」

 

ティオ「ガッシュのバカ~~!!!」

 

ガッシュ「ぐ、ぐあああっ!!!」

 

 怒り心頭のティオはガッシュの首を絞めた。

 

パティ「ガッシュちゃんになんてことをするのよ!」

 

チェリッシュ「それぐらいにした方がいいわよ。勝手に食べたけど、坊やもおいしいって言ったのよ」

 

ティオ「…え!?それ、本当に!?」

 

 自分の焼いたケーキをガッシュがおいしいと言った事にティオは気が動転して顔が赤くなった。微笑ましい光景をニコルはそっと見守っていた。

 

ニコル「あんなに笑ったチェリッシュを見たのは初めてかな?」

 

 その後、チェリッシュはケーキを作った。器用にケーキ作りをこなすチェリッシュにガッシュ達は見とれていた。

 

ティオ「凄い…。恵にも負けないぐらいよ」

 

コルル「まるで、お菓子作りをするお母さんのように見えるよ。ガッシュの言った通り、親のいない子供のお母さん代わりになってたからなのかな?」

 

 ガッシュ達が見とれている間にケーキは焼き上がった。冷めてからチェリッシュは綺麗にデコレーションし、ケーキはできあがった。

 

チェリッシュ「さぁ、できたわよ」

 

ガッシュ「いただきますなのだ!」

 

 みんなでチェリッシュが作ったケーキを食べた。その反応はみんな同じものだった。

 

コルル「おいしい!」

 

パティ「ああ!この絶妙な甘さとデコレーションのセンスが光るわ!」

 

ティオ「どうしてこんなに上手にできるの?」

 

チェリッシュ「魔界にいた頃に色々と経験したからよ」

 

ティオ「私も恵やチェリッシュみたいにできたらいいのになぁ…」

 

チェリッシュ「誰でも始めは失敗したりするものよ。でも、経験を積めばいつかこんな風にできるようになるわよ」

 

 

 

 

???

 ある場所でデュフォーは事前にゼオンに本を預けておき、ある魔物とそのパートナーに会っていた。

 

老人「これを我々に渡すと?」

 

デュフォー「そうだ。この雷の結晶は結晶自体が電撃を出すわけではないが、お前の魔物が念じればある魔物に電撃の激痛を蘇らせる事ができる。その魔物は…お前の魔物が痛い目に遭ったという魔物だ」

 

老人「なんともありがたい。グリザ、魔鏡にこの雷の結晶があればお前の恨みを晴らす事ができるぞ」

 

グリザ「あの女…、今度こそ…。ハカセ、行きましょうか」

 

 グリザとハカセは去って行った。その後、ゼオンが現れた。

 

デュフォー「ゼオン、あのような雑魚に雷の結晶を託したのは間違いじゃないのか?」

 

ゼオン「所詮は魔鏡がなければ何もできん雑魚の中の雑魚にすぎん。チェリッシュが潰れようがあの雑魚が潰れようが俺達からすればどうでもいい話だがな」

 

デュフォー「それもそうだな」

 

 

 

 

モチノキ町

 チェリッシュペアが清麿の家に住んで1週間が経過した。その間、チェリッシュはガッシュ達と共に楽しい生活を送り、笑顔もよく見せるようになった。

 

清麿「チェリッシュもだいぶ心の傷が癒えてきたみたいだな」

 

ニコル「まだ完全とは言えないけど、順調なのは間違いないわ」

 

清麿「それじゃあ、俺は学校に行ってくる」

 

 買い物に行くニコルから離れて清麿は学校に向かった。一方のニコルはチェリッシュやガッシュ達と共に買い物に向かっていた。

 

ティオ「今日は何を買おうかな?」

 

ニコル「あんまり高いものはダメよ」

 

???「見つけたぞ、チェリッシュ!」

 

 声が聞こえた方を一同が向くと、そこにはハカセとグリザがいた。

 

パティ「あんた達、何者よ!」

 

ハカセ「自己紹介がまだだったな。わしはハカセ。そして、グリザだ」

 

ガッシュ「(グリザ?あの姿の魔物がグリザだと!?外見が違うではないか!確か、私が経験した戦いではグリザはブラゴに倒されたそうだが…)」

 

コルル「どうしよう…、今、パートナーがいるのはチェリッシュだけだよ」

 

ハカセ「今回の狙いはそこのチビ達ではない、チェリッシュだけだ」

 

チェリッシュ「私を狙いにやってくるとはね。坊や達を虐めたから私にボコボコにされたくせに未だに恨んでるの?」

 

グリザ「当たり前だ。あの時からお前を恨まない日などなかったぞ!そのために、魔鏡を持ち出したのだ!」

 

ティオ「魔鏡ですって!?」

 

ニコル「それって何?」

 

パティ「魔物の力を何倍にも増幅させる禁断具って私はパパやママから聞いた事があるわ。実物を見たのは私達も初めてよ」

 

ガッシュ「(だから、外見も変わっておるのか…。前の戦いでもグリザは魔鏡を勝手に持ち出したとは聞いておったが…)」

 

チェリッシュ「魔鏡だか何だか知らないけど、ぶっ飛ばすわよ!」

 

ハカセ「そんな強気な事を言ってられるのも今の内だ。グリザ、例の物を使え!」

 

ガッシュ「(あれは…!)」

 

 グリザはデュフォーからもらった雷の結晶を出した。すると、雷の結晶が光り、チェリッシュに思い出したくない痛みが蘇った。

 

チェリッシュ「キャアアアアアア~~~~ッ!!」

 

ティオ「どうしたのよ、チェリッシュ」

 

ニコル「(まさか…、あの結晶のせいであの時の痛みが蘇ったとでもいうの…?)」

 

ハカセ「何という効果だ!さぁ、グリザ、チェリッシュを思う存分痛ぶってやれ!」

 

 バルギルド・ザケルガの痛みが蘇って心の傷がまた開いてしまったチェリッシュは何もできないままグリザに一方的に殴られたり蹴られ続けた。

 

チェリッシュ「嫌~~っ!!もうあの痛みを思い出させないで!!」

 

グリザ「これは爽快だ!いつもチェリッシュにボコボコにされた俺が今度はチェリッシュをボコボコにできるのだからな。ただでは魔界へは帰さんぞ、徹底的に心も体も痛めつけてやる!」

 

 グリザの卑劣な行為にガッシュ達は怒りを募らせていた。

 

ティオ「人のトラウマを蘇らせて抵抗できなくしてから痛めつけるなんて許せないわ!」

 

パティ「私達も加勢するわよ!」

 

コルル「待って!私達、今はパートナーがいないよ!」

 

パティ「もう、どうしてこんな時に魔物が出てくるのよ!」

 

ガッシュ「…それでも私は行くぞ」

 

コルル「行くって…」

 

 そのままガッシュはチェリッシュの加勢に向かった。一方のチェリッシュは雷の結晶によるトラウマの再燃と一方的なグリザの攻撃で心も体もボロボロになっていた。

 

ハカセ「あはははっ!素晴らしい!魔鏡と雷の結晶でグリザが適わなかったチェリッシュを一方的に倒す事ができるとは。さて、とどめと」

 

ガッシュ「卑怯者め!これ以上チェリッシュを痛めつけるな!」

 

 ハカセとグリザの注意がチェリッシュに向いている隙を突いたガッシュはハカセとグリザを殴り飛ばした。

 

ハカセ「チビめ、パートナーがいない癖に邪魔をしおって!」

 

ガッシュ「チェリッシュの心の傷を開かせて一方的に痛めつけるお前達を私は許さぬぞ!」

 

ハカセ「それをやって何が悪い?グリザはもともと運も実力もないのだぞ。そんな奴がこの戦いで勝ち残るには魔鏡と相手の心の傷に付け込むアイテムがなければならんのだ」

 

ガッシュ「それはお前達の心と力が弱いからだ!身寄りのない子供達を養い、大人にも怯えずに体一つで子供達を守るチェリッシュはお前達が足元にも及ばない程、心も力も強いのだぞ!」

 

ハカセ「言わせておけば言いたい放題言いおって!グリザ、このチビを叩きのめせ!」

 

 魔鏡で強化されたグリザの前にはパートナー不在のガッシュは苦戦した。そして、チェリッシュの近くに殴り飛ばされた。

 

ニコル「ガッシュ!」

 

チェリッシュ「坊や…、何で…何でこんな弱い私なんかのために…」

 

ガッシュ「それは…、あの者の卑劣な行いを放っておけぬからだ…!チェリッシュ…、私ではお主がどんな時でも信じられるテッドの代わりにはなれぬ。だが、私達の姿を見て思い出したほしいのだ、お主の昔の姿を」

 

 再びガッシュは立ち上がり、グリザに突っ込んだ。

 

チェリッシュ「坊や…」

 

ティオ「チェリッシュ、あなたも立ち上がって戦うのよ!」

 

チェリッシュ「だけど…、今の弱い私じゃ…」

 

コルル「今、パートナーが近くにいるのはチェリッシュだけだよ」

 

パティ「このままだとガッシュちゃんがますます傷つくのよ!」

 

ティオ「あなた、魔界では子供達を守るためなら、大人にも屈しなかったのでしょ?」

 

チェリッシュ「それは魔界にいた頃の話…」

 

ティオ「今だって守るべき存在があるじゃない!」

 

チェリッシュ「守るべき存在……」

 

 清麿の家に住んでから1週間の事をチェリッシュは思い出していた。楽しくガッシュ達と過ごせていた事を。その一緒に過ごしていたガッシュが傷つくのを見たチェリッシュの目に力強さが戻った。

 

チェリッシュ「…ニコル、あのゲス野郎を叩きのめすわよ」

 

ニコル「チェリッシュ…」

 

 その頃、ガッシュはグリザの猛攻でボロボロになっていた。

 

ハカセ「さて、もう終わりだな。とどめと」

 

???「ゴウ・コファル!」

 

 突如、ハカセの頭目掛けて宝石が飛んできて、ハカセの頭に激突した。

 

ハカセ「ぐあっ!誰だ!?」

 

???「あんた達の狙いは私なんだろ?雑魚が!」

 

 ハカセの頭に宝石を当てたのはチェリッシュだった。

 

ハカセ「貴様、雷の結晶で心がボロボロになったのではないのか!?」

 

グリザ「もう一度心をボロボロにしてやる!」

 

ニコル「コファル!」

 

 再び念じてチェリッシュにバルギルド・ザケルガの激痛を蘇らせたグリザだったが、チェリッシュはさっきまでと違って痛みにも動じず、コファルで雷の結晶を撃ち抜き、破壊した。

 

グリザ「雷の結晶が!」

 

ハカセ「なぜ痛みに耐えられる!?」

 

チェリッシュ「私も弱くなったものね。こんな痛みにくじけるなんて…。この魔界の王を決める戦いで周りが敵ばかりになったせいかね?戦いで疲れた心にゼオンの強大な力が…この激痛が入ってきた…。後ろに守るべき坊や達がいれば、こんな弱い姿にならずにすんだのかね?」

 

グリザ「守るべきガキ共はこの戦いにはいないのだぞ!」

 

チェリッシュ「いるわ。私の守るべき坊や達は…ここにいるのよ!」

 

 チェリッシュが指差した守るべき子供達はガッシュ達の事だった。

 

ガッシュ「チェリッシュ…」

 

チェリッシュ「ありがとう。坊や達のお陰で昔の自分を思い出せたわ。ニコル、とっとと雑魚を魔界送りにしてやるわよ!」

 

ニコル「準備は万全よ!」

 

ハカセ「いい気になりおって!たとえ雷の結晶がなくてもこっちにはまだ魔鏡がある!ファイ」

 

ニコル「ガレ・コファル!」

 

 グリザの目を狙って指先から小さなコファルを発射した。小さいため、グリザは油断してよけなかったため、目に当たってしまった。

 

グリザ「ぐああ~~~っ!目が、目が~~~っ!!」

 

ハカセ「目を狙うとは卑怯だ!」

 

チェリッシュ「ふん、私の心の傷に付け込んだあんた達の方が私よりよっぽど卑怯よ!」

 

ニコル「ガンズ・ゴウ・コファル!」

 

 ゴウ・コファルが連続でグリザに飛んでいき、次々とグリザに命中して吹っ飛ばしていった。

 

ハカセ「おのれ!ギガノ・ファイガル!」

 

 炎がチェリッシュに迫っていた。

 

ニコル「チェリッシュ、さっき新しい呪文が出たわ。ぶっつけ本番で試すわよ!」

 

チェリッシュ「準備はいいわ」

 

ニコル「コファルク!」

 

 呪文を唱えた後、チェリッシュはなぜか宝石の像になり、その直後に炎を受けたがビクともしなかった。炎の攻撃が終わった後にニコルが術を解くと、宝石の像が割れてチェリッシュが出てきた。

 

ハカセ「何!?グリザの攻撃を受けてもビクともしない防御呪文だと!?」

 

チェリッシュ「今まで攻撃呪文ばかりだったから助かるわ。発動中は動けなくなるみたいだけど」

 

ハカセ「ええい、もう一度だ!ギガノ・ファイガル!」

 

ニコル「ギガノ・コファル!」

 

 炎と宝石がぶつかり合った。結果は競り合いの末、ギガノ・コファルが勝ち、グリザはハカセと共に吹っ飛ばされた。

 

グリザ「ぐがあああっ!!」

 

ハカセ「なぜだ!?なぜ魔鏡の力を得たグリザが押されている!?」

 

チェリッシュ「それは坊やが言った通りよ。魔鏡に頼るあんた達の心と力が弱すぎるだけさ!」

 

ハカセ「よ、弱いだと!?魔鏡という究極の力を得たのにか!?」

 

???「怨怒霊~~!!」

 

 突如現れたパティのキックをハカセはまともに受けてしまった。キックを受けて倒れた後、ティオのプロレス技を喰らって動けなくなった。

 

ティオ「今よ、コルル!魔鏡を叩き割るのよ!」

 

コルル「えいっ!!」

 

 ハカセが動けないその隙にコルルは魔鏡を奪い、地面に投げつけて割った。

 

グリザ「ま、魔鏡が!!」

 

 魔鏡の力を失い、グリザは本来の小さな姿に戻ってしまった。チェリッシュが近づいてきたため、グリザは後ずさりした後、土下座した。

 

グリザ「ゆ、許してくれ!俺が悪かった!そうだ、俺と一緒に組まんか?組めば魔界の王に」

 

チェリッシュ「…ニコル」

 

ニコル「ギガノ・コファル!」

 

 グリザとハカセの命乞いも聞かず、チェリッシュはギガノ・コファルで2人を吹っ飛ばした。その際にグリザの本が燃えてしまった。

 

チェリッシュ「あんた、私にボコボコにされた時はいつも命乞いをしてたわよね。あんたみたいな卑怯な手しか使わないゲス野郎の命乞いが通じると思ったら大間違いよ!私に怯えながら魔界へ帰りな!」

 

 言葉通り、チェリッシュに怯えながらグリザは魔界に送還された。

 

ガッシュ「チェリッシュは凄いのだ!」

 

ティオ「女なのにとてもかっこよかったわ!」

 

チェリッシュ「それ程でもないわ。私がトラウマを克服できたのも坊や達のお陰よ」

 

ニコル「(何だか、前にも増してチェリッシュは強くなった気がするわね…)」

 

 ゼオンに心の傷を負わされたチェリッシュがガッシュ達との交流で心が癒え、さらに強くなった事にニコルは微笑んでいた。

 

 それから、翌日の夕方になり、チェリッシュの心の傷が癒えたため、チェリッシュペアはモチノキ町を去る事になり、ガッシュ達はチェリッシュペアの出発を見送ることにした。

 

清麿「もう行ってしまうのか」

 

ニコル「チェリッシュの心の傷が癒えたから私達は出発する事にしたの」

 

チェリッシュ「坊や達と過ごした日々は楽しかったわ」

 

 そう言ってると、車が止まって恵、しおり、ウルルの3人が降りてきた。

 

恵「何とか間に合ったわね。あなたがティオの言ってたチェリッシュ?」

 

チェリッシュ「そうよ」

 

ウルル「チェリッシュが今日、出発すると聞いて思い出の写真撮影をしようと来たんです。自己紹介がまだでしたが、私はパティのパートナーのウルルと言います」

 

しおり「コルルのパートナーのしおりよ」

 

恵「私はティオのパートナーの恵。さ、みんなで写真撮影をしましょう」

 

 チェリッシュも含めてみんなで集合写真を撮った。

 

ガッシュ「出発したらテッドを探すのだな?」

 

チェリッシュ「そうよ。テッドは私の家族。絶対に探し出してみせるわ。でも、何かあった時は坊や達の力にもなるわ。また会いましょう、坊や達とそのパートナー」

 

 美しい髪をたなびかせながら、チェリッシュはニコルと共に出発した。テッドを探すというこれまでなかった新たな目標を持って。




これで今回の話は終わりです。
原作からかなり前倒しする形でチェリッシュの登場と仲間入りを描きました。
もともとは石版編の展開を見据えてバリーの仲間入りを考えていましたが、バリーは強すぎるので、他にどの魔物を早く仲間入りさせようか考えた結果、原作とは逆にテッドより先にチェリッシュが仲間になったら、というのをやってみたかったので、チェリッシュにしました。
pixivの方では説明してませんでしたが、邂逅編の時点でのチェリッシュはディオガ級の術はまだ使えない状態だろうと思うので、この時点での最大呪文はギガノ・コファルです。ディオガ・コファルドンは次の話で習得します。
今小説のチェリッシュは原作寄りですが、これからアニメの要素も一部出てきます。ちなみに、コファルクはドラクエの呪文のアストロンをガッシュの呪文で再現したら、というアイデアで考えました。
次もチェリッシュがメインですが、同時にある魔物も出てきます。
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